「う゛あ゛!!」
れみりゃの腕がもげ、部屋の隅へと転がっていった。
……やれやれだ。
れみ☆りゃ☆ぎゅー☆
私は後輩の虐待を見守っている。
後輩は最近この道に目覚めたばかりで、まだ直情的にれみりゃを攻撃することしか考えていない。
”先輩!俺、ゆ虐に目覚めました!!”というから、先輩としてれみりゃを特別に譲ってやったというのに。
というか村の連中が集まる中でそんな不用意な言葉を吐きやがって。ごまかすのに苦労した。
「はあっ……はあっ……」
「おぜうさまになんてことずるんだどぅぅぅぅ!!!ゆるさないどぅぅぅぅ!!!」
「まだ……!言うかっ……!」
「あぶっ!!ぎゃおー!!」
おお、正中線への連打。若いねー。まるでかつての私を見ているようだ。
「喰らえっ!!!死ねっ!!!」
「ぶあ゛ーーーーー!!!」
しかし、それは効率的ではない。
れみりゃは、私のお気に入りのゆっくり種族だ。だから私は後輩がそんなふうに粗野な虐待をするのが
少しだけ気に食わなかった。
一切助言などをしない、という自分の中の規律を放棄し、
私は、れみりゃにさらなる攻撃を加えようとする後輩の肩を掴んで止めた。
「先輩?」
「ちょっと見ててくれるかな」
れみりゃは腕を押さえて部屋の隅に居る。後輩にぼこぼこに殴られたが、まだ気概は失っていない。
「いまにみてるどぅ!!しゃくやぁがおまえらみだいなふけいものをせいばいしてくれるどぅ~!!
あやまるんならいまのうちだっどぅーーー!!!」
れみりゃは無視。後輩に講釈を垂れる。
「れみりゃ種は比較的自尊心が高く、肉体的にも頑強だ。
怒りに任せて叩き潰すのも悪くないが、すぐに再生するし、暴れるのでこちらも消耗する。
最初はこのように」
私はれみりゃの翼を手で掴んだ。
「れみりゃのえれがんとなつばさをはなすどぅぅぅぅ!!!!」
二枚の翼をより合わせる。引きちぎるのではない。
「あ゛う゛~!!あ゛ぎゅ゛ぎゅ゛ぎゅ゛ぎゅ゛~~!!」
私は翼同士を結わえる。二度固結びに締め、決してもとに戻ることのないようにする。
「すると、再生されることもなく、継続して痛みを与えられる」
れみりゃはその不恰好な腕を後ろに回して縛りを解こうとするが、腕が短いのでできはしない。
「う゛ぁ゛~!!きりきりしていち゛ゃ゛い゛どぅぅぅぅ!!!もどにもどずんだっどぅぅぅ!!!」
「これでもう、先方の与太話を真面目に聞く必要はない。
後は、この生き物が”さくや”とやらに助けを求めるより、屈服するほうが得策と知るまで放置すれば良い。
れみりゃへの必至形だね」
「な、なるほど……」
「ちなみにここでこの場を離れてはいけない。
”ゆっくりは何でも都合よく解釈する”。
我々が逃げたなどと思い込むようだと、いつまでたっても彼女は自分の立場を思い知ることができない」
私は壁にもたれかかり、水中花でも眺めるような穏やかな気持ちで、悪戦苦闘するれみりゃを眺める。
後輩もおずおずとそれに倣った。
「どれ゛な゛い゛どぅぅぅぅ!!!!!」
「ああ、いい眺めだ」
どれほどの時間がたったろうか。
「おねがいだどぅぅぅぅ!!!でびびゃのぷりちーなつばざがぱたぱたでぎなぐなっぢゃうぅぅぅ!!!」
ついにれみりゃが折れた。後輩が指示を仰ぐようにこちらを見る。
「……ぱたぱたできないから、何だい?」
「ぎゅーじたのとっで!!!!ぎゅーっどじたのもどにもどじてほじいんだどぅぅぅぅ!!!!」
背中に回って見ると、翼の結び目はかなり強固になっている。できもしないのに解こうとして暴れるからだ。
私は後輩に向き直る。
「このまま放っておくと、翼の根本がねじれてうまく飛べなくなってしまうんだろうね。
しかしまあ、どうってことはないよ。飛べないれみりゃというのも、また一興だ」
「おねがいだどぅぅぅぅ!!!!なんでもずるどぅぅぅぅ!!!!
とぐべつにれみりゃのだんすみせてもい゛い゛どぅ!!ごーまかんにもしょうたいするどぅぅぅ!!!」
私は知らん顔をする。
「後輩くん。お腹が空いたから、ご飯でも食べて来ようか」
「は、はい」
「おでがいでずぅぅぅ!!!ぼでがいでずから、れびりゃのつばざなおじてぇぇぇぇぇ!!!!
ぱたぱたでぎなぐなっちゃうどぅぅぅぅ!!!」
「……ぱたぱたできなくなると、どうなの?」
「ぱたぱたでぎないと、おぜうさまらじくないどぅ?」
「他には?」
「ゆっくりぃをだべるとき、ぱたぱたできないとかけあししなぎゃならないどぅ!」
「他には?」
「うー☆するときにかっごわるいどぅ!」
「他には?」
「れみりゃのままやおちびちゃんに、そんけー☆されなくなっぢゃうどぅ!
……うう!!!ぞんなのいやだどぅぅぅぅぅ!!!!」
始めはなんともなかったれみりゃだが、最後には泣き出してしまった。
「なるほど…自分がどうなるか、自発的に想像させたわけですか」
私は頷いた。
さらにもう一度復唱してやる。
「れみりゃは、翼が使えないからお嬢様らしくないし、ゆっくりを捕るときも走らなきゃならない。
れみりゃうーをするときにも格好が付かないから、ほかの仲間から尊敬して貰えないんだね」
「そうだどぅぅ!!
……う!?そうだけどちがうどぅぅぅ!!
おにいざんがぎゅーじたのなおじてぐれるからだいじょぶだっどぅぅぅ!!!!!」
勝手に私がれみりゃの懇願を聞き入れることになっている。
「直すとは一言も言ってないよ?」
「おねがいでずううううう!!!でびぢゃのぱだぱだなおじてーーーー!!!!!」
やはり、ゆっくりと会話を楽しむのであれば、このようにこちらが絶対有利な状況が望ましい。
そうでなくては、苛々するばかりで面白くもなんともないからだ。
誰が九官鳥とまともな議論を試みる?
「じゃあ、この後は後輩くんに一切任せようかな。もともと君の稽古(?)だったわけだしね」
「はいっ」
「後輩くんの好きなようにやって下さい」
* * * *
庭へ出た。私と後輩は離れて向き合う。
「今からこれを投げますので、こっちへ投げ返して貰えますか」
「わかった」
後輩はれみりゃを抱き上げる。
「う~?たかいたかぁいだっどぅ~☆
だけどれみりゃはこどもじゃないからぁ~、」
ぶん。
「うわあああああああ!!!!!」
驚愕した表情でこちらへ飛んでくるれみりゃ。凄く気持ち悪い。顔とか。
「うわっと」
いけない、つい避けてしまった。
れみりゃは顔面で着地すると、ずざざぁと地面を滑っていく。
「いいいいぢゃいどぅぅぅ!!!!れびりゃのぷりてぃなおかおがぁぁぁぁ!!!!」
私はそれを拾い上げ、後輩へと投げ返す。
「そーれ」
「うぁ?」
高く投げ上げたれみりゃは、ゆるやかな軌道を描いて飛ぶ。
普段のように飛ぶつもりか、手を前へ突き出している。
「うー☆」
ぽーん。
「うう!?……ぱたぱたでぎないどぅぅぅ!!??
うぁ!うぁ!うぅぅぅぅぅ!!!!!!」
必死に翼を動かそうとするが甲斐なく、手を前に突き出した姿勢のまま高度を落とし、腹でぼよんと着地する。
「おぶううぅぅぅ!!!おなかがぁぁぁ!!!!」
次は後輩もゆるやかな軌道で投げてきたので、今度は受け止めてやる。
「うあ~!!うあ~!!!
ぱたぱたでぎないどぅぅぅぅ!!!!!!!」
投げる。
「うーでぎないいいい!!!!」
投げる。
「ぱたぱたじたいぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
みずから飛行できない”物”としてひたすら投げられる。
「こあいどぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
「いやー、いい運動したねぇ」
いい汗かいて、すっきりー!した私達だった。
このれみりゃの最終的な処遇も、後輩に一任することにした。
それを伝えると、後輩はこんなことを聞いてくる。
「先輩は、れみりゃの生息域をご存知ですか」
「ああ」
「やはり、森に返してやりたいと思います」
「それがいいだろうね」
私達は翌日一日かけて、深い森の奥を目指した。
* * * *
森を進む。
「うあ☆ここはれみりゃ~のこーまかんだっどぅ~☆
れみりゃのまんまぁも、れみりゃのおちびちゃんもいるどぅ~☆
はやくあいたいどぅ♪」
依然翼を結ばれていることも忘れてご機嫌だ。
「このあたりでいいと思うよ」
私が後輩に声をかけ、私達は歩みを止めた。
「れみ☆りゃ☆うーーー!!!」
れみりゃの叫びに、木々が揺れる。
「他のれみりゃが出てくる。私達は隠れよう」
「みゃんみゃ?」
「おちびちゃん!!!!あいたかったどぅぅぅぅ!!!!!!」
なんと、出てきたのは小さなれみりゃ――それも、あのれみりゃの子供らしい。
飛んで近づこうとし、失敗してぼてんと転ぶ。
「あ゛……う゛……」
「みゃんみゃぁ?
みゃみゃのつばさ、なんだかおかしいどぅ♪えれがんとじゃないっどぅぅぅぅ?」
飛んで近づいてきた子れみりゃは、親れみりゃの異状に気づく。
「こ…これは……」
慌てて隠そうとするが、もう遅い。
だが、子れみりゃは拒絶することはしなかった。
「なんでもいいどぅ!!みゃんみゃ、もういなくなったりしないでほしいどぅ☆」
「おちびぢゃんんんんん!!!!!!!」
私達は物陰から出た。
「おーい!!れみりゃー!!」
「あ゛う゛!!」
「にんげんだっどぅ!!ずがたかいどぅ!!ひれふすがいいどぅ!!
みゃんみゃはつよいんだっどぅ~☆にんげんなんかいちころだっどぅ~!!」
「あ゛、あ゛、あ゛……」
余裕の表情の子れみりゃと、恐怖に震える親れみりゃ。
「おちびちゃんは、ままの華麗なぱたぱた☆見たいよな?」
「みゃみゃのぱたぱた、みたいっどぅ~☆」
後輩の誘導で、親の異常をあっさり忘れる子れみりゃ。
「う゛う゛う゛う゛う゛……!!!!」
「じゃあ、ちびちゃんのお手本になるようぱたぱたしてやらないとな。
先輩、ここにいて下さいね」
距離を取る後輩。昨日の”れみりゃ投げ”の間合いだ。
「先輩、どうぞ!!」
「い、いやだどぅ!!おちびちゃんのまえでそれだけはやめてほしいどぅぅぅぅぅ!!!!」
「知らないよ」
私は、親れみりゃの頭を引っ掴んだ。
ぽーん。
「うっうー☆」
空中を飛ぶ感覚に、思わず手を前に突き出し飛行姿勢を取るれみりゃ。
ぼてっ。胴体着陸。
「いぢゃいどぅぅぅぅ!!!!ぱたぱたでぎないどぅぅぅぅ!!!!!」
「みゃんみゃーーー!!??」
地面の上でじたばたと暴れまわるれみりゃ。おお、みじめみじめ。
「先輩、行きますよー」
「おうさ」
いままでよりも、さらにやさしく。ふんわりと投げ上げられるれみりゃ。
「うー☆こんどこそとんでるどぅ~……」
失速、落下、うーの姿勢のまま胴体着陸。
「あ゛う゛~!!」
じれた子れみりゃが、親れみりゃの側をぶんぶん飛び回る。
「みゃんみゃぁ~!!ちがうどぅ!!こうだっどぅーー!!!
ぱたぱたしてぇ~、うー!だっどぉー♪
れみ☆りゃ☆うー☆」
「ぞんなのわがっでるどぅ!!わがっでるどにぃぃぃぃ!!!!!」
「よーし、もう一丁」
「こんどごそ!うー☆……いぢゃぁぃぃぃ!!!」
「みゃんみゃーいもむしみたいだどぅ☆おもしろいどぅ♪」
「れみりゃいもむしじゃないどぅぅぅぅ!!!!」
「そーれ」
ぽーん。
「うー☆……でぎないぃぃぃ!!
もうゆるじてぇぇぇ!!!!おでがい!!ぎゅーしたのなおじでぐだざいどぅぅぅーーーー!!!
でびびゃよりあなだざまのほうがずっとずっとえらいんでずぅぅぅぅ!!!
だがら、どうかおじひをぉぉぉぉ!!!!」
「……先輩」
後輩が地面を転がるれみりゃから視線を外し、こちらを見た。
「もう、許してやりませんか」
「…………」
私は後輩の視線を受け止め、熟慮の末言葉を返す。
「……そうだな、もう満足だ」
「先輩に伝わってくれてくれて良かったです」
それを聞きつけ、れみりゃが足元にすがり付いてきた。
「ばりがとうございまず!!!このごおんはいっじょうわずれまぜんんんん!!!!」
後輩はれみりゃを見下ろし、言葉を接ぐ。
「うっそー☆
……なんで本気にするの?馬鹿なの?死ぬの?」
「許すわけないだろ、今までの展開的に考えて……」
それにしても今のフリはなかなか良かったぞ、後輩よ。
「うぁぁ、うぁぁぁ……ううううう……」
「にんげん!!みゃんみゃをこまらせるんじゃないっどぅぅぅ!!!
いじわるするわるいにんげんはれみりゃがたーべちゃーうどぅー♪」
「それで、こいつはどうする?」
私の腰の辺りの高さを浮遊する子れみりゃを手で払いのける。
「もちろん!!決まってますよ!!
今度は僕がやるので、ちゃんと出来てるかどうか見ていてもらえますか?」
「わかった」
「う~?れみりゃのつばさにさわりたいんだどぅ?
みぶんちがいのれみりゃのうつくしさにめろめろになるなんて、しょうがないにんげんだっどぅ♪
でもきょうはとくべつに……いだいっ!!!ぎゅーするのやめるんだどぅぅぅぅぅ!!!!」
「なんかノって来た!せっかくだから、この辺のれみりゃ全部ぎゅーしてくか!!」
「いいっすね、先輩!!」
「いだいどぅぅぅぅ!!!!でびびゃのつばさがぱたぱたでぎなぐなっでるどぅぅぅぅぅ!!!!
みゃんみゃー!!!じゃくやぁぁぁ!!!!だずけてぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「おぢびじゃんんんんんん!!!!!!」
おしまい。
書いた人:ゆっくり用品店”ゆ虐の友”従業員
□ ■ □ ■
ゆっへっへ!すれでにんげんがいってたとおり、これからはなのらせてもらうことにしたのぜ!
ゆっくりよろしくね!!
従業員でした。
今までに書いたSSです。よかったら読んでくださいね
豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2
エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待
無尽庭園 ゆっくりできない夜
ゆっくりぴこぴこ 何かがいる ぽんぽんいたいよ!ゆっくりできないよ!
踊り師とれみりゃ 小ネタ-瓶ゆっくり
ゆっくりゆうぎ ゆっくりだんじょん
りぇいみゅのりぇみょんに!
最終更新:2022年05月10日 07:09