今日の天気は快晴。昨日も快晴で、一昨日も快晴だった。
季節は夏。あちこちでセミが我が物顔をしながら鳴いている。
太陽は容赦なく照り付け、もう暑くて暑くてしょうがない。
こんな日でもちゅ…美鈴は紅魔館の門番をしている。だって仕事だから。
「ぅあー…あつーい…」
いつもだったら暇なときはシェスタしている美鈴だが、こんな天気で寝たら日射病になってしまう。
それに空きっ腹でもある。気力で抑えればいいって物ではない。
「はぁ…暑いし退屈だし…いや、安全第一ってことはわかってるんですけどね?なんか、こう、
面白い事でも起きないかねぇ…」
そう呟きつつ見慣れた光景を見る。
別になんてことない風景だ。たまにゆっくりれみりゃが映ることはあるが、別にどうってことはない。
しかし、今回は話が違った。
「ん…?見慣れないゆっくりですねぇ…」
門の目の前に赤い髪をして『龍』という文字が入った星を付けた緑の帽子を被っている饅頭。
どっかで見たような…あれこれって…もしかして…
「も、もしかして、私のゆっくり?」
「私じゃないよ、ゆっくりめいりんだよ」
当たり。
「とうとう私のゆっくりが出現したか…なんか複雑な気分です」
「わたしのなまえはゆっくりめいりんだよ、わかった?」
「はいはいわかったわかった」
お嬢様や咲夜さんのゆっくりは何度か見たけど、まさかこんなんになるとは…
私ってゆっくりにしたらこうなるのだろうか…しかも同じことしか言わないし…
とりあえず見てて腹が立つので、れみりゃの餌にすることにした。
咲夜さんがゆっくりれみりゃを気に入っていて世話をしているので、れみりゃには困らない。
今も後ろで「うーうー」言いながら遊んでいることだろう。
でも前を良く見たられみりゃがぱたぱたと羽音を立てながら飛んでたので、そっちにあげる事にする。
「おーい、そこのお嬢様のパチモン、これあげるから食べていいよ」
「うー♪」
美鈴はゆっくりめいりんを鷲掴みにすると、れみりゃに向かって投げた。
「そぉい!」
変な掛け声と共にゆっくりめいりんはれみりゃに向かって飛んでいく。
ちょっと投げる勢いが強かったかな…とも思ったが無事にキャッチ。
れみりゃに掴まれているにもかかわらず平然としている。鈍感なのか。
「わたしはゆっくりめいりんだよ、めいりんってよんでね
もんばんってよんじゃやだよ」
「がぁおー!たべちゃうぞー!」
ゆっくりめいりんが言っている言葉を理解できるはずもなくめいりんに噛み付くれみりゃ。
鋭い歯でめいりんの皮を切り裂き、それを自分の体内へと飲み込む。
まぁなんとも幸せそうな顔をしている。
が、しかし、その顔はすぐに消えた。
「う゛あ゛あ゛あ゛~~!!ざぐや――!!ざぐや――!!」
れみりゃはめいりんを投げ捨てどっかに飛び去っていってしまった。
なんだか自分が不味いと言われているようでいい気分ではない。
ゆっくりめいりんは結構な高さから落下したのに平然としていた。やっぱ体のつくりが元のと一緒なのか。
ゆっくりめいりんを拾い上げると齧られた痕から赤い具が見えた。
なんとも鼻を突く匂い。美鈴はこの匂いが好きだった。
なんか齧り痕から齧るのは気がひけたが腹も減っていたので少し齧ってみた。
「ゆぐ!いたいよー!めいりんだけどいたいよー!」
さっき声を上げなかっためいりんが痛みの声を上げるが、そんなことよりも。
「あ!『辛い』っ!これ辛いっスッ!激辛っス!」
ゆっくりめいりんはピザまんだった。ただタバスコがたくさんかかっているのかハバネロが混じっているのか
青とうがらしが材料なのかは定かではないが、とにかく辛いのだ。
こんなんじゃあ野生のゆっくりは辛くて食べれない。
辛党の美鈴ですら辛いと思ったのだから相当なもの。
しかし。
「普通の味覚だったら食えるはずがねーんだよなこんなカライの!
でも思わず食っちまった…クセになるっつーかいったん味わうとひきずり込まれるカラさっつーか……
たとえると『豆まきの節分』の時に年齢の数だけ食おうとして大して好きでもねぇ豆をフト気づいてみたら
一袋食ってたっつーカンジかよぉ―――~~~っ!」
美鈴がゆっくりめいりんの身を減らしていく。
「おねえさんやめてよ!かじられるのはがまんしてるけどいたいんだよ!」
めいりんが何か言っているが美鈴に届くはずもなかった。
「うわああああはっ腹が空いてくうよお~~~~~~っ!!
食えば食うほどもっと食いたくなるぞッ!こりゃあよお――ッ!!!
ンまぁ―――いっ!!味に目醒めtひぎゃあああああああああっ!?」
台詞が途中で途切れる。原因は額に刺さったナイフ。
「あなた、門番の仕事をサボって何をやっているの…?」
「うわっ!咲夜さん!いつの間にいたんですか!?えっと、サボってないですよ、決して」
「………今日の夕食も抜きね」
「あ、あァァァんまりだアァァァ HEEEYYY!!」
美鈴の鳴き声が森に木霊する。
足元に落ちているのは美鈴が被っている帽子のミニサイズだけであった。
FIN
by GIOGIO
~~誰も使わないと思うがゆっくりめいりんの生態~~
改変とかは好きにしたらいいんじゃあないか…
ゆっくりめいりん
一応希少種。
「ゆっくりめいりんだよ」が口癖。
動きはすばやく、基本的に何でも食べる。腹が減っているときは他のゆっくりを襲うことも多々ある。
しかしゆっくりれみりゃ、ゆっくりさくや、ゆっくりパチュリー、ゆっくりフランを襲うことは決してない。
それどころか攻撃されても反撃すらしない。ゆっくり小悪魔とかがいたらどうなのかは不明。
ピザまんで、非常に辛い。なので、捕食種に襲われても大抵は食いきれずに投げ出していく。
そんなめいりんの天敵はゆっくりゆゆこ。だってカービィだから。
ゆービィがめいりんを食したあと、火を吹いていたという目撃もちらほら。
最終更新:2008年09月14日 11:15