注意)ピグロ、失礼微グロかもしれません。
「えーりん!! えーりん!!!」
「何ですか姫様?」
「ちょっと出かけてくる!!」
「またコンビニですか?」
「違うわよ」
竹林を抜け、森に入り、さらに奥へ進む。
途中出てくる低級妖怪を粉砕し、黙々と奥へ奥へと進んでいく。
そして、輝夜がたどり着いたのは、森の奥底に存在するゆっくりプレイスと呼ばれる場所であった。
人間には場所を知られていない、ゆっくり達の桃源郷。
ゆうに三桁は居るであろうゆっくりを統括するのは、三体のドス魔理沙である。
全ての議題はこの三体のゆっくりの多数決で決められ、それに基づいて他のゆっくりが行動する。
おかげで、この群は突発的な天災の被害はあったものの、越冬にも長雨にも一匹の脱落者を出すことも無く乗り切っている。
それは、群のゆっくり全てが概ね優秀ということでもあるのだが……。
「ゆゆ!! みんなおはようね!!」
「きのうみんなで、いっぱいごはんをあつめたから今日はお休みにするよ!!」
「みんなでゆっくりすごそうね!!!」
ドス達の言葉に、起きだした各家族が一様に歓声をあげる。
大抵は一日おきに休日が入るのであるが、ゆっくり達はその事に気付いている様子も無い。
まぁ、サプライズと思っているほうが喜びも増すのかしら。
そんな事を考えながら、遠目でその様子を観察していた輝夜は行動を開始した。
「……」
と言っても、行動は単純に群の中へ歩み出るだけであるの。
「!!!」
「ゆゆゆ!!」
「にんげんだよ!! にんげんだよ!!」
しかし、温室育ちと言っても良いこの群には、ただ人間がやってきたと言うだけでも十分効果があった。
一部の親達は急いで子供達を巣へと向かわせ、自分も赤ちゃんを口に入れ戻る。
他の家族も、それぞれに寄り添い、震えあいながら輝夜を凝視する。
「にんげんってゆっくりできないの?」
「むきゅ!! どすがいってたわ!! にんげんはかわいいゆっくりたちをころすのもいるって!!」
「でも、とかいはのにんげんのなかには、やさしいにんげんもいるっていってたわ!!」
「ゆ~~、……わからないね!!」
「ゆっくりどすのはんだんをきこうね!!!」
多くのゆっくりがドスの方を見る。
そこには既に、輝夜が立っていた。
その気品溢れる姿は、愚かなゆっくり達の中で一層際立つものである。
「今日は。ご機嫌いかが?」
ゆっくり相手にも華麗な、優美な態度で接する。
幾らかは地であるのだろうが、それはゆっくり達には分からない。
「ゆ!! みんなゆっくりしてるよ!! おねーさんはなにしにきたの?」
一匹のドス魔理沙が問いかける。
本人的には動揺を隠しているつもりなのだろうが、すぐに核心に迫ろうとするあたり、人間相手にはあまり意味がない。
「ええ。ちょっとここのゆっくり達に用事があって来たのよ」
「よーじ?」
もう一匹のドスが尋ねる。
「そう。用事」
「まりさたちに、なんのようなの?」
時たま人間の姿が視認出来るところまで出向くことはあるが、基本的に人里まで行くことはない。
それこそ森の恵みは大量にあるので、危険を冒して人間のところから食べ物を持ってくる必要は無いのだ。
だからこそ、人間がここまで来る用事が分からない。
越冬前に頼ることがあるのはゆっくり側であり、人間達が頼ることなどまずないのだ。
そもそも、ドス達の存在を人間達は知っていても、場所までは知らない。
それは、畑を荒らすことの無いゆっくり達との、暗黙の了解のようなものであった。
「簡単な事よ。良く聞いてね」
ニコリ。
と、屈託のない純な笑顔をあたりに振りまきながら、そして近くに残っていた赤ちゃんゆっくりをなでながら、話す。
「ちょっと、……ね」
ゆっゆ♪ と、甘えた声を出して喜ぶゆっくりをみながら、話を続ける。
「ここに居るドス魔理沙を殺そうと思って」
傍から見れば冗談に見えるだろう、しかし、ドスにはそうはいかなかった。
「ゆゆ!! おねーーさんなにいってるの?!! まりさたちはなにもわるいことしてないもん!!」
「ぷんすか!! そんなこというのはきっとわるいひとなんだね!!」
「ゆっくりおしおきだよ!!!!」
地面を揺らしながら、体全体を使い威嚇し、攻撃心をむき出しにする三匹のドス魔理沙。
未だ攻撃をしてこないのは、その人間の傍らに一匹の赤ちゃんゆっくりが居るから、そしてどこまで本気なのか見極める為だろう。
「おちびちゃん!! ゆっくりこっちにきてね!!!」
赤ちゃんの危機に、母親であるゆっくり霊夢が走りこんでくる。
「ゆゆ!! わかっちゃよ!!!」
異常事態を感じ取ったらしい赤ちゃんも、母親の言いつけ通りこの場を去ろうとした。
「ぶべ!!!」
だけ、であった。
既に、赤ちゃんゆっくりだったものは小汚いシミとなり地面を汚していたからだ。
「あ、ああ!! れいぶのめごいあがじゃんがーーー!!!!」
幾分、距離は離れているが、そこからでもシミは十分確認することが出来た。
同時に、赤ちゃんが既に死んでいることも……。
「あらあら」
それを見つめる輝夜。
まるでアリが運んでいく死骸を見るような、感情のこもっていない目でそれを見つめて居る。
「と゛う゛し゛て゛ーーー!!! ごうしでこんなごとするのぉーーー!!!!!!」
その母霊夢の絶叫は、群全体に響き、当然ドスの元へも届く。
一匹のゆっくりが殺されたことが、温厚なドスを本気にさせたらしい。
「ゆゆゆ!! これはかんかできないよ!!」
「おねーさんにもばつをうけてもらうしかないよ!!」
「めに、わめを、はに、わはをだよ!!」
ドスの対応は早かった。
次の瞬間には巨体を活かし輝夜を囲い込み、胞子を飛ばす。
人間でも強制的にゆっくりさせる効果がある、所謂幻覚作用のあるきのこの類を振りまく。
「ゆ!! どすたちはにんげんにりかいがあるから、めったなことじゃころさないよ!!」
「ゆっくりさせて、あやまってもらうよ!!」
「そのあと、ばつとしてたくさんのたべものをもってきてもらうよ!!!」
少なくとも、人間よりも上位の立場であると考えている発言。
事実、知略の無い者であったら、ドスを相手にすることは難しいであろう。
「……で、これが何かしら?」
少なくとも、蓬莱人である輝夜には関係の無いことであるのだが。
降り注ぐ胞子を払いながら、ドス達に尋ねる輝夜。
それは、どこか期待を外されたような口調だった。
対するドス達も、少し様子が違っていた。
「ゆ!! ゆっくりこーせんがきかないんだね!!」
「だったら、さいしゅうしゅだんにうったえるしかないよ!!」
「おねーさん!! あやまるならいまのうちだよ!!!」
そう言うドスの顔はどこか楽しげで。
ゆっくり光線が聞かなかった事を、さして問題にしていないようである。
今回は、ドスパークという殺傷力のあるモノを使っても、自分達には何のお咎めも無い。
むしろ、久しぶりに撃つ絶好の機会だ。
つまり、早い話が、ドスパークを撃ちたいのだ。
目の前で、何かを考えている輝夜に。
「んーー……。! ああ。足りなかったのかしら?」
当の輝夜は、何かを思案しているようで。
「ゆーん!! ゆーん!!! っんっべ!!!」
そして、自身が導き出した結論に沿って行動した。
森の中で、戯れに拾った一本の枝。
それを武器に名称を変え、未だ泣き続けていた母霊夢に突き刺す。
「あ、あがが!! ……ゆっくり……しね!! あかちゃんを、ころしたにんげんはゆっくり……しね!!」
最後の最後まで、目の前に立っている人間をの罵りながら、母親も息絶えた。
「…………」
「…………」
言葉が出ないのは双方とも同じ。
違うことと言えば、ドス達は唖然と、そして自分達の対応の甘さを痛感していたところである。
最初からドスパークを使っていれば、こういう結果にはならなかったであろうという後悔だ。
そして輝夜は、薄ら笑いを浮かべ二つの塊を眺めているだけである。
「もう、あやまったってむだだよ!!!」
「あのれいむは、みんなのにんきものだったんだよ!!!」
「なさけをかけたまりさたちがわるかったよ!!!」
お遊びをしている場合ではないと思い直し、横一列に並びなおしたドス達は、それだけを呟くと口をあけて黙り込んだ。
直後に放たれる閃光。
それは、ドスパークが放たれた証である。
「っ…………」
大抵、これに曝された人間は逃げることなく巻き込まれ、そして死ぬ。
路上に飛び出した猫が車に驚いて動けない事と同じである。
後に残るのは、大量の砂煙であった。
「ゆ、……おわったよ」
「ばかなにんげんだったね」
「きょうぞんさえしてくれれば、いっしょにゆっくりできたのにね……」
その砂煙が舞う中、遠くから見ていたゆっくり達の歓声にかき消されそうな声量で、呟く。
群の人気者だった霊夢を失った事は、ドスにとっても衝撃的なことであった。
「れいむ、……かたきはとったよ」
だから……
「もう終わりなの?」
聞こえるはずが無いこの声を聞いたときのドス達の表情が一層映えたのかもしれない。
「おおお、おねーーさん!!」
「どうしていきてるの!!」
「ゆっくりじょーぶつしてね!!!」
煙が散り、声の正体が明からになると、やはりそこには輝夜が居た。
自分達が殺したと思っていた、人物がそこにいた。
「どうしたの? もう終わりなの?」
その事に混乱し、ドス達は、口をパクパク動かしているだけで何も言えない。
いまや頭の中では、何か答えを出そうと、必死になって考えているだけだ。
「……き、きっと、うんがよかったんだね!!」
「!! そうだね!! こんどははずさないよ!!!」
「こーうんはそんなにつづかないんだよ!!!」
単純な回答だが、それなりに正しい。
結論は、もう一度撃ち込めば良い。
人間を焼き殺せるほどの威力を持ったドスパークを。
そして放たれる閃光。
「ふふ……、っ……」
腕が弾けるのが見えた。
それこそ、完璧に当たった証拠になり得る。
三匹も、その事で漸く緊張を解くことができた。
「にんげんからはたべものがもらえなかったね」
「しょうがないね、あのおちびちゃんたちのおせわをだらがするかそうだんしないとね」
「そうだね、れいむのためにも、きょーりょくしてそだててあげないとね」
視線の先には、先ほどつぶされた霊夢の子供達の姿。
母親の言いつけをキチンと守り、巣の中でじっと外の様子を伺っていた。
目に、大量の涙を浮かべながら。
そして、ドス達は、遺児になった子ゆっくり達だけで住まわせるつもりはないらしい。
貰い手を探し、その家庭に預け育てもらう。
そうして群の生存率を高め、加えて子供の信頼を得る。
ゆくゆく巣立ち、家庭を持ったときに自分達を信用する個体を増やすためだ。
「ちょっと」
それで、ドスの言うことをキチンと守るゆっくりが育っていく。
「こんなもので終わりなの?」
だから、この群はここまで発展することが出来たのだろう。
「スパークって言うから、あの白黒かお花っ娘みたいなのを想像していたのに」
そう、ここまで。
「期待外れだったようね」
どの家庭に預けるか、色々と相談していた会話に割り込んだ声。
その声の方向を見る。
そして、声の主を見るドス達の目は、既に人間を見るそれではなかった。
もっと恐ろしい、何かを見るような目で、そこに立っている輝夜を見つめていた。
「お、おねーさん!! いったいなにものなの!!」
開口一番に出た言葉がこれである。
おそらく、自然と出たのだろう。
「人間よ」
心底不思議そうに、且つ悪戯っぽく答える。
「ならなんで生きてるの!!!」
「なんでかしらね?」
自分が教えて欲しいと言うように、呟く。
「いたかったでしょ? これいじょういたいいたいしたくなかったら、たべものおいてかえってね!!」
「あらあら。いたい?」
先の二つが合わさった口調で、尋ねる。
「そうだよ!! いたいいたいだったでしょ!!」
「もっといたいいたいするよ!!」
「いやだったらかえってね!!!」
既にこれ以上の攻撃をあきらめ、自分達の、いや生物全てにあるであろう、痛いのはいやだ、と言う感情に訴える。
確かに、腕は飛んだ。
ならば痛さは相当のものであろう。
ゆっくり達にとっては、餡子をひねり出されるくらいの痛さだろう。
「たったアレだけで?」
しかし、輝夜は引かない。
むしろ、先ほどの言葉に納得がいかないようで、しきりに首をかしげている。
「そうだよ!! だっておてt「腕一本が吹き飛んだくらいで?」」
一匹のドス魔理沙の言葉を遮り、おもむろに自分の片腕に手をむけ、
「ゆゆ!!」
弾幕を放つ。
肩口より吹き飛んだ腕は鈍い音と共に地面に落ち、痙攣を繰り返している。
「なにやっでるのぉーー?!!!!」
それを見て、共食いを目撃したような声で叫ぶ、ドス達。
「で、これだけで痛い? 帰れ? なぜかしら?」
尚、も輝夜の問いは止まらない。
言葉を失っているドス達に近寄りながら、あふれ出る自身の生き血を舐め上げる。
どこぞの吸血鬼よりも、優雅に、である。
「おかーーしゃん!! こわいよーー!!!」
「いだいいだいよーー!!!」
「むっきゅーーー!!!」
「とととととととととと、とかいはの、あああああありずは、すぷらっだえーがだってけーけんずずずずずみよ!!!!」
既に他のゆっくり達は錯乱状態である、ゆっくり達のそれとは違い、人間のそれははるかにおぞましく、痛々しいものだからだ。
泣き叫び、機構に走り、餡子を吐き出し、痙攣して動かないものまでいる。
そんな声をBGMにして、輝夜はドス達に尋ねる。
「ねぇ? どうしたの? まだ撃てるんでしょ? ドスパークっていうもの?」
ゆっくりと、初めと同じような柔らかな口調で話す輝夜。
腕からは未だに血が流れているが、その痛みすら感じないような綺麗な笑顔を浮かべて、である。
「こ、こないでね!!」
「ゆっくりかえってね!!」
「おねがいじまずーーー!!!」
これには、ドス達にとっても辛いものであった。
逃げ出したい気持ちを必死にこらえ、心の置くからひねり出す文句を次々と並べる。
「どうしたのかしら? 私を殺すんじゃなかったの? ほら、さっさと殺しなさいよ。なんだったら、肉を切り裂いて腸を掻き出し、空けた空洞から中を貪っても良いのよ?」
こんな風に……
そう話す輝夜のそこは、既に夥しい血が流れ、脈打つ心臓が見え、手には動いている腸が握られている。
そして、取り出した腸で自身の首を絞め上げる。
「!!!!」
本能が上回ったのだろうか、それとも本格的に危機を察したのだろうか?
全身傷だらけの輝夜に攻撃するでもなく、ただただ地面を揺らして後ずさりする巨体が三つ。
それらは、人間に畏怖を与え、少しでも自身の保身を図る事の出来るゆっくりである。
飛び出した手は再生し、首を絞めていた縄も元の場所へ収まった輝夜は、静かに下がっていくゆっくりを追いかける。
「こないでね!!! こないでね!! ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!!」
「ごめんなざいーーー!!! かえっでくだざいーーーー!!!」
「なんでもずるからゆるじでーーーー!!!」
既に、他のゆっくりとかわらぬ、ただ悲鳴を上げるだけのゆっくり。
泣き叫び、命乞いをし、ただひたすらに許しを請う。
ただ図体がでかいだけのゆっくりに成り下がったのだ。
「……」
それを見て、一瞬だけ眼光が鋭くなった輝夜は、何を言うでもなく、一匹に狙いをつけると、弾幕を発し、一瞬で物言わぬ餡塊に変えた。
「ほら、ドスパーク。まだ撃てるんでしょ?」
そして、発した言葉はそれだけ。
次の瞬間には、残ったドスが必死にドスパークを放っていた。
一発。
また一発。
その場にいる誰も言葉を発しない。
ドスパークの発射音と、飛び散る肉塊の音、それに餡子を吐く音だけが響く。
しかし、それも何時までも続かない。
「……もう!! もうでないーーー!!!!」
「ごめんなざいー!!! もうゆっぐりざぜでーーー!!!!」
とうとう限界が来たドスは、撃つことを止めた。
己の最大の攻撃手段を打ち終えたとは思えない台詞をはきながら。
そして、輝夜がゆっくりと手を上げるのが見えた。
「……そう。さよならね」
それが、己の最後だと悟るのに、時間は余りかからなかった。
大きな広場に餡の塊三つ。
蓄えてある食糧と合わせれば、今年の冬は越せるだろう。
しかし、長のいなくなった群が来年の冬も越せるのかは分からない。
「どずーーー!! どずーー!!!」
「ゆっくりしてね!! どすはゆっくりしていってね!!」
「むきゅーー!!! どこにいっだのーー!! あじだのぞーだんをじまじょーー!!!」
「わからないよーー!! わからないよーー!!!」
「……つまらない」
絶え間なく聞こえるゆっくり達の悲鳴を聞きながら、輝夜はその場を後にした。
「あ、お帰りなさい姫さ……ま?」
輝夜の姿を認めた鈴仙は、その姿を見て、挨拶を尻すぼみに閉じてしまう。
漸く帰ってきた輝夜は、既に布切れとかしていた服を纏っているだけであったからだ。
「ただいまイナバ。悪いんだけど、着替えを持ってきてくれないかしら?」
本人はそんな事を気にせず、何時もの調子で着替えを頼む。
「はっはい!! ただいまお持ちします」
私のほうが大きい。
謎の言葉を残して去っていった鈴仙を見送り、輝夜は縁側に腰掛ける。
既に日は落ち、黄昏の幕が藍色へと代わろうとしていた。
「お帰りなさい輝夜。どうでしたか?」
「永琳。……拍子抜けだったわ、そこら辺の三流妖怪の方がよっぽど楽しめた」
静かに隣に座った輝夜に目を合わせず、ただ事実を述べるように呟く。
「饅頭やはり饅頭ですから、……」
否定も肯定もすることの無い返答。
長い付き合いである二人には是非は関係の無いことだと、分かっているのだろう。
「そうね。それよりも、なんだかお饅頭が食べたくなったわ」
「今夜は満月ですから、団子が良いんじゃないですか?」
そう言って、空に浮かんだ月を見上げる。
自己主張することも無く、それでいて人々から好かれる綺麗な円を描いている月は、朧げにその姿を振りまいている。
「姫様!! 着替えをお持ちしました!!」
「ご苦労さま。ついでにお団子を作ってくれないかしら?」
「え、いや~~♪ 私はお団子ほどもありませんよ~~♪」
「うどんげ? 頭でも打った?」
輝夜の着替えを手伝っている永琳が、訝しげな顔で優曇華の顔色を伺う。
薬師として、また師匠として部下の健康を心配するような目、では無いが。
「いっいえ!! 直ぐに作ってきます!!!!」
顔を真っ赤にした優曇華は、勢い良くその場から立ち去り、調理場へと向かっていった。
途中、先立って差し出された日本酒を永琳と二人で飲み、程よく酔いが回ってきたところで、大皿にいっぱいの団子を載せた優曇華がやってきた。
それからは、てゐも交えて月見酒。
暫くたつと、泥酔した優曇華に寄り添って眠るてゐ。
静かに黙々と飲む続ける永琳。
団子を肴にお酒を飲む輝夜が、その様子をじっと見詰める。
既に、あのドス達への興味は無かった。
最終更新:2011年07月27日 23:25