※ぬるめ
「ゆぐっ!ゆっぐぢぢでよー!?」
れいむは必死に抵抗していた。
突然降りかかってきた脅威から逃れるために。
「やなこった。お前の目を引きずり出してやる!」
「ゆっくりしていってよー!?」
れいむの目を抉り出そうとするのは一人の男。
両足でれいむの体をがっちり固定して、目を閉じられないように右手でまぶたを押し広げている。
そして、れいむの言葉に一切耳を傾けずに開いている左手をれいむ目に突っ込んだ。
「ゆ゛っ!ゆぐっ・・・ゆっぐり゛ー・・・」
男の指が皮に空いた眼孔を押し広げ、めりめりと中へ進んでゆく。
指が深く深く進んでゆくたびに皮が押し広げられ、僅かに裂けて行った。
「ゆ゛・・・ゆぎぃ・・・!」
れいむの口からはもはや悲鳴ですらない呻き声が漏れ出している。
しかし、男は手を止めない。
人差し指と親指をぐいぐいとねじ込み、やがて根元まですっぽりと収まった。
「いっせーの、でっ!」
「ゆ゛っ!!?」
直後、男は目を2本の指でしっかりと掴むと指ごとすばやく引き抜いた。
一瞬、今までよりも悲痛な嗚咽を漏らしたれいむの顔にはぽっかりと穴が開いている。
そして、本来そこにあるべきものは男の手の中。
「おー・・・すげぇな。本当にただの球体だ」
人間のそれと違って視神経も何も無い。
素人目にもこんなものでものが見えることの異常さがはっきりと伺えた。
「ゆ゛っぐ・・・ゆっぐぢぃー・・・」
「ほーら、れいむ。これを見てみろ~」
未だに治まらない痛みから立ち直れないれいむの目の前にそれを近づける。
「ゆ゛・・・ゆっぐぢぃ?」
すると、れいむはひとつしかない目でそれを追いかける。
見たところ、まだ片方の目が機能していない事には気付いていないようだ。
男がその球体を左右に振るとその動きに合わせてゆっくりと目を動かす。
「っち。片方だけじゃまだ気付かないか」
「ゆぅ?」
痛みが引いてきたのか、れいむは普段どおりのゆっくりを取り戻していた。
ゆうゆうとリズムを取りながら、青年の手の動きに合わせて体を左右に振っている。
あんな目にあった後にもかかわらずその表情は無邪気そのもの。
「ゆっくり~♪ゆっくり~♪ゆっくり~♪」
れいむにとってはこれが日常なのだから当然だろう。
男はれいむの飼い主であり、れいむにとっては知りうる限り唯一の他者だった。
理由なき虐待も今日に始まったことではなく、彼女にとっては日常茶飯事。
「ゆっくり~・・・ゆっくりしていってね!」
「はいはい、ゆっくりゆっくり」
だかられいむは理不尽な虐待にも疑問を持たず、ただそれが終るのを耐え続けていた。
そして、いつもの優しい飼い主に戻ってくるれるのをじっと待っていた。
今れいむは幸せそうに微笑んでいるのはそう言った日常の積み重ねによるものである。
「仕方ない。もう一方もぶっこ抜くか」
「ゆぐっ!?」
そう言いながら男はれいむを捕まえようと手を伸ばす。
れいむは一瞬びくっと身を引くが、その行動が彼の反感を飼うことに気付いてその場にどっしり腰を下ろした。
もっとも、ひとつしかない目は固く閉じられ、明らかに警戒心が滲んでいるが。
「はいはい、痛くないよ~」
「ゆぅ・・・ゆっく、ぢぃぃぃいぃ!?」
男の言葉を聞いたれいむが恐る恐る目を開けた瞬間、勢い良く親指と人差し指がねじ込まれた。
眼球を壊さない程度に、しかし先ほど以上の勢いで突っ込まれたそれは周囲の皮を引き裂く。
「ゆ゛びぃ!ゆっぐ、ゆ゛っぐぢぃー!?」
「はいは~い、動くともっと痛いぞ~」
男はこれまた先ほど以上の勢いで残っていた眼球を引き抜いた。
れいむは男の手から離れた瞬間に床に落ちるが、その痛みすらも感じる暇なく転げまわる。
壁や家具にぶつかりながらも、悲鳴をあげながら目を抜かれた痛みにのた打ち回る。
「ゆぐぅ!ゆぎぎぎぎぎぃ・・・!?ゆっぐ、ぢー・・・?!」
延々と転がり続けたれいむだったが、やがて痛みが引き、世界が闇に包まれていることに気がついた。
目が無いので表情がイマイチ把握できないが、口をへの字に曲げてきょろきょろと辺りを見回している。
先ほどまでの七転八倒から一転して今度は右往左往といった様子である。
「ゆぅ?ゆっくりー!?ゆっぐぢぢでよー!ゆっぐぢ!ゆっくぢー!」
「どうしたんだ、れいむ?」
「ゆっぐ、ゆっぐぢでぎないよー・・・」
そう言ってれいむは2つの穴から涙を流し、男を探してうろうろと跳ね回る。
が、暗闇に慣れていないれいむでは声を頼りに男を捜すことも出来ず、家具にぶつかってしまった。
「ゆぐっ!?」
「おいおい、家具を壊したらお仕置きだからな?」
「ゆー・・・ゆっぐぢぢだいよぉ、ゆっぐ・・・ゆえーん」
動くことすらもままならなくなったれいむはその場で泣き崩れてしまった。
それを見た男は流石にやりすぎたか、と頭をかきながら彼女を再び捕まえると、手にした目を元の穴へとねじ込んだ。
「ゆぐっ!ゆぎぎぃ・・・!?」
その作業は先ほどのように不用意に痛みを与えるものではなく、あくまで目を戻すためだけのもの。
それゆえ非常に迅速に一連の作業が行われ、れいむから抜き出された2つの球体はすぐにあるべき場所に収まった。
「ゆぐぅ・・・ゆゆっ!ゆっくり!ゆっくりできるよ!」
「そうか、良かったな」
視神経も何も無いだけに元に戻せばとりあえず見えるようになるらしい。
非常にゆっくりした表情を浮かべたれいむは、喜びのあまりに涙まで流している。
男は膝の上のれいむの頭を撫でつつ、その手を少しずつ目のほうへと這わせてゆき・・・再び2本の指をねじ込んだ。
---あとがき---
飼い主の男は普段はわりと可愛がっているんじゃないかと、多分
最終更新:2009年03月14日 22:10