ゆっくりいじめ系1536 都会派ありすの消失_02

それからのありすの生活は、かつての幸せだった時の名残など欠片も無いものになっていた。
何時からかありすにとってゆっくり出来る時間とゆっくり出来ない時間は逆転しており、今のありすがゆっくり出来る時間は
たまの入浴と眠っている時、それに女性が設けた一週間に一日の休養日のみ。
それ以外の時間は女性が毎度思いついたり試してみたい虐待によって泣き喚く日々だ。

「いぢゃい゛ぃぃぃぃ……おねぇざん、もうやべでぇぇぇぇぇ……」

今ありすは頬をペンチによって捻り伸ばされている。
つぶれかねないほどの強さで挟まれた頬は、千切れかねない強さで引っ張られている。
ありすはボロボロと痛みに涙を流しながら、そんな所業を行なう女性を見上げる。
女性の顔は、とっても幸せそうな笑みに満ちていた。

「いーや♪」

ググッとペンチにかかる力が更に強くなる。それによってありすが感じる痛みも強くなる。
一体、いつからこんな事になったのだろうか。
あの優しかったお姉さんはどこに行ってしまったのだろうか。
ありすはふと、自分が女性と出会った時の事を思い出していた。















「おい見ろよ、子ゆっくりだぜ!」
「おぉ! 生で初めて見た!」

ありすは子供の頃、一匹で街を彷徨っていた。
家族は生まれた時にはいなかった。
自分はどうやら出産中に親が蹴られていたらしく、蹴られている最中に親の体の外に飛び出し、草むらに紛れてしまった。

「ゆっくちちていってね!」

と言って後ろを振り返った時には、親まりさは既にただの泥饅頭になっており、人間はどこかに立ち去るところだった。
きっと、ありすが生まれると同時に死んだのだろう。
片親だけだった。姉妹もいない。ありすの唯一の肉親だった親まりさは、体中ボロボロになりながらも、ありすをこの世に産んでくれた。
片親はどうしたのか。姉妹はいないのか。どんな苦難があり、どんなドラマがあったのか。
ありすは何も知らない。ただ分かることは、自分の親は死んでも自分を産んでくれたということだけ。

それからしばらくは親の死骸を少しずつ食べて生き延びた。
その後は周りに生えている雑草や花を食べながら、薄汚れつつも生き延びた。
そんな生き延びるだけで必死だった日々はあの日、帰宅途中の小学生二人組に捕まって終わりを告げようとしていた。

「やめちぇ! とかいはのありちゅになにちゅるの!」

小学生の片手で捕らえられじたじたと暴れるが、子ゆっくりの力など子猫にすら及ばない。
小学生二人は子ありすを捕らえながら、どうやって遊ぶか検討していた。

「どうする? お前これ飼う?」
「嫌だよ生首なんて」
「だよなぁ」
「それより線路にこいつおかね? 石と違って電車に何も影響ないし派手にとびちるぜ!」
「いいねぇ、それ」

「確かガムテープあったよなぁ」と片方がランドセルから目的のものを取り出し、踏み切りから線路に入って子ありすを線路に固定しようとする。
何をされるか子ありすはよく分かっていなかったが、ただ自分が命の危機にあることは理解できた。
親が命を挺しても産んでくれた命。それが無惨にも散ろうとしている。

そんな時だった。彼女が現れたのは。

「こぉら、そんなことしちゃダメでしょ」

それからの事はあまり覚えていなかった。
ただ、女性が小学生二人を叱って二人組はどこかへ行ってしまい、女性が自分を家に連れて帰ってくれた事ぐらいしか覚えていない。
だが女性の家に来て、最初にご馳走してもらったケーキの味は、今でも忘れていない。
















女性はペンチでありすの頬をつねり上げながら、携帯のカメラでその様子を撮影すると、ペンチをしまって次の虐待道具を用意し始める。
ありすは思う。いつからこうなったのかと。
いつから、女性は優しくなくなったのか。

ありすは、戻りたかった。優しかったお姉さんと一緒に、笑いながら暮らしていたあの日々に。
毎日が楽しくて、毎日が幸せで、毎日がゆっくり出来たあの日々に。
それが、いつの間にかこんな日々になっていた。

ありすは何度も訊ねた。なんでこんな酷いことをするのか、と。お仕置きにしても以前とはまるで違う、と。
その度に返ってきた言葉は「ありすが可愛いから」。
ありすにはその言葉の意味はさっぱり理解出来なかった。
なんで可愛いから酷いことをするのか、と。可愛い相手にはゆっくりさせてあげるのが、ありすの常識だった。
そう、生まれるはずだった、自分の子供のように。

今の女性は、ありすにとって理解が及ばぬもの。バケモノといっても差し支えないほどだ。
今のお姉さんは、かつての優しいお姉さんとは違う。
でも、ありすは望んでいた。いつかお姉さんが優しいお姉さんに戻ってくれることを。

ありすは帰りたかった。あの幸せな日々に。
もう、子供も家族もいいから、何よりも、優しいお姉さんとの幸せな日々が欲しい。
これまでありすの言葉は女性に届かなかった。
それでも、願わずにはいられない。言わずにはいられなかった。

「おねぇ、ざん……」

ありすの弱弱しい声に振り向く女性。
ありすは自分の声にお姉さんがかつての優しかった頃と同じ笑顔で振り向いてくれたことが嬉しかった。
だからありすは、今度こそ届くと願って、その言葉を口にする。





「おねぇざん、おねがいだがら…………やざじいおねぇざんに、もどっで……」














カシャリ



ありすの言葉に返答したのは、無機質なカメラの音。
女性は手に持っていた携帯のカメラで、今のありすの顔を撮影していた。

「うん、ありす。良い顔だったよ、今の」

ありすの言葉は、届かなかった。











ある日、女性の恋人である男性が女性の家を訪ねた。
ありすがその男性に会うのは、れいむと子作りをした時以来だ。
久しぶりに見るその顔を見てありすは、れいむの事を思い出していた。
だから、男性が手に持っていたバスケットを見て、その中にれいむがいると思った。

「ゆっ、おにいさん、れいむは?」

楽しげに女性と話している男性の足元まで寄って、訊ねる。
男性はありすのその言葉に、「おぉ、そうだった。ありすにプレゼントがあるんだ」と言ってバスケットを床に置くとその中身を取り出した。

取り出したものの頭、黒い髪が見えた時ありすは、やっぱりれいむだと思った。
次いでリボンが見えた時は久しぶりに会う唯一の友達とどうゆっくりしようかと、久しぶりに期待を胸躍らせていた。
だから、れいむの体全体が見えた時、かつての泥饅頭と化した親を思い出したのは予想外だった。

ゆっくりとバスケットから取り出したものを床に置く男性。
それはれいむだ。男性が飼っていたれいむだ。
正確には、〝れいむだったもの〟だ。

「はい、可愛いありすちゃんにお饅頭のプレゼントだよ。美味しいよ、苦痛の中死んでいったから極上のあまあまさ」

そのれいむの形をした饅頭の目には、光が無かった。生気が無かった。
動く気配が無かった。動いていたとは思えなかった。
れいむは既に、死んでいた。

「…………ゆっ?」

困惑の声が漏れた。
ありすの、初めての友達。初めてのすっきりの相手。
一緒に可愛い赤ちゃん作ろうね、と誓い合った相手。
幸せな未来像を語り合った相手。

その相手であるれいむは、ありすのあずかり知らぬ所で、死んでいた。

「ゆっ、ゆ゛っ、ゆあ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!!」
















ありすは決意した。家を出ることを。女性の家から出ることを。
もう、ゆっくり出来ない。お姉さんはもう、自分の知っているお姉さんじゃない、と。
女性に髪をつかまれて振り回されながら、ありすはその思いを確かにした。

そうは言っても、脱走は容易ではなかった。
女性が住んでいるのはマンションの一室。ありすは女性に連れられる以外では外に出たことがない。
それでも、毎日女性に虐待され続けながらも、ありすは諦めなかった。希望を捨てなかった。

そんなありすに、ある日幸運が舞い降りた。
女性が洗濯物を干して仕事に行った後、ふとありすがベランダのほうを見やると、窓の鍵が閉め忘れているのに気付いたのだ。
ありすは突然に降って湧いた幸運を無駄にすまい、と虐待によって衰弱した体に無理を強いてベランダの窓まで行く。

窓を頬の弾力と摩擦でなんとか開けると、ベランダに出てベランダの手すりにジャンプして乗った。
女性の部屋は一階である。ゆっくりであるありすでも外に飛び降りる事は可能である。
ありすは、意を決して外に飛び降りた。
ビタン、と底部が地にあたる痛みに顔をしかめるが、ありすは堪える。

ありすは、ようやく女性の部屋から外に出ることができた。
ともかく、ゆっくり出来る場所を見つけよう。そう思い駆け出そうとしたところで、

「……………………」

ゆっくりと、これまで世話になった部屋を振り返る。
ぽつり、と

「おねぇさん、いままでゆっくりさせてくれて、ありがとう……」

そう呟くと、ありすはこれまでの生活と女性に別れを告げた。
夜、仕事から帰った後女性は必死でありすを探したが、結局見つかることは無かった。
















「ゆっ? だーりん、あそこっ!」
「なぁに、はにー? ゆゆっ! ありすだよ!」
「たおれてるよ、ゆっくりしてないよだーりん!」
「おうちにはこぼう、はにー!」

「「ゆーしょ、ゆーしょ」」










「…………ゆっ?」

ありすが目覚めた時、そこは見知らぬ場所だった。
そこは山の中の、小さな崖に出来た洞穴を利用した野生ゆっくりの巣だった。

「ゆっ? ありすがおきたよ、だーりん!」

そこにいた一匹のゆっくりれいむが、隣の巣に住んでいるゆっくりまりさを呼んできた。
ありすはあのれいむ以外で初めて会うゆっくりに戸惑っていたが、やがてやって来たまりさと一緒にありすの事を色々と心配してくれた事に、涙が零れた。


「ありす、だいじょうぶ?」
「ゆっくりできてる?」
「おなかすいてない?」
「けがはない?」

「………………ゆぐっ、えぐっ」

「ゆゆっ! ありすどーしたの!?」
「ゆっくりしていってね!」

「ゆぐっ、ゆっぐり、じでいっで、ね……!」

ありすは泣きじゃくりながらも、言葉を返した。






このゆっくりれいむとゆっくりまりさは、山に住んでいる野良ゆっくりである。
山の中で倒れていたありすを助けてくれたのだ。

あの後ありすは、とにかく女性から離れようという一心で逃げていた。
目指したのは、女性の家の窓からでも見えた近くの山だった。
テレビで見た野生ゆっくりの生活。
女性の部屋で幸せな生活を送っていた頃はそんな生活出来ないと思っていたが、女性の虐待から逃れられるならそれでも良いという発想から山を目指したのだ。

街で暮らそうという発想は無かった。自分の親は街中で蹴り殺されたし、子ゆっくりだった頃自分も殺されそうになった。
世間ではゆっくりが爬虫類のように、またはそれ以上に嫌っている人が多いことをありすは理解していた。
しかし、飼いゆっくり生活が長く、また虐待を受け続け弱っていたありすは、山に辿り着いて少し登った所でついに体力尽きて倒れてしまった。

そこを、通りかかったれいむとまりさが助けたのである。

「ゆぅ、ゆっくりありがとう! れいむ、まりさっ!」










それからありすは野生ゆっくりという第三の生活を送り始めた。
分からない事や野生で生きる知識などをれいむやまりさから聞きながらも、必死で覚えて体を振り絞って頑張った。
飼いゆっくりで肥えた舌で野生の食事が食べられないかもと思ったが、子ゆっくり時代や生ゴミを与えられるという虐待のせいか、二週間程で食事にもなれた。

巣はれいむとまりさの巣の近所にあった木の洞を使うことにした。
れいむとまりさの話では、かつて他のゆっくりが使ってた巣だという。
この山にもかつては他のゆっくりも幾らかいたのだが、今では自分達以外のゆっくりには会ってないという。

れいむとまりさは知らなかったが、その山は近所の虐待好きにとっては結構有名で、野生のゆっくりを虐待したい人がよく訪れるという。
そのためか、どんどんゆっくりの数は減り、今ではありすを含め三匹しか山にはゆっくりが居ないのだ。

「ありす、だいじょーぶ?」
「だいじょうぶよ! とかいはなありすはこれぐらいへっちゃらだわ!」

れいむとまりさは事あるごとにありすを心配してくれた。
ありすが野生の生活に慣れるまで多くの世話をやいてくれた。

「それでね、とかいはのたべものはつるつるのふくろにはいってるのよ!」
「ゆー、すごいねありす!」

元飼いゆっくりだと知ってれいむとまりさはありすに色んな事を聞いてきた。
その質問にありすは自分の知識の限り答えた。

あぁ、これだ。これこそが、自分が望んでいた生活なのだ。
ありすは思った。
家族じゃなくて友達。お姉さんも快適な生活環境もないが、野生の生活の中で自分がとてもゆっくりしている事を、ありすは自覚していた。

「まりさぁ、れいむはまりさのおくさんなの?」
「ゆっ、ゆゆっ!? なっ、なにいってるのありす! まりさとはにーはまだそんなんじゃないよぅ」

ありすの質問に顔を真っ赤にしてうろたえるまりさを見て、ありすは顔をほころばせた。
傍から見ればお似合いのカップルなのに、と。

「まりさ、あかちゃんができたらゆっくりみせてね」
「ゆっ? もちろんだよ! かわいいあかちゃんができたらありすにまっさきにみせにいくよ!」

ありすにはもう赤ちゃんを作ることは出来ない。
けど、れいむとまりさの赤ちゃんなら、自分も我が子のように喜べるはず。

初めての友達は失ったが、かけがいの無い友達が出来た。
快適な生活環境は失ったが、それなりにゆっくり出来る生活を手に入れた。
ありすは、自分の決断は間違ってなかったと思いながらも、時折女性の事を思い出しては一匹で涙ぐんでいた。




そしてそんな生活が何週間か経った頃。

「ゆっ、まりさ。れいむといっしょにゆっくりするの?」

まりさがれいむに〝ぷろぽーず〟をしたと聞いて、ありすは二匹のお祝いに向かった。
しかし、まりさに出会ってから、まずは二人水いらずでゆっくりさせた方が良いと思った。

「ゆっ、ありす! そうだよ! ず~っと、いっしょにゆっくりするよ!」

ありすは飼いゆっくり時代のある知識を呼び起こしていた。
そう、確かプロポーズをして結婚をした新婚のカップルは、何かをすると。
確か旅行に行くんだ。
そう、なんと言ったか。それは。

「じゃあ〝はねゆーん〟にいくのね」
「ゆっ? ありす、〝はねゆーん〟ってなに?」
「〝はねゆーん〟っていうのはね────」















こうしてありすは、親愛なる友人も失った。












れいむとまりさが〝はねゆーん〟に行って一週間。
ありすは一匹で、帰るはずのない友人を待ち続けていた。

「ゆぐっ、えぐっ……でいぶぅ、ばりざぁ……どぼじでがえっでごないの゛ぉ……?」

ありすは街がゆっくり出来ないことを知っていた。
だからそれを前提条件として会話をしており、まさかまりさとれいむが旅行先に街を選ぶとは思ってもいなかった。
れいむとまりさは、ありすから人間の街のことを聞いて期待と憧れを抱いていたのだ。

もう山にいるゆっくりは、ありす一匹のみ。
ありすは虐待の日々から解放はされたが、孤独の身となった。

ありすは、ずっと誰かに依存して生きてきた。
それは実質的な生活だけでなく、精神的な意味でもだ。

拾われてからは女性。虐待が始まってからはれいむ。野生の生活を始めてからはれいむとまりさ。
ありすはずっと、待ち続けた。望み続けた。
二匹が帰ってくることを。




もしくは、優しい頃に戻った女性が迎えに来てくれることを。

「ばりざぁ……でいぶぅ……」

ゆぐっ、えぐっ、と自分の巣の中で泣きじゃくるありすは、まるで迷子になった子供のようだった。

「おねぇざぁん…………」

ありすの周りには、もう誰もいない。
大好きだった女性も、大好きだったれいむもいない。
自分を助けてくれた友人達もいない。

ようやく苦しい日々から逃れ、望んでいた日々を手にしたありすは、まるでその代償とでも言うかのように孤独となった。
ホロリ、と誰もいない巣の中で零れた雫がありすの頬をつたう。

それでもありすは待ち続けようと決める。
れいむとまりさが帰ってくるまで。
大好きな友達を、笑って迎えるために。

そんな時は、一生訪れないというのに。


















翌日。
その地域に超大型の台風が直撃した。
近年希に見るその台風は、木々や家屋をなぎ倒し自然、人工物、生物問わず等しく自然の暴力で飲み込んでいく。

ありすを飼っていた女性の家も例外ではなく、女性はしっかりと戸締りをした自分の部屋にこもっていた。
その部屋には、かつて居た同居人の姿はなかった。
透明な箱や「ありす」と書かれたベッド、ゆっくりサイズの小さなクッションだけが、かつてそこに女性以外の誰かが住んでいたという証を残している。

テーブルの上には何十枚と印刷された紙がある。
『ペット探しています』と大きく書かれた文字の下に、ゆっくりありすの写真が載っている。
その下には探している者の性格や特徴なども記されている。
これまで百枚単位で刷ってきたものだ。

女性はパソコンであるウェブページを見て、嘆息する。
ネットを利用した探索も、今日までまるで成果はなかった。

女性はガタガタと揺れる雨戸の方へと顔を向ける。
その向こうに探し者がいるかのように。

「ありす……大丈夫かなぁ。何処にいっちゃったんだろ……」

顔を再びパソコンに戻し、画像フォルダを開く。
そこに収まっているのはゆっくりありすの写真。
元気に笑っているものから悲しげに泣いているものまで。数百枚に及ぶ同居人との記録。

「帰って来て、ありす……」

















「ゆっぐぢぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!!」

山の野生ありすも、当然のことながら台風の暴力に飲み込まれていた。
必死で自分の巣の中に篭るも、風や雨が容赦なく吹き込んでくる。
折れた木の枝や葉などがありすを殺さんとばかりに巣の中に入ってきては暴れ狂う。
ありすは吹き荒れる風に持っていかれないように、必死に踏ん張ることで精一杯だった。
少しでも気を緩めれば、風に体を持っていかれて二度と戻ってこれなくなる。

「やべでね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!! ありずをゆっぐぢざぜでね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」

ありすは泣きながら必死に懇願するが、そんな者を聞く相手ではない。
ありすは貧弱な力で大自然の驚異に逆らいつつも、その精神はどんどんと蝕まれていった。
不安と恐怖に。

形の無い圧倒的な力に飲み込まれるだけの弱者。
そんな弱者に出来ることは、僅かな抵抗と脅え震えることのみ。
ありすはそんな状況に、ゆっくりと、だが確実に自分の心が飲み込まれていくことを認識した。

恥も外聞もプライドも、遺恨も心残りも後悔も。
余分な者は何もかもが溶けて飲み込まれていく。
そしてありすは、最後に残った希望を叫んでいた。

「おね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ざぁぁぁぁぁぁん!!!! だづげでぇ゛ぇ゛ぇぇ゛ぇ゛ぇ゛!!! ごわいよ゛っ! ありずごわいよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」











翌朝。
一日中台風の猛威に晒された街も山も、爽やかな朝日に包まれていた。
台風一過による快晴。
暴力に飲まれ続けた者達を祝福するかのようだ。

その祝福の陽は、あのありすの巣の中も照らした。
誰もいない、巣の中を。



おわり


────────────────
あとがきのようなもの

もうお気づきかもしれませんが、途中に出てきたれいむとまりさのカップルは、「終わらないはねゆーん」の主役の二匹です



これまでに書いたもの

ゆッカー
ゆっくり求聞史紀
ゆっくり腹話術(前)
ゆっくり腹話術(後)
ゆっくりの飼い方 私の場合
虐待お兄さんVSゆっくりんピース
普通に虐待
普通に虐待2~以下無限ループ~
二つの計画
ある復讐の結末(前)
ある復讐の結末(中)
ある復讐の結末(後-1)
ある復讐の結末(後-2)
ある復讐の結末(後-3)
ゆっくりに育てられた子
ゆっくりに心囚われた男
晒し首
チャリンコ
コシアンルーレット前編
コシアンルーレット後編
いろいろと小ネタ ごった煮
庇護
庇護─選択の結果─
不幸なゆっくりまりさ
終わらないはねゆーん 前編
終わらないはねゆーん 中編
終わらないはねゆーん 後編
おデブゆっくりのダイエット計画
ノーマルに虐待
大家族とゆっくりプレイス
都会派ありすの憂鬱
都会派ありす、の飼い主の暴走
都会派ありすの溜息

byキノコ馬







タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年01月31日 03:28
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。