幽香×ゆっくり系3 教材。

あー、緑髪って本当にいいですよね。何ででしょうね。

東方キャラ、緑髪萌え、虐待分量少な目、以上の内どれかでも嫌だなと感じるならばバックしてね!!
ゆっくり少ないからね!!それでもいいって人だけ見てね!!

幽香1,2と関連してます。はい。


虐待自体は『今日も概ね平和だった。』という文から後です。

では、ごゆっくり。





花は常に美しくなくてはいけない。一日の始まりは、起きて直ぐに身支度を整る事。ねぼすけだったのは過去の話。全ての物は持って生まれただけではダメ。磨かなきゃ。それが彼女のポリシー。お気に入りのチェックのお洋服に着替え、仕上げに鏡の前で笑ってみせる。

お茶の用意をすませ、朝日が気持ちの良いバルコニーに出て、白い椅子に座り、頼んでもいないのに毎朝届く新聞を優雅に読み、過ごすのが最近日課になりつつある。
「…そろそろかしら。」時計の7と8の間を刺した辺りでつぶやく。

「おはよ~…ゆーか。」一応夜行性なので早起きは辛いよと言わんばかりに、寝癖をこしらえた少女がひょっこりとバルコニーに顔を出す。黄緑色のパジャマのまま未だ眠そうな顔での挨拶。
「おはよう、リグル。…もぅ、早く身支度なさいな。朝ごはん作るからそれまでには、ね。」新聞をたたみ、何処からかともなくエプロンを出して着用。キッチンに向かった。

幽香にお世話される期日の1週間はとうの昔に過ぎ去り、いつの間にか1ヶ月が経ち、そろそろ半年になろうとしていた。気がつけば客室の一つが私の部屋が出来ていた。幽香が私にくれた幸せ。幽香が家具を見繕ってくれた。日の光が差し込む窓、風になびくカーテン。ふわふわのベッド、靴が埋まるくらい毛足の長い絨毯、机の上の白い陶磁器の花瓶には季節の花が飾ってある。

いつもの服に着替えながら、部屋を与えられた当初を思い出す。

「今日からこの部屋を使いなさい。いつまでも同じ部屋では都合が悪い事もあると思うから。」本当にいきなりだった。確かに、一緒の部屋で生活するのは私の睡眠時間(興奮して眠れない)と心臓(主に生着替えとか)に毒であったのは間違いないが、
「でも、…いいの?」期日から3日も過ぎている。言うなれば、居候の私なんかのために部屋なんて。
「いいわよ。」あっさりと。でも、それでも、
「私のような弱い存在が幽香と生活していたら、おかしいんじゃないかな。」どう考えても大妖怪の彼女と私が一緒に居るのはおかしい。
「おかしくないわ。私が望んだ事よ。…貴女は私の妹なのよ?」あ…、
「…弱いならば、私が鍛えてあげるわ。覚悟なさい。」微笑んだ。
「…うん。」微笑みかけられたら何も言えなくなった。改めて、自分はこの花に完全に魅了されているのを感じた。


「リグル、早くなさい。」食堂からの声で現在へ帰る。
幽香と暮らすようになってからは、朝ご飯を済ましてからお昼まで勉強か弾幕を、昼ご飯を済ませてから夕方までは自由時間、帰宅後は夕食を済ませ、談笑、就寝。基本的なサイクル。
勉強は正直嫌だったが『自分以外の大量の他者を使役する能力』は希少で、持ち主は軍学等の知識があると能力の幅が広がると言われてからは真面目に取り組むことにした。気がつけば数学や化学、その他学問がカリキュラムが追加されていたが、よく理解すれば幽香先生(眼鏡着用時)に褒めて貰えるので苦ではなかった。弾幕は未だに一本も取れないけれどね。

いつもの服に着替え終え、鏡の前で笑って見せた。憧れは自然と模倣する事を義務付けていた。


美味しい朝御飯を食べ終え、お片づけの手伝いをし終えると、幽香が眼鏡をかけ、部屋から本を持ってきた。今日は弾幕ではなくお勉強のようだ。

「私も出掛けるわ。紅魔館に用事があってね。途中まで一緒に行きましょう。」昼食を食べ終えた後に言われた。
幽香と一緒に外にお出かけなんて久しぶりだったのでいつもより遅めのスピードで遊び場に向かった。
「じゃあ、少し遅れるかもしれないから。」そういうなり幽香は日傘を手に持ち直し、紅魔館のほうへ向かった。


紅魔館のすぐそばの森。日傘を差し優雅に歩く。
「ごきげんよう、門番さん。」笑顔で門番にご挨拶。
「Zzz…」昼の陽気に負けたのか、職務放棄。
笑顔を崩さず容赦なくほっぺをつねりあげ、「ごきげんよう、門番さん。お目通りよろしくて?」再度たずねる。
「いだだだだだだ!!寝てないです!!問題なしです!!」涙目になりながら必死に訴える。
「あらそう、それじゃあ失礼するわ。」門番から了承の言葉を聞くとさっさと中に入ってしまった。
「え?あれ?咲夜さん?じゃない?あれ?誰もいない?」紅美鈴、スペックは優秀なのにダメな子とか言われる理由は本人にあるのかもしれない。

「…あら…珍しい。」本当に珍しそうな声。技を盗難された仲間にして幻想卿でも相当な実力者がそこにいた。
「日陰に太陽は眩しかったかしら?」笑顔を崩さない。
「…ご挨拶ね。…初めての人はそこの受付で手続きして…。」図書館の主はこの大妖怪から普段の荒れ狂う炎のような魔力とは全く違う、穏やかな河のような魔力の流れを感じたのでこの知識の宝庫を襲う気は無く、利用客として訪ねてきたのだろうと判断した。『珍しい』とは、穏やかな魔力の流れの事を指していた。
図書館の主はそう言うなり、直ぐに本に目を移した。

『そこ』と呼ばれた方向には、受付と札のある机。赤い髪の悪魔が座っていた。
「こんにちは。司書さん。」微笑みながら受付嬢に声をかける。司書と呼ばれた悪魔がビクッとし、
「は、はぃ!…あの、こちらにサインください。」恐る恐る案内しだした。
こちらと言われ見てみると、『図書館利用者名簿』と書いてあった。その羊皮紙からは劣化防止の魔法以外、特別な魔力も感じない。純粋にただの『名簿』なのであろう。
白黒、七色、瀟洒、美鈴、紅魔姉妹、永琳、慧音と予想通りの名前から、
「あら、紫の式も利用しているのね。」八雲藍、その下には橙と書いてあった。式の主自体の名前は無かったが。
さらさら、っとサインすると
「はい、ご利用ありがとうございます。これが図書カードです。借りたい本があったらそれと一緒にカードを提出して下さい。魔理沙さんみたいに延滞は厳禁ですよ。」
大丈夫よ。とだけ言って本棚の群れの方に足を向けた。目当ての本を複数冊選び図書室に備え付けられている椅子に腰を下ろし、静かに目を通し始めた。

…ふと、パチュリーはこの大妖怪が、どのような書を手に取ったのか興味がわいた。
学術書、だった。『数学1』『理科~1、2分野~』『基礎化学』、武経七書の内『孫子』『呉子』の兵法書。前の4つは外の世界で教科書と呼ばれるもの。後者の2冊は教科書…とも言えなくも無いが、外の世界の賢者が記した著書。前者とは明らかにレベルが違う。

図書館の最高必須事項『静寂』を破ったのは意外にも主であった。

「…貴女、知識の蓄え方が変わっているわね…。」方向性が違うとはいえ、基礎レベルの本と高等知識を要する本が並んでいる図は知識の守り手としてはシュールさを感じずにはいられなかった。思わず声に出してしまった。
「借りるのはこっちの基礎学術書よ。…こっちは面白そうだからココで読んでいくわ。」
「…その本を『面白そう』と感じる貴女には、そのレベルの本は不要に思えるけど…。」人が本を選ぶのではなく、本が人を選ぶ。それ相応の知識無くして本はその身の本質をさらさない。相応の知識があって初めて読み解ける。
「紫に似たのかしら。」本から顔を上げ、微笑む。
「…話が見えないわ。」
「教える事、花以外の他者を育てる事の、喜び、楽しさが解ったって事よ。」
「…そう。こんなに熱心な先生がいて…。その子は幸せね。」
そうね。とだけ言うと再び本に目を落とした。

再び、静寂な空間に戻った。


一方。

「頭がキーンってするのだー。」痛そうにしながらもガツガツと。
「ああ、ルーミアちゃん、コレは一気に食べると頭痛くなるよ。」注意する大妖精。
大妖精が今日お披露目した氷菓子はルーミアと橙が大いに喜んだ。
「やるわね、大ちゃん。私も鰻以外の新商品考えようかな。」ミスティア。
「暑い日にこれは美味しいね!」橙。
「うん。シンプルだけど、とっても美味しいね。」私。
聞いたところ、氷を地面でゴリゴリした時に思いついたそうだ。…え?それって一体どんな状況?…多分、よく解らないチルノの遊びにでも付き合ったんだろう。
「あたいが作ったこおりなんだからね!って、あたいも食べたい!」
氷を削り、それにシロップをかけるだけなのだが、最近、チルノはコレがお気に入りらしい。
大ちゃんがチルノに予め別の容器に作っておいた氷菓子を手渡す。チルノの言いたい事、したい事を予測しているかのように。
本当にこの二人は仲良しだ。その場にいた他の妖怪達が思った。




『今日も概ね平和だった。』




日も落ちてきて暗くなってきたら解散。私も屋敷に戻る。
屋敷で今日の勉強の復習をしていると主が帰ってきた。彼女の魔力を察知するなり、急いで玄関までいき、
「お帰りなさい、幽香!!」生粋の夜行性だな私って。声が大きすぎた。
「ただいま。リグル。」出る時には持っていなかった本3冊をもって笑顔で帰宅の挨拶。幽香が私の為に新しい教科書を探してくれていたのを目の当たりにし嬉しくなった。

「今日もお料理教えて?」この前から幽香に料理を習いだしている。
「ええ、勿論よ。…今日は皮むきだったわね。」今日はシチューの予定だったから調度良かった。
「じゃあ握り拳位の大きさのを複数個持ってらっしゃいな。」
「うん!」言われるや直ぐに外に出るリグル。

あの事件から、外には二重の結界が張ってある。二重丸をイメージして張ったそうだ。
内側(屋敷、向日葵畑)は、特定種は絶対に進入不可。外側は進入はフリーだが、特定種は脱出できない。そういう結界。外側の円は特定種にとっては広いので気づかずに生活しているのであろうが。

あの時から幽香はその特定種に多大な軽蔑と筆舌し難いほどの諦めを感じていた。大地と生命を敬う事を至上としている幽香をそこまで落胆させた生命体は他に類は無い。人間にも幽香は『恐怖』を与えている。だが、もう彼女は特定種には何も与えない。生命体として何の可能性もない。終わっている。そう結論した。奴等の行いがそうさせた。

ちょうどよさそうなのをのを小数匹捕まえると持ってきた籠に入れた。こいつらは基本的に夜行性では無いので捕獲は楽であった。

キッチンに戻ると私の分のエプロンが置かれていたので着替える。幽香とおそろいのお気に入り。

「まずは材料を洗うのよ。」着替え、隣に立つと早速講義が始まる。
幽香の手にはジャガイモのメークインがあった。男爵芋は煮崩れしやすいのよ。と補足説明がされた。
私の手には『教材』。眠っているソレの汚れを水で洗い流す。
「ゆっくりした!!ねむっているんだから水かけないでね!!ゆっくりできないよ!!」起きた。
「そしたら、包丁を皮にあて、素材を回すようにして皮を取り除く。難しいならピーラーを使うのも手ね。」器用にジャガイモの皮をむいていく。流れるような動作と綺麗な指先に見惚れてしまいそうになった。
でも、ピーラーは使わない。あくまでも包丁を使いこなしたい。そのほうがカッコイイ気がするから。
「ゆっくりあやまってね!!みずびたしでねむれないよ!!」包丁を素材の皮にあてて
「ゆ゛っ!!!??危ないから、は、早くどけてね!!!」刃を入れて
「ゆ゛っぐりぃぃ!!!いだいぃ!!やべでおねえざん!!」皮を取り除く。
幽香みたいにうまく出来ない。どうしても皮が途中で切れてしまう。
「ゆ゛っ!!ゆ゛っ!!だずげ「幽香、うまく出来ないよ。途中で切れちゃう。」うまくいかない。
「いきなり上手には出来ないわ。…いいわ。」私が苦戦している間に全てむき終えていたらしく、そう言うと、私の背に歩み寄り後ろから私の両手に手を添え、
「一緒にやってあげる。」真横から声がする。ひぇぇ…、顔、近いよ、
「ぎゅ!!だじげでぐだざい!!!」手が添えられただけなのに、短く切れずに皮を剥くことができた。正直言うと、ほとんど幽香の横顔ばかりみていたので幽香がやっただけなのだが。
「刃物を持ったら余所見しちゃだめよ。」最後に注意された。ごめんなさい。
「…これでよし、後は自分で復習なさい。」そういうなり、背中の心地よい圧力と花の香りが離れた。
「びゅ…ゆっ!!」「そうしたら、ジャガイモの芽は取り除くのよ。」
「うん、目は取り除くんだね。」でも、どうやったらいいんだろう。
「包丁の持ち手に近い刃の角を使って芽の周りをえぐる様に取り除くのよ。」疑問の答えは直ぐにかえってきた。剥き終えたジャガイモの内、一つだけ芽が出ているのがあり、それを取り除かずに置いてあったのを手に取り実際にやって見せてくれた。

「やべでぇぇぇぇぇ!!!!」眠っていただけなのに、皮は剥かれ、今度は目を奪うと言っている。
「こうかな?」銀色に光る刃物が目前に迫る。「だずげでぇぇぇ!!…っ!?…っっぅぅぐりぃぃぃ!!!」途端、左目に激痛が走り、暗闇になった。涙の曇りが解けたとき、右目に写ったのは、自分の目らしき物を持ち上手く出来た事を喜ぶ子供の悪魔とそれを褒める悪魔。
「上手ね。じゃあ、もう一つの芽も取り除きなさい。」微笑む。
「うん!もう一個の目も取りのぞくね。」同じ様に微笑んだ。
「…ゆ゛!!…ゆ゛ぅぅぅぅ!!!!」完全に掌握されていて動けない。逃げれない。全身が痛い。
「ぎゅゅゃうゃぁぁぁあ!!!」あっさりともう片方の目も取り除かれた。目が最後に送った映像は迫りくる刃と微笑む緑髪の悪魔二人。意識が遠のいた。

その後、2度ほど教材で復習し、幽香はその間に材料を下ごしらえし終え、鍋からはコポコポといい音がしだした。
「じゃあ、煮ている間に一つお勉強ね。」そういうと、5つ分のジャガイモの皮と1つ分の芽に砂糖をまぶし炒め始めた。
籠からサイズが思ったよりも大きくて皮むきの練習に適さなかった最後の教材を取り出し、皿に盛ったジャガイモの皮と芽のシュガー炒めをそいつの前に置いた。
甘い香りがすると教材は直ぐに目を覚ました。
「…ゅ?これ甘い匂いがする!!食べていいの?食べてもいいの?」私も幽香も答えない。許可を出す必要もない。黙っていれば勝手に食すから。
悩むふりをしていたが、30秒もしたら香りに負けてがっつきだした。
「うめえ!!めっちゃうめえ!!」山盛りのそれを食らい尽くすのに1分もかからなかった。
食べ終わって満足したのかそのまま眠った。

「ジャガイモの皮と芽にはね、神経毒が含まれているの。」幽香がいつの間にか眼鏡を着用した。お勉強の時間だ。
「人間達がつけた名前は『ソラニン』。成人なら200~400ミリグラムで中毒を引き起こし、子供ならその10分の1程度で中毒するわ。」
言い終わるや否や、毒膳料理を平らげた教材が起き、
「…おねえざん!!体がへんだよ!!なんだが、ぎぼじわるい…!!」
呼吸が荒く、汗をだらだらながし、顔面蒼白でその場で立ち尽くしたままピクピクとしている。
「一個の芋の皮で約50ミリグラム。5個分の皮と1個分の芽だから軽く300ミリグラムオーバー。あの体積の生き物だと、まず助からないわ。」私は頷くことしかできない。
「だじゅげで…!!くるじ「症状は見ての通り。呼吸困難、疲労感。もっと細かい症状に興味があるなら、竹林の八意永琳にでも聞きに行くといいわ。」
「ぎゅゅ…でゅ…」目がグルンと裏返り白くなった。ピクピクと痙攣しているが呼吸音が聞こえない。
「もし、霊夢や魔理沙にジャガイモを使ったお料理を振舞うような事があったら十分に注意なさいね。」痙攣が止まった。笑顔で講義は終了した。

幽香先生(眼鏡着用時)は徹底した実践主義だ。教えた事は必ず例を持って示してくれるし、私にやらせてみる。本の中の情報だけでなく、生で体験させてくれる。教材は勝手に寄って来るので事欠かない。
軍学の実践では、教材100匹を森に放つからやつらの性格から行動予測し兵(虫)を伏せなさい、など楽しい実践でやりがいがあった。
木のうろや、それなりの広さのスペースなど伏せておくだけで寄って来る。私の眷属もやつらを憎んでいるので攻撃は執拗を極めた。

薬品や機材が必要な場合は永遠亭の永琳さんの所に行ったりもする。
永琳さんも助手のレイセンさんも良くお勉強を教えてくれる。
Ph値測定の実践の際には酸やアルカリとはどういうものかを教材を使って教えてくれた。
「はい、リグル君「女の子です。」永琳さん、だめですよ。
「…ごほん、リグルちゃん、硫酸の分子式は?」答える。
「はい、大変よろしい。では実際に生物に付着するとどうなるか見てみましょう。」
透明のケースに教材が入ったものが運ばれてくる。なぜこんなちょうどいい物があるのかは詮索しない。
レイセンさんが10ミリリットル用のメスシリンダーで1ミリリットルを正確にはかりとり永琳さんとケースの脇に置いた。
「おばさん!!早くここから出してね!!」中の教材が発声した。空気がピシッっていった。
「…うどんげ、予定より1リットル多めで。」笑顔で死刑宣告。1ミリリットルから1リットルへ。
「師匠!箱から溢れちゃいますよ!」
「むぅ、仕方ないわね。表面張力寸前までと言いたいけれど、教材の半分まで注ぎなさい。」
面倒だなぁと、レイセンさんが注ごうと用意を始める。
「今回使うのは重量パーセント濃度90%以上の『濃』硫酸ね。ついでに言うと90%未満は『希』硫酸よ。」ノート、ノート。
「実は濃硫酸は酸としての性質は弱いのよ、電離しないから。」え?電離って?
「それはいいとして、生物に付着するとね、乾くのよ。」乾く?液体が付着して乾くって不思議。
「うんうん。何でも不思議に思う事はいい事よ。実際に見るといいわ。…うどんげ、はじめなさい。」
箱の上部の一部が開くとそこから濃硫酸を注ぎ込んだ。
「今日のじゅーすは透明だね!!!ゆっくり注いでね!!」
あ、煙。
「あづい!!!いだい!!!これじゅーすじゃない!!!」明らかに量が多すぎる。
「解り難いから説明すると」必死でもがく教材を尻目に
「濃硫酸は皮膚に付着すると強力な脱水作用とその反応で高熱を引き出すのよ。火傷するのはこのため。」
なるほど、実際に見たあとに説明してもらえると本当にわかりやすいな。
「…あと、うどんげ、薬ビンのラベルは上向きで注ぎなさいって言っているでしょう?基本中の基本じゃない。」
「あう、すみませ~ん…。」そういう決まりもあるんだ。一応ノートにかいておこっと。
「いだい!!おばざん!!かわいてるおばさん!!だずげでよー!!!!」
永琳さんは笑顔で容器の蓋をし、つかみ上げると容器をシェイクしだす。
「…ゴポ……ゆ…」濃硫酸の波にしこたま飲まれた教材は動かなくなった。
「本日はココまで。またいらっしゃい。…じゃ、うどんげ。それの処理はよろしくね。」ニコニコ顔の永琳さん。
「はぁ…解りましたよ師匠。」トホホな感じのレイセンさん。
その日の講義も有意義だった。

過去の勉強の話をしながら夕食の美味しいシチューも食べ終え、教材の残骸を結界の内円の外に捨ててきた。捨てれば他の教材が勝手に処理してくれるので楽で良い。


リグルがアレを捨ててきたので談笑しようとお茶の準備を始める。

最近のリグルの成長は非常に良いわ。花を育てるように愛情をかけて育てればキチンと答えてくれるのがあの子のいい所。
「いい顔で笑うようになったわね、リグル。」笑顔で褒めてあげる。
「え?うん。…えっと、実は、幽香の真似なんだけどね。」そう言って笑顔で答える。
…へぇ、私の真似とはね…。可愛いけれど…チョットいぢめたくなるセリフね。
「そう。…そういえばお風呂まだだったわね。」笑顔。
「うん、でもちゃんと沸かしてあるよ。」こっちも笑顔。
「偉いわ。」笑顔。
「幽香が遅くなるって言ったから、きっと疲れて帰ってくるんじゃないかなって。」ちょっと赤らめながら微笑む。
可愛い…あ、だめ、もういぢめるしかない。
「そう、じゃあ今日は久しぶりに二人で入りましょうね。」とびっきりの笑顔。
「…えっ!?一緒?ちょ…!!」崩れる笑顔。慌てた表情。まだまだね。
「早速行きましょう。今日はお姉ちゃんが体の隅々まで洗ってあげるわ。」追い討ち。リグルの手を引き浴室へ。
「え?え?隅々って!!まって!!幽香!!」そうそう。リグルはこういう風に慌ててるのがいいのよ。余裕そうな表情を出来るのは嬉しいけれど、私の前だけではこの方がいいわ。
「うわーん!!!幽香はなしきいてぇー!!」聞く耳なんて持つわけ無いでしょう。慌てた時点で負けなのよ。
貴女の美しさも何もかも私が磨いてあげるわ。覚悟なさいね。

その夜、太陽の畑方面からリグルの悲鳴がしばらく続いたのは言うまでもなかった。

                                          おしまい。


~おまけ~
「うわーん!!幽香、はなしきいてぇー!!」

…おっと、すき間で覗き見するのもここまでにしよう。

「ふふ、幽香ちゃんも、本当の意味で大妖怪の仲間入りね。」
「は?紫様?」答えるは八雲藍。ナインテール。言うまでも無い大妖怪。
「何でも無いわよ。それに引き換え…。藍、貴女も後続を教育する立場でしょう?」
「ええ!橙は私の宝物です!!」言い切った!
「…はぁ、私の教育が間違ったのかしら。橙のお友達のリグルちゃん、この先伸びるわよ。家の橙が遅れを取ったらどうするの?」
「いえ、橙が次世代の妖怪のリーダーです!」
「だから、そうなれるかは貴女しだいでしょうに…。」

どういうわけか私の自慢の子は弟子には激甘だった。頭が痛くなる。
橙が八雲の姓を名乗れる日は遠そうだ。

                                     おまけもおしまい。


~あとがき~
算数セットって教材見てたら電波受信しました。
それにしてもなげえっすね。
おちよわいっすね。

そんなことより、緑髪可愛すぎます。どうしてなんだろ。
                          Y・Y

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最終更新:2008年09月14日 11:30
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