虐待成分全く無し
加工場+帽子無しということでこちらに投下させていただきました

























森の中で一匹のゆっくりまりさが他のゆっくりから追われていた。
追ってきているゆっくりは、まりさがいた群れの仲間だ。
何故追われているのか… それは、まりさに帽子がなかったから。
風に煽られて飛ばされた帽子を必死に探している途中、まりさは自分だけでは見つからないと判断して仲間に助けを求めた。
けれど、帽子や髪飾りのないゆっくりは他のゆっくりからは殺されてしまう。
まりさの仲間だったゆっくりは、殺すために攻撃を仕掛けてきた。
まりさも帽子のないゆっくりがどうなるか知らなかったわけではない。
それでも、自分の仲間ならきっと分かってくれると信じたかったのだろう。
だが、結局攻撃されてしまった。
このままいたら殺されると思ったまりさは、慌てて逃げ出した。
目的地は人間の里のとある場所。
そこへ行く事はもうこの外の世界では暮らせないと分かっていたけれど、それでもまりさは生きていたかった。
幸いまりさは足には自信があった。
群れの皆で追いかけっこをしても、自分に敵うゆっくりはいなかったからだ。

「ゆっくりとまってね!!」
「ゆっくりできないこはしななきゃだめなのよ!!」
「だからころすからとまってね!!」

後ろにいる仲間がそれぞれ叫ぶ。
その言葉は、まりさの心をどんどん傷つけた。
なにも知らない自分に餌のある場所を教えてくれたぱちゅりー。
調子の悪いときに面倒みてくれたありす。
そして、将来を誓い合ったれいむ。
大切な、大切な仲間だった。
それなのに、自分に帽子がないというだけで分かってくれない。
その事がまりさは悲しかった…



森を抜けると、目の前に大きな畑が広がっている。
そこで野菜を育てているのはゆっくりで、人間はあまりいない。
ここがまりさの目的地だ。
一度だけ、まりさの親が崖の上から教えてくれた場所。

『あそこはぼうしのないゆっくりがにんげんにまもられてるばしょだからちかづいちゃだめだよ!! にんげんはこわいいきものだからね!!』

そう、ここは何らかの理由で帽子や髪飾りをなくしたゆっくりが人間に保護されている場所だった。
まりさは親の言っていた事を覚えていたのだ。自分がここに来る事など無いと思っていたが。
そして、理解もしていた。
ここに入ってしまったら、もうここでしか生きる事はできないと。
外へ出てしまったら、今追いかけている仲間よりも多くのゆっくりから命を狙われる事になる。
だから、まりさは入る前に止まって後ろを振り返って叫んだ。

「みんな!! まりさのぶんまでゆっくりいきてね!!」

これからもう会う事のできない仲間への言葉。
ずっと止まっていたら殺されてしまうから、たった一言の短い言葉を仲間に放って、まりさは畑の敷地内へ入った。
もう別れは済ませた。出る事はできないけれど、まりさはここで新しい仲間を作って生きていくつもりだった。
だが、先程の言葉は嘗ての仲間には届かない。
敷地に入って安心したまりさの背中に、追いかけてきた三匹のゆっくりは体当たりを仕掛けた。

「ゆっ!?」

体当たりを喰らったまりさは前に飛ばされ、迫ってくる地面に恐怖した。
目を瞑り、くるであろう衝撃に耐える為息を吸って身体を膨らませるまりさ。
しかし、まりさがぶつかったのは硬い地面ではなく柔らかい何かだった。
恐る恐る目を開くと、まりさと同じように帽子や髪飾りのないゆっくりが集まってクッションになってくれたのだ。

『ゆっくりしていってね!!』

ここにいたゆっくりは皆まりさを歓迎していた。
同じように、仲間に分かってもらえず悲しい想いを経験したから今のまりさの辛さが分かるのだ。

「ゆゅ? ゆっくりできないこがいっぱいいるよ!!」
「かんけいないわ!!」
「せんぶしょぶんするのよ!!」

大勢の帽子や髪飾りのないゆっくりを見たまりさの元仲間は、三匹でこの場にいるゆっくりを処分しようと意気込んだ。
しかし、それは無駄になった。
騒ぎを聞きつけた人間が、三匹を檻の中に入れたからだ。

「いきなりなにするの!!」
「さっさとだしなさい!!」
「ださないとひどいめにあわすわよ!!」

騒ぐ三匹だが、檻に入れた人間はそれを無視してまりさの元へ行ってしまう。

「よろしく、君が新しく来た子であってるかな?」
「そうだよ!! このこがあたらしいなかまだよ!!」

帽子無しまりさの近くにいたリボン無しのれいむが答える。
その言葉を聞いて、人間は微笑んでまりさを見下ろした。

「そっか… 可哀想とは思うけど、これからはここで生きてね」

そう言って人間は屈んでまりさの頭頂部を撫でる。
温かい手が、仲間に殺される為に追われていたまりさにはとても優しいものに感じられた。

「じゃ、暫くはこの子に仕事を教えてあげてね」
「まかせてね!! いっしょうけんめいおしえてあげるからね!!」

側にいたゆっくりにまりさの事を頼むと、人間はそのまま檻の所へ戻った。
まだ三匹が騒いでいるあの檻だ。

「れいむたちをいれたばかなにんげんがきたよ!!」
「きっとわたしたちをだしにきたのね!!」
「いまならゆるしてあげるからさっさとありすたちをだしなさい!!」

それぞれ好き勝手に言う三匹のゆっくり達。それを無視して人間は檻を台車に載せて歩き出した。
方向はまりさが来た森の方ではなく、畑の奥の人間の町だ。
それを見て、慌ててまりさは人間の元へ跳ねて行く。

「ま、まって!! ゆっくりまってね!!」

人間の前に出て、まりさは叫んだ。

「ん? どうしたの?」
「れ、れいむたちをどこへつれていっちゃうの!? まりさたちがきたのはもりのほうだよ!!」

まりさが出てきた事が不思議なのか、人間は優しく聞いてきた。
それに対してまりさは必死だった。人間の向かっているのは町の方。檻に入れたまま連れて行くのは、きっとあそこしかないと感じたのだ。
その予感は当たっていた。

「どこって、加工場だよ? このままこの子達を放したら、ここのゆっくりを襲っちゃうからね」
「だめだよ!! みんなまりさのなかまだからかこうじょうにはつれてっちゃだめ!!」

加工場という言葉を聞いてまりさは慌てた。
そこへ入ったゆっくりは殺されるだけだと知っていたし、自分の知っている仲間を殺してほしくなかったからだ。

「どうして? この子達は君を殺しに来たんだよ?」
「そうだけど… それでもかこうじょうにはつれていっちゃだめだよ!! まりさのなかまなんだもん!!」
「君はそう言うけどね、この子達はそんな風には思ってないよ」

台車に載せられたゆっくり達は、まりさの姿を見た途端檻の中から睨みつけていた。
加工場という言葉にも反応せず、ただまりさに憎悪の視線を向け続けている。

「分かるでしょ? この子達はね、今加工場へ連れて行かれる恐怖よりも守ろうとしてくれてる君を憎んでるんだよ。それなのに君は助けたい?」
「ゆぅ…」
「髪飾りの無い子にゆっくりは容赦しないの。ここにいるゆっくり達はね、皆さっきまでの貴方みたいにそういう辛い事を経験したのよ。またそんな酷い目にあわせたい?」
「そ、そうじゃないよ…」
「今この子達を逃がしたらどうなると思う? きっと仲間を呼んでここへ来る。流石に、仲間を呼ばれて来られたら人間の私でもここのゆっくりを全部守る事はできないの」
「でも、まりさはここをおかあさんにおしえてもらったんだよ!! だから、ここがあぶないってみんなもわかるよ!!」
「それはね、きっと貴方達はここを遠くから見てただけだからだよ。もしゆっくりがここの近くまで寄ってきたら、見境無くここを襲うわ」
「そんな…」
「嘘じゃない。そういうゆっくりを何度も見たんだから… それに、少し前まで帽子があった君ならわかるでしょ? 帽子や髪飾りの無い子をどうするか…」

まりさにも心当たりがあった。
髪飾りや帽子の無いゆっくりに何度も何度も玩具にした事があったから。
群れの仲間でもない流れ着いてきたゆっくりを、やめてと泣く相手を、笑いながらまりさは檻の中の仲間と一緒に皆で痛めつけて何匹も殺した。
理由は、髪飾りや帽子が無いから。
リボンを無くしたれいむ、帽子を無くしたまりさとぱちゅりー、カチューシャを無くしたアリス、そんなゆっくりはこの近くでたくさん見つけられる。
この農場が、そんなゆっくり達の安住の地だったから。
ここを目指してくるゆっくりが大勢いたから。

「まりさは… まりさは…」

まりさは自分のやってきた事の残酷さを、今漸く理解した。
自分と同じようにここを目指したゆっくりを、自分は何度も殺してきたのだと。

「やっぱり心当たりがあるんだ… けどね、ここに居る子は誰も君を責めたりしないよ。皆同じような事をした事があるからね」
「でも… でも…」

まりさは人間の言葉に何も言えず、身体を震わせている。

「じゃあね、まりさ。私はこの子達を連れて行かなくちゃ行けないから」

そう言って人間は歩き出す。
まりさの方を振り向かず、黙って前を歩いていく。
その背中を、まりさは見えなくなるまで見続けた。









次の日から、まりさは畑で働くようになった。
最初の内は今まで帽子や髪飾りで名前を判断していたまりさにとって、それが無いものは全部同じに見えていた。
それでも、仲間に仕事を教わっている内にだんだん区別がつくようになった。
黒髪がれいむ、紫色の髪がぱちゅりー、髪の短い金髪がありす、自分と同じように髪の長い金髪がまりさと。
こうやって自分の中で簡単な区別がつくようになってから、まりさは誰が誰なのかを分かるようになるまで時間は掛からなかった。
畑の仕事も覚え、自分と同じように逃げてきたゆっくりを守り、人間と話したりしながらまりさはゆっくり日々を謳歌していた。
ただ、新しい仲間が来るとまりさは度々落ち込んだ。
ここにいる仲間と同じゆっくりを下らない理由で殺してきた自分がここにいて良いのか…
その答えを出せないまま、まりさは今日も生きている。







こんな駄文を最後まで読んでいただき本当にありがとうございます!!
もし、帽子無しや髪飾り無しのゆっくりを殺していた子が同じようになったらどう思うだろうか?
それが今回これを書いた切欠です。
なにも意識していなかった事なのに、このまりさは帽子を無くした事で今までと立ち位置が変わりました。
今まで自分にとって当たり前だった事が、同じ境遇になってやっとそれがひどい事だと気づけた場合己のやってきた事を忘れる事は無理だと思うんです。
皆さんはどうでしょうか?

今回書いたのは小ネタなのでこの辺で
ではでは、お目汚し失礼!!

書いた作品
ゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくり
ゆっくりいじめ系382 ある馬鹿なゆっくりの話
ゆっくりいじめ系394 きめぇ丸
ゆっくりいじめ系421 めーりんとこうりん
ゆっくりいじめ系488 ゆっくり飼ってます
ゆっくりいじめ系497 携帯でチマチマ書いてみた
ゆっくりいじめ系571 みんなで食べよう
ゆっくりいじめ系572 きめぇ丸その後
ゆっくりいじめ系596 ゆこまち
ゆっくりいじめ系611 どこで何が狂い出したのか…
ゆっくりいじめ系628 鳩と餌と糞
ゆっくりいじめ系793 誰かがやらねばいけないこと




幽香×ゆっくり系9 ある馬鹿なゆっくりの話2





ゆっくりいじめ小ネタ125 虫眼鏡
ゆっくりいじめ小ネタ128 ゆっくりが大好きだ!!
ゆっくりいじめ小ネタ140 ガラス










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最終更新:2022年05月03日 15:22