※長くなったので前編のみです。虐待描写は皆無です。





俺の名は竹之内豊…では間違っても無く、とりあえず「お兄さん」とでも名乗ろう。
いきなりだが、俺は悪いゆっくりが大嫌いだ。
どれくらい嫌いかと言うと、生かさず殺さず地獄を見せてやりたいほどだ。
特にれみりゃ、ゆっくりゃとも呼ばれるあの種は見るだけで吐き気がするほどおぞましい

しかし今回は出てきません、作者がいい虐待が思い浮かばなかったとかそんなんじゃないぞ、絶対に違うんだからな!!

話を戻そう。とにかく俺は悪いゆっくりが大嫌いだ。
裏を返せば、程度を弁え、迷惑をかけない良いゆっくりは大好きだ。ブリーダーに躾をされて礼儀正しいゆっくりは頬ずりしてやりたいほど可愛いですよ。

さて、もしあなたが畑仕事からの帰り道、なんと道のど真ん中で堂々と交尾をしているゆっくりを見てしまったらどうすると思う?
ええ、してやがるんですよこのド饅頭ども。しかも辺りには野菜の食べカスと思われる者が散乱していやがります。

どう見ても悪いゆっくりです、ありがとうございました。

「れいぶぶうう!!!だいずぎだよ゙お゙お゙お゙お゙!!!」
「まままっままままままりざあああああああ!!! いっしょにイこうね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」

「「すっきりー!!」」
おっとすっきりしやがったようだ、ちょっと面白そうなので少し隠れて様子を見よう。

「ゆー。まりさー、こどもができたらいっしょにゆっくりしようねー」
「ゆゆ、れいむ。もちろんだよ! こどもたちにいっぱいいろいろおしえてゆっくりしようね!」
「たべものはにんげんどものをうばえばだいじょうぶだし、いっぱいゆっくりできるね!」
「ゆっゆっゆ! にんげんはばかだよね! まりさたちに追いつけるわけがないのにひっしになってさ!」
「あのじじいこらー、だってさけんでころんでやんの! おおぶざまぶざま」
「「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」」

こいつら…馬鹿なのか? 道の真ん中でそんな大声で話して人間に気づかれないとでも思ってるのか?
この辺りは人気は少なく野生動物もそんなにいないが少し歩けば村に着く、というくらいなのに。
しかもここは時々紅魔館の豚…もといれみりゃが散歩と称して通るルートの一つでもあるのだ。無警戒にもほどがある。
しかしこいつらの会話の内容は聞き逃せなかった。こいつらの言う「じじい」は、普段から世話になってる隣の爺様のことだろうからだ。
先ほど爺様がゆっくりに畑を荒らされた、と嘆いていたが、こいつらが犯人か。
もはやこいつらの命運は決まった。三度目になるが、俺は悪いゆっくりが大嫌いなんだ。

しかしこいつらをただ殺すのは、そう、面白くない。
潰すのは簡単だ。しかしこいつらには絶望をたっぷりとプレゼントしてやりたい。

そのとき、俺に電流が走る……!
閃く。圧倒的閃き…!!

「やあ君たち、ゆっくりしてるかい!?」
「ゆっ!!?」
おっといきなり話しかけられてびっくりさせちまったか。
「ゆっ、おじさんなんのよう!? まりさたちにようがあるならたべものをよこしてね!」
「ゆっくりできるばしょもだよ!」
何様だこいつら。俺はまだ20だぞ。
しかし我慢だ。計画決行前に潰してどうする、面白くなくなってしまうじゃないか。
俺は表面上は動じなかった風を装いつつ、フレンドリーに話しかける。
「ごめんごめん。けどここじゃゆっくり出来ないんじゃないかなと思ってさ。」
「ゆっ、そうだよ! まりさたちにはりっぱな家がひつようなんだよ!! わかったらさっさとあんないしてね!」
「あんないしないんだったらさっさとかえってね! むしろゆっくりしんでね!」
だから何様のつもりだてめえ、ぶち殺すぞクソ饅頭。
「そうかい、それじゃ僕の家に来ないかい?」
堪忍袋の緒が切れそうなのを必死で耐える。
「ゆっ! ほんとう? それじゃあゆっくりしないであんないしてね!」
「それとたべものもちょうだいね!」
「はいはいわかったよ」
やはり馬鹿だなこいつら、甘い話には裏があると思わないのかねぇ。

「ここが僕の家だよ」
「ゆゆ、きにいったよ! 今日からここがまりさのゆっくりプレイスだね!」
早速出ましたよ「まりさの家」宣言。神経逆撫でされるわー
それには何も言わず、俺は二匹をある部屋に案内する。

「この部屋なら外敵も来ないだろうし、ゆっくりとできるよ。」
ゆっくりたちを案内した部屋は、ある一面の壁が鏡になっている以外は何の変哲もない部屋である。
そこはゆっくりたちには十分なほど広く、いくつか遊び道具も用意されていた。
「ゆゆ、おじさんありがとう! まりさの家でゆっくりしていいよ!」
だからここは俺の家だクソ野郎。
だが我慢だ、これの鬱憤はあとで盛大に晴らせられるのだから。
「ありがとう。ところでれいむはにんっしんしてるのかい?」
とりあえずまりさの発言は流し、今回の計画の最大のポイントである部分を聞く。
何故俺がそんなことをきくのか、にんっしんして欲しいことを何故知っているのかを疑問にも思わず、まりさは答える。
「ゆ~、まだわかんないんだよ。」
「けどまりさとの赤ちゃんはほしいよ。にんっしんしたいよう…」
うーんまだか、しかし果報は寝て待てというからな。
「それじゃあ、ここでは好きにすっきりー!してもいいからね。れいむもがんばってにんっしんするといいよ」
「ゆ! いわれなくてもそうするよ! おじさんばかだね!」
「ここはまりさのおうちなんだからすきにするもなにもないよ! ばかなおじさんはゆっくりりかいしてね!」
が、我慢だ…
俺は般若のような形相が浮かびそうになるのを必死で我慢しつつ、部屋を出た。

数日後、そこには蔦を生やし、ご満悦になっているれいむがいた。
まりさも子供ができたのを喜んでいるようで、ド下手糞な歌を歌いつつ喜びを表現していた。
「ゆっくりモーニング!」
「ゆ、おじさんおはよう! ゆっくりしていってね!!」
すっかりおなじみになった挨拶を交わしながら部屋に入る。
この数日間、食事はちゃんと出し、3時のおやつまで出してやり、溶けない程度に洗ってやったりもした。
本当はそのまま溶かしてやりたかったし、おやつまで出してやるのはどうかと思ったが、信用を得た後どん底まで突き落としたいのだ。
どうせ人間を下に思ってるこいつらでも、餌をくれ体を綺麗にしてくれる相手だ、多少は信頼しているだろう。
そして今日、暖めていた計画を実行することにした。

ゆっくりは蔦に実を生やし、時期が来ると実が落ちた後、子供が内部から実の皮を食いちぎり生まれる。
他にも出産タイプという、人間の出産と同じような形で生むタイプもいる。
この二匹は前者のタイプのようだ。実の数は……5。標準的な数だ。
「ゆ、もうすぐだよ! ゆっくり落ちて生まれてきてね!」
れいむが突然声を上げる。もうすぐ実が落ち、誕生するのだろう。
時間は無い。決行だ。
「れいむー。まりさー。」
二匹に呼びかけ、素早くガスマスクを装着。
プシュー
「ゆゆ、おじさんなに!? れいむはいそがし…い……ゆー……」
「おじさんうるさいよ! どう…し…た……の……ゆー、ゆー……」
ゆーゆーしか言わなくなったので確かめるために頬をついてみる。反応なし。
催眠ガスを撒き、二匹を眠らせたのだ。
二匹が眠ったのを確認した後、実の方を見る。
もうみんな落ちそうだ。俺は慌てず、持って来た籠を実の落ちる場所置き、そして万が一実が潰れないようにもクッションも敷いておく。
よし、全て回収した。
部屋を出た俺は、マスクを外し、隣の部屋に移動する。
そのドアには「ゆっくりありすのへや」と少し崩れた、しかし愛嬌のある字で書かれていた。

「おはようありす、ゆっくりねむれたかい?」
「ゆっ! お兄さんおはよう! ありすはゆっくりねむれたよ!」
そこは隣の部屋以上に広く、ゆっくり達の言い方で表すと「とってもゆっくりできるゆっくりプレイス」だった。
ゆっくり用の遊具は飽きないほど用意されており、退屈することも無いだろう。
またこちらも壁の一面がかがみになっているが、それ以外には森の風景を再現した絵が描かれている。出来るだけゆっくりできるように配慮したのだ。
そしてここにも一匹ゆっくりが住んでいた、ゆっくりありすである。
そう、これは俺が飼っているゆっくりだ。俺はいいゆっくりは好きなんだ。
「ありす、いいお知らせだよ。なんと、君は今日からお母さんになるんだよ!」
「ゆゆ? おにいさんどういうこと?」
不思議がるありす。無理もない。今まで一人で過ごし、誰ともすっきりー!したことないのにいきなりお母さんになると言われたのだから。
首(というより体全体か?)をかしげているありすの前に、先ほどの籠を置く。
一応蓋は閉じておいたので大丈夫のはずだ。
「ありす、この籠の中を覗いてごらん?」
「ゆー?」
蓋を少し開け、ありすに中を覗かせる。中からは俺が見えないように気をつけながら。

そこには、2匹の赤ちゃんゆっくりがいた。まだ3匹は実を食いちぎっている最中のようだ。
赤ちゃんゆっくりはありすの姿を見ると、元気そうにはねながら挨拶をする
「おかあしゃん、ゆっくちしていっちぇね!」
「ゆー、まりしゃのおかあしゃん! ゆっくちしていっちぇね!」
ありすは驚いていた。この赤ちゃんゆっくりが自分の子でないことは明白だ。しかし何故か自分をお母さん、と呼んでいる。

その理由は簡単なことだ。野生の動物は一番最初に見た生物を母親と認識する。いわゆる『刷り込み』というやつだ。
それはゆっくりでも例外ではないらしい。出産タイプで生まれたゆっくりはさすがに母親がわかるらしいが、実で生まれるタイプはそうであるらしい。
話には聞いていた。しかしここまでうまくいくとは思わなかった。
これでこの赤ちゃん達はありすを母親と思い込むだろう。
そんなことを考えているうちに残りの3匹も無事に生まれたようだ、親が悪いゆっくりでも流石に赤ちゃんに罪は無いので安堵する。

一方ありすは、最初は驚いていただけだったが、次第と落ち着きを取り戻し、冷静に考え出す。
こんなことしてはいけない、子供達は親のところに返してあげないと…と。
しかし…
「ゆー? おかあしゃんどうしたの?」
「からだわるいの? ゆっくちしようね!」
そういって舌っ足らずな言葉で、だが赤ちゃんなりに一生懸命自分を心配してくれ、気遣ってくれる赤ちゃん達を見ると…!
何もかもどうでもよくなってきた。優しいお兄さんがいても、ずっと孤独だった自分に、嘘でも家族が出来たのだ。
「ゆ、ゆっくりしていってね! おかあさんとゆっくりしようね!」

俺は赤ちゃんと一緒に飛び跳ね、頬ずりをするありすを微笑ましく見守っていた。
このありすは、ある日俺の家の玄関に訪れた野良ありすだった。
しかし一般に性欲の塊といわれるありすの姿はなく、打ちひしがれた様子で、目には光がなかった。
そして開口一番にこう言ったのだ。「ありすをころして」と。
さすがに穏やかな話ではなく、事情を聞いてみた。

ありすはあるありすの群れにいて、ずっと気ままに生きてきた。
適当なゆっくりを見つけたら性欲の捌け口にし、生まれた子供までも犯すという、典型的なまでの悪いありすの例であった。
ある日、冷静なときにありすにも友達が出来た。
その友達、まりさとはすっきりもせず、殺したくないと初めて思い、ずっと我慢し続けた。
しかし、群れのありすに見つかってしまい、そのまりさを独り占めしていると勘違いされた。
仲間のリンチに遭い。そしてまりさは自分の前で無残にも犯され、死んでいった…。
ありすはまりさを殺した仲間を呪い、そして何も出来なかった自分を呪った。
その群れはのちにれみりゃの大群に襲われ、全滅することとなった。
ありすは命からがら逃げ延びるも、仲間を見捨ててまで生き延びた自分が心底嫌になった。
その後何度も死のうと思っても、幸運か不運か、何度も偶然によって生き延びてしまったのだ。
そして自分で死ねないなら、人間に殺してもらおうと思い、ちょうど近くに会った俺の家に来た、ということであった。

俺は思った。なおさら殺せないと。
そこまで生き延びてしまったのだ、俺はこのありすが何かしらの意志で生かされてるのだと思った。
ここに来る前は神を信じてある宗教に所属していたこともあり、俺は神の意思というものを信じている。
必死で説得し、ありすのために部屋を丸ごと一つ用意してやった。
最初のうちは「いいからころして…」と食事も拒否し、暴れまわっていたが、だんだんと光を取り戻し、今に至る。
しかし一人はさびしいだろう。そう思い、何度か適当なゆっくりを捕まえ、交尾させようとしたが…

「いや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! まりさごめんね!! まりさごめんね! まりさごめんね…まりさごめんね…」
少し振動を与えただけで上記の台詞を繰り返すだけだった、どうやらトラウマになってしまっているようだった。
どうしたものかとずっと悩んでいたところで、冒頭のことだ。

あの時何が閃いたかというと、悪いゆっくりへの『お仕置き』ついでに、ありすへ『家族』をあげようと閃いたのだ。
ありすは交尾は出来ない、それなら、他の家族から赤ちゃんを奪い、ありすに与えればいいのではないか、と思ったのだ。
そしてそれはうまく功を奏した。こんなにも幸せなありすを見れるとは、出会った当初から考えると信じられないことだった。
ありす、頑張れよ。
俺はそう心の中でつぶやき、部屋を出る。

まだ、あの二匹への『お仕置き』は終わっていないからな…



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最終更新:2022年05月19日 15:14