ゆっくりいじめ系2874 ゆっくりぷれいす

※虐め成分は少ないです。
※超俺設定満載でお送りします。
※ゆっくりが賢かったり強かったりします。
※主人公のゆっくりの台詞を他と区別する為に、各“「」”の前に、
“@=ゆっくり・R=れいむ・A=ありす・⑨=ちるの”等の記号を付けています。
※音を無理矢理文字表記しています。 読み難いかもしれません。
※海より深く、山より高く、空より広い心でもってお読み下さい。





【ゆっくりぷれいすを探して… ~放浪者達~】



「ありがとうございます! おかげで無事収穫を迎えられそうです!」
「それは良かったですね。 美味しい野菜が出来るよう祈ってますよ」

依頼人は感謝の言葉を述べて帰っていった。
俺は報酬の金額を帳簿に記録し、大切に金庫にしまった。

?「ゆっ! こんかいのしごともだいせいこうだったね!」

その言葉の主は人間ではない。
俺の相棒の“ゆっくり”だ。

「ああ、お前の働きのおかげで野良ゆっくりの群れを潰す事が出来た。
あの依頼人の畑はきっと大豊作になるな」
?「とくせいの“ひりょう”をたっぷりとまいたしね!」

俺は、相棒に今回の仕事の首尾を聞く。

「途中で正体がばれたりしなかったか?」
?「だいじょうぶ、この“かざり”のおかげでうまくまぎれこめたよ!」
「その飾り、奪っておいて正解だったな」
?「ゆん! みんな、すっかり“わたし”を“れいむ”だとしんじきっていたよ!」

そう言い終わると、相棒はゆっくりと飾りを取り払う。
すると、相棒の言葉遣いも態度も雰囲気も、全てがガラッと変わった。

?「でも、髪の毛がちょっと邪魔だったかしら?」
「まぁ、普段が“ハゲ饅頭”だからな」
?「ちょっと! それは禁句だっていつも言ってるでしょ!!」

跳ねながら抗議する相棒、その姿は顔の付いた饅頭としか言い様が無い。
そう、俺の相棒はかなり変わったゆっくりなのだ。



……………。

………。

@「お兄さん、わたしを雇わない?」

そう言って、一匹のゆっくり…、
後の相棒が俺の店を訪ねて来た時、俺は夢でも見ているのかと思った。

「何だ…? ハゲ饅頭…!?」
@「ハゲ饅頭じゃないわ! ゆっくりよ! ゆっくり謝罪を要求するわ!!」

俺の目の前で飾りどころか髪の毛すらない饅頭が怒って跳ねている。
自称ゆっくりだが、饅頭との境目は顔だけと言っても良かった。

「あのな、俺は忙しいんだ。
自称ゆっくりに構っていられるほど暇じゃないんだよ」
@「知ってるわよ。 お兄さん、悪いゆっくりを退治しているんでしょ?
そのお仕事を、わたしに手伝わせて欲しいんのよ」
「おいおい、ちょっと待てよ…」

突然の出来事に頭が混乱しているが、このゆっくりは俺の仕事に詳しい様だ。
こいつの言う通り、俺の仕事は害ゆっくりの駆除だ。
だが、こいつは害ゆっくりとは言え同属の駆除を手伝わせろと言っている。
餡子脳が残念なのかとも思ったが、先程からの受け答えはしっかりしている。
態度も堂々としたもので、尋常では無い雰囲気を纏っている。

「なぁ、お前自分の言っている事の意味が分かってるか?」
@「勿論よ! わたしは悪いゆっくりが許せないのよ!」

こいつは本気だ…!
そう思わせる何かがあった。

「何か事情があるみたいだな? 詳しく話してみろ。
話次第だが、場合によって考えてやる」
@「ゆっくり聞いて、ゆっくり考えて、ゆっくり決めて!」

自称ゆっくりは、何故悪ゆっくりを憎むのかを話し出した。

@「お兄さん、わたしの姿を見てどう思う?」
「どう見てもハゲ饅頭だ、ゆっくりの髪を剃ったらこんな感じになるのかな?」
@「ゆぐぐ…! あんまりハゲ饅頭って言わないでね!
非常にデリカシーに欠ける言葉よ!」
「何でそんな姿になったんだ? 悪いゆっくりに毟られたのか?」
@「実はわたしは、産まれた時から髪も飾りさえも無かったんの…」
「ふーん?」

つまり、“奇形”ってやつか?
思わず口を突いて出そうになったが、さっき注意されたばかりなので何とか堪える。

@「お兄さんも知っていると思うけど、ゆっくりは飾りの無い仔を虐めるのよ。
わたしは髪さえ無いから、とても辛い生活を送っているのよ…」
「よく今まで、生きてこられたな?」
@「小さい頃は殆ど他の仔がいない場所にいたから、
虐められる事は少なくて、大事には至らなかったの」
「それで、今はどうしてるんだ?
誰にも見つからない様に常に隠れて生活しているのか?」
@「ううん。 いつまでも隠れ通す事なんて出来ないわ。
だから、わたしは自分から皆の前に出て行ったわ」
「普通に考えれば、そこで殺されて終わりなんだが?」
@「ええ、普通ならね…。 でも、わたしは普通じゃなかった…。
飾りも髪の毛も無いわたしには、生き残る為の力が備わっていたの」

そう言うと、こいつは口の中から何かを取り出した。

「何だそれ? れいむ種のリボンか?」
@「ええ、その通りよ。 これは、わたしを虐めていたれいむのリボン…」
「奪ったのか?」
@「わたしが過去に犯した忘れることの出来ない罪の証よ…。
ある日、隠れ住んでいた巣が見つかって、れいむが殴り込んで来たの。
揉み合いの争いになって、わたしは生き残る為に必死に戦ったわ。
気が付いた時には相手は冷たくなっていた…。 私は重い罪を犯したの…」
「……………」
@「どんなゆっくりにも家族はいるわ…。
例え襲われたにしても、わたしがれいむの命を奪ったのは事実…。
わたしはそのれいむの家族に謝りに行く事にした。 でも…」

そこまで言うと、こいつは悲しみを堪える様に涙ぐんだ目をぎゅっと閉じた。

@「でも、わたしは謝りに行けなかった! 怖かったのよ!!」
「……………」
@「わたしだって死にたくない!
でも、罪は罪! 償わなくちゃいけない!
だから、わたしは最期の夢を叶えてから、れいむの家族に会いに行こうと決めたの」
「それは…?」
@「一度でいいから、飾りを付けてみたかったの…。
争っている時に外れた飾りだから、ゆっくり出来ない臭い(所謂死臭)はしなかったわ。
でも、それを持って家族に会いに行けば、私の説明を信じてもらえる。
そのリボンを“巻いた”わたしは、確実に殺される筈だったわ…」

(髪の毛が無いので、“結べない”から“巻いた”のか…)

そんな事を考えたが、空気が読めていない感じがするので言うのは止めた。

@「夜になっていたから、次の日の朝にれいむの家族の所に向かう事にしたの。
れいむのリボンを巻いたまま一晩を過ごしたわ…。
翌朝、目覚めたわたしは頭に妙な違和感を感じたけど、リボンの所為だと思ったわ。
でも、違ったの…」
「何が違ったんだ?」
@「いつもの様に他の仔の目を避けてれいむの家族に会いに行ったわ。
でも、その途中運悪く他の仔と出合ってしまったの。
わたしは咄嗟に逃げようとしたんだけど、向こうの反応がいつもと違ったの。
普通のゆっくりに会った時の様に、“ゆっくりしていってね!”と挨拶されたわ。
わたしは驚いたわ。 挨拶されるなんて今まで一度も無かった。
虐められる事無く、相手がそのまま立ち去ってしまったんですもの」
「………?」
@「理由は分からないけど、助かった事に感謝して、家族の巣に急いだわ。
わたしは死を覚悟して、巣の中に入っていった。
でも、私に掛けられた声は、やっぱり“ゆっくりしていってね!”だった。
わたしはゆっくり説明したわ、わたしがれいむを殺してしまったという事を…。
でも、返ってきた言葉は予想外のものだったの」
「どんな言葉だったんだ?」
@「“よるになってもおうちにかえってこなかったうえに、
やっとかえってきたとおもったら、じぶんはころされたなんていってるよ?
なにかゆっくりできないものでもたべたの?”って…。
まるで、わたしがれいむであるかの様ににこやかに話しかけてくるの!
気味が悪くなったわたしは、つい逃げ出してしまったわ…。
走って、走って、もう足が痛くて動けなくなる位走ったわ…。
気が付いたら、わたしは池の近くにいたの。 そこで初めて真実に気が付いたわ…」
「………!」
@「水面に映っていたのは、飾りも髪の毛も無い醜い“ゆっくり”じゃなかった!
黒い髪に紅白のリボンを巻いた“れいむ”だったの!」
「な、何だって!?」
@「驚いて振向いても、誰もいない…。
それは紛れも無いわたし自身の姿だったの…」
「い、一体どういうことなんだ…?」
@「詳しい事は私にもまだ分からない…。
でも、その後色々試して分かった事があるの。
わたしは、ゆっくりの飾りを身に着けると、そのゆっくりに姿が変わる…!
そして、その飾りの持ち主に成り済ます事も出来る…!」
「………!?」



そこまで話すと、こいつはゆっくりと一息吐いた。
俺も突拍子も無い話の連続に大分混乱していたので、大きく深呼吸をする。

「俄かには信じ難い話だな…。 何か証拠はあるのか?」
@「今から、お兄さんの目の前でれいむに変わって見せるわ。
それなら信じてもらえる?」
「そんなに直ぐに変われるのか?」
@「ええ、最初は時間が掛かったけど、今では簡単に変わる事が出来るわ」
「じゃあ、やって見せてくれ」
@「分かったわ」

そう言うと、こいつはリボンを舌で体の中心に固定した。
そして、まっすぐ前に伸ばして右にゆっくり動かし、体の左側に素早く移動させた。
その後、リボンを頭に乗せたかと思うと…!

@「しゅいしゅいしゅいしゅいしゅい、しゃきーん!」
「うおおっ!!?」

こいつの体が次々と形を変えいく!
徐々に頭部から黒い髪の毛が生えてきて、地面にまで届くほど伸びた!
最後に小さな稲妻の様な光が走り、紅白の飾りが顔の横と頭の後ろに現れた!
それはあっと言う間の出来事だった!
俺の目の前で、一瞬で“ゆっくり”は“れいむ”に変身したのだ!

R「ゆっ! れいむはれいむだよ! ゆっくりしていってね!」
「そっ、そんな馬鹿な…っ!!?」

俺はというと、驚きの余り開いた口が塞がらない。
思わずこんな顔のまま表情が固まってしまう。 → (゚Д゚;)

R「ゆっふん! れいむのあまりのびぼうにことばがでないみたいだね!?」
「は、話し方や性格…、態度まで変わるのか…!」
R「そうだよ! これがこのおりぼんさんのもちぬしのれいむなんだよ!
ゆっくりりかいしてね! あまあまさんちょうだいね!」

どうやら、“れいむ”は余り褒められた奴ではなかったらしい…。
呆然としている俺の前で、“れいむ”はリボンを外した。
飾りは消え、髪の毛も縮んでいき、やがて元の“ゆっくり”の姿に戻った。

@「どう? これで信じてもらえたかしら?」
「あっ、ああ…。 全く理解は出来んが、信用せざるを得ないな…」
@「私はこの力で今まで生き延びてきた。
今まで寂しかった分を取り返す為に、色んな仔達と出合って話をしたわ。
でも、良い事ばかりじゃなかった…。 皆良い子ばかりじゃなかった!
自らのゆっくりを優先する余り、他のゆっくりを平気で侵害する奴がいる…!
許せない…! ゆっくり出来ないのは私だけで十分なのよ!!」
「お前、そこまで…!」

俺は、このゆっくりの話に完全に心を打たれていた!
姿こそ不気味で、常識では計り知れない奇妙な能力を持っているが、
その心はとても熱い思いを持っていた!
青臭いまでの正義感…、それはかつて俺がこの仕事を始めた時に持っていた…、
今ではすっかり失ってしまった思いと同じであった。
その消えた筈の思いが…、熱い炎が再び俺の中で燻り始めていた!

「お前の気持ちは良く分かった。 お前に俺の仕事の手伝いをさせてやる。
いや…、俺の相棒になってくれ!!」
@「お兄さん…!」

こうして俺達は、最高のパートナーになったのだ!



………。

……………。

俺は相棒との出合いを思い出し、再び熱い思いが蘇るのを感じた…。

@「お兄さん、何ぼーっとしているの?」
「あっ、ああ…、ちょっと昔の事を思い出していたんだ…」
@「ふーん? まぁ、良いわ。
わたしはお腹が空いたから、ゆっくり食事にしない?」
「そうだな、折角報酬も入ったんだから、ちょっと贅沢に外食にするか」
@「あら、それは良いわね」

そう言うと、相棒は赤いカチューシャを取り出した。

@「だったら、わたしもおめかししないとね!」

鏡の前に立ち、舌でカチューシャを見せ付ける様に前に突き出し、素早く左側に伸ばす。
そこから、舌を右下に引いて体の中央で止める。
そして、カチューシャを頭に乗せた瞬間…!

@「しゅわぃいいい…、ぴしゅう、ぴしーん!」

鏡に映った相棒の姿が左右反転したかと思うと、
相棒は金髪に赤いカチューシャを身に着けたゆっくりありすに変わっていた。

A「ごうかなでぃなーは、とかいはのありすにこそふさわしいのよ!
おにいさん、ありすをみせまでえすこーとしなさい!」
「やれやれ…」

確かにハゲ饅頭の姿で出歩く訳にも行かないだろうが、
果たしておでんの屋台の料理に、“とかいは”は存在するのだろうか…?



A「でねぇ~? ぶちょ~がせくはらするから、おくさんにうったえてやったのよ~!
そひたらおくさんかんかんにおこって~、りこんだ、いしゃりょうだのおおげんか!
つぎのひのぶちょうのかおったら、みてられなかったわ~!」

隣ではんぺんを齧りながら、俺は肩身の狭い思いをしていた。
相棒は止せば良いのに酒飲んで酔っ払ってやがる…。
始末の悪い事に絡み上戸で、隣のおっさん相手に滅茶苦茶言っている。
何でゆっくりのお前が、都会のOLみたいな事言ってんだよ!

「うっひゃっひゃっひゃっひゃwwwww! それは見てみたかったなぁ~www!
でも、何となくぶちょ~のきもひも分かるぜぇ~www?
こんな美人があひてじゃ~、つひ手も出るってもんらぁ~www」
A「ゆほほほほっ! おだてたってなんにもでなひわよ~!」

隣のおっさんも相当酔っているらしい…。
こいつは笑い上戸かよ…。 語尾の“www”が限りなくウザイ…!
あんまりしつこいと芝刈るぞ!
酩酊の余り、ゆっくりありすが人間に見えている様だ…。

「うんうん、わかる、わかるよ~(泣)!」

その上、店のゆっくりちぇんまで同情して騒ぎ出した。
誰だ酒を飲ませた奴は!? 泣き上戸なのか知らんが、(泣)とか久しぶりだぜ!
しかも、店の親父は止めもしない。 お前、それでもちぇんの飼い主か!?
店の名前は“ゆっくりしていってね!”でも、もうちっともゆっくり出来ねぇよ!

A「おやじぃ~、もっとさけもってきなさぁ~ひ!」
「今夜は飲みあかすぞ~wwwwwwwww!」

気が付いた時には空いた酒瓶が山の様になっていた。
俺幾ら持って来たっけ…? 慌てて財布の中身を確認するのであった…。



A「ゆぃ~、ひっく! もうのめなひわぁ~」
「そりゃあ、あれだけ飲めば当然だ!」

完全に泥酔していて跳ねる事さえ儘ならない相棒。
仕方なく、抱きかかえる様にして自宅兼店舗に運ぶ。

A「おすなよ~!? ぜったひおすなよ~!!? むにゃむにゃ…」
「まったく、一体どんな夢見てるんだ…?」



……………。

………。

相棒は今回の仕事の夢を見ていた。
群のれいむを一匹誘拐し、その飾りで変身した相棒。
誰にもばれる事無く、群に紛れ込む事に成功した。

この群は最近長が交代したのだが、その新長がとんでもない奴だった。
今までの長は人間に関わらない様に注意し、接触を厳しく禁じていたのだが、
新長は若い頃から度々村に接近し、畑に侵入しては野菜を荒らす常習犯だった。
狡猾な事に、一度荒してから次に荒らすまでかなりの期間を開けていた為、
警戒が薄れた頃に再度畑を荒らされる事になる。
その上、目欲しい物を予め調べておき、他の物には手を出さずに直ぐに立ち去る為、
犯行の途中を目撃する事が難しかったのだ。
その腕前に憧れてかは分からないが、次第に群の若い世代を中心に人気を集めていき、
ついには新長の座を手にするにまで至った。

さて、新長の座に着いたは良いが、そんな素行の悪いゆっくりであった為、
今までの長の教えが気に入らなくて仕方が無かった。
本人(本ゆん?)の考えからすれば、人間は野菜をゆっくりに提供する為に存在する、
便利な奴隷位にしか思っていない。
いや、野菜は勝手に生えてくるものであり、人間だけがそれを独占している、
人間は悪い奴だから奪って当然だとでも思っているのかもしれない。
そんな訳で、群のゆっくり達にこんな事を言ったのだ。

「みんな、よくきいてね!
ずるいにんげんたちがおやさいさんをひとりじめしているのはゆるせないよ!
おやさいさんはまりさたちにたべてもらうためにはえてくるんだよ!
だから、おやさいさんをたべてあげるために、にんげんたちのはたけにいって、
おやさいさんをとりかえしてこないといけないよ!」

「ゆゆっ!? まえのおさはそんなこといわなかったよ!?」

「まえのおさはこっそりにんげんたちとあってやくそくしていたんだよ!
にんげんたちのはたけにだれもはいらないようにするかわりに、
ときどきおさだけがおやさいさんをわけてもらうっていうやくそくをね!
まえからあやしいとおもっていたから、まりさはこっそりあとをつけたんだよ!
そしたら、そんなことをはなしていたんだよ!」

「ゆっ! まえのおさはひどいやつだったんだね!
じぶんだけおやさいさんをたべるなんてずるいよ!」

「だからまりさはときどきにんげんからおやさいをとりかえしてきたんだよ!
みんなのおやさいさんをにんげんからまもったんだよ!」

「おさ、ありがとう! おさのくれたおやさいさん、とっておいしかったよ!」

「ここで、おさはあたらしいおきてをつくるよ!
これからはじゆうににんげんたちのはたけにいっていいよ!
あそこはもともとまりさたちのゆっくりぷれいすだったんだよ!
それをかってににんげんさんたちがうばってしまったんだよ!
まりさたちのおやさいさんをとりもどさないといけないよ!」

「で、でも! にんげんはこわいよ!?」

「だいじょうぶ! このまりさがじきじきにおしえるよ!
まぬけなにんげんたちはとられたことにきがつかないよ!」

「さすがおさ! たよりにしてるよー!」
「ゆっくりおやさいさんをとりもどすよーっ!!」

「みんなのゆっくりのために、まりさたちはたたかわないといけないよー!!」

「ゆぉおおおおお! おーさっ、おーさっ、おーさっ、おーさっ!!」



その新しい掟が出来てすぐ、付近の村の畑で甚大な被害が発生した。
長の交代による影響で暫く畑への侵入は無かったので、
少し油断していたところを一気に攻め込まれたのだ。
今までは新長とその仲間という極少数による被害で済んでいたが、
今度は群全体という比べ物にならない数での侵害である。
畑にある物全てを根こそぎ奪われてしまい、
被害にあった畑は踏み均されて硬くなり、再び耕す事さえ困難になってしまう。
その上恐ろしい事に、新長の指導により的確な侵入が行われ、
大群であるにも拘らず未然に防ぐ事が出来なかった。
このままでは畑に止まらず、いつ家屋が被害を受けるか分からない。
もし、そうなれば村は全滅の危機に瀕してしまう…!

そんな訳で、最近ゆっくり駆除屋として注目を浴びだした俺達に依頼が届いた。
依頼を受けた俺は、まず群の一匹を捕獲。
“友好的”な“話し合い”の結果、“平和的”に群の情報を聞き出す事に成功した。
その情報から、新長と対立するグループがある事が分かった。
そこで、俺はそのグループを利用する事にした。
相棒に、群から誘拐したゆっくり(れいむ種)に化けてもらい、
対立グループのリーダーであるれいむと接触してもらう。



「しんおさのなかまのれいむが、れいむにいったいなんのようなの?」
R「しーっ、こえがおおきいよ」
「こんなところによびだして…。 しんおさのめいれいなの?」
R「しんおさはかんけいないよ。 れいむのどくだんのこうどうだよ」
「だとしたら、ますますりかいできないわ。 いったいなにをたくらんでいるの?」
R「じつは…、れいむはれいむのなかまになりたいんだよ」
「………? りゆうをはなしてくれない?」
R「しんおさにはもうついていけなくなったんだよ!
たにかにゆうのうかもしれないけど、よわいものをないがしろにしているよ!
としおいたりびょうきのゆっくりをすこしもたすけないよ!
ちいさなこどもたちは、まいにちつらそうにしているよ!
このままだと、みんなゆっくりできなくなるよ!」
「たしかに、そうだね…。
いまのおさはわかくてげんきのあるゆっくりしかみていないよ…」
R「だかられいむは、れいむにあたらしいおさをやってほしんだよ!
れいむのおかあさんもいもうとも、れいむにとってもかんしゃしているんだよ!」
「れいむ…」



俺の筋書き通りにリーダーを説得し、次の長として群を治める様に仕向ける。
下手に現長を消すと、指導者を失った群が暴走する恐れがあるからだ。
次に、相棒は現長と接触し、次の標的となる畑を誘導する。
その畑に予め罠を仕掛けておき、侵入したところで一網打尽にするのだ。
今までは何処がいつ狙われるのか全く予測できなかったので対応できなかったが、
次にどの畑が狙われるのかが分かっているならば問題無い。



「れいむ、はなしがあるっていってたけど、いったいなに?」
R「おさ、まずはこのおやさいさんをたべてほしいよ!」
「おいしそうなおやさいさんだね! む~しゃ、む~しゃ、しあわせー!」
R「ねっ? とってもおいしいでしょ?」
「ほんとうだね! どこでてにいれたの?」
R「にんげんのむらのあるはたけからとってきたんだよ!
れいむひとりだったからすこししかもってかえれなかったけど、
まだまだたくさんあったから、むれのみんなでとりにいこうよ!」
「それはいいかんがえだね! きめたよ!
つぎのもくひょうはそのはたけにけっていだよ!」

こうして、群の次の標的の誘導に成功した。
後は罠とも知らずにやって来るのを待つばかりである。



「奴等、やってきますかね?」
@「大丈夫よ! おじさんの美味しい野菜に釣られて、確実にやって来るわ!」
「ああ! この野菜、何ていう名前か知らんが“結構イケルな”!
スタミナがついて、疲労回復に効きそうだ!」
@「唯一つ残念なのが、お兄さんの部屋のゴミ箱の中の紙屑の臭いがする事ね」
「失礼な事言うな! あれは“青臭い臭い”じゃない、“迸る若さの香り”だ!」
@「どちらにせよ、臭いのよ!」
「あのー…? こう言っては何ですが、ゆっくりに食べられるより、
あなた方に食べられている量の方が多い気がするんですが…」

俺達は、モリモリ食べてドンドン元気になった!
この野菜は食べると何だか気分までハイになってくるみたいだ!!
テンション上がってきたぜぇええええ!!!



@「来たわ! 長のまりさが先頭よ!」
「ヒャッハー! 戦闘準備だぁ!!」

罠とも知らずゆっくり達がやって来た。
なるほど、今まで誰にも侵入する姿を見られなかった訳だ。
少数単位で集まって、物陰に潜みながら、周囲の様子を伺っている。
地面を跳ねずに姿勢を低くしてゆっくりと這っており、
遮蔽物が無く目立つ所では、素早く移動して次の陰に隠れる。
しかも体に草や葉っぱを貼り付けて茂みに潜む為、日中でも気付き難いだろう。
何より、皆が一言も声を上げず、目で合図を送っている。

@「思ったよりやるわね…」
「長の奴、技術も凄いが、指導力もかなりのものだな」
@「でもまぁ、もう少し利口ならよかったんだけど」
「奴の驚く顔が楽しみだぜ」



群が畑に辿り着いた。
まりさは一言も話さず、目と口と舌…、体を使って、群に指示を出す。
群のゆっくり達は指示を受けて頷くと、それぞれの持ち場に移った。
一班は出入り口の確保、一班は周囲の警戒、一班は野菜の回収…、
全てのゆっくりが予め決められた仕事に従事する。
こんなに警戒されていては、まともに近づく事も出来ない。
落とし穴等も考えたが、地面を棒で突く等して発見された事もあったそうだ。
どうやら、周囲の状況に応じて、逐一まりさが指示をする事で対応しているらしい。
ゆっくりとは思えない大した統制だが、大きな弱点が存在していた。

「こういう場合、司令塔が潰れると脆いんだよな…」



R「おさ、ちょっとこっちにきて!」
「ゆっ! れいむ、しずかにしないとだめだよ!
にんげんにきづかれちゃうよ!?」
R「ゆっくりごめんなさい! でも、これをみてほしいんだよ!」
「ゆゆっ、これは!? おやさいさんがいっぱいのってるよ」
R「ねっ? すごいでしょ! これをもってかえればとってもゆっくりできるよ!」
「ゆ~ん…。 でも、おおきくてうごかせそうにないよ…」
R「みんなでひっぱればいいんだよ!
みんなでちからをあわせればうごかすことができるよ!」
「ゆゆっ! それはめいあんだよ! れいむはすごくあたまがいいんだね!」
R「ゆんっ! とうぜんだよ! あんこがちがうんだよ、あんこが!」

(相棒の奴、ちょっと調子に乗ってるな…?)



「みんなー! ちからをあわせてひっぱるよー!」
「ゆーえす! ゆーえす!」

野菜を満載した台車を引っ張る為に、見張り役まで集めるまりさ。
目の前のお宝に意識が集中しすぎて、
気が付けば大声を張り上げて指示を飛ばしている。
さっきまでの慎重さなど欠片も無く、咄嗟の判断など不可能だろう。

「みんなー、ちょっとさかになってるよー!
ちからをこめておさえてねー!!」
R「きをつけないと、おやさいさんがつぶれちゃうよー!」

畑から何とか台車を引きずり出し、少し坂になった道に出る。
坂道なので放っておいても自然に台車は下へと動いていくが、
それでは台車が崖に当たってしまうので、
全員で下側から押さえながらゆっくりと坂道を降っていく。
かなり重たい台車なので、全員が必死になって押さえている。
俺達は全てのゆっくりに逃げ場が無くなるこの瞬間を待っていた。

「今だ、相棒っ!」

「ゆっ! みつかった!?」
R「りょうかいだよ、おにいさん!」
「れいむ!? なにいってるの!?」

相棒が台車の車輪の留め金を外す。
今まで台車を押さえていたと言うよりは、台車に押されていたゆっくり達。
重力に従い、徐々に加速していく台車。
速度の上昇に伴い、次第に底部が削られていくゆっくり達。
遂に耐え切れなくなり、長と後何匹かが押さえるのを止めて離れてしまう。
すると…。

“ギシッ、ギッ、ガタンッ、ガガガガガガッ!!!”

支えを失った台車は、ゆっくりの群を轢き潰しながら崖へと進んでゆく。

「ゆわぁあああ!? ゆっくりこっちにこな…、ゆげっ!」
「ど、どいてね! れいむはにげるよっ! ぢゅびっ!!」
「ゆぎゃああああ! がらだがげずれるぅうううう!!」

群がる饅頭を踏み潰し、餡子の轍を作りながら進む台車。
最後の一匹は、台車の降下速度で押さえ付けられてしまい、動く事も出来ない様だ。

「ゆぎぃいいい! うごけないよぉおおおお!?」

そして台車は最高速度で崖に激突した。

「ぐぎゃ!!!」

真っ黒な飛沫が飛び散った。
予め緩衝材として布団を置いておいたので台車は壊れなかったが、
布団の方は餡子塗れでドロドロになっている。

R「あれじゃあ、つかいものにはならないね!」



台車が完全に停止してから、それまで呆然としていたまりさが動き出した。

「ゆっ!? れ、れいむ! なんでこんなことしたのっ!?」
R「ゆ? それはね…」
「頼まれたからやったのさ!」
「な、なんでれいむとにんげんがいっしょにいるのぉおおおっ!!?」

俺と相棒はまりさの前に立ち塞がっている。

「じゃまなにんげんとうらぎりもののれいむはせいさいだよ!
みんなゆっくりしないでやっつけてね!」
「ゆっくりしないでしねぇえええええ!!!」

生き残ったゆっくり達が、まりさの指示で飛び掛ってくる!
俺が相手してやっても良いが、結果は分かり過ぎている。
ここはゆっくり同士、相棒に任せる事にしよう。

「頼んだぞ、相棒!」
R「まかせてね、おにいさん!」

相棒は既に紅白のリボンを外している。
俺は青いリボンを取り出すと、相棒に投げてやった。
相棒はそれを舌で受け取ると、すっと右側に構える。
そのまま、体の中央に向けて触れるか触れないかギリギリの所へと舌を翳す。
そして青いリボンを頭の上に乗せると…!

R「ぴろりー、ぴろりーろり! ぴろりー、ぴろりーろり! ぴぽっ!
しゅるるる…、がしゃん! ぱぁ~ん、がしゃん、がしゃん!」

相棒の黒髪と紅白の飾りが消え、青い髪と生えてきた。
最後に青い菱形の塊が顔の上を走ったかと思うと6枚の細長い羽に展開した。

⑨「あたい、さんじょうっ!」

舌で“ビシッ!”と自分を指す相棒。
全く持って根拠の無い自信に満ち溢れた姿である!

「れ、れいむがちるのになったぁ!!?」
⑨「いっとくけどあたいは、さいしょっからワライマックスよっ!!」

相棒の変化を見て驚くゆっくり達。
一瞬怯んだが、直ぐにまた攻撃を再開した。

「へんなちるのはゆっくりしねぇえええ!」
⑨「いくわよっ! あたいのひっさつわざ…!」

そう言うと、相棒の羽が体から離れてゆく!

⑨「ぱーと⑨!」

羽が広がったところでクルッと一回転する相棒。
次の瞬間、周囲のゆっくりは上下二つに分かたれた。

「むれのゆっくりたちが!!?」
⑨「きまったわ…!」

離れた所で見ていたまりさを残して、群のゆっくりは全滅した。

⑨「おにいさん、かざりをとってほしいなっ!」

飾りを取ってやると、相棒はハゲ饅頭の姿に戻った。

「お、おまえはいったいなにものなのっ!!?」
@「覚えておきなさい、通りがかりの…」
「ハゲ饅頭だ」
@「違うって言ってるでしょおおおおおっ!!?」
「こ、こんなゆっくりできないやつが、まりさのじゃまぉおおおおおっ!!?」
@「違うわよっ!? 通りがかりのゆっくりだからねっ!!?」
「はげまんじゅうはゆっくりしねぇえええええっ!!!」

怒りに我を忘れたかの様にまりさが突っ込んでくる!
不意を突かれて相棒は避ける事が出来ない!

@「ゆっ!?」
「ゆわぁあっ!!?」

その時、相棒とまりさの間の空間に歪が生じ、飛び掛ってきたまりさを弾き飛ばした。

「(何か良く分からんが)今だ、相棒!」
@「ゆん!」

相棒が歪みに向かって飛び込むと、相棒の姿も歪みだす!
そして真っ直ぐにまりさへと向かって加速していった!

@「ゆぁーっ!!」

相棒の凄まじい体当たりを受けてまりさは宙に吹き飛ぶ!

「もっと…、ゆっくり…、ゆぼぉ!!」

地面に落ちたまりさは、断末魔を残して爆散した!

@「ゆふぅ…。 今のは何だったの…?」
「俺にも分からねぇよ…」

相棒には、まだまだ俺も相棒自身も知らない謎が隠されている様だ…。

「道が餡子でグチャグチャだな…。 どうしたものか…」
@「そうねぇ…? 畑にでも撒いてみる?」

俺達は掃除という名の後始末に追われる事になった…。

………。

……………。



@「ゆぅ~ん…。 もう餡子は見たくない…」
「おい、起きるんだ、相棒!」
@「ゆぅ~ん? お兄さんが揺れてる~?」
「お前も揺れてるんだよ! いいから早く起きろ!」
@「何よぉ~? 気持ち良く寝てたのにぃ…」
「そんな暢気な事言ってる場合じゃない!
地震だ! かなり激しい! 早く逃げないと潰れ饅頭になっちまうぞ!!」
@「ゆぇえええっ!!?」

俺達は慌てて着の身着のまま家の外に飛び出す。
間一髪で家が崩れる前に脱出する事が出来た。

「あ、危なかったぁ~!」
@「ゆぅ、ゆぅ…! 何よ! この家、こんなに脆かったの!?」
「そりゃまあな…。 格安で買い取ったわけだし…」
@「どうするのよ!? 家財道具その他、全部瓦礫の下敷きよ!?」
「金庫と通帳、印鑑なら持ち出したが?」
@「れいむのリボンは!? あのリボンは失くす訳には…!!」
「あのリボンは頑丈な箱に入れておいたから潰れてはいないだろう…。
ただ、この中から探し出すとなると…」
@「ゆわぁあああああっ!!」
「よ、よせっ! 怪我するぞっ!?」
@「構わないわっ! 絶対に見つけだすんだからっ!!」
「落ち着けって! 朝になったら、業者に頼んで瓦礫を片付けてもらうから!
保険金も手に入るから、見つかるまで別の家で過ごそう!」
@「ゆぅううううう…、れいむぅうううううっ!!!」

相棒の悲痛な泣き声が夜の闇に吸い込まれていった…。
泣きたいのは俺も一緒なんだけどなぁ…。
今夜は何処で眠れば良いのだろうか…?





【おまけ】

「なぁ相棒、お前って結局どんな種族のゆっくりな訳?」
@「ゆぅーん…。 わたしにも分からないのよね…」
「え~? じゃあ、両親はどうなんだ?」
@「実は両親の顔も分からないの…。
覚えていないんじゃなくて、見た事が無いんだと思う…。
小さい頃は殆ど一人ぼっちだったし…」
「そうか…。 悪かったな変な事聞いて…」
@「気にしないで。 わたしも私自身の事を知りたいと思っているし…」
「小さい頃から苦労の連続だったんだろうな…」
@「ええ、わたしは自分がゆっくりできる場所を探して彷徨い続けたわ…。
でも、どこもわたしのゆっくりプレイスじゃなかった…」
「……………。 今は…、今はどうなんだ…?」
@「今は…、とってもゆっくり出来ているわ」
「まだ…、探しているのか…?」
@「さぁ…? どうでしょうね…?」





【後書き】

こんな滅茶苦茶なお話を最後まで読んでいただきありがとうございました!
どこに投稿するべきか非常に悩みましたが、これで良いのでしょうか?
書いている内にどこかで聞いた事のある話になってしまいましたが、
初期のコンセプトは自由に別の種族に変わるハゲ饅頭だったんです…。
もしかすると続きを書くかもしれませんが、
その時はまた最後までお付き合い頂ければ幸いです。
それでは、皆様の健康と幸運を願って…。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年07月29日 18:06
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。