『な ん だ こ れ は』
見せられたものに対して彼は憤慨する。
眼前で流されるはボーイ・ミーツ・ガールのジャンルが相応しい映画。
都会に憧れ上京してきた少年が運命の人と出会い悪戦苦闘しながら共に過ごし、しかし明かされる運命に抗えず運命の人を失い悲観に暮れる。
その無情さ。悲劇。
『な ぜ 、 こ の 映 画 に マ ジ ン ガ ー Z が 出 て お ら ん ッ ッ ! ! ! ! !』
そんなものは彼にはどうでもよかった。
彼の言うマジンガーZ―――つまりは、天才漫画家永井豪によって創り出されたロボットモノのマンガ及びアニメ。
それまでもリモコン操縦する巨大ロボアニメや等身大ロボットアニメはあったが、主人公が乗り込み戦車や戦闘機のように操縦する人造巨大ロボットはなかった。
つまりは、マジンガーZこそが巨大な人型ロボットアニメの先走りと言っても過言ではない。
悪役・Dr.ヘルが繰り出す機械獣との闘いはお茶の間の子供たちを熱くさせ、縮小しかけたアニメ界を好転させ、おもちゃや関連グッズは飛ぶように売れて大好評。
玩具メーカーはこぞってマジンガーZへと投資!40年間の放送を経て未だに完結せずアニメの放送も2500回を突破!
他にもスピンオフ『さらばマジンガーZ不滅の勇者たち』『帰ってきたマジンガーZ』『マジンガーZジェネレーションズ』『マジンガーZヴォイジャー』『マジンガーZグラマラスキラー』『マジンガーZキルズ』etcetc...とにかく数限りない作品群が生まれ世界124ヵ国で放送もされている!!
もはや日本、いや世界の書籍・映像、いや経済をマジンガーZが支配していると言っても過言ではない!!!
そのマジンガーZがこの映画には出ていない!!!
「いや、ジャンルが違うから」という言い訳は通用しない。
ただの少年少女の恋愛模様を描いただけならばそれも通るだろう。しかし、この映画は明確に『神』を描写している。
神―――すなわち、マジンガーZでなければならない存在を。
『そ う 。 あ れ が マ ジ ン ガ ー Z で あ れ ば な ん ら 問 題 な い 。 あ る い は マ ジ ン ガ ー Z が 打 ち 倒 す 敵 で あ れ ば そ れ で い い 。 だ が . . . 思 い つ か ん ! こ こ か ら 違 和 感 な く マ ジ ン ガ ー Z を 登 場 さ せ あ の 神 を 倒 す 術 が ! !』
マジンガーZは今まで機械獣のような化学と技術の結晶から生み出された敵と戦ってきた。
だがこの映画の『神』はどうだ。倒されねばならぬ敵でありながら、マジンガーにもできぬ天候操作を容易く行い、あるいは人間に貸し出し、物理的な手段で邂逅することは適わない。
恐らくこの映画の尺はもう半分を過ぎているのだろう。残りの尺で果たしてマジンガーZを登場させ神を倒せるか?
否。無理だ。マジンガーZは子供向けアニメでありながらロジカルに展開を組んでいる。
マジンガーZのパイロット兜甲児のように選ばれた血統でもなければ訓練をしたわけでもないあの少年に扱える代物ではない。
つまりは最強。マジンガーZを差し置いて、この神は最強の座についている!!
ふざけるな。ふざケルナ!フザケルナァァァァァ!!!
我は許せん!!マジンガーこそ神であり魔神である!!!マジンガーが最強でないなど!!!存在しない世界など認めてなるものかッッッ!!!!
消してやる...このような映画など、存在すら消してやるッッッッ!!!!
●
『ブ レ ス ト フ ァ イ ヤ ー ! ! ! ! !』
胸板から放たれた豪熱が眼前のビルに向けて放たれる。
ビルは瞬く間に原型を失い、その後ろの建物もまた溶かされる。
『ム ウ ゥ 、 な ん だ こ の 威 力 は』
【彼】は目の前の成果に不満げに言葉を漏らす。
本来ならば、地図上で言えばこのエリアから端まで平然と届くはずの威力が出せるはずだった。
だが、いまのブレストファイヤーは本気ではないとはいえ建物を数件溶かしただけだ。
これでは本来の威力にはほど遠い。雨が降り続き湿度が高いことを踏まえても尚だ。
そもそも身体自体が普通に縮んでいる。
『こ れ も あ の 老 婆 の 仕 業 か 。 小 癪 な マ ネ を』
わざわざ自分を巻き込み、首輪を嵌め、あんな不愉快極まりない映画を見せたのだ。
よほどの調整が無いと参加者との殺し合いなど成立しないのは奴も承知の上だろう。
『ま あ い い 。 不 快 だ が 今 は 貴 様 の 余 興 に 付 き 合 っ て や ろ う』
この首輪が爆発すれば自分は死ぬ。
そのルールが絶対であるのは間違いない。ならば今は帆高を殺すことでこのバトルロワイアルを次のステージに進めることにする。
そう。この配られた『お題』による願望争奪戦へと。
『だ が 覚 悟 し て お け 。 最 後 に 笑 う の は 神 で も 貴 様 で も な い 。 我 、 否 、 マ ジ ン ガ ー Z だ ! ! !』
ヴオオオオオオと叫び声を響かせる。
【彼】―――いや、ソレの名は『マジンガーZERO』。
最終にして原初。唯一無二のスーパーロボットである。
【マジンガーZERO@真マジンガーZEROVS暗黒大将軍】
[状態]疲労(微弱)
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~3
[行動方針]
基本方針:マジンガーこそ最強也
0:帆高を殺しお題とやらを完遂し、『天気の子』そのものを主催ごと抹消する。
1:マジンガーは最強故に他の参加者の助力など不要!故に見つけ次第殺す!!!
※参戦時期は32話より。
※制限により技を放つ度に疲労が溜まります(スパロボみたいな感じ)。また、制限により魔神パワーは全て封印されているのに加えかなりの弱体化を受けています。
※主催の調整により全長が5~9m以内になっています。
最終更新:2021年02月01日 18:01