ゆっくりいじめ系1382 ゆっくり理髪店

(嫉妬)
穏やかな日差しの降り注ぐ草原。真っ直ぐに続く道。仲良く並んで歩く二匹のゆっくり。
優しく髪を撫でる風が心地よい。れいむとまりさは「ゆっゆっゆ~♪」と上機嫌で歩いていた。
今日は朝早くから森を出て、人間の里まで「おはなみ」をしに出かけた。今はその帰り道。


良く手入れの行き届いた美しい庭園。家の主の趣味の良さが伺える。
庭に花が咲き誇る季節になると、主は庭を解放し里の皆にも楽しんでもらう事にしていた。
その際、来客には主が自ら作ったお菓子と紅茶が振舞われる。
れいむとまりさもその噂を聞きつけ、お相伴に与ろうと出かけたのだ。

「花より団子」の質であるゆっくりだが、この庭の花々には心を奪われた。
貰ったお菓子を食べる事も忘れ、うっとりとした表情で花を眺める。

「ゆ~。きれいだね、まりさ。」
「うん!とってもゆっくりしているよ!」
「またあしたもこようね!」
「うん!このおにわを、ふたりのでーとこーすにしようね!」

「あら、この庭を気に入ってくれたの?嬉しいわ。ゆっくりしていってね。」

この家の主人である女性がゆっくりに話しかける。黒い長髪の綺麗な女性。里一番の美人と評判の人だ。
人の容姿とはその人の内面を写す鏡なのだろうか。その美しい笑顔もさる事ながら、
誰でもわけ隔てなく接するその人柄、優しさで、彼女は里中の人間に愛されていた。
彼女を目当てにこの庭にやって来る男も多い。この庭の手入れを手伝っている庭師の男もその一人。

庭師の男は彼女の膝に乗せられて楽しそうに笑っているゆっくりを、木の蔭から憎々しげに眺めていた。
なんだあいつら。なんなんだ、あの饅頭共は。饅頭が俺と彼女の庭に入って来るだけでも忌々しいのに。
彼女と楽しそうに話し笑ってやがる。あの笑顔は俺のものなのに。俺の・・・俺の・・・俺の・・・

庭師の男は彼女がこの庭を造り始めた頃からそれを手伝っていた。
二人で庭の図面を引いた。二人で地面をならした。二人で花を植えた。二人で庭の手入れをした。
二人で造った。二人の庭。二人の、二人だけの庭。

その庭を皆に解放し、里の人たちにも楽しんで貰いたい。彼女からその話を聞いた時、男は正直戸惑った。
だが彼女の嬉しそうに話す笑顔を見た男は、それに反対できなかった。

二人の庭に赤の他人が入って来る。彼女目当ての男達もやって来る。彼女の笑顔は彼らにも向けられる。
彼女の気持ちが自分だけに向かっていない事にも、認めたくはないが薄々気付いていた。
男は我慢した。自分以外の男達が彼女と話すのも我慢した。だが饅頭、お前らだけは駄目だ。

庭石に腰掛けた彼女の膝で昼寝をするれいむ。彼女の長く美しい髪にすりすりするまりさ。
許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。

彼女がゆっくりの髪を梳かしている。気持ち良さそうに鼻歌を歌う二匹のゆっくり。
そのお礼なのか、今度は自分達が髪を梳かしてあげると言って彼女の髪を舐めるゆっくり。
触るな!彼女の美しい髪に、その汚い舌で触れるな!

もう我慢の限界。今すぐにあのゆっくりを踏みつぶしたい。
しかし、彼女の目の前でそれをやる訳にはいかない。それにゆっくりにはもっと苦痛を味わって貰いたい。
そこで男は一計を案じた。


(ゆっくり理髪店)
「おはなみ」の帰り道。二匹は道の途中に立てられた看板に気づいた。

『ゆっくりりはつてん』

「ゆっくりりはつてん?」
「なんだろうね。」

二匹は首を傾げる。看板をよく見てみると、そこにはゆっくりの絵が描かれていた。
最初の絵。ボサボサ髪のゆっくり。目には生気が無く、とてもゆっくりしている様には見えない。
次の絵。優しそうな笑顔の人間がゆっくりの髪を整えている。
三枚目。綺麗な髪になったゆっくり。「さっぱりー」と叫ぶその姿はとてもゆっくりしている様に見える。

「ゆゆ!ゆっくりりはつてんっていうのは、れいむたちを『さっぱりー』させてくれるところなんだよ!」
「ゆー!まりさも『さっぱりー』したいよ!どこにいったら『さっぱりー』できるの?」

看板には『このさき ゆっくりりはつてん →』と書かれている。

「このやじるしのとおりにいけばいいんだね!」
「ゆ!いこうれいむ!まりさたちもおねえさんみたいなきれいなかみにしてもらおう!」
「うん!」

矢印の通りに進む二匹。しばらく歩くと前方に椅子に座って鋏の手入れをしている男を見つけた。

「ゆ。おじさん、こんにちわ。」
「ゆっくりしていってね!」

「ああ、こんにちは。ゆっくりしていってね。」

「れいむたちは『ゆっくりりはつてん』をさがしてるの。」
「おじさん、どこにあるかしらない?」

「ああ、『ゆっくり理髪店』ならここだよ。君達はお客さんかい?」

「うん!」
「おじさんがまりさたちをきれいにしてくれるの?」

「ああ、そうだよ。」

「ゆゆっ!じゃあさっそくれいむをきれいにしてね!」
「ずるいよ!まりさもきれいになりたいよ!」
「じゃあじゃんけんでじゅんばんをきめるよ!」
「ゆ!まけないからね!」

二匹のゆっくりは「じゃーん けーん ぽん!」と叫びながらぴょんぴょん飛び跳ねる。
人間の目から見たらどうやって勝敗をつけるのか解らないが、庭師はとりあえず黙って見ている事にした。
やがて勝敗が決まりれいむが先に散髪する事になった。

「じゃあ、れいむはこの椅子に座ってくれるかな?」

「うん!」

「動くと危ないから、動けない様にベルトを締めるよ。苦しいけど、ちょっとの間の辛抱だからね。」

「おじさん!れいむがおわったらつぎはまりさのばんだよ!はやくおわらせてね!」

「はいはい。じゃあ、始めるよ。」

ちょきちょきちょきちょき・・・

「ゆゆっ!どう、まりさ?れいむはきれいになった?」
「ゆー!きれいになってるよ!はやくまりさも『さっぱりー』したいよ!」

ちょきちょきちょきちょき・・・

「ゆー。おじさん、まだおわらないの?」
「はやくしてね!はやくしてね!」

ちょきちょきちょきちょき・・・

「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!!!!」
「どうしたのまりさ?」
「おじさんが!おじさんがれいむのりぼんをきってるよおおおお!!!」
「ゆ゛ーーーーーーーーーーー!!!!」

ちょきちょきちょきちょき・・・

「やめてね!おじさんやめてね!」
「やめてあげて!りぼんがなくなったらゆっくりできないよ!」

ちょきちょきちょきちょき・・・

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
「れ゛い゛む゛の゛り゛ほ゛ん゛か゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」

ちょきちょきちょきちょき・・・

「あ゛あ゛あ゛あ゛!!!れいむのきれいなかみがああああああ!!!」
「やめろおおおおお!!!!れいむをゆっくりできなくするおじさんはゆっくりしねーーーー!!!」

まりさの体当たりをものともせずに髪を切り続ける男。仕上げに剃刀を取り出すと
鋏では切れない短い髪を残らず綺麗に剃り上げる。

「ゆぎいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」
「あああああ!!!れいむぅれいむううううううううう!!!!!」

「はい。完成。これで綺麗な饅頭になったね。」

男は鏡をれいむの前に持って来て、れいむに自分の姿を見せる。

「あああ・・・れいむの・・・れいむのかみがぁぁぁ・・・」
「ゆっくりしねええええええええ!!!!」

「待たせたね。次はまりさの番だよ。」

「ゆゆっ!はなせっ!はなせえええええええええ!!!!!!!」

ハゲ饅頭になった自分を見て放心状態のれいむを投げ捨て、今度はまりさを椅子に固定する。

ちょきちょきちょきちょき・・・

「ゆああああああああ!!!やめてええええええ!!!おねがい!!!まりさのかみをきらないでえええ!!!」

ちょきちょきちょきちょき・・・

「まりさの、まりさのきれいなかみがああああああ!!!!!」

ちょきちょきちょきちょき・・・

「いやああああああああああああああ!!!!!」

ちょきちょきちょきちょき・・・じょき

「ゆ・・・まさか・・・」

じょきじょきじょきじょき・・・

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!ほ゛う゛し゛き゛ら゛な゛い゛て゛え゛え゛え゛!!!!!」

じょきじょきじょきじょき・・・

「ゆっぐりでぎなぐなっぢゃうよおおおおおおおおお!!!!!!!」

じょきん、ちょきちょきちょきちょき・・・

「あああ・・・まりさのぼうし・・・どうしてこんなことするのぉ・・・」

ちょきちょきちょきちょき・・・

「あぁ・・・」

「はい。終わったよ。良かったね綺麗な饅頭になったよ。鏡を見てごらん。」

「・・・・・・」

「なんだ、失神してしまったのか?ん、れいむもか。しょうがねえ饅頭共だ。」


男は髪が無くなった不気味な人面饅頭を抱え、ゆっくり達が住む森までやって来た。

「おい、起きろ。何時まで寝てんだ。」

「ゆ?」
「ゆゆ!いたいよ!なにするの!」

「そのまま放っておいても良かったんだがな。森まで連れて来てやったぞ。ありがたく思え。」

「ゆー。ねてるあいだにもりまでつれてきてくれたの?なんだかしらないけどありがとう。」
「ゆ。そういえばとてもこわいゆめをみたよ。こわいおじさんにまりさのかみがきられて・・・」

「は?何言ってんだ?夢じゃねーよ。お前らの髪は俺が全部切っちまったよ。
 今じゃ立派なハゲ饅頭だ。ほら、お互いの顔を見てみろよ」

「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!!!!」
「ゆめじゃながっだのおおおおお!!!!!!!!」

「いいか、お前等二度とあの庭に近づくんじゃねえぞ。次はこんなもんじゃ済まさねえからな。
 解ったら仲間の所へ行ってあいつ等にもそう伝えろ。」

そう言うと男はれいむとまりさをゆっくり達の方へ投げる。

「ゆぴっ!」
「ゆげっ!」

「みんなああああ!あのおじさんがれいむをこんなめにあわせたんだよ!かたきをうってよおおお!!!」
「ゆっぐ・・・ゆっぐ・・・ゆえええええええん!!!」

「どうしたの!どうしてだまってるの!れいむがいじめられたんだよ!なんとかいってよ!」
「ゆえええええええん!ゆえええええええん!」

「ゆっくりしね・・・」

「ゆ?」

「ゆっくりできないゆっくりはゆっくりしねえええええええええ!!!!!」

「どうじでえええええええ!!!!!」

end

作者名 ツェ

今まで書いたもの 「ゆっくりTVショッピング」 「消えたゆっくり」 「飛蝗」 「街」 「童謡」
         「ある研究者の日記」 「短編集」 「嘘」 「こんな台詞を聞くと・・・」
         「七匹のゆっくり」 「はじめてのひとりぐらし」  「狂気」 「ヤブ」
         「ゆ狩りー1」 「ゆ狩りー2」 「母をたずねて三里」 「水夫と学者とゆっくりと」
         「泣きゆっくり」 「ふゅーじょんしましょっ♪」


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最終更新:2008年11月08日 10:56
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