ゆっくりれみりゃ系いじめ36 ゆっくりぼーる5

「咲夜、これはなにかしら?」
従者に素朴な質問をする蝙蝠のような翼を生やした少女。
瞳は燃えるように紅く、ともすればばば臭くもある薄桃色の召し物を鮮やかに着こなす姿はまさに貴族の子女である。
それもそのはず。彼女こそ紅魔館の主にして誇り高き妖怪“吸血鬼”なのだから。
そんな彼女の目の前には見るからに怪しげな直径1.2mほどの半透明の球体が転がっている。
「ゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~ですわ」
咲夜と呼ばれた銀髪のメイドはしれっとした様子で応える。
「・・・は?」
「ですから、ゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~ですわ」
「・・・そう。これはゆっくりボール・エレガント・ウォーカーなのね」
「いえ、ゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~です」
「ところで、咲夜?」
「これをどうするの?」
「使います」
天然従者のあまりにも身も蓋もない回答に頭を抱える紅魔館の主。
「・・・質問が悪かったわ。これをどんな風に使うのかしら?」
「中にれみりゃを入れれるんです」
「・・・え?」
「あ、お嬢様のことじゃありませんよ?ゆっくりゃのことですわ」
「そ、そうよね・・・」
そんなやり取りをしながら2人肩を並べて中庭へと向かう。それ自体は紅魔館では非常にありふれた光景なのだが。
しかし咲夜はゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~を転がしているのでなんとなく異様である。
「あら?参りましたわ・・・」
「本当ね」
ゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~の直径が1.2m。
一方、中庭の扉が高さ2mの幅1m。要するに中庭まで運べないのだ。
「どうしたものかしら?まさかお屋敷を破壊するわけにも行きませんし・・・」
「あなた・・・空間操作もできなかったかしら?」
「ええ、時間操作を応用しての相対的な空間拡縮くらいですが・・・」
「それだけできれば十分でしょう・・・」
ボケ倒しの従者を尻目にお嬢様はさっさと中庭に入る。しかし、本当はあまりこの場所が好きでない。
なぜなら・・・そこに不愉快なものがいるからだ。
「うっう~、れ☆み☆りゃのの・う・さ・つだんすだどぅ~♪」
「「「「うっう~♪」」」」
半端に自分の特徴を受け継いだ不細工な下膨れ顔。明らかに着こなせていないばば臭い衣装。
田舎もの臭いと言ったら田舎の人に怒られそうな口調。過剰な自意識と自信。
その何もかもが自分を悪い方向にデフォルメしたようなゆっくりゃと呼ばれる存在がどうしても許せないのだ。
しかも、そんなものが大きいのが1匹と小さいのが4匹もいるとなっては嫌気がさすというもの。
(その上これでも少ないくらいなのである。酷いときには過剰繁殖で30匹以上のれみりゃが中庭にいることもあった)
「そういえば・・・お嬢様が中庭にいらっしゃるのは久しぶりですね?」
そりゃあんたがこんな肉饅頭を飼っているからだよ、と言いたいところだがそこはカリスマの化身としてぐっとこらえた。
「れみりゃはこーまかんのあるじだどぅ~♪」などとのたまう腐れ肉まんを天高く放り投げたい衝動に駆られるが、カリスマを損ねたくないので聞こえないふりをする。
「で、そのゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~の中にどうやってあれを入れるのかしら?」
「え~っと、ですね。それは・・・」
咲夜は主人の質問に対して適当に返事しながらゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~を真っ二つにする。
勿論、無理やり切ったり、割ったりしたわけではない。そういう造りになっているだけだ。
「・・・空間操作する必要すらなかったんじゃない?」
そんな主人の突っ込みも何処吹く風。淡々と一番大きな(といっても1m程度)をボールの中に放り込んだ。
「で、この後はどうするの?」
「ゆっくりゃにはしばらくこの中で生活してもらいます」
「・・・え、それだけ?」
「ええ、それだけです」
「・・・それに何の意味があるのかしら?」
「それはですね・・・このゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~の機能を試すためです」
「機能?この中にいるとエレガントに歩けるようにでもなるのかしら?」
だとしたらあまりにもそのままだな、と内心苦笑する。
「その通りです。何でもこのボールの内側にはところどころ透明の棘があって、それを踏まないように歩くととてもエレガントに歩けるらしいですわ」
「らしい?」
「これを開発した人里のゆっくり愛好家がそう言ってました」
「へえ、ゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~はあなたが作ったものじゃないのね?」
まさか咲夜を上回る変人が人里にいたなんてと呆れるような仕草をしてから、ゆっくりゃのほうへ視線を向けると・・・えらいことになっていた。

まず、冷静に考えて欲しい。透明の棘をどうやってよけるのか?特別な能力を持っていないこと限り、そんなことは不可能だ。
よって、状況を全く理解せず「うっう~♪」などと馬鹿丸出しでゴキゲンに歩き始めたゆっくりゃは一歩目で早速棘を踏むことになった。
「うぎゃ!?」
ちなみに、棘の長さは1cm。餡子さえ無事なら死ぬことの無いゆっくりにとっては危険は小さいが踏めば相当痛い長さだ。
あまりの痛さに思わずしりもちをつくゆっくりゃ。そしてそれは足よりも何倍も大きいお尻をゆっくりボールの内壁に接着させことを意味していた。
「ぎゃおおおおおおおおおおおお!?」
お尻だけではない。足にだって相当な数の針が刺さっている。
「うああああああああ!?えみりゃのぜぐじーなあ゛んよがあああああ!?」
必死に立ち上がろうとするも、お尻や足に食い込んだ針がなかなか抜けない。
「いだいーーーー!!い゛だいよーーーーーー!!ざぐやあああああああああああああああ!!」
必死で助けを求めるゆっくりゃ。その声を聞いた咲夜はとっさに駆け寄るが、ボールに邪魔されてどうしようもない。
ナイフを投げてみるものの、ゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~はナイフでは簡単に壊せないほど頑丈な代物だった。
どうやら中のゆっくりゃを助けるのは相当骨が折れる、そう判断した咲夜は破顔一笑。
「ゆっくりゃ?頑張ってエレガントな歩きを身に着けるのよ」
・・・何のためらいも無く見捨てた。もっとも、中に入れたのが他ならぬ咲夜自身なのだからあっさり助けるのもそれはそれでどうかと思うのだけれど。
「うー!?ざぐやーーーー!!まっでーーーー!!!」
咲夜を追いかけるために必死で立ち上がろうとするゆっくりゃ。
「れみりゃはごーまかんのおぜうさまだどぅ!!」
と、文句を垂れながら必死で立ち上がろうとするがやはり悪戦苦闘。
やっとの思いで立ち上がった頃には足が穴だらけになっていた。それでも立ち上がれるは凄いのかどうなのか?
「う゛ーーーーーーーーーーーーーー!!」
運良く棘の無い場所にたつことのできたゆっくりゃは咲夜を追いかけようと駆け・・・出そうとしたのだが、さすがに穴だらけの足では走ることはままならず。
「うあ?」
ゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~の中でずっこけることになった。
「うぎゃああああああああああああ!!!」
つんのめりながらもとっさに手を出したのだが、手をついた先にもやっぱり棘。
「う゛ああああああああああああ!!」
実に汚らしい絶叫とともに文字通り飛び上がるゆっくりゃ。しかしゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~の直径は1.2m。
そして、ゆっくりゃの身長が1m。つまり、ゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~の中でゆっくりゃが飛び上がると・・・
「ぎゃおおおおおおおおおおおおおお!!!」
当然、頭に棘が刺さる。
直後、痛みで落下するゆっくりゃ。しかし、降り立った先にも当然のように棘がある。
「いだいよ゛ーーーーー!!」
「ざぐやああああああああああ!!」
「うあ゛ーーーーーーーーーー!!」
ゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~の中で不細工な肉まんが飛び跳ね、ひっくり返り、もんどりうっては幾度と無く棘に刺さる。
そして、その度に叫び、泣きわめきながら助けを求める光景は実に痛々しいものだった。
もし、人里ならさすがに同情して手を差し伸べてくれる人がいるかもしれない。が、残念ながらここは紅魔館。吸血鬼の館である。
妖精たちが談笑しながら窓越しに、珍しく図書館から出てきた賢者と司書が紅茶をすすりながら面白おかしくその様子を見守っている。
もちろん、紅魔館の主たるレミリアも阿鼻叫喚の歌にご満悦。自分と似た姿であることには少々不満があるけれど。

1時間後、ようやく体勢を立て直して無事に棘のない場所に足を置いたゆっくりゃだったが、棘を踏んでしまうのが怖くて微動だにできない状況に陥っていた。
「う゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
元々落ち着きの無いゆっくりにこれは相当辛いのだろう。
顔をくしゃくしゃにして、ぼろぼろと涙を零しながら、スカートのすそをぎゅっと握り締めながら、必死に耐えている。
「だれがーーーーーーー!!だずげでええええええええええ!!」
しかしこの状態が続くとさすがに飽きてきたな、そうレミリアが思い始めたとき、咲夜がプリンを持ってきた。
「子ゆっくりゃ~?」
「「「「う?」」」」
「プリンの時間よ」
手にしたプリンは4つ。どうやら母親の分は無いらしい。あんな目にあっているのに可哀そうに。
「うー!」
「うっう~!」
「ぷっでぃ~ん、たべりゅ~♪」
「たべちゃうどぅ~♪」
それぞれ歓喜を言葉にしながら、一目散に咲夜の元に駆けつける子どもたち。
母親に配慮するものは1匹としていない。大体、母親があんな目にあっているにもかかわらず誰も心配しようとしなかったのだから酷い話である。
「「「「うっう~♪おいひいどぅ~♪」」」」
「れみりゃも、ぷっでぃーーーーーーーーーーん!!!」
プリンを手で掴むと一口で頬張り、口の中をプリンでいっぱいにしながら喜びを口にする子どもたち。
案の定だが、やはり母の存在は完全に無視されている。
「どうぢでままをむじずるの゛ーーーーーーーーー!!」
プリンほしさに泣き喚くも、棘が怖くて一歩たりとも動けない。
そんなゆっくりゃを美鈴は「動の感情と静の姿勢を同時に備えるとは・・・あのゆっくりゃ、できる!」と評していたがそんなことはどうでも良い。
一口で頬張ったプリンを口に入れたまま姉妹とじゃれあう子ゆっくりゃたち。
くどいようだが、母のことなど微塵も気遣っていない。
「うっう~♪よろこびのだんしゅだど~」
やがて、プリンを食べ終えた子ゆっくりゃたちは夜露媚びのダンスなる奇天烈な踊りを舞い始めた。
ステップがでたらめな上に、馬鹿みたいに腰やお尻を動かすばかりの下劣極まりないクソみたいな踊りだが・・・
「うっう~♪れみりゃのえれがんとなの・う・さ・つダンスだどぅ~♪」
「みんなめろめろになるんだどぅ~♪」
本人たちは色っぽいつもりらしい。良くてせいぜいアホっぽいだろ、というギャラリーの紅魔館の人々の内心の突っ込みも何処吹く風。
たっぷり12分ほど踊り続けた子ゆっくりゃたちはダンスが終わるやいない
「さくや~♪れみりゃのだんすみせてあげたんだからぷっでぃ~、もっとちょうだ~い♪」
「おぜうさまにぷっでぃ~んをもっでくるんだどぅ~♪」
「さくやにはとくべつにれみりゃにぷりんをたべさせるやくをさせてあげるど~♪」
殺されても文句は言えないような偉そうなこと極まりない言葉を口にする。
しかしその程度では動じないのが皆の瀟洒なメイド長咲夜さん。
子ゆっくりゃたちが高慢ちきなことを抜かし始めたときにはすでにプリンの準備を終えていた。
これだけ横柄な態度を見せ付けられても平然としている辺りは流石としか言いようが無い。
のだが・・・流石とは程遠い存在が1人、否1匹いた。
「れびりゃのぶっでぃーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!」
さっきから子どもたちに軽んじられ続けてきた母ゆっくりゃだ。
我慢の限界に達したのかもはや棘による痛みも忘れてプリンを手にはしゃぐ子ゆっくりゃたちの群れに突撃してきた。
その表情は普段の泣き顔となんら違いがないようで、ほんの一瞬だが咲夜もレミリアもひるんでしまうほどの鬼気迫るものを感じさせる表情だった。

ゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~はその前身であるゆっくりボールチャリオット同様に相当頑丈だ。
もし、そんなものが貧弱なゆっくりゃたちに激突したらどうなるか?
当然、酷い目に遭う。しかも、前身のチャリオットほどの殺傷能力が無いため、即死するようなことはまず無い。
その結果としてもたらされたのが今の惨状だ。
「いだいーーーーー!!じぬーーーーーーーー!!」
「れびりゃのぶりぢーなおででがーーーーー!!wghhwgysば、qべd。wm」
「あ、あるげないよーーーーーーーーーーー!!ざぐやーーーー!!だじゅげてーーーーーーーー!!!」
「いや゛ーーーーーーーーー!!ごっぢごないでええええええええええ!!」
ある子ゆっくりゃは胴体を轢き潰され、上半身と下半身が完全に分離してしまい、そこから大量の具が漏れ出している。
しかも、転倒したときに顔右半分を強烈に殴打した右の目玉が潰れ、そこからも餡子を垂れ流し、ゆっくりを食べるくらいにしか使えない小さな歯も右半分のものは全て割れてしまっている。
またある子ゆっくりゃは、もげた右腕を持ったまま奇声を発し、またある子ゆっくりゃは両足を失って身動き一つとれずに咲夜に助けを求めている。
もっとも、その咲夜はレミリアに「やっと面白くなってきたのに水を差すなんてもったいない」という理由で制止され、助けたくても助けられない状況なのだが。
そして唯一無事だった子ゆっくりゃは死守したプリンを両手に抱えながら、必死にそれを狙う母親から逃げ回っている。
「おがあざまにぷっでぃ~んをよごぢなざいーーーーーーー!!」
「いや゛ああああああああああああああ!!おまえなんがおがあざまじゃないいいいいいいいい!!!」
血走った眼をぎらつかせ、自らの足が棘で傷つくことも厭わずにわが子のプリンを狙うその姿は実に恐ろしものがある。
「どほぢでぞんなごどいうのおおおおおおおお!!ぞんなごどいうごはぢねえええええええええええええ!!」
「いや゛だあああああああああああああああああ!!」
子ゆっくりゃも必死で逃げ回るが、体格差もあって徐々に距離を詰められる。そして・・・
「うぎゃ!?」
足がもつれて転倒。しかも、その拍子にプリンを落としてしまった。
しかし、狂乱のあまりに我を忘れている母ゆっくりゃはそのことに全く気付かず、わが子に全力の突撃を見舞う。
「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
哀れ、子ゆっくりゃは跳ね飛ばされて、そして踏み潰された。
「おおぉおぉぉぉぉおぉぉ・・・おぉ・・・」
ゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~の下でうめき声をもらしながらぴくぴくと痙攣する子ゆっくりゃは1分と持たずに動かなくなった。

直後、我に返った母ゆっくりゃはその惨状を目の当たりにして、こう呟いた。
「う?れみりゃのぷっでぃ~んはどこ?」




-----あとがき?-----
ゆっくりボール第5弾。明らかに構造的欠陥があるのはいつものこと。
ちなみにこのゆっくりゃたちは咲夜さん監修の下、母子で性交渉を強要され、
子どもを産んだところで「壊れたおもちゃに興味は無い」と一家全員まとめて
ゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~に詰め込まれ、
紅魔湖に沈められましたとさ。

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最終更新:2022年01月31日 01:45
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