「ゆっくりの中では、どれが一番好きか?」
そう言い出したのは、友人A。
ゆっくりれみりゃが一番と言い出したのは、友人Bだった。
俺は、どのゆっくりも嫌いなので、どうでも良いと答えた。
「ゆっくりれみりゃ~? 可愛くねぇだろあんなの」
「いや、よーく見たら案外良いんだってw」
楽しそうに話し合う二人。
どっちでも良いと思う俺は、黙ってその様子を眺めていた。
1時間後……議論は過熱し、とうとうBがその辺にいたゆっくりれみりゃを捕獲してきた。
「う~う~♪ たべちゃうぞ~♪」
「良く見てみろよ、ほら、この『う~う~』言う時の仕草とか、可愛いだろ?」
「どこがだよ……お前、ゆっくりゃ食い過ぎて頭もそういうレベルになってきたんじゃねーの?」
「……いや、他のゆっくりと比べて可愛いっつってんだよ。別にれみりゃが一番って話じゃない」
議論は続く。
その後もこの部分が可愛い、服がババ臭いと部分ごとのマイナス・プラス点を挙げていき、更に1時間が経過した。
「だから、れみりゃが一番可愛いつってんだろうが! れみりゃだけは他のゆっくりとは別だ!」
「何言ってやがる、アイツはれみりゃじゃなくてゆっくりゃだろうが! れみりゃってのはおぜうさまの事だけを言うんだよ! そんな豚とおぜうさまは似ても似つかないだろうが!」
「うー…………こわいこわい、たすけてー……う”っ!」
白熱しきっている2人が恐ろしいのだろう、とことこと俺の方にやってくるゆっくりれみりゃ。
俺としては、ゆっくりれみりゃがどうなっても良いので、ABの方に蹴り戻した。
――どうでも良いと思うんだけどなぁ。
ため息が出た。
「ここは良いんだよこのボケ!」
「うっせカス、そんなん良い訳ねーだろうが!」
「う”がっ、いだいいだい、さくやー!」
口調が荒くなってきた2人。
同時に力も入ってきているのだろう、ゆっくりれみりゃに指が刺さったりしている。
「んだとゴラァ! やるか!」
「やらいでか!」
「う”う”う”ぁぁぁぁぁぁがががぁぁぁぁぁ!!!」
ついには、大岡裁きの本当の親がどちらかってアレの様な状態になった。
AもBも全力で引っ張り合っているのだろう、ブチブチと音を立ててゆっくりれみりゃが半分になった。
「だから! お前の言ってるのは間違ってるんだって!!!」
「いーや、お前だね! ぷっでぃんとか言ってるのを見ると反吐が出るだろうが!」
「さくぶっ、うあー! だずぶぐっげ…………だずげでー」
「……!!!」
「…………!!!」
「……うー、あ……ごふっ」
にらみ合うアホ2人を眺めて、ため息が出た。
あ、半分にちぎれたゆっくりで殴り合ってる。
「どうでも良いけどさ、お前ら」
「「なんだよ」」
ゆっくりれみりゃの肉汁でテラテラと輝いた顔が二つ、同時にこちらを向いた。
同時に振り向く所を見ると、実は仲良しなのかもしれない。
またため息が出た。
「……そいつ、もう死んでる」
「「えっ!?」」
ずたずたになったゆっくりれみりゃをマジマジと眺める。
とっくの昔に死んでいた「それ」は、腕やら足やら、色々な部分の足りないぬいぐるみの様になっていた。
もはやぼろきれとしか言いようのないそれを投げ捨て、顔を見合わせる2人。
「「どうでも良いな! ゆっくりなんか!」」
笑顔になった2人は、仲良さげに肉塊を掃除し始めた。
今までのケンカは何だったんだ……。
――まぁ、ゆっくりだしどうでも良いや。
アホ2人は放っておくとして、ようやく落ち着けそうだ。
「そういや、お前はどれが一番嫌いなんだ?」
「え? ……うーん……」
「……じゃあな」
またケンカが始まりそうだ。
被害を受けない様に、別のところに移動する事にした。
皆で仲良く、ゆっくり虐待していってね!!!
最終更新:2008年09月14日 09:26