「むぅ、困ったの~…」

眼鏡をかけた恰幅の良い体系の老人がため息を吐く。
老人、阿笠博士は民家の椅子に腰掛けながら頭を抱えていた。

殺人事件に巻き込まれるのは今に始まった事では無い。
だがこの状況はこれまでの事件とは根本的に何かが違う。
そんな異質な空気が漂っている気がしてならない。

所々の編集が気になったが、それ以外は面白かったあの映画。
あれはフィクションではなく全て真実で、天野陽菜は今も神への生贄にされかかっている?
更に神子柴は死んだ者すら生き返らせる事が可能?
とてもじゃないが、はいそうですかと簡単には信じられない。

阿笠がまず思い付いたのは、神子柴と最初に殺された女性は実はグルだったのではという疑惑だった。
何らかのトリックを使い首輪の爆発で死んだように見せかけ、生き返った振りをして参加者を騙す。
そうして神子柴の超常的な力は本物だと参加者に思い込ませる事で、バトルロワイアルを促進させる。
女性の頭部がビデオの巻き戻しのように治るのは見たが、急に意識が遠ざかった事も有り、ハッキリ生き返るのを見た訳では無い。
もっと言えば森嶋帆高と天野陽菜すら、神子柴の指示で動く仕掛け人という可能性だって無いとは言い切れないのだ。

(という事は首輪の爆弾も偽物?じゃがあの女性の怒り様は到底演技とは思えんかった……。うーむ、新一ならもっと良い推理が出来たんじゃろうがのう…)

親しい探偵の顔が浮かぶが、彼らはここにはいない。
彼らのような推理力が無いなら、これ以上考えても答えは出ないだろうと考えを打ち切る。
推理力が無い自分に出来る事と言えば、発明家としての技術力を活かし首輪を外す事だろう。
首輪を付けている以上、脱出も反抗も不可能である。
爆弾が本当に付いているのかはまだ分からない。
だがもしも付いているならば一刻も早く解除して、大勢の参加者たちの安全を確保しなければならない。

だが一方で不安もある。
正確な人数は分からないが、恐らくは大勢の者がバトルロワイアルに参加させられている。
大人数に一斉に反抗されれば、主催者とて無事でいる保証は無い。
それにもしも参加者が脱出してしまい警察にこの事が発覚したら、主催側に居た者は全員御用となるのは間違いない。
それを防ぐ為の、爆弾付き首輪なのだろう。
つまり主催者にとっては、絶対に外される訳にはいかない代物だ。
そんな物を、果たして自分は本当に解除出来るのだろか。
発明家である自分をわざわざ参加させているのは、絶対に解除は不可能だという神子柴の自信の顕れなのではないか。

「いかんいかん。最初からこんな考えでは外せる物も外せんわい」

頭を振りネガティブな考えを打ち消す。
まだ解除は不可能と決まった訳ではない。

まずは必要な工具を手に入れようと、今いる民家の探索を始めた。


【阿笠博士@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3(阿笠視点で首輪解除に役立ちそうなものは無い)
[思考・状況]
基本方針:生きて脱出する。その為に首輪を外す
1:必要な工具を探す
2:映画の内容に関しては半信半疑
[備考]
※参戦時期は不明。
最終更新:2021年02月05日 17:48