「ぷい?ぷい?」

雨の降りしきる平地。
そこでは、緑色の体に、赤い斑を持った生物が雨に濡れながらキョロキョロと辺りを見回していた。
名前はシロモ。元々は名前の通り白い体毛を持っていたが、ある出来事によって現在の様な姿に変わってしまったのだ。

その姿は、シルエットだけを見ればごくありふれた乗用車にも見えなくはないだろう。

そう。彼はとある世界で人間と共に生活していた、『モルカー』と呼ばれる種族である。

モルモットが車になった生物、それがモルカーと言えよう。

しかし、そんな彼もこのゲームの参加者としてこの場所に召喚されてしまったのである。

─そこで、何故彼がこの会場に居るのか、ここに転送される直前まで遡ってみよう。

◆◆◆

シロモ達が元々住んでいた所は、既に荒廃していた。

辺りは砂漠化し、道路の脇には傾いた信号機等が点在していた。
腕の無いモルカーでも開けられる車庫もあったが、内部にはモルカーでも装備出来る武装が置いてある程。

更には、ゾンビ化した人間達が蔓延し、彼らモルカー達も襲撃を受ける対象となってしまっていた。

シロモ達もそうだった。
一緒にいた同種族のテディと共にゾンビの群れから必死に逃げていた。

逃げている最中に発見した車庫に一先ずは避難し、テディと共に装備を調達する。
元より豪快で暴走しがちだが、面倒見の良かったテディが武装して前線に出て、ゾンビ達を追いかえしてくれた。

─しかし、道路を歩い

ていた他のモルカーに気づけずに、彼の周りでもゾンビ達を追いかけ続けてしまっていた。
そうした結果、そのモルカーが目を回してバランスを崩し、背中に載せていたハンバーガーを落としてしまう。

落ちたハンバーガーを食べようとしたところで、目を回していたモルカー・バーガーモルカーが立ち直り、介入する。

バーガーモルカーの機転によって、自分とテディは野菜、人間のゾンビ達はパテ(肉)、そして残ったバンズは飛んで来た鳥達でそれぞれの物を食べる事になったのだが…。

しかし肉に齧り付いていた1人のゾンビが、誤ってシロモの耳にも齧り付いてしまう。
すると、シロモもゾンビ化し、それを目にした2匹のモルカーはこれまで食べていた野菜を咥えたまま逃げ出してしまった。
取り残された彼は、これまた人間のゾンビ達が食べていたパテを取り上げ、逃げた2匹を追いかけ出す。

後ろからは人間のゾンビ達が迫って来たが、それでも走り続ける。

─だが、その最中で突然視界が暗転した。

ふと辺りを見回すと、薄暗い空間にいた。
そしていきなり大きな音が鳴り、驚くが直後に身体が動かなくなる。
すると、目の前に奇妙な頭の人間4人が現れる。
──暫くすると、雨の空に先程の人々とは異なる2人の人間が現れる。

そして照らされる陽光に、沢山の人間。

それは、元世界が荒廃する以前の懐かしい光景でもあった。
人間で無い彼でも見とれる映像美であったが、人間の少女が消え去った所で映

像が切れる。

そしてまた知らない人間が何かを話し始めた。

更にまたまた知らない人間が武器を振り回し、これまで見たことのなかった生物達を薙ぎ倒していく。

そして、武器を振り回していた人間の首が突然飛んだと思ったら、元に戻っていくのを目にしたところで再び視界が暗転した。

◆◆◆

そして、現在に至る。
突然、見知らぬ場所に転送され、右も左も分からずにいる彼は、とりあえずは適当な方向へ進むことにした。

【シロモ@PUIPUIモルカー】
[状態]:ゾンビ化、びしょ濡れ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:とりあえず辺りを探索する。
1:怖い人間が居たら逃げる。
※参戦時期は第6話において、人間のゾンビに噛まれて自身もゾンビ化した後、自分を見て逃げ出したテディとバーガーモルカーを追いかけている最中。
※彼に噛まれることでゾンビ化した参加者は、時間経過で死滅します。
※ゲームのルールを理解していません。
最終更新:2021年02月11日 16:51