ゆっくりいじめ小ネタ588 れみりゃシャッフル

 れみりゃシャッフル

          十京院 典明



 朝起きたら、家のれみりゃに赤ちゃん(?)ができていた。
 一匹だけなのにどうやって繁殖したのか知らないが、れみりゃの回りを
 小さな二匹のれみりゃが飛び回っているのだ。
「う〜♪」
「う〜♪」
 当のれみりゃは段ボール箱の中で眠っているが…

 俺はれみりゃのお家である”こうまかん”を覗き込む。
「う〜う〜…」
 すやすやと眠っているれみりゃ。太平楽としたその顔つきはまさに幸せそのものといった風情だ。
(この不思議生物なら、『しあわせだから』って理由で子供の一匹や二匹生んだとしてもおかしくないんだろうなあ…)
 あるいは人智を超えた宇宙の法則にしたがって子供を作ってるのかもしれないが…
 深く考えると怖いのでやめておく。
「おい、起きろ、れみりゃ」
「う〜あとごふん〜」
「よーし、10秒につき腕立て5回な」
「うでたてやだどぉ〜」
 れみりゃは嫌々ながらこうまかんから這い出て来、ぶんぶんと飛び回るそれを目にした。
「う〜!れみりゃのおちびぢゃん〜!」
 子れみりゃもうちのれみりゃを見て嬉しそうな声を上げる。
「うっう〜♪」
「まんまぁ〜!」
「やっぱそうなんだ…」

 親子はすぐに仲良し。
「うっうー!」
「うあ☆うあ☆」 
 生物学的に見て親子なのかは怪しいところ、というかあきらかにアウトだが、
 お互いに相手を家族と認識しているようなのでよしとする。こまけぇこたぁいいんだよ!



 * * * *



「で、だ」
「う〜?」
「うーうー」
「うっうー」
 親れみりゃは床をごろごろし、二匹の子れみりゃは行儀良く手を前に揃えてホバリングしている。
 俺は子れみりゃのこの仕草が大好きだ。こうやってうーうーと宙に浮いているれみりゃを見ると、
「ぬるいぢめしたいな〜」という、どこか暖かい気持ちが沸いてくるのだ。

「ヘイ!」
 俺は子れみりゃの帽子を取り替えてみる。
「うー!」
「やめでぇ〜!まんまぁだずげでぇ〜!」
「うー!まんまぁにまかせるどぉ!」
 親れみりゃは取り乱すことなく、二匹の子れみりゃの帽子を取り上げる。
 それをそれぞれ元の持ち主のもとへ返すつもりなのだろうが……そうは問屋が下ろさない。
 俺は子れみりゃ二匹の方に両手をのばし、その小さいながらも太ましい胴体を掴む。
 両手に一匹ずつ掴み取ると、親れみりゃに背を向け二匹をシャッフル。
「ヘイヘイヘイヘイ!!」
「あうーー!!」
「めがまわるどぉーー!!」
「ヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイ!!」
「うあーー!!でびびゃのおぢびぢゃんーーー!!」


「ほれ、返してやるよ」
 すっかり目を回した二匹の子れみりゃをポイと放る。
「うーおちびちゃん……」
 握りっぱなしだったお帽子を返してやろうとして、親れみりゃは固まる。
「うー?うー?あうー?」
 どちらがどちらかわからなくなってしまったに違いない。
「う゛……う゛……あ゛う゛……」
「どうしたんだ?れみりゃ?ん?」
「あーーうーーー!!おちびぢゃんごべんなざいだどぉーー!!!」
 慟哭するれみりゃ。


 * * * *


 と、ここでネタばらし。

「大丈夫だよ、帽子貸してみろ」
 帽子を取り、その内側を覗き込む。
 そこには、さっき奪った時に爪で刻んでおいた小さな印がある。
「この印があるほうが、こっちの……あれ?」
 並んで床で目を回す二匹の子れみりゃは、生き写しのようにそっくりだ。
「あ、あれ…?どっちがどっちだったっけ…?」
「おぼうじぃぃぃぃ!!!おにーざんおぢびぢゃんにちゃんとおぼうじがえじであげでぇぇぇぇ!!!」
「あ、いや、ちょ、ごめ」
「う゛う゛う゛う゛う゛う゛ーーーーー!!!!」
「こ、ここはおにーさんのゆっくりぷれいすだよ!れみりゃはゆっくりしてね!」
「う〜まんまぁ〜?れみりゃのおぼうしどっち〜?」
「れみりゃのはぁ〜?」
「う゛う゛う゛う゛う゛う゛ーーーーー!!!!」






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最終更新:2011年07月29日 02:55
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