ゆっくりいじめ系306 ゆっくり改造職人のお話 前編

ご注意
※一部独自解釈を含みます。
※今回はあまりゆっくりを虐待していません。
それでも宜しければ、お楽しみ頂ければ幸いです。




魔法の森からそう遠くないとある丘の一角に、人間の里を見下ろすように立つ屋敷
そこにはちょっと変った男と、ちょっと変ったゆっくり達が住んでいました。
そしてその屋敷の扉には、こう書かれた看板が下がっていました。




「ゆっくり改造工房
 ここだけでしか手に入らないゆっくり、お作りいたします
 品種改良から整形、改造、インテリア、能力強化まで」





     マイスタ
ゆっくり改造職人のお話







「ちんちーん」

一番鳥が鳴く声で男は目を覚ました。ゆっくり職人の朝は早い。
しかし何時聞いても酷い鳴き声だな……声の質自体は良いんだけれど。
ブツブツ呟きながら洗顔と支度を済ませて居間に下りると、既に彼の助手が食事の支度を終えた所だった。特徴的な耳がゆらゆら揺れている。

「あ、師匠、おはようございます」
「おはよう。あのゆっくり目覚ましの声、なんとかならないの?朝っぱらから卑猥なんですが」
「改造したの貴方でしょうに……ゆっくりみすちーなんか素材に使うからですよ」
「アイディアは良かったと思うんだけどなぁ」

苦笑する助手と漫才しつつ食事を取る。

「そういえば、この前作った試作型四足歩行まりさですが」
「おお、アレは跳躍行動を止めさせるのにえらく苦労したっけなぁ。行動半径が広がったから野外牧場に移してたが、どうだ調子は?」
「全員死んでました。機動力を生かして夜のうちに柵を飛び越えて逃げようとしてたはいいものの、着地を考えておらず
 地面に激突して骨折した所をそのまま野生動物の餌になったようです」
「Oh…………」

食事が終わると、助手とともに多目的ゆっくり飼育場の様子を見に行く。

「むっきゅ~~!親方、おはようございますなの!」
「むっきゅ~~!今日もお仕事がんばりますなの!!」
「おはよう、もう他のゆっくり共の朝の餌やりは済んでいるな?じゃミーティング始めるぞ」

出迎えたのは10匹のゆっくりパチュリーだった。一般的にゆっくりパチュリーは体が弱い脆弱種となっているはずだが
ここにいるパチュリーは全員が野生種の数倍体が大きく、血行の良いなんとも精悍な体つきをしている。
話す言葉も聡明であり、腰?には反抗的なゆっくりを制裁する為の警棒、帽子には彼女等の地位と権力を示すバッジがつけてあった。

彼女たちは男が、飼育所管理用に特別調教したエリート達である。
ゆっくり改造には、生きた状態の大量多種類のゆっくりが必要となる。
改造のメインボディーとなるゆっくりだけではなく、パーツ移植用、練習用、研究用に体質変化の為の飼料用など、膨大な数のゆっくりが使われるからだ。
それら全ての世話を、彼と助手だけで行うのは時間的に厳しく、かといって沢山人を雇う余裕も無い。
そこで考えたのが、ゆっくり種の中でも体は弱いが比較的頭がよく、雑務を命令するのに適したゆっくりぱちゅりーの教育であった。
まずは薬物と手術で強制的に巨大化、長命化させたゆっくりぱちゅりーを使い子供を大量に養殖、
そして生まれた数多の子供の中でも特に知性が高く従順なものを選び抜き、特別訓練を施す。
特別な栄養を与え、筋トレをさせ、ゆっくり飼育場に必要な多種多様の知識、特に他のゆっくり命令を出す為の帝王学を学習させる。
その中でノルマを達成すればよい食事を与え可愛がり、成績が悪ければ拷問を、命令に従わないものには死を与えることで、主人への一層の依存と忠誠心を植えつけた。
それが終わるといよいよ最終試験として、訓練済みぱちゅりー達を当時の収容所……もといゆっくり飼育場に放り込み、彼女等以外の全ゆっくりを完全に命令に従う状態にするよう命じた。
当然ゆっくりたちは猛然な反発をし、ぱちゅりー側にも相当な犠牲が出たが
訓練済みパチュリーたちは強い団結とナチス顔負けの恐怖政治で反対勢力を無力化し、とうとう飼育場を完全にその支配下に置くことに成功した。
こうして飼育場は修羅場を潜り抜けた歴戦のパチュリーたちによって管理され、労働力の問題はようやく解決されたのである。

「じゃぁ今日の仕事を伝えます。パチュリーA、B、Cは通常通り、部下と一緒に飼育場の清掃と給仕をお願い。
 D、Eは農園の管理。最近野菜の数が合わないわよ、犯人を捕まえて見せしめで殺しなさい。適当に下手人を立ててもいいわよ。
 F、Gは野外農場と家の周りの清掃。使う労働力は適当に見繕って。
 Hは人体実験済みゆっくりの経過記録、Iはロボトミーれみりゃ軍団をつれて森の罠の回収に向かって頂戴
 J、貴方は私と一緒に家内の清掃よ。
 以上、解散!」
助手の掛け声とともに、パチュリーたちは一斉に持ち場に散っていった。



一通り飼育場を見て周ってから母屋に戻ると、助手が本日最初の依頼者を案内してきた。
見た目は40を過ぎた位の裕福そうな男。話を聞くと町の実業家だそうだ。

「それにしても珍しいですね。ゆっくり加工場にも永遠亭にも属さずに、個人でゆっくりの改造を行っているとは。」
「私は商売人でも研究者でも無く職人ですからね……まぁ半分は自己満足みたいなものです。
 予算と時間さえ頂ければ、大抵のゆっくりは作って差し上げますよ。一体どのような改造をお望みですか?」
「それは……」

実業家氏は暫く口篭っていたが、やがて意を決したように言った。

「実は私の愛するゆっくりれみりゃの肉体を、できるだけ人間に近く改造したものが欲しいのです」
「HENTAI目的ですね。わかります。」

慎重に言葉を選んだ実業家の努力を、男は爽やかにブチ壊してくれた。

「い、いやわわたしは何も……」
「そう恥ずかしがることでもありません。実際人間タイプのゆっくりの改造を希望される方は、9割方性行為も視野に入れた愛玩が目的ですからね。
 人として自然な欲求ですよ。比較的プラトニックなものから非常にサディスティックなものまで、その程度は様々ですが」

淡々と男は説明する。もっとも彼自身にはそういう趣味は無い。
だが彼のその言葉で、男性の心の殻は必要以上に破れてしまったようだ。

「そ、そうですよね!私は決してアブノーマルなんかじゃ無いですよね!それなのに世間一般の奴等はこぞってそういった趣味の人間を危険人物のように……
 大体少女愛や獣姦は太古から行われてきたことで、そのオルガズムは……」
「(うわ……地雷踏んじまったよ……)」

男の後悔をよそに実業家の熱弁は止まらない。そのまま10分近く演説を聴かされた所で、助手が盆を手に部屋に入ってきた。

「お茶をお持ちしました…………ごゆっくり」
「あ、こりゃどうも……」

罰の悪そうな表情で湯飲みを受け取る実業家。助手は笑顔で二人に一礼すると静かに部屋を出て行った。

「あはは、可愛い方ですな……ひょっとして奥さんですか?」
「ご冗談を、ただの助手ですよ。」
「……私達の会話、聞かれてましたかね?」
「多分」

気まずい空気を振り払うように、二人は改造仕様の具体的な協議に入った。


身長は原型のままでよいか?      Aよい。ロリコンこそ正義
体型は?                  A歳相応に健康的に、だが胸は膨らみかけで
爪の移植は?               A無くてよい。爪きりめどいし

髪の色は?顔の輪郭は?足の長さは?etc etc etc……


大まかな注文が纏まると、男はそれを元に必要予算の見積りを出す。
提示された金額は、依頼者には払えぬほどでは無かったが、幻想郷の物価からすれば相当な高額であった。

「むぅ……少しお高いですな。」
苦言を呈す実業家に、男は反論する。
「お言葉ですが、ゆっくりというのは生物学的に見て、普段我々が思う以上にデリケートで予測困難な存在なのです。その施術の難しさは計り知れません。
 単にゆっくりを切り刻み、肉体をくっつけるだけなら子供にでも出来ます。
 しかし技術と欠いた手術は術後も傷跡が残ったり、施術した部分が歪んで再生したり、壊死したりと時間の経過につれて問題が噴出します。
 そして何より、ゆっくりの潜在的な寿命を大きく縮めてしまうのです。
 私が高額の料金を取るのも、そのような悲劇を防ぐ為に入念な下準備をおこない、最高の素材を用いた上で施術を行うからです」

「しかし、実際どの程度劇的な差ができるものかは……」
未だ渋い顔をしている実業家に、男は頷いて言った。

「まぁ言葉だけでは実感が沸かないとは思います……。では、サンプルをお見せしましょう
 おーい、キモ子!」

手を叩いて助手を呼ぶ。程なくして先程お茶を運んできた少女が、耳をピョコピョコ揺らしながらやってきた。

「お呼びですか師匠?あと次にその名前で呼んだらブン殴ります。Please call me レイセン, OK?」
「いや、かといってその名前は色んな意味で不味い気がするんだが……特に永夜ファン的に……
 それはそうと、お客さんがお呼びだぞ」
「いや、私は人間型ゆっくりの改造サンプルを見せていただけると聞いただけで……」
困惑する実業家を前に、レイセンと名乗った少女は自分を指差すとニコニコ笑いながら言った

「でしたら、ここに。お疑いでしたら試しに触ってみてくださいな」
「いやいやいや(サワサワ)……ん(サワサワ)……え………うそぉん!!」

差し出された手を握ったまま、思わずのけぞった実業家を素早く支えつつ、男が話しかけた。

「はい、素晴らしいリアクションをありがとうございます!ええ、間違いなくゆっくりですよ。私の最高傑作です。
 元々彼女は超特別製でしてね……迷いの竹林の奥深くにあるとされる永遠亭
 そこでしか確認できない希少種『ゆっくりうどんげ』の中の、更なる突然変異『きもんげ』なのです。」

まだ口をパクパクさせている依頼者を横目に、男は説明を続ける。

「突然変異故、生まれつきゆっくりらしからぬ非常に高い知能を持っていたものの
 その顔面があまりにも、殺人的に、ウザくて不細工だった為に、仲間のゆっくりからも屋敷の住人からもひたすら嫌われ、いぢめられていました。
 とうとう拷問の末処分されるというその一歩手前の所を、私が頼み込んで譲って貰ったのですよ。
 それから半年程かけて、私の持っていた全ての知識と技術を投入し、整形手術を行い
 見事『全米ブサイクな兎コンテスト』優勝候補だった彼女を、美少女として蘇らせることに成功したのです!」

苦笑いしている助手の肩に手をおいて、男は胸を張る。それは手塩にかけた自慢の娘を紹介する父親のようだった。

「しかし信じられない、どう見ても人間そのものだ……」
実業家の言うとおり、少女はどう見てもゆっくりには見えなかった。
身長も体型もゆっくりの胴長短足とは程遠いスレンダーなもの、そのくせ出ている所はしっかり出ている。
顔は睫毛から耳の形まで完全にモデルとなったであろう月兎の美少女を再現しており、実際に肌に触れてみない限り誰もゆっくりとは気付かなかったであろう。

「まぁ家一軒は余裕で建てられるほどの金を費やしましたので……素材も墓からにんg……ゲフンゲフン
 ともあれ、ダッチワイフもどきに金を捨てたと親族には罵られ、婚約者には逃げられましたが、結果には満足しています。」

苦笑する男、しかしその話を聞いた依頼者の態度は明らかに変わっていた。

「感動しました、貴方は男の夢の体現者だ!是非とも私にもその力をお貸し下さい、お願いします!!」
「解って頂けましたか。」

二人の男は堅い握手を交わし、その後つつがなく商談は成立した。

「……なお、体型等はなるべく其方の要望通りに作らせて頂きますが、顔についてはオリジナルに若干のアレンジを加えさせていただきます
 あまりに紅魔館の主そっくりに作ってしまいますと、万が一本人の目に留まった場合ほぼ確実に殺されますからね」
「なるほど……承知しました。」



実業家が帰ってしばらくしてやって来たのは、男が暮らす家の一つ隣にある村の村長だった。

「これは村長、いつもお世話になっております。今日はどういったご用件で?」
「いやー、実は……」

村長の話は次のようなものだった。
最近、村の畑をゆっくりの群れが徒党を組んで荒らすようになった。
これまでゆっくりの被害にあったことの無かったその村では、慌てて柵を作ったり罠を張ったりして対策を練ったが
そのゆっくり達は長く生きて悪知恵に長けているのか、罠は看破するわ柵は地面を掘って進入するわでまるで効果が無いのだという。
しかも夜更けなど人が畑にいない時間を見計らって襲撃してくる。毎日畑に見張りを出すわけにもいかず、村人全員弱りきっているのだか。

「と、いうわけです。何か良いお知恵はありませんか」
「なるほど。それなら丁度良いモノを作っていた所です」

そう言って、男は村長を飼育場の方に案内した。

「あーー、にんげんだー、こんにちはーー」
「あそんでくれるんだねー、わかるよーー!」
「ゆっくりしていってねー」

村長が案内された飼育場の一角では、数匹のゆっくりちぇんが遊んでいた。
男達を見つけるとぴょんぴょんと飛び跳ね近づいてくる。
元々性格の良い個体が多いゆっくりちぇん種だが、ここで飼育されているちぇんは特に人間への警戒心が薄いようだった。

「ただのゆっくりちぇんじゃないですか……こいつらを番猫にしろとでも?」
「まぁ見ていて下さいな」
落胆する村長を尻目に、男はあるものをちぇんたちの前に放り投げた。

「ゆっ!」

それは一匹のゆっくり霊夢だった

柵の内側に投げ込まれたゆっくり霊夢。最初は男達に文句を言っていたがちぇんたちの姿を見ると笑顔になってすりよっていく。

「ゆっ!おともだちがいるよ!ゆっくりあそぼうね!!」

だが、その姿を見たゆっくりちぇんたちの取った行動は、彼女の期待とは真逆のものであった。

「ゆっ!てきがおちてきたよっ!」
「ころすんだね!わかるよわかるよーーっ!!」
「さっさとしね!むごたらしくしね!!」

突然表れたゆっくりれいむに対して、殺気をむき出しにするちぇんたち
先程まで優しい光をたたえていた双眸は、れいむを睨むと大型肉食獣のごとく吊り上がり
歯を剥き出しにした所を見ると、その口の中にはゆっくりちぇん種には似合わぬ凶悪な牙がズラリと並んでいる。
更には体をぶるぶると震わすと、刹那、その背中からは歪な翼が飛び出してきた。

「「「ゆっくりしねぇ!!!」」」
「どぼちてぇぇぇ!!!gbふぁa」

声をあげると、ちぇんたちは一斉に哀れなゆっくりれいむに飛びかかった。
牙で裂き、翼でえぐり、その体に似合わぬスピードで踏み潰す。
男達の目の前で、れいむはあっという間に原形を留めぬ汚いミンチとなっていった。

「これがわが工房の『高機動ちぇんF型』です。」
唖然としている村長を横目に、男は解説を入れる

「通常、ゆっくり同士の生体間移植は同種でしか成功しません。
 種族ごとに、彼らの体を構成する『餡』が異なり、別種のものを入れても拒絶反応を起こして壊死してしまうからです。
 しかし例外的に、彼らの皮膚や歯、羽や洋服といったいわゆる『皮』で出来た部分は、組成成分が近いせいか拒絶反応が少なく、移植が成功する場合があります。
 これらのちぇんは、まだ拒絶反応が少ない幼少のうちに歯を全て引き抜き、代わってゆっくりふらんの歯と翼を移植したものです。
 施術を施したものの多くは拒絶反応によって死にましたが、一部はこうやって生き残りました。
 その後も、ゆっくりへの凶暴性を高めるために餌にゆっくりふらんの血肉を混ぜて与え続けたり
 餓死寸前になるまで干しておいてから、徐々に他の生きたゆっくり種を餌として与えるなどして
 最終的にこのような優秀なハンターとなるまで鍛え上げました。ゆっくり狩りには最適ではないでしょうか。」

その後も男は死亡率を下げるべく切開面を少なくしようといかに工夫したか、翼と背筋餡の接続にいかに苦労したかを延々と語り始めたが、村長は既に聞いていなかった。
呆然としてゆっくりちぇん達を眺める。先程まで殺戮に興じていたちぇんたちは、今は何事も無かったかのように嬉々として助手の少女と戯れていた。

「しかし聞いたところ、一匹のちぇんを強化するにはかなりの労力と費用がかかる様子
 元々弱いゆっくりちぇんをわざわざ改造して強くするよりは、れみりゃ種を捕獲して番犬代わりに使った方が良いのでは?」

と、気を取り直して村長が疑問を呈す。
貴方は何も解っていない。魔改造したジムでビグザムの群れを殲滅できるようにするのが男のロマンでしょうが!
と、男が独自の美学に基づいて反論しようとする前に、改造ちぇんを抱えてひょっこりと助手が顔を出した。

「それについては、私からご説明させて頂きます。
 ゆっくりれみりゃは捕食者としては優秀ですが、いかんせんゆっくりの中では1,2位を争う頭の悪い種族。
 散々苦労して仕事を覚えさせても、ある日突然蝶々を追いかけていなくなってしまった、などというのもよくある話です。
 一方ゆっくりふらんはれみりゃほど知能は低くないもののプライドが高く躾が難しい、
 下手に暴力で言うことを聞かせようとすれば、自殺してしまうことすらあります。
 そして何よりこの2種は希少種です。最近養殖モノが出回り始めたとはいえ、未だに一匹辺りの値段は高い。
 その点この改造ちぇんなら母体のゆっくりは安価に手に入りますし、移植する羽と翼は一匹のゆっくりふらんからいくらでも手に入ります。性格も良く躾も簡単。
 忠誠心と有用性、コストパフォーマンスの全てを備えたこの改造ちぇんこそ、次世代を担う番犬ゆっくりなのです!」

相変らず良く回る口だと、村長に立て板に水のセールストークを続ける助手を見ながら、男は呆れ気味に思った。
助手に迎えてから解ったことだが、この元きもんげは金儲け関連の仕事をさせると抜群に上手い。
彼女に言わせると「人間が金儲けに関して抜けすぎているだけ」だそうだが、本人に商売の素質があることは間違いないだろう。半分詐欺まがいの商売を発案することもあるが……
職人としてのこだわりから、しばし将来性や採算度外視の仕事に走る男と足して二で割って、丁度良くバランスが取れているといえる。

とか何やら男が考えているうちに、助手と村長の間では
村長の家で暫く試用期間を設けた上で、効果が認められれば村を代表して正式に購入する、という話が纏まったようだった。
「可愛がってあげて下さいね」と手渡された改造ちぇんを大切に胸に抱え、村長は村に帰っていった。



結局その日、新たに職人の下を訪ねてきた客は二人
一人は自分の飼っていたゆっくりが大きくなりすぎたので、餌代節約の為にサイズダウンさせて欲しいという男
もう一人はペット用ゆっくりアリスの避妊を依頼してきた業者で、ダンボール一杯に子アリスを詰めた物を置いていった。

「4件か……まぁ多い方かな。今日は準備だけに留めて、施術は明日から始めるとしよう」
「最近仕事もコンスタントに増えてきていい感じでんなぁ。スケベパワー様々や」
「……その似非方言は止めろと言っているだろ、関西人に失礼だ」

すみません、と助手は舌を出す。たまに偽関西弁が出るのも彼女に言わせると「きもんげの特性」だそうだ。
みっともないから男も注意し、本人も普段は注意しているのだが、たまに気を抜くとつい出てしまうのだとか。
そういえばこの前家計簿をつけさせたときも、札をカウントしながら
「どんだけ中身が薄くても、タイトルに東方ってつけて表紙どんげにすればアホがぎょーさん買うていく。笑いが止まらんわぐっへっへ」
とかなんとか言ってたが、あれは一体何のことだろうか。

「……まぁ、一番手間がかかる施術さえ元々生命力の高いゆっくりれみりゃの改造だ。失敗の可能性は薄いだろう。
 コツさえ知っていれば誰にでも出来る、大工仕事だよ……たまには難易度の高いパチュリーの改造等をしてみたいねぇ。」
「そんなこと言っていますが、顔は笑っていますよ?」

美しい顔にニヤニヤ笑いを浮かべて助手は指摘する。この辺の性格は改造前とあまり変っていないな、と男は思った
だがまぁその通りだ、なんだかんだと文句を言いつつ、自分は明日の仕事を楽しみにしている。



改造は、楽しい。



子供が粘土で「ぼくだけのかいじゅう」を作るように、男は自分の思うがままにでゆっくりに手を加える。
ゆっくりの命を切り貼りし、肉体を繋ぎ合わせ、醜い部分を削ぎ、綺麗な部品を加え、新たな生命として蘇らせる。
命を媒介にして行う粘土遊び。命を弄ぶ行為、神への冒涜と言われようと、これほど面白い遊びはこの世には無い。
安定した収入を捨て、これを生業に選らんだことで失ったものも多かったが、男は微塵も後悔してはいなかった。



「とりあえず俺はパチュリーどもと夜のミーティングを済ませてくる。お前jは明日使う器具と素材を準備してくれ。それが終わったら飯だ。」
「了解しました、師匠!」


助手と別れて飼育場に向かう男の目は、まるで明日は何をして遊ぼうかと考えている子供のように輝いていた。



                                                            >>後編に続く

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最終更新:2008年09月14日 05:28
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