ゆっくりいじめ系1643 ほかほか餡子

寒さも厳しくなってきた時節、俺は一つ試したいことを思いついた。
それを試すにはゆっくりが必要だ。今の時期はちょうどゆっくりたちが冬ごもりの準備にいそしんでいる頃だろう。
頻繁に狩りへと出ているだろうから探すのも簡単そうだ。
思い立ったが吉日、ゆっくりを求め外へと出かけることにした。

森に入って歩くこと数十分、やっとゆっくりを見つけることができた。複数で来ているらしく、数も多い。
最近は人間をやたらと警戒しているので探すのが面倒ったらありゃしない。
本来ならもっと奥にまでいかないと見つからないのだが、必死に餌を集めているらしく、
普段の餌場よりも範囲を広げてやってきているようだった。おかげで探しやすくなってて助かる。

ゆっくりたちに見つからないように木に隠れ、狙いをつける。
今回は3、4匹は欲しいからまとめて捕まえれるようなやつがいい。
狩りにでてるゆっくりは大体が単体だから一匹捕まえるとそれに気づいて全力で逃げだしてしまう。
ゆっくりと言えど森で散り散りに逃げられると厄介だ。
小さいから物陰にすぐ隠れるし、ちぇん種などはすばしっこい。
一匹捕まえても何匹か逃げ出さずにその場に留まるような都合のいいのがいないものか……。

虫のいい考えを巡らせながらゆっくりたちを見渡しているとあるものが目に留まった。

「おとーさん、このきのこはゆっくりできるきのこ?」
「それはだめだよ!たべたらゆっくりできなくなるよ!」
「ゆゆ!ゆっくりりかいしたよ!」
「おとーさん、どんぐりさんこんなにひろえたよ!」
「ゆむ、さすがおねーちゃんだね!すりすりしてあげるね!すーりすーり♪」
「ゆ~くすぐったいよ~、すーりすーり♪」
「ゆぎ~!おねーちゃんばっかりずるいよ!」
「ゆへへ、ごめんね、すねちゃだめだよ!まりさもすりすりしてあげるね!すーりすーり♪」
「ゆきゃきゃ!おとーさんだいすき~」
「まったく、まりさはあまえんぼさんだね!」

まりさの一家か。親まりさに他は子れいむと子まりさ各一匹、番いは留守番かな?
子連れで狩りがてら食べ物の勉強ってとこか。
こりゃちょうどいい。家族なら一匹捕まえても全員逃げるようなことはしないだろう。
念のため最初に取り押さえるのは親の方にしとくか。

家族でじゃれるのに夢中になってるらしく、接近するのは容易そうだ。
姿勢を低くしながら距離を詰めていると、

「に、にんげんさんだああああああああああああ!!!!!」
「ゆわあああああああああああああ!!!!!!!」
「ゆっくりにげるよ!」
「ゆ?」

しまった!他のに見つかった!
脱兎のごとく逃げ出すゆっくりたち。だが幸運にも他のことに集中していたまりさ一家は反応が遅れたようだ。
チャンスだ。

「どっせぇええいっ!!」
「ゆゆ!?」

逃げられないようすぐさま飛びかかり、抱きかかえる。
ちょっと擦り剥いたが気にしない。

「お、おちびちゃんたちははやくにげてね!」
「なにいってるの!?そんなことできないよ!」
「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉ!?」

そうわめきながらじたばたと暴れる親まりさ。これでは両手がふさがったままだ。
仕方ないので地面に置き椅子代わりにした。といっても、潰れては困るから半ば空気椅子状態だ。

「ゆぎゅうううう!おもいよ!ゆっくりどいてね!」
「やめてね!ゆっくりやめてね!おとーさんをいじめないでね!」
「どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉぉぉ!?」

子ゆっくりたちが俺の足に向かって体当たりを仕掛けてくるがびくともしない。
おうおう、末っ子はさっきから涙目じゃないか。
あまり甘くなられても困るな、こいつから頂こう。
泣きじゃくる子まりさを掴みあげる。

「ゆ~、おそらをとんでるみたい!」

さっきまでの泣きっ面が一変、無邪気に喜んでいる。
ゆっくりの子供はあやすのも楽なんだろうなぁ。
そんなことを考えながら子まりさの帽子を外し、頬にかぶりついた。

「うん、いつものゆっくりだ」
「ゆぎゃ!?いだい!いだいよぉぉぉぉ!!!」
「ばりざ!なんでごどずるのぉぉぉぉ!!?」
「ゆゆ!?どうしたの!?みえないよ!?なにがあったかまりさにゆっくりおしえてね!」

子供のせいか皮は薄めだが、そこそこに甘く美味い。
ただ、

「やっぱり冷めてるんだよなぁ」

外気のせいか皮も餡も冷えていた。
とはいえ冬でなくてもゆっくりは大概こんなものである。
それでも美味いのは美味いのだが、冬場に冷めた饅頭というのも何か寂しい。
そこで思いついたのが今回の実験だった。

そうだな、親まりさでやってみるか。
もう子まりさは用済みだ。だがこのまま逃がすには大きく食い過ぎたからな。
一気に口の中に放り込み咀嚼する。もちもちとしていて小ぶりながら心地よい噛み応えだ。

「ゆえええええん!たずげ!?……」
「ゆわあああああああああああああ!!!!ばりざああああああああ!!!!」
「なに!?なになに!?まりさがどうしたの!?」

次に子れいむを掴みあげ、自由を奪った。
今度は目の前で家族を食われたせいか、あのセリフは聞けなかった。

「ゆがああああ!!!ばりざをがえじ、ゆぎ、ゆぐぐぐぐぐぐ!!!!!」

やかましいのでさっき取った子まりさの帽子を口にぶち込み、黙らせることにした。
子れいむも確保できたことだし、やっと空気椅子をやめることができる。
ゆっくりと立ち上がると、自由になった親まりさは今までの心配が爆発したかのような速さで俺の前に回り込んだ。

「おちびちゃんたちは!?おちびちゃんたちはどこ!?」
「ここだよ」
「れいむをゆっくりはなしてあげてね!あとまりさがいないよ!」
「そこら辺走ってきて、五十周」
「なにいってるの!ゆっくりしないでまりさのいばしょをおしえてね!れいむもゆっくりはなしてあげてね!」
「言うこと聞かないとかわいい子供が死んじゃうぞ」
「ゆゆ!?どうしてそんなこというの!」
「いいから走ってきなさい」
「やくそくだよ!やくそくだからね!」

そう言い残し、親まりさは跳ね始めた。
なんで五十周かというと、今回の実験内容が『ゆっくりに運動させてアツアツの饅頭ができるか否か』だからだ。
最初は快調だったものの、三週目に入るとペースが落ち出し、
七周目には激しく息切れを起こしていた。吐く息も白い。
息が白いってことは体内はあったかいということだ。
ということは頃合いだな。
俺は掴んでいたれいむを手持ちの籠に放り込むと、親まりさのところまで歩み寄った。

「もういいぞ」
「ゆはぁっ!ゆはぁっ!……ほ、ゆひぃ……とうに……ゆひぃ……?」

呼吸が荒く、なにを言ってるかわからないが、親まりさはよく頑張った。御苦労様。
両手で親まりさを持ち上げる。

「ゆひぃ……おそらを……ゆひぃ……とんでるみたい……」

息も絶え絶えに喋る。
そんなに苦しいなら言わなきゃいいのに。
ともかく、実験の成果を確かめるためにかじりつく。
さすが成体だ、皮が厚く、またよく伸びる。あまりに伸びるのでついつい底部の皮まで食べてしまった。

「ばりざのあんよがああああああああああああ!!!?」

今度は走らせたせいか餡が甘くなっていた。だが多めの皮がそれをカバーしており実に美味い。
そしてなにより食感がいい。だが、

「温いな」

人肌の温度とはこのことか。
これでは冬場に向いてるとは言い難い。運動させて体内温度を上げてもこんなものか。
実験は失敗だな。
それにしてもこれだけの大きさになると持て余すな。茶でも水筒に入れてもってくればよかった。
仕方ない、親まりさは置いていこう。持って帰るにも重いし。
愕然とする親まりさを地面にそっと置き、俺は家に帰ることにした。

「おにいざんんんん!!!おいでがないでええええええええええええ!!!!
 こどもがえじでえええええええええええ!!!!!」



炬燵に入り、熱い茶を入れながら皿の上の饅頭を眺める。
先ほど捕まえた子れいむを揚げ饅頭にしたものだ。
表面にまぶされたゴマから香ばしい風味が漂ってくる。
たまらずかぶりつく。揚げ饅頭はできたてのアツアツだった。

「ハフハフ、やっぱり、アフ、冬は揚げ饅頭に限る、ハフハフ」

冷えた体に熱々の緑茶と饅頭はしみじみと美味かった。










「おきゃーしゃん、おとーしゃんおちょいね」
「ゆ~どうしたんだろうね」
「おにゃかしゅいちゃよぉぉぉぉ!」
「なかないでね!おとーさんがかえってくるまでゆっくりまってようね!」

残された一家の春は遠い。






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最終更新:2008年12月07日 15:06
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