ゆっくりいじめ系1534 シャッターチャンス

(写真好きの男とれいむ)
パシャッパシャッパシャッパシャッ!うたた寝をしていたれいむを、突如襲ったシャッター音。

「やめでえええええ!れいむをとらないでええええええ!」

「いいよー。可愛いよーれいむ。こっちを向いてにっこり笑ってごらん。」

「いやああああああああああああああああああああ!!!」

飼い主が向けるカメラから逃げ惑うれいむ。飼い主はそんな事お構いなしに写真を撮り続ける。
これは、れいむが可愛くて仕方ない飼い主と、そんな飼い主のせいでゆっくりできなくなったれいむのお話。



「ゆっくりしていってね!!!おにいさん!おはよう!れいむはゆっくりめがさめたよ!」

「おはようれいむ。気持ちのいい朝だね。さあ、可愛い寝起きの顔を撮るよ。こっち向いて。」

パシャッ!

「ゆゆっ!おにいさんったらー。しょうがないね。」

「ははっ。れいむはほんと可愛いなあ。さぁ朝ご飯にするよ。こっちにおいで。」

「うん!」

れいむの飼い主の男。一人暮らし。酒も飲まず、煙草も吸わず、遊びも知らない。
唯一の趣味は写真を撮る事。半年前、親戚かられいむを譲り受けてからは、もっぱられいむだけを撮っている。
男はれいむが可愛くて仕方ない。言葉は通じないが、れいむは大切な家族。娘の様なもの。
今日も可愛いれいむの成長記録を撮りまくる。

れいむ。生後半年のゆっくり。ゆっくり特有の髪飾りが無い事を除けば、ごく普通のれいむ種。
半年前この家にもらわれてきた。五匹いた姉妹のうち、このれいむだけが生まれつきリボンを持っていなかった。
母の頭上の蔓にぶら下がり、すやすや眠るれいむの姿に男は一目惚れした。
生まれ落ちて間もなく、「ゆっくりしていってね!!!」を済ますとすぐに男の家に連れてこられた。

男とれいむの幸せな生活。男はれいむを可愛がり、れいむは男に良く懐いた。
初めのうちこそ「パシャッ!」というシャッター音に驚き、怯えていたれいむだが、流石にもう馴れた。
夜、男が現像し終わった写真を整理している横で、男と一緒に写真の写り具合をチェックする。
時には自らポーズをとり、撮ってくれとアピールする。ちょっとしたモデル気分だ。

「なあれいむ。聞いてくれるかい?」

「なあに?おにいさん。」

「実は最近、友達ができてね。その人を通じてゆっくり愛好家のサークルに入れてもらったんだ。
 僕と同じ、ゆっくりの写真を撮るのが好きな人達の集まりなんだ。
 今日はそのサークルの撮影会の日でね。朝ご飯を食べ終わったら撮影会に出かけるよ。
 色んな種類のゆっくりが集まるらしい。れいむにも友達ができるといいね。」

「ゆー!たのしみー!」

「うーん。何て言ってるんだろう。僕にもれいむの言葉が解ればいいのにね。」


(ゆっくり撮影会)
男とれいむは撮影会に出かけた。れいむにとって初めてのお出かけ。
男の家に来てから一歩も外に出た事が無い。家の中で大事に育てられてきた。
生まれてすぐに別れた母や姉妹の事はもう覚えていない。初めて見る自分以外のゆっくり。
れいむはやや緊張しながら、撮影会に集まった他のゆっくり達に話しかける。

「ゆっくりしていってね!!!」

「・・・・・・」

「?ゆっくりしていってね!!!」

「・・・・・・」

他のゆっくり達の反応がおかしい。聞こえなかったのかと思い、もう一回話しかけてみても同じ反応。
なぜだろう?ゆっくりならばこの挨拶をしたら必ず「ゆっくりしていってね!!!」と返してくれる筈なのに。
ひょっとして新参者の自分とお兄さんは歓迎されてないのだろうか。そう思い、お兄さんの方を見てみると・・・

「いやーすごい。可愛いですねえ、このまりさ。僕もこんな写真撮ってみたいですよ。」

「ははは。これは私のベストショットでねえ。いつも持ち歩いているんですよ。」

「まーた始まった。新入りさん、あんまりこの写真を褒めない方がいいよ。
 この人、この写真の事褒められるとえんえん喋り続けるんだ。
 この写真を撮るのにどんだけ苦労したかとか、この写真でどんな賞をとったかとか。」

「こらこら。そんな事いったら新入りさんが誤解してしまうではないか。
 私はただ、この人にも私の可愛いまりさの写真を見てもらいたいと思っただけでね・・・」

「可愛さなら家のれいむも負けていませんよ。実は私もれいむの写真を持ち歩いていて・・・」

「ほう・・・どれどれ・・・お!これは素晴らしい!」

「でしょう。」

お兄さんはどうやら他の人たちとうまくやっているみたいだ。
どうして自分だけ他のゆっくりから仲間外れにされるのだろう。
折角お友達ができると思って、楽しみにして来たのに・・・
ゆっくり達は相変わらずれいむの事を仲間に入れてくれない。
れいむは一人寂しく他のゆっくり達の会話に聞き耳を立てる。

「あのゆっくりがいたらゆっくりできないよ。」
「はやくどっかにいってくれないかな。」
「かみかざりのないゆっくりなんて、よくはずかしくないもんだね。」
「きっとさそっているのよ。いんらんなゆっくりだわ。」
「おお、ひわいひわい。」

れいむはようやく理解した。どうやら自分が受け入れられないのは、自分が髪飾りを身に着けていないかららしい。
生まれてすぐに親元を離れ、近くに大人のゆっくりもいなかったれいむは、
ゆっくりにとって髪飾りがどんな物なのかが良く解っていなかった。
さらに、その後も彼女達の会話を聞き続けて、自分がどんな風に見られていたかを知り、顔を真っ赤にした。

ゆっくりにとっての髪飾りとは、人間が身に着けている衣服と同じ様なものらしい。
普通人間は常に衣服を身に着けている。「家にいる時は基本マッパですよ」と言う人だって、
外に出る時は必ず服を着る。特別に気を許した人以外には、自分の裸は見せないものだ。
リボンを着けていないれいむは、真っ裸で外に出歩く変態ゆっくりだと思われていたのだ。

「ゆあああああああああ!!!!!!」

れいむは急に恥ずかしくなった。いつも一緒にいるお兄さんなら、優しくしてくれるお兄さんになら、
裸を見られても平気だが、ここには知らない人も知らないゆっくりもたくさんいる。
そしてそのゆっくり達が自分を見ている。まるで変態を見る様な目で。

「おにいさん!おうちにかえろう!ここじゃゆっくりできないよ!!!」

「おや、どうしたんだれいむ。お友達ができて嬉しいのか?」

「ちがうよおおおおおお!!!はやくおうちにかえろうよおおおおおおお!!!」

「ははは。可愛いれいむですねえ。ぴょんぴょん跳ねて、友達ができたのがよっぽど嬉しいんでしょうねえ。」

「でも『ゆっくりー、ゆっくりー』と言ってるだけですからね。この子と会話ができたらいいんですけどね。」

「そういえば、ゆっくりの言葉を翻訳してくれる道具が開発中らしいですよ。」

「ほう。それは興味深いですね。」

「でも我々には必要無いでしょう。皆さん、この中に自分の可愛いゆっくりが何を考えているか、
 解らない人がいますか?いないでしょう。私達がゆっくりを可愛がってあげれば
 それはゆっくりにも伝わります。逆もまたしかりです。ゆっくりが心から飼い主を信頼してくれたら、
 ゆっくりの伝えたい事も自然と飼い主に伝わる筈です。」

「なるほど。確かに、私とれいむはお互い信頼し合っています。そんな道具は不要ですね。」

「なにいっでるのおおおお!!!おねがい!はやくおうちにがえろうよおおおおおおお!!!!!!」

「さあ、早速写真撮影を開始しましょうか。」

れいむの想いは当然男には届かなかった。写真撮影が始まり、皆思い思いにゆっくりの写真を撮り続ける。
リボン無しのれいむも当然被写体になる。髪飾りの無いゆっくりはとても珍しいと言う事で、
れいむはこの撮影会で一番の人気者になってしまった。飼い主たちのカメラが次々とれいむに向けられる。

「いやああああ!!!はずかしいよおおおおおおお!!!!」

「おお、可愛いねえ。れいむちゃん、こっち向いて。」

「いやああああああああああああ!!!しゃしんとらないでえええええええ!!!!!!」

「ははは。元気いっぱいだね。走り回ってる姿もいいよー。」

「もうやめでよおおおおおお!!!!!!!!」

「はっはっは。どうしたれいむ。泣くほど嬉しいのかい?」

「おにいさああああああああああああん!!!!」


(視姦)
ようやく悪夢の様な撮影会が終わる。れいむはぐったりとして歩く事もできず、男に抱えられながら家路についた。
知らない人に写真を撮られた。たくさん、たくさん。自分の恥ずかしい姿をたくさん撮られた。
れいむは何か大切なものを失った様な気がして、お兄さんの腕の中でしくしくと泣き続けた。

「どうしたれいむ。友達と別れるのがそんなに辛かったのか?」

「ちがうよぉぉぉ。れいむの・・・れいむのはずかしいすがたが・・・いっぱいしゃしんに・・・」

「そうか。そんなに辛いのか。だが喜べれいむ。実は来週も撮影会をする事になったんだ。
 来週またあのゆっくり達に会えるさ。一週間の辛抱だ。」

「もうさつえいかいはいやだああああああああああ!!!!!!」

「ははっ!そうか、嬉しいか。いやー、あのサークルに入れてもらえてホントに良かったなあ。
 れいむもこんなに喜んでくれるとは。」

「ちがうよおおおおおお!!!!なにいってるのおおおおおお!!!!」

「そうだ。ここまで出かけてきたついでに、ちょっと遠回りしようか。れいむが大好きな鯛焼きを買って帰ろう。」

会話がまったく噛み合わない一人と一匹は、商店街の中へ入っていく。


「いらっしゃい。おや、きょうはゆっくりと一緒なんですか。」

「ええ。今日はゆっくり撮影会の帰りでして。れいむに鯛焼きができるところを見せてあげようかと思って。
 いつものやつおねがいします。」

「はい。餡とクリーム五個ずつですね。」

夕方の商店街。夕食の買い物に来た主婦や学校帰りの子供達で賑わっている。
れいむは早くお家に帰りたいのに、お兄さんにはさっぱり伝わらない。
お兄さんは「ほら、鯛焼きはこうやってできるんだよ」などとれいむに教えてくれるが、
れいむはそれどころでは無い。恥ずかしいのを必死に我慢してぷるぷる震えている。
そんなれいむの周りに人が集まって来た。

「あら、珍しいゆっくりですね。」
「この子リボンが着いて無いのね。」
「まあ、可愛い。ぷるぷる震えちゃって。」
「人見知りをする子なのかしら。」

「ええ。この子外に出るのは初めてなんですよ。」

「いやああああああ!!!」
「れいむを、れいむをみないでえええええええええ!!!!」
「みちゃだめえええええええええええ!!!!」

「わー、れいむだ。しかもリボンが無いやつ。」
「えー、おれにも見せてー。」
「ねーおじさん。触ってもいい?」

「ああいいよ。撫でてごらん。可愛いだろう。」

「やめてええええええ!!!」
「れいむにさわらないでええええええええ!!!!」
「あああ・・・やめて・・・やめてよぉぉぉ・・・」

ようやく買い物が終わり店を出る男とれいむ。

「いやー、れいむは人気者だね。道行く人の注目の的だよ。ほら見てごらん。皆がれいむの事を見ているよ。」

「もうやめてよぉ・・・れいむをみないでぇ・・・」


(写真集)
やっと家に着いた。もうこんな恥ずかしい思いはごめんだ。れいむはお兄さんに抗議をする。

「おにいさん!れいむはきょうひどいめにあったよ!ゆっくりあやまってね!」

「なんだ。お腹がすいたのかい?じゃあ、買ってきた鯛焼きを食べようか。」

「ちがうよ!れいむはおこってるんだよ!れいむはもうおそとにおでかけしないからね!」

「しかし今日はいい体験になったなあ。家の外で写真を撮るのもいいものだ。
 そうだ、明日はどこか遠くに出かけて綺麗な風景をバックに写真を撮ろうか。」

「なにいってるの!れいむはもうおそとにでないよ!
 どうしてもってゆうなら、れいむのりぼんをつくってね!もうはだかでおそとにでるのはいやだよ!」

「ほら、れいむの大好きな鯛焼きだよ。はい、あーん。」

「そんなものでだまされな・・・むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」

さっきまでの怒りもどこへやら。大好きな鯛焼きを食べてすっかりご満悦のれいむ。
満面の笑みを浮かべ、しあわせー♪と叫ぶ。

「パシャッ!」

「ゆゆっ!!!」

「ははっ!いい絵が撮れた。そのまま、こっち向いて笑って。」

「もうしゃしんはいやだよ!れいむにかめらをむけないでね!」

「パシャッ!」

「ゆっ!!!」

「はい、もう一枚。」

「やめてっていってるでしょ!」

「パシャッ!」

「ゆーーーーーーーー!!!」

「ははは。ぷくーって膨らんでるれいむも可愛いよ。」

「おにいさあああああん!れいむのおはなしをちゃんときいてえええええええ!!!!」

「あ、いい事思いついた。」

「ゆ?いい事?なあに?」

「れいむの写真を集めて写真集を作ったらどうだろう。こんなに可愛いんだきっと売れる筈だ。」

「なにいっでるのおおおおおおおおおお!!!!」

「そして写真集が売れてお金が入ったら、今度はビデオカメラを買おう。
 ゆっくりのビデオ。ゆっくり好きにはたまらない筈だ。
 そうだ。サークルの人達にも声をかけてみよう。二匹のゆっくりがじゃれあって遊ぶ姿。
 うーん。想像するだけでにやにやが止まらないなあ。」

「やめでええええええええええええええ!!!!!」

「嬉しいかい、れいむ。れいむが主演のビデオだよ。れいむは女優だ。」

「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!!!」


翌日かられいむのとてもゆっくりできない生活が始まった。
れいむは写真を撮られまいと必死で逃げ回るが、男は一瞬のシャッターチャンスを見逃さない。
寝ている時、ご飯を食べている時、日課の日向ぼっこをしている時。
れいむが一瞬でも気を抜いて「ゆっくりー」すると、すかさず「パシャッ!」というシャッター音が。

「やめでえええええ!れいむをとらないでええええええ!」

「いいよー。可愛いよーれいむ。こっちを向いてにっこり笑ってごらん。」

「いやああああああああああああああああああああ!!!」

end

作者名 ツェ

今まで書いたもの 「ゆっくりTVショッピング」 「消えたゆっくり」 「飛蝗」 「街」 「童謡」
         「ある研究者の日記」 「短編集」 「嘘」 「こんな台詞を聞くと・・・」
         「七匹のゆっくり」 「はじめてのひとりぐらし」  「狂気」 「ヤブ」
         「ゆ狩りー1」 「ゆ狩りー2」 「母をたずねて三里」 「水夫と学者とゆっくりと」
         「泣きゆっくり」 「ふゅーじょんしましょっ♪」 「ゆっくり理髪店」
         「ずっと・・・(前)」 「ずっと・・・(後)」




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最終更新:2008年11月17日 16:03
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