「何がどうなってるんだ…」
年季の入ったアパートの一室。
そこが青年、トランクスのスタート地点だった。
ザマス達との死闘を終え、マイと共に分岐した未来へ向かっていたはずだ。
なのにいきなり見知らぬ映画館に拉致された挙句、バトルロワイアルというふざけたものを強要された。
薙刀を持った女性が殺された瞬間、動けるようになった体で老婆を止めようとしたが急に意識が遠のき、目が覚めたらこれまた見知らぬ部屋に転がっていた。
(分からない…あの神子柴という人は何なんだ…)
どんな願いでも叶えると言っていたが、それはつまり神子柴はドラゴンボールを確保しているのだろうか。
確かに神龍の力なら死者の蘇生も可能だ。
だが最初に女性を生き返らせた時には神龍の姿は無く、気も感じられなかった。
では少なくとも死者を蘇生させる力は神子柴本人の能力とでも言うのか。
そんな事が可能な老婆の正体はなんだ?
それに自身の不調も厄介だ。
目が覚めてすぐ自分の体がいつもよりも重く感じられた。
もしやと思い気を開放してみると、普段では有りえないような疲労が伸し掛かった。
考えられる可能性は一つ、神子柴にパワーを制限されている。
試してはいないが、恐らくは超サイヤ人への変身も普段通りにはいかないだろう。
こんな枷を付けてまで、自分をバトルロワイアルに参加させたがる理由が分からない。
加えてあの映画の内容も気になる。
映画の中で天野陽菜は神に捧げられそうになっていた。
神子柴の説明通りならあの映画の内容は全て真実という事になる。
だが界王神や破壊神がそんな贄を求めているなど、一切聞いた事がない。
もしかしたら自分が知らないだけで、そういう神様もいる可能性もあるが。
「分からないのに考え込んでも仕方ないか……」
答えが出ないのにだらだら考えていても時間の無駄でしかない。
なので神子柴の正体は一旦置いておく。
それよりも森嶋帆高をどうするかが先だ。
危なっかしくて、冷静さが足りない少年。
映画を見た限りでは、そんな印象を帆高に抱いた。
しかし、彼の天野陽菜への想いは否定しない。
少なくとも彼は大切な人が消えようとしているのに、ただジッとしているだけの男でないのは確かだ。
自分だって、もしもマイが消えてしまいそうになったら、周囲の静止の声を振り切ってでも駆け付けようとするだろう。
神子柴が言うには、少年少女が再会したら会場は水底に沈むらしい。
だが、だからと言って罪の無い彼らの犠牲を容認することなどトランクスにはできない。
そもそも人の命をゴミのように踏みにじる、人造人間やザマスのような外道に大人しく従う義理がどこにある?
あんな者の言いなりになってしまっては、父や師匠に顔向けできない。
故にトランクスは決意する。
帆高を守り、必ずや神子柴を倒すと。
問題は参加者の命を縛るこの首輪。
トランクスは母の影響もあり、機械いじりは得意な方だ。
だがいきなり外せと言われても、流石にそれは無理というもの。
解析に使う首輪のサンプル、それに解除する為の道具や設備。
それらが揃えば首輪の解除が可能になるかもしれない。
ただ首輪のサンプルに関しては、手に入れるには他の参加者の死体から取るしかないだろう。
相手がザマスのような外道ならまだしも、そうでない者に「首輪を外す為に死んでください」などと言えるはずもない。
最悪の場合、自分の首輪で試す事も視野に入れておく。
大まかな方針を纏めたトランクスは剣を背負い、手早く出発の準備をする。
愛用の剣は神子柴に没収されたのか見当たらず、デイバッグを漁った所出て来たのは別の剣。
見ただけで名剣と分かる眩さを持つ武器を、「少しの間お借りします」と顔も知らぬ持ち主に断りを入れ使わせてもらう事にした。
(少しだけ待っていてくれ、マイ。俺にはまだ、やらなきゃいけない事ができた)
未来から来た超戦士は、新たな戦いに臨む。
【トランクス(未来)@ドラゴンボール超】
[状態]:疲労(小)
[装備]:燦然と輝く王剣@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:神子柴を倒す
1:帆高を守る
2:首輪を解除する為のサンプル、道具や設備を探す
3:神子柴は何者なんだ?
[備考]
※参戦時期はマイと共に分岐した未来へ帰還した直後。
※戦闘力に大幅な制限が掛けられています。ロワを破綻させる程の力は発揮できません。
※超サイヤ人への変身が可能かどうかは次の書き手に任せます。
【燦然と輝く王剣(クレラント)@Fate/Grand Order】
円卓の騎士の一人、モードレッドが叛乱を起こした際に奪った王位継承権を示す宝剣。
「如何なる銀より眩い」と称えられている。
最終更新:2021年02月05日 22:02