幽々子×ゆっくり系1 死を操る程度の能力

お饅頭がまた一つ減った。
冥界の中でもずば抜けて目を見張る程に大きいお屋敷に住む
亡霊のお嬢様、西行寺幽々子は、冥界と顕界の境界が
薄いのを良い事に、庭師にも内緒でこちらに遊びに来てしまっていた。
せっかくだからこちらの饅頭でも、と思い、人間の里に赴いてみるものの、
やはりこんなご身分だからか、やはりほんの少し生者から避けられている気がしてしまう。
――これは恐らく"幻想郷縁起"と呼ばれる幻想郷の歴史を書き綴った
書も少なからず影響している筈であろう。
何せ死を操る能力だ。生と死の境界線を持つ生者にとって、この
能力を持つ彼女の機嫌を損ねる事は、すなわち死と直結していると
思ってしまっても仕方がない。
別にそんなぽんぽんと殺す訳でもないのに――と、彼女はもう1つである最後の
お饅頭を口に放り込む。辰の刻にここを抜け出しても、もうすっかり
時はお昼だった。

「さて、妖夢も心配してるでしょうし、今日はもう帰るとしましょう」
ぽんぽんと自分の服をはたき、立ち上がる。

そして目の前には大量のゆっくりまりさやゆっくりれいむが転がっていた。
自分の頭で1分程度が刻まれる毎に自分の能力で無抵抗に通りがかりのゆっくり達の
息の根を止める。そして鐘が聞こえる度に数を数え、誤りが無いかを確認する。
最後に間違いが無いのを確認すると同時に彼女の体は
浮遊し、ふわりと何処かへ消えていってしまった。




「ありゃ、ゆっくりの死体だ」
「うわっ、こりゃすげえや」
里で暮らしている人間が程なくしてそこを通りかかる。
これも全て計算通り。幽々子が帰ったのは別に妖夢が
困っているのではないかと思った訳ではない。
「よっこらしょ…っと。うん、綺麗だ。こりゃいいや。里に戻って寺子屋の
慧音さんとこに持ってくとするか」
「しっかしこりゃすごい量だ。きっと寺子屋の子供達じゃ間に合わないなぁ」
…何せ辺り一面中にゆっくりの成体や赤子が散乱してるのだ。
この日暇をしていた人間達は、何十人もの人数でこの場所を行ったり来たりする事になる。


そして。
このゆっくり達は一日で里の人間達に平らげられ、
里の人間はこの誰の仕業とも分からない恵みに大層感謝したそうな。
そして白玉楼のお嬢様は予想外に自分の能力が役に立った事を知って、
ほんの少しだけ気分が良くなった。


■あとがき
短編です。考える時間も執筆時間もとーっても短いです。
本来人と接する事のあまり無いお嬢様も、こういった形で
人間と交流(?)を取ってるのも悪くないかなぁ、と。

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最終更新:2008年09月14日 11:38
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