チルノ×ゆっくり系2 大ちゃんの想い

紅の悪魔が住む館、その近くには湖がある。
そこには、紅白や黒白には劣るものの幻想卿では色々な意味で有名人?が住んでいる。

「そぉい!今日は半凍結だぁ!」獲物の周囲を凍結させたそれは可愛らしい妖精だ。悪戯が大好きでいつもやんちゃだ。
「げろろんぱ!」やられ役は湖に住むカエル。毎日凍らされればいい加減慣れてくるらしく、付き合い慣れた断末魔だ。
自称最強の妖精は今日も無駄に元気で、無駄にエネルギーを使っていた。

「んふふ、また強くなってしまったわ。こんどこそぜったいにれーむをやっつけて最強のざにくんりんするわ!」
カエルをやっつけて確かな手ごたえを感じているのは謎だが、満足そうなのでまあいいであろう。

「チルノちゃ~ん!皆が遊びに来たよ~。」遠くから声がする。前髪の一部を留めてあり、彼女が走ってこちらに来るたびに上下左右に動く。この可愛らしいぴょこんとしたアホ毛が特徴的なこの子は大妖精。これでもれっきとした彼女の名前。
清楚な見た目どおりとっても優しくて面倒見の良いチルノのお姉さん的なポジションの子。
「は~い。」元気よく返事を返すチルノ。あまり人の言うことを聞かない事に定評のあるチルノだが、いつも一緒にいる大妖精の言う事は素直に聞いた。
「あぁ、またカエルさん虐めて!ダメだよ、カエルさんは生きているんだから!!」
半凍結のカエルを見て大妖精がチルノを叱り付ける。
「でもぉ、もうちょっとけいけんをつめばれーむをやっつけられるきがして」怒られているけれど反論はしてみた。
「じゃあ、チルノちゃんは体に火がついても平気なの?」妹を叱る姉のように。いつもの優しい顔がちょっと怖くなっている。
「うぅ…大ちゃん、ごめんなさい~。」チルノは大好きな大妖精の怒っている姿が嫌いで怒られるとすぐに謝る。
「もう、私じゃなくてカエルさんに謝って。」チルノをカエルにペコリと頭を下げさせ、カエルを解凍してあげる。
「すみませんでした。私からもきつく言っておきますから…。」続けて大妖精も頭を下げる。解凍されたカエルも
「いえ、此方も軽率でしたから。でも以後気をつけてください。両生類にあの寒さは厳しいですからな。」割と寛大だった。カエルなのにえらく流暢に話すが気にしてはいけない。ここは幻想卿なのだから。

大妖精と並んで皆のところへ向かう。いつもの広場にいつものメンバーが集まっていてチルノを視認するなり、
「遅いよ~チルノちゃん。」くるくると回りながら、猫又の女の子が。
「そーなのかー。」何かを食べながら、宵闇の落とし子が。
「今日はチルノが呼んだんだから、遅れるのは良くないよ。」珍しく本を読みながら、虫姫が。
「も~ルーミア!屋台に出す鰻食べちゃダメ!あ、チルノ、ルーミア取るの手伝って~」不幸体質の夜雀が。
いつものメンバーが集まっていた。結構頻繁に遊ぶ。日々あったお互いのさまざまな体験を皆と話せる楽しい時間。


「…でね、藍様っていつもお味噌汁の御揚げ入れるんだ。紫様は『豆腐がいいのに~』って仰るんだけどね。でね、お手伝いしたいから藍様にお願いするんだけど、『ダメだ、橙。万が一お前の手に包丁が…嗚呼!考えただけでもゾッとする。』とか何とかいっていつもダメって言われるんだよ~。お料理してみたいのに。」何気ない話から話題は料理に。
その場にいる皆が頷く。やっぱり女の子、料理はできるようになりたいのは共通らしい。
「みすちーはいつもうなぎさばいているから料理じょうずだよね~。」羨ましそうにチルノ。
「ふふん、まぁね~♪」ちょっとだけ優越感に浸るミスティア。
「リグルはお料理できるのかー?」気になる様子でルーミア。
「え、あ、いや、最近、幽香に教えてもらってて…」ちょっと赤面するリグル。
「「「へ~♪」」」そういえば、手にしてた本は『ミニ植物大全』。ニヤニヤ顔が一斉にリグルを向く。
「な、なんだよ~、幽香は私のお姉さんみたいなものだよ!」なぜか弁解を試みる。
「そ、それに、チルノだって大ちゃんっていう立派なお姉さんがいるじゃないか!」とにかく反撃したかったのか、よく解らない反論が出た。けど意外な効果が出た。
「うん!あたい、大ちゃんのこととっても好きだよ!」あっさりとチルノは言った。思った事を素直に言えるのがチルノの良い所なのだが
「チ、チルノちゃん、恥ずかしいよぉ…。」突然の告白に大妖精が赤面してしまった。
「「「ヒュー♪ヒュー♪」」」その日は終始その話題ではやし立てられた。一緒に帰る時も大妖精は真っ赤に俯いたままだった。


その日以来、大妖精は前以上にチルノの事を可愛がり、お世話した。チルノは大好きな大妖精と一緒にいられて満足だったし、大妖精もチルノの純粋な告白が嬉しくて仕方がなかった。

毎日楽しいと思っていたチルノ。でも、皆で遊ぶのも悪くないが、ほぼ同じメンバーと遊ぶものだから別の遊びを見つけたいと最近は思うようになってきた。どんなに楽しくてもやはりマンネリはつきものだ。
カエル凍らせるのは大ちゃんに怒られるしなぁ、何かないかな~と、一人でふらふらしていたら面白そうなのを見つけた。

「ゆっくりしていってね!!」

れーむの顔をした変なのが3匹で飛び跳ねてるのを見つけた。チルノは新しいおもちゃを見つけたように嬉しそうに近づいていった。

「ゆ?」「あなたもゆっくりできるこ?」「ゆっくりしようね!」
返答なんかする気はなく、お構い無しに周囲を凍らせた。
「ゆ゛っ!!」「ざむいー!!ごれじゃゆっぐりでき…」「ねむく…なってきたよ」
カエル以上にさまざまな変化と反応を見せてくれるソレはあっという間にチルノのお気に入りとなった。

「よおし、にっくきれーむの顔したやつらだ!れんしゅうだいにしてもいいよね。」
一人で頷き、皆には秘密にしてあるチルノの隠れ家的な場所までそれらを運んできた。
1匹は本気で凍結させ、もう1匹は半凍結、最後の1匹は凍結させて運んだ際に落として粉々に砕けた。

「い゛や゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ!!」半凍結のゆっくりが奇声を上げた。うるさいな~と口も凍結させた。
「ん゛ー!!ん゛ん゛ーー!!」口が凍結し、開かなくなったソレは何かをいいたいようだが声を上げれずに飛び跳ねるだけとなった。
その様子があまりにもおかしかったので、チルノは「ばかみたい!ばかみたい!」と言っておなかを抱えて笑った。

ゆっくりはカエルと違って凍結が解け、それなりの時間を経過すれば回復する。全凍結させようが、半凍結させようが解凍し終われば
「ゆっくりはなしてね!!」「おうち、かえる!!」などと言いだす。
凍らせ方を変えれば、そいつらの反応は変わった。チルノは楽しくなって頭だけとか、右半分だけ、左だけ、斜めに~などと思いつく限りゆっくりで遊んだ。あまりにも色々な反応をして楽しかったので3日も家に帰らずに遊んだ。

「チルノちゃ~ん!どこ?返事してよぉ…」大妖精はチルノがいなくなってから毎日探していた。チルノの友達も同様に探してくれていたが、一向に見つからず途方にくれていた。すぐに見つかるさ、皆は言ったけど、毎日が心配で気が気ではなかった。
だから、湖から離れた森の一角でチルノの笑い声が聞こえて来た時は期待に胸膨らませて声のするほうに走った。

「あー、おもしろい、なんでこんないいものみつけなかったんだろ。」声のするほうに近づく。確かにチルノの声だ。
「チルノちゃん?いるなら返事して?」期待と不安が混じる声。聞こえた声の主がチルノであって欲しい。
「あっ!大ちゃ…」泣いていた。大妖精はチルノを確認するなり泣き出してしまった。チルノはどうして大妖精が泣いているのかわからずオロオロとしてしまう。
「チルノちゃん、無事で…本当に、本当によかった…。」ああ、自分は大妖精を心配させてしまったんだ。あまり察しが良くないほうだが解った。そう思うと申し訳ないという気持ちが溢れてきて、自分まで泣けてきた。
「お家かえらなくて、ごめんなさい、大ちゃん。」謝った。さっきまでの楽しい気分もすぐに冷めた。今は大妖精に謝った。泣くのをやめて欲しいから。
「いいの、無事なら。それで、いいの。」大妖精は優しく撫でてくれた。「でも、いったい何していたの?」大妖精に聞かれた。
どうしよう、また生き物を凍らせていたなんて言ったら、大妖精が失望してしまうのでは?嫌われたくないけど…。でも、
「こいつらを、凍らせてあそんでいたんです、大ちゃんごめんね。…もうしないから。」大妖精には嘘はつけなかった。きっとカエルの時の約束を破ったから怒られるに違いないだろう。嫌われたくないけれど、嘘はつけない。裏切ってしまったという気持ちで涙が出てきた。
「いいんだよ、チルノちゃん。皆がチルノちゃんを待ってるよ。だから早く帰ろうね。」そういって優しく撫でてくれた。大妖精に抱きついて声を上げて泣いた。
「怒ってないから泣かないで。皆がいつもの広場で待っているから早く元気な顔を見せてあげて。」鼻水と涙で汚れた自分の服など気にもせず笑顔で言った。
「じゃあ、私は解凍するから、チルノちゃんは先に帰っててね。」チルノに言うと、うん、解ったと涙目ながらも笑顔で答えた。


自分達を凍らせていた妖精が飛んでいって見えなくなった。さっきの会話から察するにこっちの優しそうな妖精が助けてくれるだろう。半氷結した体でゆっくりは考えていた。媚びた笑顔を勤めて作って「ゆっくり解凍してね!!」と目の前の妖精に言った。

笑顔でこちらに近づいてくると、妖精はすぐ隣を見下ろして立ち止まった。「ゆ?」早く助けて欲しいのに。でも、隣には凍結して動けない仲間がいる。きっとこの妖精は優しそうだからより苦しんでいそうな方から助ける気なのだろう。完全に凍った仲間を見下ろしている。

が、次の瞬間自分が希望的観測の甘い考えをしている事に気づかされた。急に仲間を蹴って倒し、顔がある方にし足を乗せ地面にこすり合わせるように動かしだしたのだ。
「おねえさん!ゆっくり解凍してあげて!!」「ゆっくりできなくなっちゃう!!」必死で仲間に優しくしてくれるように言ったが、仲間の頭に足を乗せている妖精の目を見てしまった。さっきまでの優しい妖精はもういなかった。どこか狂気じみていて、光がない目だった。

「…私から、三日もチルノちゃんを奪って。私のチルノちゃんを。…許さない。…許せない。毎日、寂しかったんだから。チルノちゃん、とっても可愛いから、誰かに取られたと思ったんだから。私がいないとチルノちゃんはダメなんだから。私じゃないとダメなんだから。大好きって言ってくれたんだから。誰にも渡さない。誰にも、お前らみたいなやつらなんかに渡さないんだから。」
グッっと足に力を入れて左右にスライドさせていった。凍結しているのが不幸なのか幸いなのか、凍結ゆっくり地面にこすりあわされて少しずつ磨耗していった。
「おねえざん!!もうやべであげで!!!」
大妖精には聞こえていない。嫉妬に満ちた彼女には目の前のソレをすり下ろす事しか考えられなくなっていた。
「チルノちゃん、好きだよ。邪魔する奴は皆、私がどうにかするからね。」小さい声で呟き、笑いながら機械的に作業する彼女はゆっくりの恐怖心を暴力的に煽った。仲間が小さくなっていく。同じ大きさだったのにもう、半分もない。
最初は白い皮の部分が擂りあがり、程なくして黒いものに変わっていった。ゴリゴリと音を立てながら地面とこすり合わせて少しずつ擂り上がっていく。もとあった物体も4分の3程度になって急に擂るのをやめた。

「解凍、してあげるね。」笑顔だった。

凍っていた仲間がパチリと目を覚ました。「ぱっちりー!」いつもの声を出している。だが、すぐに違和感に気づいたようだ。
「いつもよりしっかり地面についてる!でも、何でお空しかみえないよ!?」動けないのが不思議だが気にしなかった。
「ゆっぐり?だいじょうぶ?」「だいじょうぶ!!傾き直ったらゆっくりしようね!!」
視界が変なのは単に自分が傾いているだけと勘違いしているようだ。

大妖精はあえて、擂り面の解凍を遅らせているのだ。少しずつ、少しずつ自然に解凍されていくのを待っている。その間に半解凍しているゆっくりはそのままの状態を維持させるように力を行使していた。チルノとすごしているうちに僅かだが温度を変化させるすべが身につけていた。
10分。それだけの時間が経過した。半凍結のゆっくりはこれから仲間を襲うであろう恐怖に既に己が身を震えさせていた。寒さと恐怖が震えるのをやめさせてはくれなかった。

「ゆっぐり!?いだい!!!!がらだが!!いだいよお゛!!!!!」今まで味わったことのない激痛が襲った。
「ぜなが、いだい!!!なんで、なんで!!!!??」なまじ生命力が高かったのが仇になった。

大妖精は笑顔で擂りあがった物を指差した。さっきまでは空しか見えなかったのに、今では真横にあるソレが見えた。溶けた身が液状化し流失しだして変形したからだ。
「なにごれ!?ごれがなんなの!?はやくだすけてね!!!」絶叫に近かった。ソレがなんだっていうんだ、早く助けてくれ。
「これ、あなたの背中だよ?私がゴリゴリと摩り下ろしたんだよ?きっと甘くて美味しいよ?食べる?」口元がゆがみ、笑う。その後、妖精は壊れたかのように笑った。
「ゆ゛っゆ゛っ…!?!?」口に何か詰め込まれたが、味なんてわからない。伝えられる情報は激痛だけ。視界がぼやけてきた。もうだめなのを悟った。

「ゆっぐりじだがっだよー!!!!!」仲間の声が聞こえた気がする。そこで意識が切れた。

小刻みに痙攣し、動かなくなったソレをみて大妖精は満足そうに笑っていた。
「私からチルノちゃんを取った罰だよ。…でも。」
絶命したゆっくりの口の中は餡でいっぱいだった。死ぬ間際に大妖精がすりあがったものを詰めたのだ。
「でも、最後ぐらいは甘いものでも食べてゆっくりしてもらいたいのにな。おかしいね、口に入れたのに背中からすぐ出てくるなんておかしいね、どうしてだろうね。」狂気にゆがんだ瞳で笑いながら背中から出た内容物をくち口に詰め、そのたびに背中から外に出た内容物を口に入れた。
狂気的で無意味な行動が残されたゆっくりの末路を暗示していた。全凍結していた仲間はまだましだったのかもしれない。少なくとも苦しかったのは最後だけだ。自分は、きっとこのままだろう。このままさっき目にした事をされるのであろう。凍らされていただけなのに、ソレが怒りを買うなんて。

もう、ゆっくりはかんがえるのをやめた。



「ただいま、チルノちゃん。」
「おかえり、大ちゃん!」
「おそかったね?」
「それより皆に会えた?」
「うん。皆におこられちゃった。大ちゃんにしんぱいかけるなって。」
「いいんだよ、でもこれからはなるべく私と一緒にいてほしいな。」
「うん!大ちゃん、大好き!!」
「えへへ、私も、チルノちゃんのこと、大好きだよ。」


大妖精の手と靴が泥まみれになっていたのを見たが、きっと転んだんだろう。
やさしいけど、どんくさいからなぁ。あたいが大ちゃんをまもってあげなきゃね!


~あとがき~
緑髪が好き過ぎて書いた。今は反省している。4ゆっくり目です。
焼き殺されるのもいいけど、凍らせてもいいなと思ったら書いてました。
ゆっくりって本当にいいですよね。
                                Y・Y

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最終更新:2008年09月14日 11:00
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