※注意事項は前回までと同じです ご参照ください





【ばぁいおぅはざぁど ゆっくりぃ ふぉうぅ…】

          (7)

“カタカタカタ、チーン!”

「患部で留まって早く効くー! みょ!?」

気がつくと、教団の紋章の描かれた扉のある建物の中にいた。
ある意味今までで一番の地獄を味わったミョンは、暫く立ち直れそうに無かった。

「ああ、もうお婿にいけないみょん…」

先に進めば進むほど、どんどん情けない終わりを迎えている気がする。
だが、嘆いてばかりもいられないので、せめて復讐をする事にした。

「おーい、武器商人! これを買い取って欲しいみょーん!」

遠くから緑の果物(手榴弾)を投げつける。
勿論安全ピンを抜いた状態で。

「うぼぁああああ…」
「それでタバコ芸でもやってろみょん!」

捕虜になった時に上司が最期の作戦としてダイナマイト版を提案するかも知れない。



さて、洞窟を抜けた先は墓地に繋がっていた。
その向こうには目標とする教会が見える。

「何とも不吉な場所に出たみょん…」

もし、この地で力尽きれば誰かがここに墓を建ててくれるのだろうか?
それとも、誰にも見向きもされず野晒しとなるのだろうか?
もしかすると、跡形も残らずに終わるかもしれない…。

「あー、駄目だみょん! 前向きに考えないとおかしくなりそうだみょん!」

不幸続きで発想が暗くなりがちなミョン。
気分を入れ替える為に、あちこちに吊られている青コインを撃つ事にした。

「どれどれ…。 あっちに一枚、こっちに一枚…」

いざ始めてみると青コイン探しに夢中になりすぎてしまった。
気がつくと教会を通り過ぎて谷の方へ向かっていたらしい。
ご丁寧にも合衆国の組織から注意喚起の通信が入った。

「スネーク! 君は一体何をしているんだ!?」
「みょっ!!?」

どこかで聞いた事があるような無いような声と呼び名に思わず戸惑う。
余りにも唐突な出来事に呆然としながら聞き返すと…。

「大佐…? もしかして大佐かみょん!?」
「久しぶりだな、スネーク。 また会えて嬉しいよ」

通信相手は他でもない、大佐ことテイ・キャンベルであった。
大佐とミョンはかつてとある組織に所属し、共に難しい任務をこなした事もあるのだ。
一通り昔を懐かしみ、再開を祝した後、ミョンが疑問を口にする。

「ところで、ハニガンはどうしたんだみょん?」
「命に関わるほどではないが、負傷して入院する事になったのだ。
それで、復帰するまでの間、私が君のサポートを務める事になった」
「一体何があったんだみょん!?」
「噂では組織に潜入中のスパイの仕業らしいのだが、私も詳しい事はよく分からん」

ハニガンの身に何が起こったのかは前回を参照のこと。
当然の事ながらスパイの仕業などではなく、自業自得なのだが、
そんな事は恥ずかしくて言えないので適当に誤魔化したのだろう。

「そんな事よりもだな。 今は長の娘を救出するのが任務だろう。
教会を調べずに進んでどうする?」
「ゆぅ…。 これから調べようと思っていたみょん…」
「君は全く変わっていないな。 何かに夢中になると直ぐに任務を忘れてしまう。
カメラで面白シーンを激写しようとしたり、敵兵をからかってみたり…」
「悪かったみょん! だから、あまり昔の話はしないで欲しいみょん!」

奇行が目立つのは今も昔も変わらないらしい。

「それより大佐、ミョンはスネークじゃないって何回言ったら気が済むみょん?」
「ミドルネームが“S”だからあまり変わらんだろう。 気にするな、スネーク!」



大佐に促されて教会を調べるミョン。
本当は進んでいた道の先に青コインを見つけたので渋々なのだが。

「大佐、駄目だみょん。 押しても引いても開かないみょん。
恐らく扉の丸い窪みに何か填めれば扉が開く仕掛けみょん」
「そうか。 では、その鍵を探してきて欲しい」

何故そう都合よく行く先々に鍵が落ちているのか?
態々誘拐しておいて、これでは取り返してくださいと言っている様なものである。
しかし、ゲームにそんな事を突っ込んでも意味が無いだろう。
気にせずに先に進むのが正解だ。



「そういえば村中央で村人達に襲われた時に聞こえた鐘は、ここの鐘だったみょんね」

教会の正面から見て右側に大きな鐘が吊り下げられている。

「外からでも撃ったら鳴るかも知れないみょんね」

また好奇心に抗えずに余計な事をしようとしているらしい。
鐘に照準を合わせて銃を連射する。

“ゴンゴンゴンゴンゴーン!”

「良い音だみょんね~!」

ここで思い出して欲しい。
村で鐘の音が聞こえた時村人達はどんな行動を取ったか?

「オッパイノペラペラソース!」

そう、村人達の向かった先は教団の紋章の入った扉のある建物。
その先にあるのは墓地、そして教会である。
つまりミョンは自分で村人達を誘き寄せた事になる。

「何でごっぢ来るのぉおおおおーっ!!?」

ミョンは慌てて谷へと進み、村人達を突き落としながら戦った。



村人達を全滅させてからゆっくりと谷の青コインを壊してまわった。
これで青コインを、1…、2…、3…、沢山壊した事になる。
一体何枚壊したのか分からないがこれぐらいで十分だろうと勝手に判断した。
武器商人が何かくれると言っていたが、貰う物を貰ったら即倒そうと心に決めた。



谷には道沿いに小さな小屋があった。
いつもの様にアイテム探しの為木箱を壊していると、突然何かに噛み付かれた。
蛇だ! 慌ててステータスを確認するが毒蛇ではなかったので毒状態は免れた。
青い草(ブルーハーブ)の無い今、毒状態になってジリ貧というのも面白いのだが…。

「スネーク! スネークに噛まれたのか!
スネークの中には毒を持つ種類もいるが、どうやら毒を持たないスネークだった様だな。
いいか、スネーク。 これから先、箱や壷の中にスネークが潜んでいるかもしれない。
スネークならスネークらしく、細心の注意を払って行動する事だな。
ところで、スネーク。 話は変わるが、スネークは倒すと卵を落とすらしいぞ」
「もうどっちがどっちのスネークだか分からないみょんよ!!」



谷を抜けると採石場に辿り着いた。
その広場の中心にカラスが何匹も集まっている。

「スネーク、カラスは空を飛びまわる為、狙いの付けにくい厄介な敵だ。
しかし、体力は少なく、強い光の刺激に弱い。 閃光手榴弾を使うんだ!」
「それって、この青い果物の事かみょん?」
「そうだ。 幸い奴らは今地面にいる。
中心に向けて投げ込めば一網打尽に出来るぞ」
「分かったみょん」
「ただし、余り自分の近くで爆発させると自分自身も閃光で目が眩んでしまう。
また、水中に落ちると効果が無くなる為、細心の注意を払う事だな」
「ゆぎゃあああああ! 目がぁ、目がぁあああああ!!」
「それは私が言うべき台詞だろう!? 合言葉だ、合言葉を言うんだ!」
「バルス、バルスだみょーん!!」



採石場から道は二手に分かれており、一方は地下水路に繋がっていた。
船着場には船が無いためここから先に進む事は出来ない。
そして、青い炎の照明の中、奴と再会した。

「ひっひっひ、うぇるか…」
「ふりーず! じ・ふりーず!!」

先手を取って銃を突きつける。

「“ほーるどあっぷ”だみょん! おとなしく手を上に上げるみょん!」
「手なんて無いんですが…」
「余計な事を言うと撃つみょん! ミョンは本気みょん!」
「やれやれ、分かりました…」

代わりに舌を上げていたが、会話が出来ないので止めさせた。

「青コインを撃てば何かくれるって言ってたみょんね?
それを頂きに来たから、ゆっくりしないで寄越すみょん!」
「どうやら全部壊せた様ですね。 約束どおり“いいもの”をあげますよ!」
「一体何だみょん?」
「コレです」

ローブの中から取り出された物を舌を伸ばして受け取ろうとする。

「何か柔らかいみょんね…?」

そう、何か柔らかい舌触りなのだ。
よく判らないので質問してみる。

「これは食べ物か何かかみょん?」
「ある意味で正解ですが…。
残念! それは私の“おいなりさん”です!!」
「ゆっ、ゆげぇえええええええっ!!!」

慌てて舌を離し、水路でうがいをするミョン。

「ゆぺっ、ゆぺっ! 何て事をしてくれるみょん!?」
「随分とお喜びの様で! それでは今一度…!」
「ゆっ、ゆわぁあああああああっ!!!」

「スネーク、それを“やって”はいけない! 未来が変わってしまう!!」

Time Paradox ...



「えれえれえれ…。 酷い目に遭ったみょん…」

気が付くと地下水路の入り口に戻っていたミョン。
未だにあの感触が舌から消えないので気分は最悪である。
いくら無かった事になるといっても、記憶が残るのでは意味が無い。

「とんでもない物をよくも食らわせてくれたみょんね!
お詫びにコレを喰らわせて蜂の巣にしてやるみょん!!」

ショットガンによる零距離射撃を喰らわせた!

「うぼぁああああ…」
「ぺいーん! 痛みを思い知るみょん!!」



採石場に戻って別の道を進むと両側が高い崖の長い坂に繋がっていた。
そしてどこかで見た事のあるゆっくり標識があった。

「また岩を落とされるみょんね…。 他に道もないし進むしかないみょん…」

嘆いても仕方が無いので準備運動をしてから進む事にする。

「ゆいっちにー、さん沢山ー! 沢山、沢山、沢山、沢山ー!」

数を数えられないと苦労するものである。
伸びたり縮んだりと謎の運動を繰り返し、深呼吸して息を整える。

「ゆふー…。 さて、走るみょんよー!」

クラウチングスタート(ただ屈むだけ)の構えを取り、一気に走り出す。
崖の上から大岩が落とされたが、勢いよく跳び出した為轢かれる心配はなさそうだ。
しかし、調子に乗って後ろを振り返っていると、小石に躓いて転んでしまった。

「ゆごろごろごろごろごろぉおおおおっ!!?」

前方不注意は非常に危険です! 注意一秒怪我一生!

「ゆべぇっ!!」

転がり落ちる事で更に速く降りられたが、壁に強く体を打ち付けてしまった。
壁に顔がめり込む漫画的表現だったので命に別状は無かったのだが。



「みょ? 沼があるみょん…」

周囲を見渡すとどんよりとした色の沼が広がっていた。
沼には橋の様な建物があるのだが、途中で途切れて渡れない。
そして、所々に赤く光る爆発する林檎(ワイヤー爆弾)が設置されていた。

「はぁ…。 濡れるのは嫌だけど仕方ないみょんね…」

溜息を吐きながら沼の中に入っていく。
すると建物の中や橋の上から村人が沼に跳び降りて来た。

「コヘッドロ!」
「みょ!? そんな事したら…っ!!」
「ユギャアアア・・・」

訓練によって水に対する耐性を得たミョンと違い、村人は普通のゆっくりである。
忽ち水に溶け出して、濁った沼を更に濁らせていった。

「ぽかーん…」
「戦わずに敵を倒すとは、流石スネークだな!」

後には爆発する林檎の赤い光だけが空しく残されていた…。



村人達の呆気無い最期に思わず呆然としていたが、
余り長く沼の中にいると自分も同じ運命を辿る事に気付き、慌てて陸に上がる。
そして十分体を乾かした後、先に進んでいくミョン。
幾ら耐えられるからといって、ふやけた体では満足に戦えないからである。
少しお肌がパリパリになった気もするが、今はそんな事を気にしてもいられない。
臭かった体の臭いが取れた事の方がよっぽど重要なのだ。



さて、この沼には蛇が生息しており、沼の中を泳いでいたりしたのだが、
その中に一匹奇妙な蛇を見つけた。
頭や尻尾は他の蛇と同じだが、胴体だけがやけに太いのである。

「大佐、ちょっと変わった蛇をキャプチャーしたんだけど…」
「何!? それはもしかして“ツチノコ”じゃないのか!?」
「それって、あの幻の蛇かみょん!?」
「よくやった、スネーク! 君を送った甲斐があったというものだ!
よし、早く任務を終わらせてソイツを持って帰ってきてくれ!
いいか、絶対に途中で食べたりするんじゃないぞ!」

実はコレ、村人を丸呑みした唯の蛇である。
やがて村人は消化され、蛇は元の姿に戻ってしまうのだが、
その事を隠す為に、ミョンは引き渡す寸前に卵を与えて同じ姿にして誤魔化した。
大佐は狂喜乱舞しミョンに惜しみない賞賛と秘密のフェイスペイントを教えてくれたが、
ミョンは内心いつばれるのか気が気でなかったという。
その為冷や汗で、顔中びっしりと描かれた“無限”の文字が流れ落ち、
全身真っ黒になってしまったが、それはまた別のお話である。



沼を抜けると、そこには大きな湖が広がっていた。
とても大きな湖のため、一度高所から全体を観察してみようと思い、
ミョンは高台へと昇っていった。
双眼鏡を取り出し湖面を眺めてみると、村人達がボートに乗っていた。

「みょ!? あれは…!?」

何をしているのかと見ていると、村人達は湖に一匹のゆっくりを放り込んだ。
それは村への案内をしていた警官の片割れのまりさであった。
偶々帽子が下になった為に、ひっくり返ったまま水に浮かぶまりさ。
少しも動かないところを見ると、もう息は無いのだろう。
村人達はまりさを放り出すとボートを動かしてどこかに去って行った。
湖にはまりさの死骸だけが辛うじて水に溶けずに残された。

「ミョンと一緒に来ていればこうならなかったかも知れないみょんね…」

腹立たしい態度のゆっくりではあったが、やはり殺されて良い気分はしない。
この任務が終わったらせめて墓でも建ててやるかと考えていると、
突然水中から何かが浮かび上がってきた。

「みょっ!!?」

湖面を震わせながら飛び出したソレは大きな亀であった。
大亀はまりさの死骸を飲み込み、水中へと潜り消えて行った。
波が消え、何も見えなくなった湖面は不気味に静まり返っていた…。



「ゆゆゆゆゆっ! さ、さすがに今回はやばすぎるみょん!
大佐、一体どうすれば良いみょん!?」
「う、うろたえるんじゃあない! 合衆国の工作兵はうろたえない!
まずは周囲を探索し、何か打つ手が無いか考えるんだ!」
「りょ、了解したみょん…!」

何か無いかと付近を調べてまわると、いつものレジ(タイプライター)があった。
気持ちを落ち着ける為に、いつもの様に鳴らしておく。

“カタカタカタ、チーン!”



さて、湖の桟橋を調べてみると、ボートとブラックバスの姿が見えた。
あんな大物と戦うのならば、スタミナをつけてからの方が良いだろうと思い、
水中の魚を狙って発砲する。
ところが、魚がじっとしていない上に、湖面が揺らいで狙いが定まらず中々命中しない。
お腹も空いてイライラしてしまい、湖面に闇雲に連射していたが、
その発砲の衝撃が危険を呼び寄せている事に気付けなかった。

一瞬だった。
水面が盛り上がったかと思うと、大亀の口がミョンを桟橋ごと飲み込んでいった。

「スネーク!? 応答しろ! スネーク、スネーク!!」

もう二度とミョンは応答しない…。

You Are Dead ...



【チャプター1-3も大詰め。 締めを飾るのは大山椒魚・デルラゴです。
デルラゴはボートを引っ張られながら戦うのですが、
ボート上では銛でしか攻撃できない為、強力な武器が使えないので手間取ります。
水に弱いゆっくりに取って、湖に投げ出されるのは死を意味するので、
一体どうやって難を逃れさせるか非常に悩みます。
湖の桟橋近くにはブラックバスが泳いでいるのですが、
湖面に6回、銃を撃ち込んだり、手榴弾を投げ込むと、
デルラゴに飲み込まれるムービーが流れて即ゲームオーバーです。
言うまでも無く孔明の罠ですね。

ゲームとは違い、原作の旧作で登場して以来、神社の池で飼い殺しになっている
あの方を配役しましたが、余計撃退が難しくなった気がしてなりません。

さて、今回から暫くユユコ・ハニガンに代わってミョンの補佐をする、
大佐ことテイ・キャンベルですが、名前の通り原作の兎のゆっくりです。
元ネタは某有名ステルスゲームですが、この話ではシリーズ無視でパロディにしますので、
実際には大佐が関係しないシリーズのネタも混ざります。
当然作者の知らないシリーズはネタになりません。 あしからず…。

なお、青コインは10枚以上で貫通能力のあるハンドガン(パニッシャー)が、
15枚以上で一段階威力を強化した状態で、無料で貰えます。
まぁ、ミョンは違う意味で貫通されてしまいましたがね…。
(誰が上手い事を言えと言った! え、言えてない?)】

※今回のスペイン語解説

「Cogedlo!(コヘッドロ!=捕まえろ!)」 戦闘中に喋ります

「Os voy a romper a pedazos!(オス ボイ ア ロンペル ア ペダーソス!=八つ裂きにしろ!)」
こちらを発見した時に喋ります 「オッパイノペラペラソース!」ではありません

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最終更新:2022年05月21日 21:45