まりさは困っていた。
狩りの最中にレイパーありすと出会ってしまい、にんっしんっしてしまったのだ。
幸いにして1度のすっきりー!で済んだものの頭の上にはありす種が8匹付いた蔓がにょきにょきと生えている。
「…これはこまったぜ」
ありす種が生えたゆっくりの末路は大抵決まっている。
心の痛みを抱えつつ子を育てるか蔓の内に何とか殺し回りから白い目で見られるか子供を踏み潰して掟で殺されるかだ。
まりさは以前、レイパーありすににんっしんっさせられ、子を殺した所為で粛清されるれいむを見た事がある。
あの時はなんとゆっくりできないれいむだと思っていたがそれは違った。
あまりもどうしようもない事なのにあまりにもゆっくりできない。
どうしてどのように振舞ってもこの身を削らないといけないのか―
まりさは考えた。
このありすをころしたらまりさがむれにころされる。
このありすをころしたらまりさがころされる。
このありすをころしたらころされる。
ありすをころしたらころされる。
ころしたらころされる。
ころされる。
だめだ。
ころされる。
ころされる。ころされる。
ころされる。ころされる。ころされる。
ころされる。ころされる。ころされる。ころされる。
ころされる。ころされる。ころされる。ころされる。ころされる。
ころされる。ころされる。ころされる。ころされる。ころされる。ころされる―
…ころされる? だれに?
ころされる。むれに。
むれにまりさがころされる。
まりさがむれにころされる。
でもまりさはころされたくない。
ころされたくないならむれにころされなければいい。
むれにころされないようにするなら―
「なーんだ、かんたんなことじゃないか、こんなこともわからなかったなんてまりさはばかだったんだね、いっかいしんだんだね」
自嘲するように自らに言い聞かせたのだった。
その後、暫く穏やかな日が続き、まりさは無事に子供達を出産した。
「「「ゆっくちしてってにぇ!!!」」」
「まりさのあかちゃんはすごくゆっくりしてるよ!まずはこのくきをたべてね!」
「むーちゃ、むーちゃ、しゃーわせー」
その姿は傍から見れば大切に子を育てているゆっくりにしか見えない。
勿論、周囲の群れの面々も、まりさの面倒見の良さを良く知ることとなった。
「ほら、ありすたち、れいむにごあいさつするんだよ」
「おとなりのれいみゅしゃん、ありすはゆっくちできりゅありしゅだよ!」
「りっぱにゃときゃいはをめざちておかーしゃんのいうことをきいちぇるの!」
「ゆゆ、まりさはゆっくりしたこそだてがじょーずだね!まえにこどもをころしたゆっくりできないれいむとおおちがいだね!」
こうしてまた、子供ありすのれいぎただしさもむれの知る所となった。
そんなある日の事。
「た、たいへんだよまりさ!おとなりのまりさのかぞくが!!!」
駆け込んできたのは仲のよいれいむ一家の母親である。
「ゆゆ、すぐにいくよ!!!」
駆けつけた洞窟の中には、まりさ一家が黒ずんだ塊と化し、蔓からは何とか栄養の奪い合いに勝った2匹のありすがゆっくり揺れていた。
「かわいそうだよ・・・」
「むれのちかくにまでれいぱーありすがきてたみたいだね・・・」
この事件はその群れにとってとてもショックだった。
とはいえ、ありすにレイプされてゆっくりが死ぬ事はよくある話。
寝る時にしっかり巣穴を隠さなかった、という事で群れの誰もが納得したのである。
そうなると今度は残った赤ありすについて話し合うのだが―
「あのままだとあのあかちゃんはゆっくりできないまましんじゃうよ」
「でも、れいむのいえはあかちゃんをむかえられるよゆうはないよ」
といった具合に話がぐるぐると回り続ける。
「なら・・・まりさがそのありすのおやになるよ」
誰もが口を閉ざした頃を見計らって、まりさが提言する。
「まりさのあかちゃんもありすだけど、みんなとってもゆっくりできてるよ、だからまりさがありすをひきとるよ」
そう、このまりさがありすをりっぱに育てている事は皆知っている。
結構立派に成長しても、群れの誰かとすっきりしてしまったなんて話は聞かない。
誰もがこの言葉に納得し、2匹の赤ありすはまりさに育てられる事となった。
そうしてからというものの、ありすに関するレイプ事件の後処理―つまり赤ありすの子育てはまりさが行う事となった。
裕福な森という事もあり、大きく育ったありすと協力しつつ、子育てを立派にこなしていったのだ。
ただ、群れのリーダーは気付くべきだったのだ。
群れのゆっくりの数は殆ど変わらないが、全体で見てありすの数が増えていったことに。
それは真夜中、突然起こった。
「んほぉぉぉぉぉおおおお!!!!」
突如群れで響き渡る見苦しい子作りの声。
「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!な゛ん゛であ゛り゛ずがでい゛ぶどずっ゛ぎり゛じよ゛う゛どじでる゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」
「れいむかわいいわぁぁぁ!!!とってもすてきよぉぉぉぉぉ!!!!!」
「や゛め゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!」
レイパーありすの大群が群れの巣穴という巣穴に入り込み、そこにいるゆっくり達を蹂躙しているのである。
「やぁおさ、ゆっくりできてるかい?」
「だずげでばり゛ざぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!ずっ゛ぎり゛じじゃ゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」
目の前にはあの、ありすの親まりさの姿があった。
「すっきり?すればいいんじゃないの?したくないの?ばかなの?」
「どぼじでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!!」
折角見えた光明のはずのまりさが、おさである自分をけなす筈はない。
それもあの、たくさんのありすを引き取ってくれた優しいまりさが。
「ここのありすはぜんぶまりさのありすだぜ、こどもをこうげきするなんておやはしないんだぜ?」
ここで、このおさはやっと気付いた。
「こどもをころしたらむれにころされるんでしょ?ならまりさはむれをみんなころせばころされずにゆっくりできるんだぜ」
「じゃ゛、じゃ゛ばぼがの゛がぞぐを゛」
「ころしたのもまりさのかわいいありすたちだぜ、まりさのいうとおりうごいてくれるゆうしゅうな"こま"なんだぜ」
「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!すっきりーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
群れを崩壊させられた悲しみとありすに無理矢理すっきりさせられる悲しみを同時に味わい、おさは頭から生えてくる茎に栄養を取られて絶命した。
「これで、まりさはゆっくりできるんだぜ。でもありすがすっきりしたいっていったときはちょっとかんがえないといけないんだぜ」
まりさは満足そうな顔でつぶやく。
「ああ、そうか。ほかのむれのゆっくりとすっきりしてもらえばいいんだぜ、ありすはいつもそうしてるじゃないか」
これからもまりさはゆっくりしていくだろう。
自分の駒となり、手足となったありすを従えて自分の思うようなゆっくりを―
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あとがき
このまりさはきっと立派なドゲスになることでしょう。
ありすもクイーンになるかもしれません。
今まで書いたもの
博麗神社にて。
炎のゆっくり
ゆっくりを育てたら。
最終更新:2008年11月08日 12:23