その夜、僕は夢を見た。
島にいた頃の夢だ。
あの日、父親から殴られた痛みを打ち消すように、自転車のペダルをめちゃくちゃに漕いでいた。
あの日もたしか、島は雨だった。空を分厚い雨雲が流れ、でもその隙間から、幾つも光の筋が伸びていた。この場所から出たくて、あの光に入りたくて、海岸沿いの道を自転車で必死に走った。追いついた! と思った瞬間、でもそこは海岸の崖端で、陽射しは海のずっと向こうまで流れていってしまった。
―――あの光の中に行こう。僕はあの時そう決めて―――、
そしてその果てに、君がいたんだ。

新海誠 『天気の子』 株式会社KADOKAWA 2019 第九章 快晴より

「陽菜さん。陽菜さん。陽菜さんーーーーー」
少年は走る。走る。走るーーーーー

少年の名は森嶋帆高。
神子柴により多くの参加者の標的とされたであろう家出少年。

(あの映像…あれは一体なんなんだ!?)
A-8住宅街を走る帆高は先ほどの映画館での出来事を振り返るーーーーー

(あの映画…【天気の子】…俺と陽菜さんがどうして!?)
警察署から逃走した僕は、自転車で逃げようとした。
しかし、キーロックで繋がれていたのでそれは叶わなかった。
このままでは、陽菜さんに会えないーーーーー
気づいたら、映画館の席に座って映画を見せられた……僕と陽菜さんの日々がーーーーー

「はぁ…はぁ…はぁ…嘘だろ」

走ったのはいいが、雨音止まぬ街をずっと走るのは困難で一度、仕切り直そうと雨宿りをした帆高。

(あの家出したクルーザーから陽菜さんが消えたラブホテルでの一夜まで全て盗撮されていたのか?)
呼吸をしながら、先ほどの映画を想起する。

(それに、陽菜さんの元へ向かうのを阻止するバトルロワイアル!?冗談じゃない!!)
神子柴と名乗る老婆によると、自分の生死を問わず多数の参加者がいることに体を震わす。

(でも、それでも、行かなきゃ!!そうしなければ、後悔する一生!!)
「…よし!」
息を整えて休憩を終えると帆高はまた一走りしようとするがーーーーー

「待った!ーーーーー君、帆高君だよね?」

「え!?」

顔を振り向くとーーーーー

「安心して!ボク達は味方だよ」

女性とネズミがいた。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「渚……先生に王様……」

女性の名は川越渚。
地方にある県立坂上町高等学校の教師。
顧問は剣道部で二度にわたる全日本女子剣道選手権大会の優勝者で4段の腕前を持つ。
部員が小段試験を受けるので、自身も五段に挑戦し、見事合格した。
とある事情で試験に臨んだため合格後、疲れ果ててベンチで眠って最中、渚は映画館に呼び寄せられた。

「神子柴はおそらく何らかの方法で多世界の住人を集めたんだ」
そして、帆高に王様と呼ばれた人ならぬネズミ……
名はミッキーマウス。
ディズニーキャッスルを治める王 にしてキーブレードマスター。
キーブレード墓場にて光と闇の最終決戦が行われようとする直前、ミッキーは映画館に呼び寄せられた。

「私とミッキーは君たちが主演に撮られた映画を同じ映画館で鑑賞したわ。そして、その後の出来事も……」
渚の表情が暗くなるーーーーー

その後の出来事とは槍を手にした女性が神子柴と名乗る老婆に立ち向かうが、奮闘空しく爆弾首輪により殺害されたことーーーーー
そして、バトルロワイアルの宣言に死者復活の奇跡。

「このまま、君が陽菜ちゃんの元へいけば、私たちは海の藻屑となるわ・・・でも」
「たとえ、神様でも、人の恋路を邪魔するのは黙ってみていられないわ」
映画を通して、渚は帆高と陽菜の味方をケツイしたのだ。

「渚先生……」
(この人達は味方をしてくれるのかーーーーー?)
渚の言葉に帆高の表情は明るくなる。…が。

「だけど、帆高くん。陽菜ちゃんを守るとはいえ、拳銃を発砲したのはいけないことよ」

「……」
(それは、わかっているよ!でも、そうしなければ、陽菜さんはーーーーー)
教師として渚は帆高の行動を咎める。

(やっぱり、大人はわかってくれない…!)
先ほどの明るさから帆高の表情は沈む。…が。

「でも、女の子を守ろうとしたのは男の子として偉いと先生は思うな」
「……」
(え…?)
帆高は家出とはいえ、身分証を出せない高校生に冷たい東京の人に話を聞いてくれない警察。家出の原因となった父…大人に信頼を持てなくなっていたが、渚の言葉に帆高は渚に信頼を抱く。

「それと、帆高君!島で何かあったから家出したんだと思うけど…君のご両親が行方不明者届を出していた。それはつまり君のことを心配しているという何よりの証拠」

「……」

「だから……」
「軽率な行動は禁止!……先生と約束しなさい」

「……わかりました。渚先生)
(渚先生の言っていることはわかる。でも…ッ!!早くいかないと陽菜さんがッ!!)

早く、行かなければ、もう二度と出会えなくなるのでは…?その一抹の不安が帆高の

「よし♪えらい、えらい♪」
(う~ん。口ではそう言ってはいるけど、一刻も早く陽菜ちゃんの元へ駆けだしたい様子ね…目を離せないな……)
教師としての勘が働いたのか渚は帆高の心中を察した。

「ハハ。ボクもナギサ先生も君とヒナの恋は応援する側だからね♪」
王様…ミッキーもホダカとヒナの恋には応援の立場。
それにキーブレードマスターとして神子柴の行為は見過ごすわけにはいかない。

「それじゃあ、行こう!」

ミッキーの言葉に帆高と渚は頷き、行動を共にする。

【A-8/住宅街】

【森嶋帆高@天気の子(小説)】
[状態]:健康 陽菜の元へ行きたい焦り(小) 他者への不信感(小)
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:鳥居がある廃ビル屋上へ行き、陽菜を連れ戻す
1:陽菜さんを取り戻す!
2:渚先生・王様と行動を共にする
3:早く…E-1へ…行かなきゃ!
※参戦時期は9章快晴p224自転車の車輪とガードレールがキーワイヤーで繋がれていることに気づいた直後。
※王様との会話で様々な世界の住人がこのバトルロワイアルに参加していると把握しました。
※焦りや不信感が爆発したら暴走する行動をとるかもしれません。

【川越渚@妹先生渚】
[状態]:健康
[装備]:木刀(材質は本赤樫 )
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本方針:ミッキーと共に帆高を守りつつ、事態の打開
1:教師としてミッキーと共に帆高を守りつつ保護
2:帆高の行動には注視しておく(暴走しないよう)
3:E-1 を目指しつつ、首輪の対処を考える
[備考]
参戦時期は昇段試験に合格後。

【支給品紹介】

【木刀(本赤樫)@現実】
日本刀を模した木製品。ミッキーに支給されていたが交換をした。
本赤樫は木刀に使われる樫の中では一番強く、打ち合いにも素振りにも向いている 。

【ミッキー(王様)@キングダムハーツⅢ】
[状態]:健康
[装備]:キーブレード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本方針:ナギサ先生と共にホダカを守りつつ事態の打開
1:ホダカ・ナギサ先生を守る
2:首輪の対処を考える
[備考]
参戦時期はキーブレード墓場で光と闇の決戦を行う前です。

【支給品紹介】

【キーブレード@キングダムハーツ】
鍵のような形状をした剣 。渚に支給されていたが交換をした。
武器として使えるが一番の特徴はありとあらゆる鍵を開け閉めできる力を持つ。
また、持ち主の手から離れても、即座に手元にワープする形で呼び戻す事が可能で、瞬時に逆手持ちに切り替えるという変則的な事も出来る







ヒタ…ヒタ…ヒタ…

彼らの後をつける足音……

ヒタ…ヒタ…ヒタ…

雨音がその足音をさらに気づきさせないーーーーー

(…まさか、森嶋帆高に早く出会えるとは…)

足音の正体はぬらりひょん。

人間の世に憂い、妖怪の復権を目指して行動を起こした妖怪。
彼が仕掛けた第二次妖怪大戦争は人間を信じる幽霊族の生き残りにより阻止された。
ぬらりひょんは同胞の死の責任を取り、自殺ーーーーー自爆をしたのだ。

(どうやら、神子柴…あの老婆の手で蘇ったようですね……)
死んだはずの自分が生きていることにぬらりひょんは神子柴の力の所為と予測する。

(…それにしても、殺し合いとは人間もつくづく愚かな生き物ですね…鬼太郎君。それでも、あなたは、まだ人間の肩を持つのですか?)
ぬらりひょんは、宿敵の顔を想起しながら後をつける。

ヒタ…ヒタ…ヒタ…

(まぁ、いいでしょう…幸い、森嶋帆高に出会えたのは僥倖。焦らず隙を見つけるとしますか…特にミッキーと名乗るネズミ?は唯者ではなさそうですからねぇ…)

同行者のミッキーの力にぬらりひょんは警戒する。

(私はぬらりひょん!ぬらりくらりと行きましょうか……)

【ぬらりひょん@ゲゲゲの鬼太郎(6期)】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:帆高達の後をつける。隙を見て、帆高を拉致する
1:帆高達の後をつける。ぬらりくらりとーーーーー
2:ミッキーに警戒。
[備考]
参戦時期は最終話、自爆した後。
最終更新:2021年02月07日 21:11