幽香×ゆっくり系4 緑色は何の色?



 緑髪キャラって何で素敵なんだろ。魅魔様とかもうたまらんです。そのせいか電波受信しました。

 幽香×ゆっくり系 不幸な理由 あたりとリンクしています。べ、べつに緑髪が使いたかっただけじゃないんだからね!勘違いしないでよね!!

 虐待、緑髪、東方、以上の内どれかでも嫌だと思ったらバックしてね!!!



 それではごゆっくり。




 ひざしがやわらかなきょう。なかよしゆっくりはいっしょにめざめました。
「きょうもふたりでゆっくりしようね!!!」
 あさいちばんのゆっくりせんげん。きょうもふたりでゆっくりできますように。
 ゆまりさ、ゆれいむのふたりはとってもなかよし。
 あかいリボンがかわいいほうがゆっくりれいむ。ともだちおもいのやさしいゆっくり。
 くろいぼうしがにあうのほうはゆっくりまりさ。ともだちおもいのゆうじょうゆっくり。
 にひきはいつもいっしょ。あそぶときもねるときもたべるときもいつもいっしょ。

 きょうはふたりでどこにいこう?

「ゆ!きょうはやまのほうにいこうよ!!!」
「いいよ!!!まりさとならどこでもいいよ!!!」

 きょうはやまのほうへいくみたいです。でも、ゆっくりはとてもよわいのでやまはのぼりません。
「やまのちかくでゆっくりしよう」とゆまりさはいいたかったのです。
 ふたりはこまかいいしそつうなどしなくてもおたがいがいおうとしていることがわかります。ふたりはそのくらいしんゆうなのです。

 やまのほうはまだふたりにとってはしらないところがおおいから、ゆまりさがせんとうでちょっとしたぼうけんきぶんでずんずんすすみます。ゆれいむはゆまりさのせなかをついていきます。ふたりでいればどんなことがおきてもだいじょうぶ。

 だから、まえのほうにひとかげがみえてもこわくない。


「今日は午後から博霊神社のお手伝い、明日は分社の様子見とお掃除…、ええと、明後日は…。」
 白蒼の巫女服、カエルの髪留め、蛇の髪飾り。過去に幻想卿のパワーバランスを崩しかけた神を祀る神社の巫女、東風谷早苗は今日も幻想卿のバランスを気遣いながら信仰を集めるために奔走していた。
 綺麗で生真面目でとっても優しいが、実は彼女は

「「ゆっくりしていってね!!!」」
「きゃ!!……わぁ、可愛い!」

 キモかわいいものが好きだった。

 威嚇をかねて大声をあげたがなぜか褒められた。この人はゆっくりできる人かもしれないとゆまりさはかんがえた。
「おねーさんはゆっくりできるひと!?」
 ゆまりさは警戒して問いた。もし危ない人だったらゆれいむと一緒に逃げなくてはいけないから。
「うん、今日はお手伝いは午後からだからそれまではゆっくりできるよ。」
 ニコニコと優しい顔でゆまりさの目の前にしゃがみ、かわいいかわいい、と頭を撫でだした。
「ゆ、ゆ!おねえさんはゆっくりできるね!!」
 その悪意の無い行動に警戒心はあっさり解け、目の前のおねえさんとゆっくりすることに決めた。

 1人と2匹でゆっくりしていると、おねえさんが何か思い出したかのように
「はい、二人とも飴舐める?」
 おねえさんの手のひらには包装された二つぶの飴。
「「ゆっくりたべるよ!!!ゆっくりたべさせてね!!!」」
 はいはい、と笑顔で答え黄色い二つぶを二匹に食べさせてあげる。
「「すっぱあまいよ!!!すっきりおいしいよ!!!」」
「黄色はレモン味なんだよ。私もレモン味がすきなんだ。」
 優しくてゆっくりできて美味しい物までくれる緑髪のおねえさんはニコニコ顔で教えてくれた。

 おねえさんとゆっくりしていると、すぐにお昼になった。おねえさんは立ち上がり
「じゃあ、私はもう行くね。二人で仲良くゆっくりしてね。」
 そういえば、午後までしかゆっくりできないんだった。ゆまりさもゆれいむもこのおねえさんが好きになったので引き止めたけれど、おねえさんは、またね、とだけ言うと行ってしまった。

「あの子達、可愛いかったなぁ…。でも八坂様に叱られちゃうから家じゃ飼えないなぁ…。」
 博霊神社に向かう道中の一人は風に流され掻き消えた。



 きょうもいちにちゆっくりできたふたりはまんぞくしておうちにかえりました。
 ねるまえふたりできょうのできごとをおもいだします。はなすことはもちろんおねえさんのこと。
「きょうのみどりのおねえさんやさしかったね!!!」「きいろいのおいしかったね!!!」「「やまのほうにいってせいかいだったね!!!」」
 ふたりはきょうのできごとをゆっくりメモリーにきざんでふたりでよりそってねむることにしました。

 くもりぎみで、ひざしのよわいきょう。なかよしゆっくりはいっしょにめざめました。
「きょうもふたりでゆっくりしようね!!!」
 くもりぎみのそらだけど、ふたりははれやか。きのうのゆっくりしすうはかこでもさいこうクラスでした。
 あまりきおくようりょうにじしんがないふたりだけどきのうのできごとはおぼえていました。
「きょうもやまのほうでゆっくりしよう!!!」「みどりのおねえさんにあえるといいね!!!」
 きょうもふたりはなかよくでかけます。きょうもすてきなであいがあるといいなとおもいながら。



「ひーな、今日もきちゃった!」
 緑の帽子にリュックを背負い、水色の可愛らしい服を着た少女が明るく笑った。
「いらっしゃい、にとり。…今日は厄が少ないからもう少し近く、でも…平気だよ。」
 突然の来訪者に驚きもせず答えるひなと呼ばれた少女。
 普段、彼女の周りには集めた『厄』が素人目でも解るくらい渦巻いているが、今日は確かに少ない。
「よおし、じゃあ3歩前進だ。」
 大またで歩を進めるにとりと呼ばれた少女。その様子が可笑しかったのか、可愛らしく感じたのか雛はニコニコと微笑んだ。
 ふと、にとりが何かに気づき、
「ねえねえ、雛、このお芋とかどしたの?」
 雛のそばにあった物を指差し問いた。
「穣子ちゃんが「秋を先取り!神友の鍵山様にもお裾分けです!」って持って来てくれたんだ。」
「おぉ!穣子様、ナイス!…ねぇねぇ雛~、コレ焼いても良いかな?凄く美味しそうなんだけど。」
 目をキラキラと輝かせながらお願いするにとり。
(…にとり、そんな目で見られたら。)
「勿論いいわよ。でもお昼前までは我慢して欲しいな。…そしたら一緒に食べられる…から。」
 断れるわけは無いけれど、チョットだけ本心を主張してみた。
「うん!……でも、一個だけ練習を兼ねて焼かせて!だって、雛には最高の焼き加減で食べて欲しいんだもん!」
 根が職人なのか、料理が苦手なのか、ともかくにとりは赤面しつつも凄く良い笑顔で答えた。
 雛も赤面する。赤面しながらも顔に手をあてくるくるまわる。
「と、とにかく準備するね!」
 微妙な空気を打破しようとにとりが行動しはじめた。
 枯れ葉など殆どないため、落木などその他もえそうな物を集め火をつける。
 依然として雛の顔は赤い。
(うぅ…雛から意識させといて…。)
 にとりは、とにかく何か話を振ってみようと考えとっさに
「穣子様って毎年人間の里の収穫祭に招待されるみたいなんだけど知ってた?」
「…ええ、もちろんよ。大勢の前でも物怖じしないなんて凄いわ。」
 このまま風向きを変えようと更に続ける。
「そりゃ神友だし知ってるよね。でもさ、収穫祭に呼ぶのは何でなんだろ?」
「え?何か変かしら?」
「だって、収穫前に呼べば穣子様の力で豊作が約束されるんじゃないかなぁーって。」
「…静葉がずっと前に言ってたわ。」
「え?」
「穣子ちゃんは…そう、うっかり屋さんなのよ。」
 二人で声を出して笑った。さっきとは一転して和やかな空気になったのを二人でかんじた。


「ゆ!きょうはおねえさんいなかったね!!」「でも、おねえさんさがしてたらこわいところきちゃったね!!!」
 また早苗に会いたくて出会った場所辺りを探していたが、一向に見つからないので勇気を出して山に入っていったようで。
「はやくもどったほうがいいね!!!」「おなかすいたよ!!ゆっくりもどろうね!!!」「「どっちからきたかわすれたよ!!!」」
 ゆれいむもゆまりさも不安になった。

 だが、そばから美味しそうな匂いがしたので二匹がキョロキョロしだす。
「ゆ!おいしそうなにおいがするよ!!!」「あっちからするよ!!!」
 匂いがしたほうに向かうと、くるくると回っているみどりのおねえさんとみずいろのおねえさんが楽しそうに談笑していた。
 いつもなら自分達からはほかの生物には近づかないがおねえさん達が楽しそうなのと二人ともおなかすいたので近づいた。

「「ゆっくりしていってね!!!」」
「わぁ!!」「…きゃぁ!」
 威嚇は成功したのだろうか。おねえさんは二人ともこっちを見たままだ。
「おなかすいたよ!!!」「なにかたべさせてね!!!」
 ひるんだと思いすかさず自分達の主張をし始める。
「おー、こんな所にゆっくりがでるとはね。」
「…気味悪いわ。にとり、ゆっくりってなぁに?」
 片方のおねえさんはゆっくりを知らないらしい。
「むむ!!ゆっくりをしらないってことはそっちのおねえさんはゆっくりできないひとだね!!!」「くるくるまわってるなんてゆっくりするきないね!!!」
 ゆっくりを知らないのは許されないらしい。二人が雛に体当たりしようと突っ込む。
「…近づいちゃダメよ!」
 警告むなしく厄の圏内に入った。
「あー!イモやけた!!『甘くて美味しい』おイモが焼けた~。」
 わざとらしく大声でにとり、ピタッと静止するゆっくりーズ。
「ゆゆゆ!!それを食べさせてね!!!」「はやくしないとまわってるおねえさんやっつけるよ!!!」
「あ、そう。んじゃコレあげるから早く帰ってよ。」
 あっさりイモを渡しさっさと帰らせようとするにとり。にとりにとって、雛と二人きり時間に水をさすのは許せない。
(雛に危害を加えようなんて許せない。…雛の前じゃなかったら酷いことして潰してたよ。)
「かえりみちわからないよ!!!」「とりあえずそれたべさせてね!!!」
「はいはい。じゃあ半分こね。」
 半分にすると黄金色の焼き芋がその姿を現した。
「うん。なかなか上手にできた。ゆっくり達、おねえさんに感謝して食べるのよ。」
 そう言って二匹の口に放り込む。
「はふ、はふ!!むーしゃむしゃ!!!」「はふ、はふ!!しあわせ~!!!」
「「おいしかった!!!おねえさんありがとう!!!じゃあかえりみちおしえてね!!!」」
「…ココからずっと南にいくと「「みなみってなに!!!わかりやすくせつめいしてね!!!」」…アッチ。」
 もっとも解りやすいであろう手段。指差す。
「ばいばい!!」「ゆっくりしらないおねえさんとはゆっくりしないよ!!!」
 捨て台詞を残して去っていった。

「んー?雛?どったの?」
「…アレから厄が感じなかったのが不思議で。私の圏内に確かに入ったのに。」
 どんな生物にも厄があるのが常。ましてや厄渦に飛び込んだゆっくりからも厄は感じなかった。
「別にいいじゃん雛に危害加えようなんて奴の事なんか。そんな事よりもうそろそろお昼だよ。二人で食べる分用意するね。」
「…私に近づいちゃダメって言ったのに。でも厄は移ってないみたいだし…。」
 不思議そうに考える雛。

「雛~、焼けたよ~!」
「解ったわ。じゃあ…」
 目を閉じ念じる。
(…厄よ消えて。)
 念じると霧散する厄。にとりを見る。大丈夫、厄は移っていない。大丈夫、いつもどおり。
 ホッと胸をなでおろすと
「ひーな、お疲れ様。はい♪」
 すぐそばににとりの顔。手に持っているのは焼きたてのお芋。
「ありがとう。じゃあ、いただきます。」
 二人は笑顔で幸せそうだった。



 厄は厄の多い物を好む。不幸が不幸を呼ぶメカニズム。厄に許容量などない。厄に愛されたのなら果てしなく深く。高い物に雷が落ちるように、厄渦に飛び込んだ二匹に厄が白羽の矢を立てた。



 きょうはあまりゆっくりできなかったふたりは、ざんねんにおもいながらおうちにかえりました。
 ねるまえふたりできょうのできごとをおもいだします。はなすことはやまのなかでであったふたりのこと。
「ゆっくりしらないなんておくれてるひとだったね!!!」「ゆるせないよね!!!でもきいろいのはおいしかったね!!!」「「きいろいのはおいしいね!!!」」
 ふたりはきょうのできごとをゆっくりメモリーにきざんでふたりでよりそってねむることにしました。

 かいせいできわめてひざしがつよいきょう。なかよしゆっくりはいっしょにめをさましました。
「きょうもふたりでゆっくりしようね!!!」
 そらははれているしふたりははれやか。きのうのゆっくりしすうはかこでもさいこうクラスでした。
 あまりきおくようりょうにじしんがないふたりだけどきのうのできごとはおぼえていました。
「みどりのおねえさんはやさしいね!!!」「きいろいのはおいしいね!!!」
 フィルターからこしだされるのはよかったことだけ。ゆっくりしすうがたかければきのうのことのようにおもえてしまいます。
 『なにでゆっくりできたか』メモリーにきざまれるのはつごうのいいことだけです。ほんとうにきのうだったかなどはもんだいではありません。
 きょうもふたりはなかよくでかけます。きのうのことからもうやまはゆっくりできないところになりました。
「きょうはアッチにしよう!!」
「あっちはなにがあるの!!?」
「わからないよ!!でもふたりでいくならだいじょうぶだよ!!!」
 いつもだったらいかないばしょ。ふたりにとってははじめてのばしょ。
 でも、ふたりでいけばこわくない。きのうだってこわくてゆっくりできないやまから『じりき』でだっしゅつできたから。



 緑髪の女性が二人、向日葵の丘でお話している。
「……そう、つまり太陽の光が無くては生物は生きられないのよ。」
「そうなんだ。…私は月が綺麗で好きだけどなぁ。」
「…ふふ、でもね月の美しさは太陽あってこそなのよ。月は自身では輝けない小惑星。…だからこそ、持っていないからこそ、自分の魅力を伝えるのが上手なのかもしれないわね。」
「そっか。…うん、やっぱり…私は月でいいな。太陽に愛してもらって輝く事ができれば、それで、いいな…。」
 ジッと見つめるその目に宿るは、様々な感情。期待と憧れと…。
「…貴女が月なら、…ふふ、太陽は誰なのかしら…?」
 見詰め合う二人。月が良いと言った彼女の視線は陽射よりも容赦なく、太陽の目にも眩しく思えた。その距離は徐々に縮まって…



「…そこまでよ!!」
 紅魔館の図書室にて、その主がいきなり叫んだ。
「はうぅ!…パチュリー様?如何なされたのですか??」
 彼女の司書でもある赤い髪の悪魔が驚き尋ねた。

「何でもないわ。そう、言わなくてはいけない気がしただけ。…それより、リトル、紅茶を淹れて頂戴。」
「はい!かしこまりました。」
 今日も図書館は平和だった。



 二人の距離が近づいたのは、太陽の魅力を伝えるため。…特に何もなかったはずである。 
「さて、実験しましょう。陽光の力強さの実践。アレをつれてきて頂戴。」
「…うん。」
 未だ赤い顔で答える少女。以前、ゲストを呼んで大量に間引いたアレを探すのは骨がいるかもしれない。
「皆も手伝って。」
 いつの間にか彼女の背後には、彼女の指令を受け「御意」と羽音で答える蜂の群れが居た。


 はじめてふたりがむかったばしょにはたくさんのきいろいおはながさいていました。
「すごいすごい!!!おいしそうなのがいっぱいあるよ!!!」「きいろいよ!!!きっとあまくておいしいよ!!!」
 ちょうちょうやはちがはなとたわむれていました。ここはさいこうのゆっくりエリアになりうるとちょっかんでかんじたふたりはうれしさをひょうげんします。
「ここならわたしたちのおうちにふさわしいね!!!」「れいむたちがさいしょにみつけたんだよね!!!」「「ゆっくりせいかつしようね!!!」」
 さっそくたべようときいろいおはなにちかづくと、おはながこうべをたれ、みちをあけるかのようにじょうたいをまげだしました。ちょうちょうはいなくなり、いっぱいのはちがふたりのほうをむいています。
「ゆ?ゆ?おはながうごいたよ!!!」「いきがいいおはななんだよ!!!れいむしってるもん!!!」
 ふたりにとってきいろいのはおいしいもの。いきがいいとなるともっとおいしいであろう。いまだあじわっていないきいろのあじにふたりはきたいでいっぱいです。

 蜂と向日葵が発する恐るべき殺意にまるで気付かない愚鈍極まりない生き物。人間や妖怪であればこの場に居たら間違いなく警戒するか離れるかするであろう。
 警戒するどころかのほほんとしている。逃げるところか住むとまで言っている。…探す側にとって、これほど楽な獲物は他には居まい。
「いたいた!皆、ご苦労様。…え?…えっと、まだダメだよ。今から使うんだ。…うん、その後ね。」
 花の間から現れた緑髪の少女は笑顔で蜂と向日葵に何か伝えると殺意は薄れ、蜂は去った。

 じぶんたちのおうちにとつぜんのらいほうしゃがあらわれびっくり。でも、このおねえさんのかみはみどり。ふたりにとってみどりはゆっくりできるひと。だいじょうぶ。
「はじめてのおきゃくさんだね!!!」「れいむたちのおうちにようこそ!!!」「「ゆっくりしていってね!!!」」
 みどりのおねえさんはえがおでこたえてくれました。
「ふたりはここ初めてでしょ。案内するからついてきて。」
 そういうなり、ふたりをかかえてはたけのおくにすすんでいきました。
「おねえさんがのりものになってあんないしてくれるんだね!!!ゆっくりいこうね!!!」「いそがなくていいよ!!!おねえさんがゆっくりすることを…」ゆまりさがここでいったんこえをとめて「「わたしたちがきょかするよ!!!」」ふたりでつづけました。

「…ふふふ。」おねえさんはわらっていました。

「ただいまー。二匹でいいかな?」
「おかえりなさい。…ええ、充分よ。」
 あんないされたさきからはおおきなおうちがみえました。それと、もうひとりみどりのおねえさんがいました。おおきいおねえさんはニコニコしていてとってもやさしそう。きっとこのみどりのおねえさんもゆっくりできるおねえさんだろう。


「それじゃあ、その二匹をそこの結界に入れて頂戴。」
 少女が居ぬ間に張った、半径三メートル程度の円型の結界を指差しながら指示する。
「解った。」
 言葉と同時にゆっくり達が宙を舞った。放り投げられたようだ。
「のりもののくせになまいきだよ!!!」「ゆっくりあやまってね!!!」
 着地と同時に抗議の言葉。しかし、まるで謝る素振りを見せない。ぞんざいな扱いを受け、猛烈な勢いで投げたおねえさんに体当たりしようとする。
「ゆべ!!!!」「あれ!!!すすめないよ!!!」
 目の前に壁でもあるかのように進めない。なんでだろう?解らない。
「おねえさん!!ここから出して!!!」「なんでかすすめないよ!!!」
 一転して媚びた笑いで助けを求めだす。日差しが強い。

「じゃあ始めるわ。…優しい陽光が集束するとどうなるか。」
 大きなおねえさんが指を弾くと、ゆっくり達の目の前に自分そっくりのゆっくりが現れた。
「わわ!!まりさそっくりのゆっくりだね!!!」「れいむにもそっくりなゆっくりがいるよ!!!」「「わたしたちのいえにようこそ!!!ゆっくりしていってね!!!」」
 二匹は突然のそっくりさんに歓迎の挨拶をした。先ほどの出来事など既に覚えてはいない。

「この結界は、熱遮断とガラスの性質を持っている。内側のガラスが鏡になっただけ。…この万華鏡を覗いたらさぞおぞましいことでしょう。」
 おおきなおねえさんの声が聞こえてきたが、初めて見る自分そっくりのゆっくりに興味津々でまるで気にしていない。
「光が入射し反射。更に反射する。上部のガラスはレンズ状に湾曲しだしていくわ。」
「わわ、じゃあ、あの中は…。」
 観察。二人からは二匹の姿は見えたままだ。
「…問題。どっちが先に逝くと思う?」
「んー…。赤い方。理由は、黒い方は自分のためなら仲間を捨てれるから。それを何度も見たから。」
「…ふふ。どうかしらね。」

「あれ?しゅっごくあついよ!!!」「ここ、しゅっごくあついよ!!!!」「「どいてね!!!ここからでるのじゃましないでね!!!」」
 鏡に映った己自身に対して退けと命じる二人。地面からも水分が抜け出し、異様な熱気が、不快感が加速された。
「あらまがあづいよぉぉぉ!!!」「ままま、まりさ!!!ぼうじがらげむりででるぅぅぅ!!!」
 黒。
「あ、そっか。黒はすべての波長の光を吸収するんだっけ。」
「…そうね。ただし、全ての波長の光を吸収できる黒体は存在しないのよ。引っ掛けられないようにね。」
「うん。」
 外からは悠長な会話が聞こえる。この場所の主である自分達が苦しんでいるのに。
「おねえざんだぢははやぐだずげでね!!!」「ぎごえでるんでしょ!!!」「「あづいがらはやぐじでね!!!」」

 少女が女性の方を見る。
 貴女の好きになさい。そういう目を向けられた。
「どちらかだけならいいよ。」
 小さいおねえさんの声がした。姿は見えないが。
「ふだりどもだずげでね!!!」「な゛ん゛でこ゛んなこ゛と゛す゛るのお゛おぉぉぉ゛ぉぉ゛おおぉぉ!!!」
 徐々に抜け出す己の水分にもはや気が気でなくなっていた。
「だから、片方だけだよ。欲張っちゃだめだよ。」
 中の二匹が互いを見始める。…もう少しだ。後一押し。
「早くしないと、私行くからね。」
 二匹が声のした此方を向く。
「わがっだよぉぉ!!までぃざがぎぜいになるがら!!!」「だめだよぉぉ!!!でいむがいなぐなればいいんだ!!!」
 互いを庇いあった。予想外過ぎる奴等の行動に、思い通りにならない憤りを感じた。そういう事を望んでいるのでは無いのに。
 意図と反する事は本当に腹が立つ。感情のさじ加減?もっと追い込むべきだったのか?一番腹が立つのは自分の経験不足だった。

「…ふふ。難しいわよ。他人のコントロールは。」
「せっかく教わったのに、生かせなかったよ…。」
「いいのよ。肝心な時に使えるようになっていれば。今はまだ練習段階。」
 おねえさんは言い終わるなり指を弾いた。鏡がガラスに戻り、光が穏やかになった。
「あづがっだよぉ!!!もうにどとしないでね!!!」「ばつとしてそごのきいろいのたべざせでね!!!」
 未だ彼女等のフライパンの上で踊ってるのに過ぎないが、助かったものだと勘違いし自己主張を始めだす。

「…でも、私も興醒めしたのは事実。」
 向日葵を寄越せ?ふざけるのは顔だけになさい。笑顔とは裏腹に目は笑ってはいなかった。


 ふたりのめいうんはけっしました。いまおもえばあのときやさしいおねえさんにあわなければこういうけつまつにはならなかったかもしれません。
 ふたりのメモリーはいつもおなじことがきざまれていきます。ふたりともなかよしでいつもいっしょだからおなじおもいでがきざまれていきます。
 そのご、れいむとまりさはべつべつのけっかいにわけられました。へだてるのはいちまいのけっかいのみ。おたがいのすがたをかくにんすることも、おたがいのこえもきこえます。ですが、もうふれることはできません。

「向日葵はあげられないから、これで我慢なさい。」
 ゆれいむのまえにはだえんけいでしまもようのものがだされました。ゆまりさにあげようとしましたが、どうしてもあげられません。おなかがすいているのでぜんぶたべることにしました。
「むーしゃ、むーしゃ!!しあわせー!!!」「ゆぅぅ…ぐぅぅぅぅ…!!!!」
 ゆまりさはさびしそうにゆれいむをみますが、ゆれいむがじぶんにわけてくれようとしてもどうしようもなかったので、がまんしました。
 おねえさんはむごんでそのたべものをふやします。ゆれいむはいつしかおねえさんのましたでせがみだしました。
「おねえさん!!!はやくしてね!!!これしゅごくおいしいよ!!!」
 そういってこびたえがおでくちをおおきくひらくと
 おねえさんがたいりょうのソレをくちにつっこみました。
「むぐぅぅぅぅ!!!!」
 おおすぎてくちが閉じません。ですが、すこしづつじかんをかければたべることができそうです。たいりょうのごちそうにこころがおどります。よくをいえば、すこしずつたべさせてほしかったことだけです。

「ゆぐぅぅぅ!!!おねえさん!!まりさもおなかへったよ!!!」
 ゆれいむばっかりごはんがたべられておもしろくありません。
「あなたはこれ。」
 おねえさんがゆびをならすとしろいこながふりかかってきました。ふしぎなことに、こながやけどしたぶぶんにふちゃくするといたみがひいていくのがわかりました。
「ありがどう!!!でも、おなかへったよお!!!」
 おもいがけないやさしさにすがろうと、ひっしでこびたわらいをつくります。ですが、おねえさんはすでにおらず、すこしずつこながふってくるだけでした。しかたがないのでそのこなをなめとってみると
「うめえ!!めっちゃうめえ!!!」
 いがいにおいしかったのです。こむぎこはゆまりさにとっていちばんのゆっくりフードになりました。


 きょうはぜんぜんゆっくりできなかったふたりは、ざんねんにおもいながらそのばでねむることにしました。
 ねるまえふたりできょうのできごとをおもいだします。はなすことはなぜおうちにかえれなくなったかということ。
「ゆ、はやくかえりたいね…!!!」「……まりさのせいだもん!!!こんなところこなければ!!!」「ゆゆゆ!!!れいむはひとのせいにしすぎだよ!!!」「しらないよ!!!まりさなんてあのときしんじゃえばよかったんだ!!!そしたらわたしだけゆっくりできたもん!!!」「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ!!!」「しね!!まりさはゆっくりしね!!!」
 ふたりのメモリーにはじめてズレがうまれました。ゆまりさはともだちへのもうしわけなさ、ゆれいむはともだちへのにくしみ。じぶんのなみだがやけどのあとにふちゃくしなかなかねむれないゆまりさと、おなかいっぱいたべてすでにかいふくしおえぐっすりねむるゆれいむ。
 ふたりはよりそうことなくねむりました。

 くもりのきょう、ゆまりさは、はやめにめがさめました。もうふたりでゆっくりおきることはないでしょう。いまだねいきをたてるゆれいむをしりめにだっしゅつできないかもさくします。ひとりではいいあんがおもいうかびません。でも、もうゆれいむはたよりたくありません。
 ゆれいむがおきました。きのうのごはんののこりをわざとおおきめのおとをたてながらそしゃくします。
「これ、めっちゃうめえ!!!」
 ゆまりさにはあさごはんはありません。こむぎこがふるのはおねえさんがきたときだけのようです。


「あら、いい感じじゃない。」
 おねえさんのこえがきこえました。なんとかだしてもらえないかとゆまりさはかんがえます。
 あれこれかんがえているうちに、おねえさんはゆれいむにおみずをあげはじめました。
「すっきりー!!!ゆっくりできるね!!!」
 ああ、じぶんもかわいたすいぶんをほきゅうしたいのに。ゆれいむはそんなじぶんのきもちなどおかまいなしにみずをのみ、あびます。
 もはや、こちらにわけようとするいとすらないようです。 
 おねえさんはじぶんのほうにはなにもせずにさっていきました。こむぎこもくれません。おなかもすきました。

 ひざしがでてきました。くもりだったほうがましだったのに。ひのひかりはようしゃなくすいぶんをうばっていきます。ゆれいむはけさのすいぶんほきゅうでよゆうそうですが、ゆまりさにはきびしいひざしです。
「そろそろね。」
「こっちはどうするの?」
「そっちはあとで使うわ。」
 おねえさんたちのこえがしました。はっせいきかんもかわき、こえがでません。ゆれいむはいぜんとしてこびたこえでおねえさんたちにたべものをさいそくしていました。

 ちいさいおねえさんがゆびをならしました。なにも、おきなかったようです。

「ゆ゛ゆ゛ぅぅぅ!!!」
 いいえ、なにかがおきたようです。ゆれいむがこえをだしはじめました。かぜをきるはおとがしました。ゆれいむのほうをみると、たいりょうのきいろいのにおわれてはしっていました。
「はぢざん!!れいむじゃなぐで、までぃさのほうにいっでね!!!」
 もはやともでもなんでもなくなったらしく、じぶんのほうへいくようにさけびながらはしっています。しかしきのうとはちがい、なにもかんじません。きのうのじてんだったらさびしくおもえたのに、いまはなにもかんじません。
 すいぶんぶそくとくうふくがしこうをそがいしたのかもしれませんし、じぶんじしんもゆれいむのことがきらいになったのかもしれません。

 こんどはおおきいおねえさんがゆびをはじきました。
「ゆぐぅぅぅ!!!!いだぁぁぁぁいぃぃ!!!」
 すると、ゆれいむのていめんぶからしょくぶつのつたがつきでてきました。そうか、きのうゆれいむがたべていたのはきっとしょくぶつのもとだ。じぶんはたべなくてよかった。
 からだがおもうようにうごかなくなり、ゆっくりにあわせてゆっくりうごいていたはちのむれがゆれいむにこうそくでせっきんしていきました。ゆれいむのひめいがきこえます。きっとそうぞうできないほどのげきつうなのかもしれません。
 ですが、どういうわけがこころがすっきりしました。ゆれいむがゆっくりできないざまをみてすっきりしました。
 はちのむれがとびさると、そこにはけいれんしてうごかなくなったゆれいむがいました。
「ま…でぃざぁぁぁあ!だず…げでぇ…ぇえぇ!」
 なにかいっていますがきこえませんでした。きこえないことにしました。

 おねえさんがゆびをならすおとがきこえました。しきりのけっかいがはずれたのがわかりました。

「お昼御飯、それよ。」

 おねえさんは笑顔でゆれいむをゆびさしました。いまならよわっているじぶんでもたべられるであろう。しかし…どうぞくをくうのにはいささかていこうが…。
 しこうしているとこむぎこがふってきました。こんどはゆれいむのほうに、です。

 まずい!このままではゆれいむがかいふくしてしまう!!!

 いぜんのけいけんじょう、こむぎこをあびるとわずかながらかいふくすることはわかっていました。かんがえるよちがなくなり、いそいでゆれいむをたべてしまおうというけつろんにいたりました。ここでうごかなかったらたぶんじぶんがくわれる。このうらぎりもののゆれいむだったらまちがいなくそうするであろう。

「がぶり!!!しね!!!ゆっくりしね!!!」「あぁぁぁぁ!!!!やべでぇぇぇえ!!!!」
 なりふりかまわずゆれいむにかじりつきました。すいぶんにとみ、あまくおいしいあんこがじぶんのたいないにはいってくるのがわかりました。ゆれいむからでたつたのぶぶんをたべないようにおいしいあんこだけくいつくすことにしました。
 いぜんふりつづけるこむぎこがゆれいむのきずぐちにはいりおいしさのコントラストをかなでます。

「じゃあ、今日のお勉強は…」
 食べる事に夢中になったゆまりさは、再び鏡面世界に踏み込んだ事に気がつかなかった。感じる熱も気にならない。食欲の充足だけが今できる最高のゆっくりだから。
 ふりつづける小麦粉、湾曲する上面結界。レンズが集めた光は再びゆまりさの帽子を襲い火を、

 結界内を駆け巡る赤黄色の焔の花。見事に咲き狂い、散華した。
「これが粉塵爆発。爆発物は密室の方が高い効果が期待できるわ。」
 結界が解かれた後にはそこに居たゴミクズの痕跡が残っていた。
「空気中に散布された小麦粉に…」


 わずかにのこったいしきもなくなり、なにもきこえなくなりました。さいごのさいごでゆっくりできただけさいわいかもしれないです。ゆれいむはさきにいってしまったし、これからさきはじぶんひとりでゆっくりしなくてはいけないのです。そもそもこのさきゆっくりできるのでしょうか?
 きいてもこたえてくれるなかまはもういません。



 ゆまりさの最後のメモリーには、緑の髪は魔性の存在、黄色い花は死出の花、容量イッパイに刻まれていました。



 ~あとがき~
 ここまで読んでください有難うございます。 


 実のところ、早苗さんに虐待してもらおうと思ったのですが、僕には出来ませんでした。早苗さんの可愛さは異常すぎます。
 雛も本当に可愛いです。有り得ないですよ、風神録は。ハイレベルな緑髪二人も出しちゃうなんて。

 ええ、僕の主張はいいとしまして、いつもどおり虐待っていうかなんというかよく解らん話になりました。ひらがなはやりすぎた感も強いです。しかも書き難いし、スペースキー押したくなりますし。
 何はともあれ、少しでもゆっくり虐待活性に助力できればいいかなと思います。あと緑髪信者が増える事を祈ってます。
                                                Y・Y






タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年09月14日 11:31
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。