にとり×ゆっくり系5 波乱盤上

 以前書いたのとリンクしています。

 虐待少ないので注意。
 東方キャラが出るので嫌な方は見ない方がいいです。

 虐待は
 『…とりあえず今日は休もう。…アリスもお疲れさん。』
 って文の後からです。

 ごゆっくり。



 ―波乱盤上―


 人々は娯楽に飢えていた。娯楽の充足、新たなビジネスの香り。
 以前に作ったメカゆっくりは好評ではあったが、最高級の劣化『時の流れ』には敵わず、現在メカゆっくりは農場関係者とゆっくり捕獲を生業とする者が利用するのみとなっていた。
 収入としては問題はないが、技術者としては新たな作品、新たな娯楽の提供したいと考えるに至ったのは最近だ。
「…んー、早くも壁にぶち当たったね。こりゃ。」
 緑の帽子を被り直し、鉛筆を銜え白紙のプラン図と睨めっこ。何も思いつかない。そもそも、何を面白いと感じるのか?そんなのは人も妖怪も個体によって様々だ。万人受けするものを考えるのは難しい。
 このまま研究室に篭っていても良い方には転びそうにも無い。気分転換に散歩でもするかと考えた。

 足は自然と山の樹海の方へ向く。彼女が好んでいる相手が其処にいるから。
 そろそろ彼女の領域だ。今日はなんて声をかけようかな、そんな事を考えていると
「…ふふ。そうだったんだ。」
 声が聞こえた。
「そうなんですよ、鍵山様もお姉ちゃんに言ってください!」
「黙りなさい、穣子。雛も気にしちゃダメよ。」
 秋姉妹と雛が仲よさそうに会話していた。夏辺りから秋姉妹は活発に活動しだす。
「…でも静葉、妹の名前を間違って信仰させるのはいけないと思うよ。」
「そうだー!稔子じゃないんだぞー!人間が間違って覚えかけたんだよー!」
「む…、雛を味方にしてまで抗議したかったのね。稔子、悪かったわ。」
「わざとにしては酷すぎるよ姉さん!…鍵山様も笑ってないで何とか言ってくださいよ~。」
 和気藹々と楽しそうな雰囲気だなと思い、自分が出て行って水をさすのも盗み聞きをしているみたいなのも気が引けるので今日は一緒に過ごすのは止しておこうと考えた。
 それにしても、自分がきっかけになって、雛が少しずつ社交的になっていくのは嬉しかった。今では洩矢様や八坂様のような極めて神徳の高い方とも付き合いが深くなったという話だし。


 …じゃあ、雛が忙しいなら、この前の一件で仲良くなったあの子を訪ねてみようか。なんだかんだで彼女も忙しいんだが居るかなぁ。


 魔法の森。気品の漂う白い洋風の家。結界が外敵から保護するように張ってある。黒白の有名人がよく壁を壊して訪ねてくるらしいが。
「…あら、いらっしゃい。」
 人形遣いは今日も綺麗だった。ちょっとだけ期待が外れたような表情を見せたが、お気に入りの人形と共に歓迎の挨拶してくれた。
「こんにちわ~。…ん、上海もおひさ~。」
「シャンハーイ。」
 案内されたのは以前に共同開発を持ちかけたリビングルーム。
「あの、突然の訪問でゴメン。」
「…気にしなくていいのよ。友達じゃない。」
「…うん!」
「紅茶でいいかしら?」
 モチロン、とだけ伝えるとアリスは上海と共にキッチンへ行ってしまった。
 一人残される。自然と部屋を見渡してしまう。何処も埃すらなく綺麗に片付いている。人形達が掃除したのだろうか。
 あの時見た透明の箱もあった。…中身は無かったが。あのゆっくりがどうなったのかは詮索する必要もあるまい。
「ふふ、お待たせ。」
 声と共に紅茶のイイ香りがした。目の前に紅茶が出され、アリスが目の前の席に座った。上海が角砂糖を抱えてこっちを見てきたので
「んじゃ一個お願い。」
 そう答えるといつものセリフで傍まで運んできてくれた。
「さて、今日はどうしたのかしら?…何か研究で煮詰まった、とか?」
「んにゃ、そういう訳じゃないんだけどね。」
 一旦言葉を止め続けた。
「アリスと遊ぼうかなって。」
「…え?…じゃあ弾幕ごっこでも…」
 ちょっと意外そうに、恥ずかしそうにしだす。でも、弾幕ごっこじゃあないんだ。
「あー、人間が出来そうな遊びがいいんだよなぁ。」
「人間が?」
「そそ。前にゆっくりメカ一緒につくったよね?あれさ、人間が飽きちゃったみたいで。」
 唐突に切り出してみた。以前の経験上、彼女の協力はかなり心強い事は知っていたから。
「人間は変化を求めるものだからね。飽きっぽかったりするくせに、変なところこだわって努力したりするのがイイのよね。」
 彼女が言う人間とは、多分であるが特定の個人のみを指しているだろうと感じたが、深くはつっこむまい。
「うん、それでさ新しい娯楽でもつくろっかなーって。」
「まぁ…!実は今回も前のように面白いプラン考えてもって来てくれた、とか?」
 途端、アリスの目が輝きだす。あの時の、前のメカゆっくり操作実験の時に内蔵型ゆっくりガン乱射してた時の目の輝きだ。ストレスでも感じてるのかねぇ。
「それがさ、思いつかないんだよね。万人受けしそうなのってなんかないかなぁ。」
「それは難しいわね。…そうね、とりあえず、家にある物で人間の遊びでもしてみましょう。…上海。」
 声をかけるといつもの返事をして奥へ消えていき、すぐに正方形の板を運んできた。更にその後ろから複数の人形が長方形の箱を二つ持って続いていた。
 テーブルの中心に縦横8マスの碁盤目状で白黒模様の板、アリスと私の目の前には箱が並べられる。アリスが箱を開けると良く解らない白い人形が並べられていた。木彫りで作られた手のひらサイズの人形。馬の形や冠の形をしたものもある。
「…んー?これ何?」
「人間の遊び。『チェス』っていうのよ。」
 基本的なルールを説明され、自分が好きな将棋に近いものと理解できた。
 アリスは物凄く強かったが、何度かプレイしているとシンプルながらも奥が深いこの遊びにのめり込んでいった。アリスには勝てないけど。
 気がつけば日も落ちていた。こういうの好きで時間を忘れてハマっちゃうタイプで困る。だが、収穫はあった。
「…コレだ。」
「ふふ…。お役に立てたみたいね。」
 あの時のように腕をガシッと組んだ。技術者同士、気が合うのかもしれない。
 だがもう夜も遅い。帰って明日にでもと思った私を引き止めたのはアリスだった。以前のお礼も兼ねて泊まっていきなさいとの事。
 お言葉に甘えさせてもらおう。…チェスの続きしたいし。


 このゲームを成立させるには32個の哀れな駒を操る道具が必要だ。
 だが、アリスの提案ですぐに思いついた。…以前から考えてたとしか思えないくらいシンプルで確実な方法だ。
「この機構でティアラ型とか可愛い形にするの。」
「なるほど~。痛みで従わせるんだね。」
「ゆっくりって意外におしゃれするのよ?自発的に着けろってせがむと思うわ。だから効果覿面のはず。…畜生帽って素敵な生物がヒントになったわ。」
 洩矢様似のゆっくり種に寄生するアレか。…早苗ちゃんがゆっくり飼いたがってたけど、八坂様も洩矢様もアレのせいでゆっくり嫌いなんだよねぇ…。…関係無いけど。
「そっか、結構シンプルな構造だから早速作って見るよ。」
 この方法なら最低32匹の駒を用意すればいい。至極簡単だ。
 結局、ティアラ型では外れてしまう可能性もあるので頭部をぐるりと覆えるリング型…あえて言うならサークレット型になった。
 アジャスター機能搭載である程度なら無理できる。
 私が基礎部分を作りアリスがしあげる。アリスの指先は淀みなく外周部分を美しく装飾していく。
 羽と十字架とハート、小人と星ときのこ、可愛らしい模様が刻まれていく。彫金士を名乗ってもいいくらいの出来映えだった。
 作り終えるのに少々の日数を要したが職人根性を遺憾なく発揮し40個のサンプルが出来た。
「よっし!出来た!今回はアリスが命名して。殆どアリスが作ったようなものだし。」
「えっ…、じゃあ…『エンゼルリング』でどうかな。」
「うん、決まりだね!天国に近くなれるしピッタリだね。」
 徹夜明けの妙なテンションの中、製品名も決まった。


『…とりあえず今日は休もう。…アリスもお疲れさん。』


「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
 今日も魔法の森には平和だ。時々友達のゆっくりがいなくなったりするけれど、金髪のやさしいおねえさんが二人も住んでいる。特に人形のお姉さんはお菓子をくれて優しい。
 ゆっくりれいむ大家族とゆっくりまりさ大家族は仲良く食事をしていた。お互いに親交がある仲良しゆっくりだ。
「おはよう。今日もみんなゆっくりしてるわね。」
 金髪のお姉さんが来た。その手には甘くて香ばしい匂いがする籠バッグがあった。その後ろには知らない水色のおねえさん。
「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」
 歓迎の大合唱。水色のお姉さんはみたことないけど人形のおねえさんの友達ならゆっくり出来る人のはず。
「この子は私の友達のにとり。…それでね今日は、二人でマドレーヌ焼いたの。」
「ふふん、ちゃんと味見もして『メッチャ美味い』のは確認済みだから、あるから安心して食べなよ。」
 水色のおねえさんの名前は覚えられなかったが、持ってきたものがメッチャ美味い事は解った。
「「「ゆー♪ゆっくりちょうだいね!!!」」」
 早速おねだり。お姉さんは苦笑しながら皆にマドレーヌを配ってくれた。
「「「むーしゃ、むーしゃ、幸せー♪」」」
 幸せコールの嵐。そりゃそうだと言わんばかりに頷く水色のおねえさん。
「おいしかったよ!!!」「もっとほしいよ!!!」
 親れいむと親まりさが更にねだり始めた。
「んー、実はさ、アリスに聞いたんだけど。」
 水色のおねえさん。
「「ゆー?」」
「ゆっくりっておしゃれ好きなんだよね?…これ、お近づきのしるしに着けてみてくれない?」
 そう言って出される綺麗なわっか。
「ゆ!かわいいね!!!」「ゆっくりつけていってね!!!」
 承認の返事。“ニィ”っと口が歪むお姉さん達に気がつかない親ゆっくりーズ。ササッっと2匹の頭に綺麗な輪が着けられた。
「ゆゆ!!れいむとっても似合ってるよ!!!」「ゆゆ!!まりさも可愛いよ!!!」
 お気に召したらしく、食欲も失せたのか子供達の方に見せに行く二匹。
 子供達に見せびらかし悦に浸る二匹。程なくして1匹の子ゆっくりが自分も欲しいと言い出すと回りに伝染しだした。

「36匹か。ねぇ、出来すぎてない?」
「ふふ。一々探す手間が省けて良かったじゃない…。」

 いつの間にか子ゆっくりが目の前に並んでいた。
「「「「「おかあさんに着けたの私達にもゆっくりつけてね!!!」」」」」
 こうまで自己欲求に忠実だと予想する方も流石に呆れる。予定通り全員に装着してやる。
「はい。じゃあ皆遊んでらっしゃい。あと、お母さん達呼んでもらえるかな?」
「「「わかったよ!!ゆっくりまってね!!!」」」
 お礼無し。言いつけさえ守ってくれればいいけど。親さえ確保してしまえばそう簡単にはバラバラに行動しないのも知っている。
「何?お姉さん達!!?」「まりさもあそびたいから早くしてね!!!」
 子供達が見える小高い丘の上。律儀にやって来たも、もう用済みだよと言わんばかりに気だるそうに言う二匹。
「ええ、私達も遊びたいの。」
 そう言って目の前に板を出された。
「じゃあ、ルールを説明するね。」
 お姉さんの良く解らない説明。長話の予感がした。
「別にいいよ!!!」「お姉さんは難しくてゆっくりできないよ!!!」
 長話はゆっくりできない。お姉さん達から離れて子供達とゆっくりしたい親ゆっくりは拒絶の意を示した。
 唐突に水色のお姉さんが口を開いた。

「1、逃げれば死ぬ。
 2、ルールに逆らえば死ぬ。
 3、勝ち残らないと死ぬ。
 4、説明の為、2匹は今すぐ死ぬ。
 5、本説明の聞いた2分後にゲームが始まる。」
 物騒な事を言い出した。

「何言ってるの!?」「死ぬわけないじゃん、ばーか!!」
 そのセリフが合図と言わんばかりに人形が子供達の内の1匹を掴んで此方に移動してきた。
「すごい!おそらとんでるみたい!!」
 子まりさだった。2匹の目の前に下ろされる。
「じゃあ、本説明を開始します。」
 金髪のお姉さんの口調が酷く事務的になった。嫌な予感。本能が告げる、一言一句聞き逃すなと。
「にとりが先ほど言ってくれたのは基本ルール。今からね、あなた達二人に楽しいゲームして貰おうかなって思ってるの。」
 絶対に楽しくないのは雰囲気で解った。空気の読めない存在にも本能はある。
「チェスというゲームよ。」
 複雑な説明が続き、親ゆれいむがうとうととしだすと、突然激痛が走った。
「ゆ゛ぅ゛ぅぅぅ!!!!」
 あの着けてもらった飾りの辺りが酷く痛む。なにか細工がされているのかもしれない。
「察しの通り、先ほどの飾りには微弱~致死量までの電圧が放出されるようになってるわ。」
 楽しそうに微笑む二人のお姉さん。
「いやぁぁぁああぁあぁ!!!!」「なんでごんなごどずるのぉぉぉ!!!」
 二匹は既に一家は危機的状況に立たされている事を気付かされた。自分達ではどうやっても取れない装置。
「逃走防止と闘争心の為です。」
 事務的に質問に答えるアリス。にとりの方を向くと、頷く。
 二匹にはすぐに解った。つれてこられた1匹の子供は死ぬ。先ほどの説明で言われたような気がする。
「あぁぁぁ!!!ゆぎゅっぅぅぅあぁぁぁあああああ!!!!」
 1匹の子供のた打ち回りながら苦しんでいた。苦しんで苦しんで苦しみぬいて、香ばしい匂いを放つようになり動かなくなった。
「までぃざのごがぁぁぁ!!!」「あああぁああぁぁぁぁ!!!」
 二匹は理解した。従わなければ丘の下で遊んでいる子供達は全滅すると。
「「わだじだぢはどうずればいいのぉぉ!!!」」

 人形が正方形の64マスを地面に刻んだ。
 子ゆっくりたちは不思議そうにその光景を眺めていたが、不意にお母さん達の声がした。
「「みんな!2列に並んでね!!!」」
 簡単な命令を実行に移した。『並ばせろ。』
「まりさはこっちだよ!!」
 離れて、2×8。
「れいむはこっちだよ!!」
 その場で、2×8、あまり1。
「「そこでゆっくりして人形さんの言うこと聞いてね!!!頑張ればおかしもらえるよ!!!」」
「「「ゆー♪」」」
 事情を知らない子ゆっくりは気楽だった。

「「ならばぜでぎまじだ!!!」」
 従順に任務をこなしていく二匹。家族の命のためには従うしかなかった。

 あまり1の子れいむが人形に連れられゆまりさ軍とゆれいむ軍が対峙する真ん中に置かれた。
「じゃあ、皆にも説明。」
 水色のお姉さん。
「これからお母さん達がゲームするから、皆はその通りに動いて。移動先は人形が示してくれるから、指示があった子はその通りにしてね。『勝った母ゆっくりチーム』のみゆっくりできるよ。ちなみに、勝手な事したり、逃げ出そうとすると…」
 お姉さんが中心の子れいむを指差す。
 全ゆっくりが注目するなかそれはおきた。
「ぎゅぅぅ!!!!あがぁぁぁぁぎゅっぐりじだぁぁぁぃぃいだいぃぃ!!!」
 のた打ち回り、苦しみだして、動かなくなった。素早く人形が片付ける。
 絶望が両陣営から漏れ出す。先ほどの説明を無視して逃げ出そうとする子ゆっくり達。
「「動いちゃダメ!!!」」
 母の声で何とか止まれた。
「「お母さん達が頑張るから皆はゆっくりしていてね!!!」」
 その声で両陣営は落ち着いたようだ。まだ自分達が『敵対』する『司令官』という事実を理解できていないのが滑稽だった。

 ゲームが開始された。
 ゆっくり脳で理解できているかは不明だが、有能なブレインが後ろで指示してくれる。
「アリス!次は負けないからね!!」
「ふふ、にとり。まだ2日目の初心者が私に勝てるかしら?」
 そう、コレはただの代理戦争。別に親ゆっくりがルールを理解してようがいまいが関係ない。子供達は母の指示と思ってはいるが実際は違うだけ。

 手は進み、戦闘が行われそうになる。
「ふむ…じゃあココは手堅くポーンを抑えておきましょうか。」
「まぁ、そうくるよねぇ…。」
 昨日と変わらず遊戯に没頭する二人。
「「だべぇぇぇ!!!うごかしちゃだべぇぇ!!!」」
 ああ、まだ居たんだっけ。…用済みなので黙らせた。

 一方、野戦盤上はというと
「までぃざ!!!ごないで、ごないでぇぇぇぇ!!!じにだぐなぁぁい!!!」
「だっで!!おがあざんのしじだぼん!!!じにだぐないぼん!!!」
 人形が槍を持つ。そしてゆれいむの体を貫き、抉った。
「あ゛ぁ゛ぁぁ!!ドおじでごんなごどずるのぉぉぉ!!!」
 同時に流れる電撃にも身悶え、餡を流出させながら絶命した。戦死者は速やかに盤外へと排除され、未だ餡で濡れるそのマスに子まりさが進む。兵士まりさ1、敵陣にて奮闘。
「いやぁぁ!!!ごべんで!!!でいぶぅぅぅ!!!」

「ビショップって渋い動きだと思う。」
「奇襲が演出できて好きな駒よ。」

 前方は安全。子まりさは暫しの安全を確信し緩みきっていた。が、死角、ちょうど斜めから人形が突っ込んできた。とっさの事で判断できない。その手にはメイス、聖職者に刃物は厳禁だから。
「や、やべで!!!」
 無視、殴打。殴打、殴打、打打打打だだだだddddd…
「ゆべっ!!ゆぐゅ!!!!ひゃべ!!だべで!!!だずげでぇぇ!!!!」
 飾りのみが原型を残し美しく、その他の部分はゴミクズとなった。盤外排除、僧正ゆれいむ2、敵陣のど真ん中に進出。
「よぐも、おねえじゃんを!!!」「次はまでぃざがこのれいぶをやっつけるよ!!!」
「そっじだっで!!れいむのいもうとやっつけたでじょ!!」

「ふふ、やっぱりナイトは素敵よね。」
「あー!やっばルークが!!」
「甘いわね。」

 ルークれいむに迫る人形。手には突撃槍。充分に加速した突撃は声すら発せさせずに城壁を粉砕した。
 ナイトまりさ、ルークれいむ撃破。

「…騎士って素敵よね。…ああ、私のナイト…。何時でも迎えに来て…♪」
 誰に言っているんだか。
「魔理沙って結構カッコイイもんね~♪」
 コマを動かしつつさらっと言ってみる。
「ななんあななああ!!!誰も魔理沙だなんて言って、言ってないじゃない!!!」
「またまた~。私も魔理沙と付き合いあるわけだし、それなりに事情は知ってるよ。」
 いや、動揺しすぎだよ。
「…ええっとぉ?それはにとりも魔理沙が?」
 ココで“うん”と言おうものなら弾幕ごっこに発展しかねないな。まぁ、生憎だけど
「いや。私の好きなのは別の子。」
「だ、誰!?」
 よし、あとチョイ。
「はい、タイムオーバーね。」
「ずるいわよ!にとり!!」
 勝負とは非情なんだよ、我が友アリス。

 敵陣に単身突破させたビショップれいむ、敵陣の要、
「しね!!!ゆっくりしね!!!」
 罵声に反応し、人形が遅れて飛んできて、殴打を繰り返す。クィーンまりさを撲殺。

 キングの真横に鎮座するビショップ、敵陣にはクィーンも健在。城壁に穴が開いただけ。
 素人目でもどちらが優勢か明らかだった。

「うぅぅぅ…、油断しすぎた…。」
「さ、投了するなら今の内だよ。」
「ぐぅぅ…、悔しい…。」
 頭の回転の速い二人なら、この後どう動かしてもアリスが勝つ可能性が残っていないのは解った。
「にとり!!私の家で続きよ!!」
 投了宣言。
「ふふん、ずるいけどやっと一勝。勝ちは勝ちだね。」
「…あと、にとりの…好きな子も教えなさいよね…私ばっかり恥ずかしいじゃない…。」


 投了宣言でゲームは流れ、ゆまりさ軍全員がのたうちまわった。その光景にゆれいむ軍が勝利したことを悟ったが、
「っぐりぃぃ!!なんでぇぇぇ!!!」
 キングれいむが人形に潰された。キングの死亡、それ即ち軍の敗北。それが引き金となりゆれいむ軍も崩壊した。戦争に勝利したのは母ゆっくりれいむではないから。


 サンプルを回収し、36個の甘味が転がる丘から撤収する二人。

「将棋も行けたかなぁ。」
「ダメよ。」
「何で?」
「落ちたコマが復活できちゃったら代わりを用意するのが面倒じゃない。」
「なるほどね。」

 ともかく、テスト結果は上々だった。…が、
「これ、売れないね。」
 手間がかかりすぎる。売れないわコレ。
「あー…失敗した。凝りすぎた。」
 今回の発明は私の悪い癖が出た。失敗するときは大体『凝り過ぎ』で失敗する。今回もそうだ。
「…まぁ、コレはコレでいいじゃない。別の用途が期待できるわよ。」
「え?」
「調教用。」
「…。」
 誰が、何を?…とりあえずコメントは控えておいた。


 アリスの家でチェスの再戦をしたがその後は一本も取れなかった。
 でも“再戦”という訪問理由が生まれたので良しとしようか。

 ちょっと…いや、かなり変わった友達だけど、面白い子だと思う。技術者同士気もあうし。
 今度、雛もつれてきてみようか。…でも、雛には強烈過ぎるかもなぁ。



 …余談だが、アリスの言うとおり、わっかは意外に売れた。
 製品本来の用途(ゆっくり)以外に使用しないでください。にとりと約束だよ!





 ~あとがき~
「死にてぇ…。」
 ドラム缶押したくて仕方ないです。製品の名前は変えたほうがいいと思うのですよ。

 それはともかく、ゆっくり調教アイテムって充実してそうですよね。その一つって事で。
 ああ、緑髪不足過ぎる…。でも他の方も幽香とリグル書いてくれたので大丈夫。あのSS凄くエロティックでドキドキしちゃったです。

 じゃ、ゆっくりしようね。
                Y・Y

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最終更新:2008年09月14日 11:27
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