慧音×ゆっくり系9 ゆっくり奇々怪々(下)

※これはfuku2324.txt「ゆっくり奇々怪々(上)」
fuku2358.txt「ゆっくり奇々怪々(中)」 の続きです。
独自設定・解釈あり注意。制裁メインです。





慧音の語りが終わった部屋は静まり返っていた。
「・・・以上が、私の推測だ。」
男も青年も黙っている。
しかし、二人とも同じことを考えていた。
慧音の言うことが恐らく本当なのだろうと。
昼間の二匹の姿を見ていれば、なおさらだ。
「慧音様、我々はどうすればよいのでしょうか?」
男が縋るように尋ねる。
「そうだな、成りたての低級相手とはいえ、妖怪となれば
話が変わってくる。私と、妹紅の二人で退治をしよう。」
「あ、ありがとうございます!!お願いします!!」
畳に額を打ち付けるような動きで頭を下げる男。
「そう畏まらんでも、当然のことだ。」
「では、これからの動きは?」
青年が口を開く。
「すぐに妹紅に連絡する。今夜中にあの二匹が再度襲ってくるとは
考えにくいが、この村以外の人を襲う可能性もある。」
「わかりました、村の者にもそう伝えます。」
青年が席を立つ。
「頼む。・・・ただでさえ満月が近いのだ。」
月を眺めながら言う慧音。


満月の光は妖の者にとって、明かり以外の役割を果たす。
例えば半妖である慧音は、満月の夜には角が生え、妖獣となる。
妖ゆっくり二匹が満月にあてられた時、更に力を強めてしまう可能性がある。
迅速な駆除を願う村人達にとって、それは何としても避けたい事態であった。


「・・・・・?」
ふと、月を見上げる慧音の眉がひそめられる。
「待て。」
「何でしょうか?」
部屋を出ようとした青年、男を呼び止める慧音。
「日めくりはあるか?」
「?ありますが・・・。」
若干怪訝な顔で「どうぞ」と日めくりを慧音に渡す男。
慧音はそれを手に取ると、今日の日付を見る。
今日は何の日だ?
忘れる筈が無いのに。



「!!い、いかがなさいました?」
突然勢いを持って立ち上がった慧音に言う男。
「すまない、二人とも・・・・私は行かねばならん。」
「え?」
「妹紅もこの件には関われないだろう。今は説明してる暇がない。」
「そ、そんな!!急にどうしたのですか!?」
慧音の言葉に取り乱す男を、しかし青年は制した。
「どうしても、行かれるんですね?」
「ああ。」
いつも真面目で落ち着いた表情の慧音だが、今は違う。
目が据わっている。居合わせたのうかりんまでもが気圧される程に。
青年は思い出していた。
慧音のこの表情は、大きな異変が起こった時のものだと。
時たまこの表情でふらっといなくなり、異変を鎮めて帰ってくるのだ。
「あの二匹の退治よりも、大変なことなのですね?」
「・・・・おそらくはな。」
「わかりました、お気をつけて。」
そう言うと青年は、部屋の出口へ道をあける。
「すまんな、礼を言う。」
「ちょ、ちょっと・・・・。」
「無論、策は預けていく。」
蚊帳の外で取り乱す男に、慧音は言う。
「奴らが私の思ってる通りの存在なら、戦いようはある。」








夜の森は、絹を裂くような悲鳴に満たされた。
「ゆっへっへっへっへ、おじょうちゃん、うんがわるかったんだぜ!!」
「いいえまりさ、このにんげんはわたしたちのちにくとなるのよ。こううんなことじゃない!!」
「い・・・・いやぁ・・・・。」
悲鳴の主、少女は尻餅をつき、二匹から離れようと後ずさっている。
少女は森向こうの村から山菜を採りに来ていた。
日が落ちないうちに帰るつもりが道に迷ってしまい、暗い中を彷徨ううちにこの二匹に出会ってしまった。
「こ・・・・来ないで!!」
少女は目に涙を溜め、二匹に向かって左足を突き出す。
「ゆふ~ん♪あしからたべてほしいんだねぇ♪」
「ひっ!!!」
蹴りだした足をまりさが口で受け止める。
とっさに足を引くと、履物がずるりと脱げ、まりさの牙の奥に消えた。
「ゆっ?」
「まあ、このこったらじらしじょうずね!!ありすこうふんしてきちゃったわ♪」
「え?・・・・・い、いやあああああああああ!!」
思わず手で顔を覆う少女。
ありすのあごの下に、ゆっくりのものとは思えないような長大な生殖器が現れた。
「や、やだぁ、やだ!!」
「さすがありす!!しょくよくとせいよくをどうじにみたすんだぜ!!」
「うらむならこのにじゅうさんせんちのでかぺにぺにをうらむことね!!
ありすがすっきりさせてるあいだにまりさもたべるといいわ!!
おんなはきょうふをかんじるとよくしまるんですって!!!」
ああ、自分はゆっくりに犯されながら、喰われながら無惨に死ぬんだ。
その光景を頭に浮かべた少女は、せめて現実から目をそらす為にぎゅっと閉じた。




「お待ち下さい。」
「・・・・ゆっ?」
少女に飛びかからんとした二匹は、松明の光に照らされ、背後からの声に振り向いた。
見れば、ブリーダーの青年を中心に村の若衆三人が立っていた。
「なんなのよ、きょうがそがれるわね!!!」
「まりさたちはこのおじょうちゃんをむしゃむしゃすっきりさせる
ところなんだぜ!!じゃまするとひどいんだぜ!!」
細長い瞳を怒りで染め、歯を剥き出しにして威嚇する妖ゆっくり。
「滅相もございません。私どもはあなた方を村へ招待したく参りました。」
「しょうたい?」
「まず、昼間は村の者が粗相を。お詫びと言ってはなんですが・・・。」
と、青年は一抱えもある籠を二匹の前に差し出した。
「これは村の山菜、珍味などを集めたものです。どうぞお受け取り下さい。」
「「ゆっ♪」」
食べ物をにおわせる言葉に反応する二匹。
「これはほんの手始めにございます。皆様の雄姿に村の者はみなたいそう
感激致しまして、お二人を村の長として迎え入れたく思っています。」
「「!!!!」」
これには二匹も驚きを隠せないようだった。
しかし一瞬後にはその頬がだらしなくゆるむ。
「ゆふふふふ、ようやくあなたたちもとかいはのわびさびをりかいしたようね♪
りーだーのそしつはわたしたちがかんぺきにそなえているわ!!」
「わかればいいんだぜ。まいにちまりさたちにみつぎものをけんじょうするんだぜ!!!」
「無論でございます。食べ物はもちろんのこと・・・・」
と、青年はいまだ状況がつかめず怯える少女に目で合図する。
(安心して)
「・・・・皆様の夜伽の相手も献上する所存です。」
「ゆ?ありす、よとぎってなんなんだぜ?」
「ゆふふ、すっきりすることよ♪」
ありすの牙の間から涎がだらだらと垂れていく。
「それでは、村へご案内いたします。」
「はやくするんだぜ!!」
「・・・・あ、ひとつ言い忘れました。」
「「?」」



「お二人は饅頭以下の糞袋です。」



「「・・・・・ゆ?」」
「こっちへ!!!」
二匹が唖然としている間に、青年は二匹の背後の少女に手を伸ばす。
「・・・・っ!!」
少女は勇気を振り絞って起き上がり、二匹の上を飛び越えて青年の腕へ飛び込む。
同時に、青年は二匹に向かって先ほどの籠を蹴りとばす。
蓋が外れ溢れてきたのは珍味でも何でもなく、駄ゆっくりですら食わないような腐臭を放つ生ごみの山だった。
それが二匹に覆いかぶさる。
「「ゆ・・・・ぐち”ゃいいいいいい”い”い”い”!!!!」」
横の若衆二人が、生ごみに向かって持っていた松明を投げ入れる。
すると、引火して生ごみは大きな火をあげ燃えだした。
「灯油入り生ごみは如何か・・・・なっ!!!」
少女を抱えた青年を先頭に、燃え盛るごみ山から走り去る一同。
背後からの熱気に、このまま二匹が焼け死んだのでは
ないかという淡い期待が青年の胸を過った。
しかし。
「ま”でええええええ”ェェェェェェ”ッ!!!!!」
四人の目の前に燃え盛る籠が落ちてきた。
思わず振り向くと、ぶすぶすと少し煤けた二匹が、炎を背に悪鬼の表情。
「ゆっぐりくいちらかしてやるウゥゥゥッ!!!」
「ぺにぺにをねじこんでやるワッ!!!!」
「・・・・甘かったか。」
再び逃げ出す。


「まりさたちをだますなんていいどきょうだぜッ!!!にがさないぜェェェ・・・・」
「やはりいなかものにはくろくてぶっといおしおきがひつようなのよオオオオ!!」
二匹は叫びながら、四人に追いすがろうと跳ねている。
ばきばき、めきめきと木を蹴散らして行く。
休んでいた鳥達が慌てて飛び去って行く。
そこにがち、がちという音が加わる。
牙を盛大に噛んで鳴らし、獲物に恐怖を与えようとしている。
月明かりの下での、小さな、しかし醜悪な百鬼夜行であった。


妖ゆっくり二匹を背に、三人、特に少女を抱えた青年は息を切らしていた。
「ぜ・・・・はぁ・・・・」
「だ、大丈夫?」
「はあ・・・大丈夫、それより舌噛むよ。」
少女の気遣いに若干の余裕を取り戻し、思考する。
(村はもうすぐだ。上手く行けば・・・・!!)


二匹は見ていた、逃げる四人の向こう、村の明かりを。
「ハッ!!ばかなにんげんどもだぜ!!けっきょくむらにあんないしてるんだぜ!!!」
「もうつんでれなんだから!!!!あんなことしなくても
      • クイコロシテアゲルノニイイ!!!」
やがて四人は村の入り口に入った。



村では村人達が村に入ってすぐの広場を松明で囲み待ち構えていた。
「おい、見えたぞ!!!」
走ってくる四人を確認し、若衆が叫ぶ。
先陣をきっていた青年が村人達の輪に飛び込む。
「ぜぇ・・・・ぜぇ・・・・作戦通り・・・来るぞ!!!」
青年の一言で森の方へと身構える一同。
やがて。
「もうにげられないんダゼエエエエエエ!!!」
「すっきりサセナサイイイイイ!!!!!」
煤けて黒く、牙から涎を垂らし、眼を爛々とぎらつかせたまりさとありすが突進してくる。
二匹が、村の門をくぐる。
「今だ!!!!!」



まりさは大きく口を開けた。
目の前に見える青年の喉笛に食らいつくためだ。
その視界が、格子状に区切られる。
同時に、鼻面に鋭い痛み。
格子状の何か・・・・門の上から降ってきたゆっくり用の檻に阻まれたのだ。
「ゆぎいいいい!!!こざかしいんだぜええ!!!」
ふと、隣のありすをみると、ありすも同じように檻に捕らえられている。
「い”な”か”も”の”のぐぜにいいいいい!!!!ゆっくりこわしてやる!!!」
「ゆっ!!!こんなおりいちころなんだぜ!!!!」
二匹は格子に食らいつき、そのまま食い破ろうとする。
丸太をも咀嚼する顎だ。このくらい二匹には飴細工のように思えた。
だが、違った。
「なんでええええ”!!でれないいい”!!!」
檻はどう噛み付いても傷一つ付かない。
村人達はそんな二匹の様子を無言で見下ろしている。
少女が、村長の息子に連れられ、広場から離れる。
これから現れる光景は見せてはいけない。



変化は檻の中で起こっていた。
「ゆ・・・・い”だい”い”い”い”い”い”い”!!!!や”げる”!!!!お”く”ち”がや”げる”ウ”ウ”ウ!!」
まりさが突然叫びだす。
「ゆっ、なにいってるのまり・・・ゆぎゃあああああ”!!!まりざのおぐぢがあああア”」
まりさの口から煙が上がり、シューシューという音とともに牙が溶けている。
「あ”づい”!!!あ”づい”よおおおお”!!!」
「だいじょうぶま”り”ざああああ・・・あ”り”ずも”い”だいいいいい”!!!!」
やがてありすの口からも煙が上がり、二匹そろって口が溶ける激痛を味わう。
青年が檻に近づいていく。
二匹は彼に悪態をつく余裕もない。
「ゆ”ぅ・・・・あ”ああああ”!!からだもいいだいよおおお”!!!」
叫ぶまりさ。体の檻に触れている部分には格子状の傷跡がつき、煙を上げている。
隣のありすも同様だ。
「ゆっくりはねるよ!!・・・・はねでも”いだい”いいい”!!」
接している部分を離そうと跳ねるが、まりさ達の大きさでぎりぎりの檻だ、すぐに頭が天井に着く。
「あ”だま”い”やあああああ”!!!がぢゅーしゃどげるううううう”!!!」
じっとすれば底面が。噛み付けば口が。跳ねれば頭が。
二匹の体が、歪な格子状の模様に包まれる。
青年はしゃがみ込み、苦しむ二匹と視線を合わせる。
「だずげでええええ”!!!お”に”いざんん”!!」
「一つだけ教えてやろう。」
「ぞんなごどいい”がら”だずげでよおおお”!!」
「その檻はな、おじいさんの使っていた檻だ。」




妖怪は物理攻撃に強い分、精神的な攻撃に弱いと言われている。
名前や、その妖怪にとって「謂われ」のある武器を使うのが効果的なのである。
この妖ゆっくりの場合はどうか?
まりさ、ありすは共におじいさんの肉を喰らい妖怪化した。
その存在の根底には、おじいさんの存在がある。
更に二匹はもともとおじいさんに懲らしめられてきたゲスゆっくりだ。
おじいさんという存在そのものが二匹にとっては毒薬。
それが二匹の「謂われ」だ。
従って、彼が生前使い、触れていた道具。
それこそが「謂われ」つきの武器となり得るのだ。
「おじいさんの道具を使い、二匹を撃退する」
慧音の預けた策は功を奏したのである。


「思い出したか?」
「ゆ、ゆあああああああ”!!!このおりはじじい”のだっだあああああ”!!!」
「いや”ぁ、ありすもうとじごめられ”だぐないいい”!!」
「謝るならおじいさんに謝る事だな。
これから僕らはお前達に地獄を見せる。
お前達には理解できないだろうが、おじいさんのためだ。」



広場を囲んでいた村人達が徐々に輪を狭めていく。
松明に照らされながら無言で近づく彼らを、初めてまりさは恐ろしいと感じた。
二匹は檻から出された。
「おじさん、だしてくれるの??」
「あ、ありすはとかいはだからいまあやまったらゆるしてあげるよ!!」
二匹の牙は全て溶け、体、特に足に当たる部分が無惨に
爛れているので、まともに動くことすらできない。
「なんとかいうんだぜ!!」
三人の若衆が棍棒を持って歩みでる。
「!!そのぼうは!!」
じじいの、と言いかけたありすの口に、棒の一撃が叩き込まれる。
「ゆぴゅっ!!」
「あ、ありすだびゅっ!!」
まりさの脳天にも打撃が加えられ、顔が縦に歪む。
「やめっ!!」
「いだっ!!」
「ゆるぶっ!!!」
「おうちがっ!!!」
声を上げる暇も与えず、二匹を打擲する三人。
しかし、誰一人として声を上げない。
広場に響くのはべちっ、ばしっという鈍い音だけ。



三人は手を止めた。
おじいさんの道具による効果は絶大で、二匹は早くも息も絶え絶えだ。
「ま、まりさあああ”!!あんこででるよおお!!」
「ありすもででるのおおお!!!」
所々が破け、餡子とカスタードクリームが飛び散っている。
と、新たに男ー村長の息子が泣き叫ぶ饅頭達の前に立った。
「おじさん、にかいもみのがしてあげたでしょお!!さっさとありすたちをたすけなさいよおお!!!」
「そうすればおじさんだけはたすけてやるんだぜ!!
        • いや”あああああああ”なにぞれえええええ!!?」
この期に及んでの傲慢な発言を遮ったのは、男が背後から出した草刈り用の鎌であった。
もちろんおじいさんのものだ。
ありすの方へ歩む男。
「ごないでええええええ!!!」
ありすのカチューシャを取り払い、頭に鎌をあてがう。
「なにするの・・・ゆげぇ”!!!ありすのきゅーでいぐるへあーがああああああ!!」
ありすの目の前に金髪の束が落ちる。
男はありすの髪を剃っていた。
「やべでよおおおお”!!どがいばじゃなぐなっぢゃうううう!!」
やがて男は手を止め、鏡をありすの前に置く。
「ぼあああああ”あ”あ”!!!ごんなのありずじゃないのおおお!!!」
金髪は中央の縦の線だけを残して全て剃られ、ちょうど
モヒカンヘアーのようになった化け饅頭がそこにいた。
「も”う”およめにいげないいい!!おまえら”ぜんいんごろじでやるがらあああ”!!」
限界まで開かれた白目から涙を流しわめくありす。
「あ、ありす・・・・ごんどはなんなんだぜぇ!!」
ありすの惨状を見て怯えていたまりさの前に青年がぬっと立つ。
その手には鉋(かんな)が握られていた。
「なにぞれ!!」
しゃがんでまりさのぼうしを外し、顎に鉋をあてがう青年。
ぞりっ、ぞりっ・・・。
「あああああああああああああ”!!!まりざのほっぺがあああああああ!!!」
青年はまりさに鉋をかけていく。
餡子が露出しないぎりぎりで、薄皮を残していく。
鉋からは帯状に小麦粉の皮が排出されていく。
りんごの皮むきのように、表皮を剥かれるまりさ。
「いいいいいい”いだい”!!ゆるじでぐだざい!!」
やがて髪の生え際まで鉋が達する。
青年は手を止めると、ありすの前にあった鏡をまりさの方へ。
「あんごみえじゃっでるよおおおおお”!!」
汚らしく餡子が透けた、がさがさの肌を晒した自分の姿に絶叫するまりさ。
ありすと対照的に残された金髪が無惨さを引き立てている。



元より更に醜くなった二匹。
と、ありすの周りに何人かが集まり、ありすに手を置く。
「もう”なにも”じないでぐだざ・・・・・ゆ”?」
触れた手が一斉に振動する。
「ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”・・・・・ゆっくりぃ・・・・。」
苦痛の極みにあるにも関わらず、目をとろんとさせ傷だらけの頬を緩ませるありす。
「ゆ・・・・たっちゃうのおおお”お”!!!」
ずぼぉっ!!!
聞くに堪えない嬌声とともに、顎の下から筋張った赤黒い「ぺにぺに」がせせり出てくる。
「ゆふふ、ゆっくりするとすぐたちやがるのおお!!!ぶちこまれたいのはどなた」
すぱっ。
根元から断たれる「ぺにぺに」。
青年が先ほどの鎌を握っていた。
「え・・・・・ぺ、ぺにぺに、べにべにがああああああ!!ありすのぽけっともんずだーがああああ!!!」
青年は更に鎌を振る。
すぱっ、すぱっ。
「ぺにぺに」は見事輪切りになった。断面からはカスタードが流れている。
「ゆ・・・・ゆが・・・・が・・・・。」
自分のアイデンティティとも言えるものを切り刻まれ、
もう白目で痙攣する事しか出来ないありす。
「ありずになにずるんだぜ!!!」
まりさは抗議するが、輪切りにされた「ぺにぺに」を口の中に押し込まれ、黙らされる。
「むぐ・・・・むぐぐ・・」
吐き出せないように手早く口を踏みつけられる。もう涙目で唸るしか出来ないまりさ。
ぎょっくん。
「まりざのばがあああああ!!!べにべにだべじゃっだあああああ!!」
「ぶ、ぶはあ・・・・お”え”え”え”エ”え”!!」
飲み込んだのを確認してから口を開放される。
「さて・・・・お前達は何故こんな目に遭わされているのか、わかるか「わがるわげないんだぜええええ”!!」「べにべにがえじでええええ!!!」
ようやく口を開いた青年の言葉も、反省のかけらも無いだみ声に遮られる。
「・・・・・わかった。ここでおじいさんに謝りでもしたら即潰してやったが
    • もういい。」
青年が合図すると、家の軒先程の高さの丸太が二本、引っ張ってこられる。
その先端は、二匹を威嚇するように鋭く尖っている。
二匹は持ち上げられ、それぞれ丸太の先端に底面をあてがわれた。
「ゆ・・・・っぎいいいいいいいい!!!はいっでぐるうううう”!!」
村人達は一斉に二匹の頭を押し、丸太を体に食い込ませた。
ぶちぶちと、二匹の体に侵攻していく先端。
「あっがががががががが!!!」
やがて先端は体に入りきり、二匹は丸太に固定された。
それを村人達が総出で抱え上げ、広場の中央の地面にあらかじめ
用意してあった穴に差し、土をかぶせて固定する。
こうして、まりさ、ありすの磔が完成した。
「お、おろじでええええ・・・」
「・・・ぺにぺに、ありすのぺにぺに、ぺにぺにぺに!!!」
傷口から垂れた餡子とカスタードが、汚らしく丸太を汚す。虫が誘われることだろう。
「そこで朽ちるまでの間、おじいさんに何万回も謝るといい。」
青年は言い捨てると、村人と共に広場を、後にした。






上白沢慧音は木々の間の草むらに寝転がり、月を眺めていた。
青い服は所々が破れ、煤けている。
―村人達は上手くやっただろうか。
と、月の横に白い筋が登ってきた。
成功の狼煙である。
慧音は狼煙から月に目を戻すと、ほっと息を吐いた。
懸念事項の一つは解消された。

ーあとは、奴らが。
紅白達が、月の欠片を見つけてくれるかどうか。
それにこの夜は懸かっている。

慧音は静かに目を閉じた。






まりさは満身創痍で夜の森を這っていた。
「ゆぎぃ・・・・ゆぐぅ・・・・」
村人達が去った後、渾身の力で体を捩り、丸太から抜け出す事が出来た。
丸太で開けられた穴が激しく痛む。
「ゆ・・・・ゆ・・・・」
ありすは見捨ててきた。
まりさの目から見てももう手遅れで、譫言のように「ぺにぺに」としか言わない。
ー大体ありすがいけないのだ、ありすがすっきりすることに
囚われていたから自分まで割を食ったのだ。
あんな愚図は死んで当然だ、とゲスゆっくり特有の思考をするまりさ。
「ゆ・・・・・ゆるざない・・・あいづら”・・・・!」
逃げ延びたなら話は早い。復讐だ。
まずこの森のゆっくりを支配下に置き、人間を襲って
自分がドスくらいの大きさになるまで待とう。
そして村を襲撃するのだ。
女は一人残らずすっきりさせてやる。男は一人残らず丸太で串刺しにしてやる。
「ゆふふふふふふ・・・・」
月明かりの下、自分の未来予想図に暗い瞳で浸る。

月明かりが、遮られる。
「・・・・・ゆ?」
振り向けば、まりさが残した餡子の跡の上、帽子を被った影が。
のうかりんである。
「・・なにしにきたんだぜ!!じゃまするんじゃないんだぜ!!」
この状況でものうかりんには勝てる自身があるのか、凄むまりさ。
「・・・・・・。」
対するのうかりんは無言。無言で、背後で持っていたものをまりさへ差し出す。
「ゆ!!」
まりさに水しぶきがかかる。
のうかりんが持っていたのは、いつも持っているじょうろであった。
それでまりさに水をかけている。
「なめてるのかだぜ!!!もうころしてやる、ん、だ・・
    • なんでどげでるのおおおおおおおお!!!!」
濡れたまりさの体は、煙を上げて溶け出した。
檻に入れられた時のように。
「ゆっがあああああ”!!!ゆっげええええ”え”!!!」
「・・・・一つだけ、教えてあげるわ。」
半分溶けた視界の中で、のうかりんは言う。
「このじょうろは、おじいさんが使っていたものよ。」
まりさの視界は、完全に溶けて無くなった。
                                                                  〈fin〉







あとがき

まずは待っていてくれた方、本当に申し訳ありませんでした。
ごく個人的な都合により、中編の段階で2、3日後に続きをと
書いていたのが結局こんなにお待たせすることになってしまいました。



この話は「ゆっくりがいる幻想郷で、慧音先生が永夜抄の前に
こんなことやってたらなあ」という妄想から出発しました。
理屈こねまくり&原作ファンの方には若干面食らうような内容に
なってしまったかもしれません・・・。

アイデアをくれた友人&虐待ファンの方に感謝を。
またお目にかかる機会があったらよろしくお願いします。



byゆっくりゃバーガーの人改め、少女Q(いいかげん長いので名前つけてみました。)





おまけ   本編で空気だったゆっくりちぇんの一発芸。



おにいさん、いまいちぱくりっぽいんだけどいっこ『ぎゃぐ』をおもいついたよ!!
たいとるは『これがちぇんのいっしゅうかん』!!
げつようびからにちようびまでのようびをえいごでいいます!!
ただし、『すいようび』でばかになって『もくようび』であぶらあげをかってきてえ、
『きんようび』においなりさんつくって『どようび』にたべちゃいます!!
『にちようび』はおやすみだよ!!じゃあいくよ!!

『まんでい』げつようび  まんでい!!
『ちゅーずでい』かようび  ちゅーずでい!!
うぇ・・・・なんだっけわからないよおわははははははははははは!!
わからないよわからないよへへへへへへへへへへへへへ!!
えっと・・・わからないよえへへへへへへへ!!!
ぜんぜんわからないよおおおおお!!!!わはははははは!!!
      • 『さんでい』にちようび  さんでい!!

        • SBR最高!!

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最終更新:2008年09月27日 17:30
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