白玉楼×ゆっくり系3 ゆっくり弾幕

「ゆーっくり♪ゆーっくり♪」
ここは冥界から程近い野原。人里離れ、妖怪も少ないため、ゆっくり達にとって理想的な生活環境になっていた。
今日も今日とて、沢山のゆっくりが食事をしたり、跳ね回っていたりした。
「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー!」
お決まりの台詞を吐きながら花を食べるゆっくりれいむ。
その体が突如として宙に浮いた。
「ゆっ?ゆゆっ?」
ひょっとして鳥にでも捕まったのか?それともれみりゃ?
恐怖に捕らわれそうになったれいむだが、頭を捕まれた感覚はない。よく見ると他のゆっくり達も沢山宙に浮いている。
「なんでー?どうしてー?」
まわりのゆっくりと考え込むれいむ。だが浮かんだ疑問は、すぐに消え去った。
生まれて初めての浮遊感。ふわふわと浮かんでゆく感覚が実に心地よい。
「たかーい♪ひろーい♪」
一緒になってはしゃぐゆっくり達。その数は優に一万を超える。心地よい一体感の中、皆一斉に叫んだ。
「「「ゆっくりしていってね!」」」

それより少し時間を遡った、ここは白玉楼。
幽々子と紫がお茶を飲んでいた。だが、その雰囲気は険悪なものだ。
「こしあんのほうが美味しいでしょうに。」
そう言って一匹のゆっくりれいむを口に頬張る幽々子。
「い゛だあ゛い゛い゛い゛い゛い゛ぶぴゅ!」
咀嚼され即座に絶命する。
「貴方は粒あんのことをちっとも分かっていないわ。」
紫がゆっくりまりさを摘んで二つに割る。
「や゛べでえ゛え゛え゛え゛え゛ぶばっ!」
「見てご覧なさい。この小豆、これが大事なのよ。小豆と餡子。分かる?その境界を味わうのが粒あんの醍醐味なのよ。」
説明すると紫は、ゆ゛っゆ゛っと痙攣するまりさの片方を口に運んだ。お茶を挟んで、残った方も食べる。
「分からないわ。貴方長生きしすぎて感性が磨り減ってきたんじゃないの?
だからそんな理屈っぽいんじゃないかしら。心の赴くままに味わうのが一番よ。それにはこしあん。」
「駄目よ。そんな浅はかだから千年たっても未だにトゥシャイシャイガールなのよ。もっと思考を働かせないと。だから粒あん。」

またこれか。妖夢が呆れた顔をした。
二人はほぼ一年ごとに、この餡子論争を始める。
そうして結局はお互い説得出来ないまま、次の論争が始まるまで緊張状態を維持し続けるのだ。
今回は紫がお土産にゆっくりを持ってきたのが発端となった。

「じゃあ出ましょうか。」
「そうね。貴方のお家を壊すのは気が引けるし。私は貴方を潰せば満足ですもの。」
二人は空に舞った。
妖夢は茶を持って縁側に座った。毎度の弾幕勝負が始まる。巻き込まれたらひとたまりもない。どうせそのうち疲れて帰ってくるだろう。
だが今回は勝手が違った。

白玉楼の上空。二人が手をかざすと、遠くから何か丸いものが沢山飛んでくる。
「?」
妖夢が目をこらして見るに、それは大量のゆっくりだった。およそ一万。
幽々子と紫が、一匹のれいむを、まりさを、手に取った。
「じゃあ始めましょうか!」
言うが早いかれいむを投げつける幽々子。
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛う゛っ?」
「相変わらず単純ねえ。」
言いつつまりさを投げる紫。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
二人の間で、れいむとまりさがぶつかり合う。激しい衝撃で二匹は瞬時に四散した。
残りのゆっくりが絶叫する。
「な゛ん゛な゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛!」「や゛め゛でえ゛え゛え゛え゛え゛!」
それに気を取られた風もなく、二人はお互いの距離を測っている。
幽々子が手をかざす。十匹ばかりのれいむが飛んでゆく。それを簡単に避ける紫。
だが、通り過ぎたれいむは放物線を描いて反転し、紫の背後から襲う。
上昇して逃れる紫、舌打ちする幽々子。
「今度はこちらの番ね!」
紫の傍のまりさが二十匹程横に飛ぶ、明後日の方向に飛んだそれが瞬時に消えた。
「!」
位置を変える幽々子。空間を渡ったまりさが通り過ぎた。
「やるわね。」
「あなたもね。」

繰り返される二人の攻撃と沸き起こるゆっくりの絶叫。妖夢は為す術もなく見るしかない。
段々とヒートアップした二人は遂に大技を繰り出した。

ゆ曲 「リポジトリ・オブ・ユックリ -菓霊-」
己の行為のために死んだゆっくりの、魂すら材料に使う鬼畜技。
結界「生と死のゆっくり」
ゆっくりとゆっくりの死体が断末魔の形相のまま襲いかかる攻撃は、常人なら発狂レベルの代物である。

決着の付かないまま必死の応酬が続く。

「反芻菓 -腹八分目-」
半霊半消化状態のゆっくりが元の姿を求めて対象を襲う。
紫奥義 「ゆっくり結界」
対象の回りを囲んだゆっくりが収束・凝縮し、それを逃れたとしても爆発状態の餡子が襲いかかる必殺の技。

大量の餡子が降り注ぐ。
「やめてくださあいいいいい!掃除するの私なんですううううう!」
妖夢の絶叫が白玉楼に響き渡った。

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最終更新:2008年09月14日 11:39
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