ゆっくりいじめ系2095 キリン(笑)

別格のゆっくり

☆ゆっくりがとてつもなくゆっくりする話です
☆バイク



ここ、奥多摩は首都圏からほど近い、数少ない走りのメッカだ。
休日ともなるとスリルとスピードを求めてライダーたちが集まる、かくいう私も愛機を駆って山中を走るライダーだ。

ある日の夕暮れのことだ、この山で見知った仲と一緒に駐車場で休憩していると、一台のカブが対面の駐車スペースに止まった。
走りのメッカとはいえここは観光地を走る公道だ、肩に力を入れて走らなければならない場所ではない、むしろ行政はそれを積極的に否定している。
だからこうしてちょっとした日常を飛び出してきた近隣の商用車などが、この駐車場に止まっている事も珍しくはない。
だが、その珍しくないカブにどうして目がいったかというと。
「ゆーっ!おにいさんはだめだめだよ!のりっくにいさんはとはべっかくだね!だっせぇぜ!だっせぇぜ!」
荷台に一匹のゆっくりまりさが、荷台のシート側からわずかに伸びているゴムひもを噛んでいたのだ。

私は、ヘルメットを外したライダーに、声をかけてみた。
「あの・・・。」
「はい。」
「これは何ですか?」
「ああ・・・、これはですね―」
ヘルメットには東京の町中にある某大学のステッカーが張ってあった、彼はどうやら生物学部の学生か、教官らしい。
「ゆっくりまりさです。」
学者というのはどうもズレている、俺が求めているのは、そこにおいてあるまんじゅうが何なのかという答えではなく
何故そこに、禄な落下防止策も取らずにまんじゅうが置いてあるのかを聞いているのだ。
どうやら、教官の線が強い。
「いや、だからですね・・・、どうしてこんな事を?」
今の法制下ではゆっくりは生物として認められていない、つまりゆっくりを焼こうが髪の毛を剥ごうが母子を共食いさせようが
動物虐待には問われないのだ、だからこの喋って感情のあるまんじゅうをどぎつくいじめる人間は、結構多い。
帰ってきた答えは、またも意外なものだった。
「ゆっくりの(慣れ)を調べているんです。」
「スピードに対しての?」
「ええ。」
「だからって、こんな風にくくりつけてちゃあ、落ちたらエラい事になりますよ。」
「対象はいくらでもいますからね。」
まただ、そう言うことを言っているんじゃない。
考えてもみてほしい、通過速度80キロを優に超える高速コーナーも存在するこの道路で、もしもゆっくりがあんこをブチ撒けて死んでいたら?
その上を走るライダーに待つのは死あるのみ、まともに考えればわかりそうなことだが
この・・・、この、私の出身大学とは天と地とも差のあるやんごとなき大学のゆっくり学者は、そんな事もわからないらしい。
「あんたねえ、研究だか虐待だか知らないが、そう言うのはもっと人のいないところでひっそりやってくれよ。」
「はあ、すみません、しかしこいつらは、しっかり固定すると自分に累が及ばないのをいい事に、全くスピードを恐れようともしない」
「ほぉ、それで奥多摩に来たと。」
「ええ、おっしゃる事はわかります、ですが我々は以前鈴鹿のコースで、プロに依頼して同様の実験をしましたが
その、あまりにそのライダーが上手すぎて、まりさはグリッドに帰ってくる頃には『ゆっくりもういっしゅうはしってね!あんこあんこいぇーがーだよ!』と」


なに?


「ええ、ですから適度にヘタでないと、ゆっくりは速度に対する恐怖感を持たないのです。」
この学者、今聞き捨てならないことを言った。
俺は、しゃがみ込むとゆっくりまりさと視線を合わせた。
「ゆゆ!おにいさん!ゆっくりしてる?まりさはとーってもゆっくりしてるよ!」
「・・・どのぐらいゆっくりなんだい」
「ろっしおにいさんよりもだよ!」
「・・・。」
後ろで、一斉にエンジンのエグゾーストノートが聞こえてきた。
現在時刻午後6時30分、この道路は7時になると暴走族対策のために閉鎖される、そろそろみんな帰る時間だ。

「教授、このゆっくり、ちょっと借りていい?」
「いいですが・・・。」
「それでは。」
「ゆゆーっ!おじさんはどれだけまりさをゆっくりさせられるかな!?」

俺は、タンデムステップに入念にゴムひもを巻き付けると、その端をまりさに咥えさせた。
「おじさん!ゆっくりじゅんびおーけーだよ!」
暖気は済んだ、ゲートまでの私の最速タイムは3分30秒、そのタイムを割る事ができるならば
まりさはゆっくりを超越できるはずだ、次の瞬間、私とまりさはゆっくりせず地面を蹴った!

山の陰に太陽が隠れ対向の四輪はちらほらとライトをつけ始めている、それが夜空を駆ける流れ星のように視界の外へ消え去る
一番危ない時間、逢魔が時、私はタイヤが暖まった事を確認すると、前輪をロック寸前までブレーキングする、まりさが私の背中に勢いよくぶつかり鈍い悲鳴を上げる。
どうだまりさ、これがスピードだ、これは決められたコンディションの決められたコースをセオリーの速度で駆け抜ける「競技」ではない。
「まりさ!これは戦いだ!」
「う゛ーーーーーーっ!」
私とまりさは、歌うように、諭すように、山道を下り続けた。
ブラインドコーナーの先、路面に山水がしみ出している、リヤブレーキを駆使して車体を安定させて避ける、ゆっくりれいむの家族が道路を横断している
フルスロットルでそれに先んじて通過する、すぐにフルブレーキング、後輪をパワースライドさせながら減速帯のあるコーナーをパス
この際ハイサイドの恐怖などどこかへ消え失せてしまっている。
どうだまりさ、サーキット育ちのぼんぼんの走りでは、とうていこんな無茶はすまい!!


「ぶえええええええええ!ごわがっだよおおおおおおおお!!」
職員がしかめっ面でゲートを閉めるのを後ろに、私は麓の駐車場でまりさと対峙していた。
途中で追い抜かした仲間達が、盛大な拍手で私を褒め称えた。
「どれぐらい怖いんだい?」
「でびりゃよりもだよおおおおおお!ばりざをゆっぐりざぜないじじいはじねっ!じねぇぇ!」
「教授、こんなもんだ、どう思う?」
私がここに到着してから3分遅れで到着した教授は、彼なりに無理をしたのか、両足をふるわせながらなきじゃくるまりさを受け取った。
「いい結果が出ました、私にとっても・・・、速度と恐怖感は、比例しないようです。」
「ああそうだ、速さというのは理論を超越した感覚だ、クローズドで理詰めをしていても、それは速さじゃない・・・これに懲りたらこれからゆっくりを虐めない事だな。」
キマまった。
教授の目は俺のバイクに向かってランランと光り輝いている。

「まりさ」
「ぼうやべでえええええ!ぶんぶんやだぁあああ!!」
「速さとは、己の中の指針に基づくものだ、それを乗り越えたとき、お前はバイク乗りになる・・・チャック・チャック・イェーガー。」
「ぶえええええええ!!!!」
こうして私は家路についた。


後日家に届いたのは研究室からの感謝状ではなく、速度超過による出頭要請だった。
ハゴッ!ヌヌカッ!
免許取り消し、キリン(笑)



書いた奴 お前の母親

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最終更新:2009年01月31日 16:06
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