「ゆっくりしていってね!」
俺は家へ帰る途中に突然飛び出してきたゆっくりまりさを避けた結果、俺は自転車もろともお空へダイブした。
キラキラと太陽の光を受けて輝く自転車と川を見て世界全てがこんな風にキラキラしてたらきっと素敵だと俺は思った。
「わ~おそらをとんでる~♪」
こちらを見上げてそんなことをほざいてるゆっくりまりさに心中でやかましいわと悪態を突きつつ
俺は自転車から離脱して受身を取った、この間約2秒。
「ぐぅっ、は、速鷹号おおおおおお!!!」
俺は無傷だったものの我が愛機は突然増水した川に落ちてポロロッカしていった。
「ゆ~おにいさんよかったね!」
「な、何故にホワイ!?」
人の愛機が河童の川流れされたというのにこのド饅頭は何をほざいていらっしゃるのだろうかと俺は驚愕した。
「あんなゆっくりできないのりものにのってたらゆっくりできなくなるところだったよ!
これからはゆっくりしていってね!」
俺はかなり豪快なスピードで堪忍袋の尾が切れた。
後悔させてやる。
お前は全てのこよなくスピードを愛する自転車乗り達を敵に回したのだ。

とりあえず俺はゆっくりまりさをマイハウスへと導いたのだった。
「ゆ♪まりさをおにいさんのおうちにつれてきてくれてありがとう!
おれいにずーっといっしょにゆっくりしいってあげるね♪」
ゆっくりまりさは俺の家に入るや否や満開のスマイルでお礼を述べた。
この笑顔がこれから苦痛に歪むと思うとドキドキして愉快でたまらない。
「ああ、ゆっくりしていってくれ…できるものならな!」
そう言うと俺はゆっくりまりさの目の前でシババババっと高速で反復横とびを開始した。
「ゆ?!おにいさんゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」
俺の余りに素早い挙動にゆっくりまりさは目を白黒させている。
ゆっくりすることを信条とする貴様にはゆっくりしているどころか
全開ギリギリのスピードで動き続ける俺の姿を見るのはさぞかし苦痛だろう。
「ゆぅ~!ゆっくりできないおにいさんとはいっしょにいられないよ!
もうおうちかえる!」
そう言うとゆっくりまりさは俺に背を向けて外へ出ようとした。
「おっとそうはイカのコンコンチキ!」
俺はシュッパーンとゆっくりまりさの前に回り込むと今度はゆっくりまりさを中心に体はゆっくりまりさに向けながらぐるぐると回転を始めた。
「ゆぅぅぅぅぅうぅぅぅ~!?やべでよおおおおお!おうちかえしてええええええ!!」
さて、こんな感じで10分ほどまわっていたが自転車で鍛えた俺の足腰も流石にきつくなってきた。
限界をオーバーしてしまうのも時間の問題だろう。
「ゆ?ちょっとゆっくりしてきて…」
「記憶を失え!」
そう言って俺はゆっくりまりさの背後に回り後頭部に水平チョップをかますとゆっくりまりさは気絶した。

「ふぅ…」
俺は脚や疲れた箇所をアイシングしスポーツドリンクを一本のみストレッチを済ませた。
そろそろゆっくりまりさが起きそうになり、俺はまたその目の前で反復横とびをはじめた。
「ゆゅ~……ゆ!?どうしておにいさんがゆっくりしてないの!?」
ゆっくりまりさがぽやぽやとまぶたを上げて目を覚ました。
「くくく…やっとおきたか、俺の余りにもゆっくりしてなさに気絶してしまったお前は気付いて無いだろうが
お前が寝てる間ずっとこうやってゆっくりしてないところを見せ続けてたんだぜ…?」
俺はにやりと笑いながら寝起きのゆっくりまりさに言い放った。
「ひぃ!?いやあああああああ!ゆっぐりでぎなよおおおお!おうぢがえる!おうぢがえるうううう!!!」
余りのゆっくりしていない事態にゆっくりまりさは悲鳴を上げた。
「ほう、もうおうちに帰るのかい?随分とゆっくりしてないじゃないか
こりゃ俺のゆっくりしてなさがまりさに移ってきたようだな」
「!?まりさはゆっくりしてるよ!ゆっくりしていってね!」
ヒステリーを起こすゆっくりまりさにさらなる追い討ちをかけるとゆっくりまりさはガクガクと震えながらゆっくりを主張し始めた。
「その焦りっぷりがゆっくりしてないのさ!」
俺はさらに反復横とびのスピードを加速した。
「ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛い゛いいいいいいいい!?」
ゆっくりまりさは遂に耐え切れなくなり餡子を口からぶくぶくと吐いて果てた。



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最終更新:2022年05月18日 23:04