『携帯型心理診断、鎮圧執行システム。ドミネーター起動しました。
 ユーザー認証、宮下愛。参加者名簿への記載を確認。
 使用許諾確認。適性ユーザーです。

 現在の執行モードは、ノンリーサル・パラライザー。
 落ち着いて照準を定め、対象を無力化してください。』

「……なに、この銃。頭の中に声が直接聞こえてくる。」

「愛さん。だいじょう、ぶ……?」

宮下愛は脳内に直接声が響いてくるという経験したことのない現象に困惑していた。
状況からみて、この手元の銃から聞こえてるとしか思えない。
愛が銃のグリップを握った瞬間に銃が緑色に発光し始めたことからも間違いないだろう。
普段なら着ないような今の自分のスーツ姿と合わせると完全に殺し屋か何かである。



なぜこんな状況になっているのかは数刻ほど時をさかのぼることになる。
愛は先ほどまでスクールアイドル同好会の練習の一環として虹ヶ咲学園の周辺をランニングしていた。
汗だくになるまで走り切って、清々しい気持ちで帰ってきて着替えようとしたところでこの騒動に巻き込まれたのである。

そのため街に放り出された直後はもう酷いものだった。
汗でただでさえ冷たいのに、そこに雨まで加わってはたまったものじゃない。
藁にも縋る気持ちで支給品を確認したところ、謎の黒スーツが入っていたのでこれ幸いと近くの建物に飛び込んで着替えて今の服装に至る。
でもバスタオルはともかく女性ものの下着までスーツと一緒に入ってるのは愛さんどうかと思う。

そのタイミングで偶然開始地点が近かったから合流したのがこの望月杏奈ちゃんだ。
聞いた話によると彼女も765プロダクションというところのアイドルらしい。
こんな殺し合いに巻き込まれて、不安そうにしていたので愛さんが元気づけてあげた。
雰囲気がどこか友達の天王寺璃奈―――りなりーに似ててほっとけなかったのもある。

そして落ち着いてきたところでお互いの支給品を確認してみようということになり、愛さんの支給品から出てきたのがこの喋って光り輝く謎の銃である。
こんな回想をしてる間にもずっと語り掛けてきている。
確認してみたところ、杏奈ちゃんには聞こえていないようだったので本当に頭の中に響いてるようだ。
話している内容に興味はなかったが、かといって聞き流すわけにもいかずに耳を傾けている。



「この銃、めっちゃ危険じゃん!!!」

この銃の自分語りによると、本来は警察みたいな組織が犯罪者を捉えたり排除するのに使う銃らしい。
元々そんなことを説明する機能はないけど、この殺し合いにおいては親切心なのかユーザーが初起動したときに教えてくれるとか。
『犯罪係数』っていうよくわからない数値を計測して、相手の数値によってモードが切り替わるみたい。

今回に限っては殺し合い促進のために、ユーザーの意志で殺人モードにもできるんだって。
そんな機能いらない!!!って本気で思ったよ。

「……でも、これがゲームに乗ってる人の手に渡るほうが危険かぁ。
 もっちー、そっちの支給品はどう?」

「もっちー……?」

「あれ、嫌だった?もっちー呼び。」

「……ううん。嫌じゃない……。
 事務所にも、同じ呼び方をする子がいるから……びっくりしただけ、です。
 杏奈の、支給品は……なんだか、よくわからないのが出てきた。」

そういってもっちーが取り出した支給品は……確かによくわからない代物だった。
ひとつは、謎の細長い……試験管のような形のボトルとでもいうべきだろうか?そんな不思議なものだった。
半分に金色、もう半分に銀色の線が走っていて、液晶のような枠が左右に二つある。
もっちーが試しに振ってみると、それに合わせて変な音が聞こえてきた。液晶部分も赤く光っている。

「あはは!なにそれおもしろーい!!変な音するー!!!」

「でも、これがどう役に立つかはわからない……です。
 もうひとつは……。」

そういって出してきたもうひとつの支給品は……なるほど確かにこれも見たことないものだ。
パッと見は腕に装着するための腕輪がついたダブレット……のようにも見える。
だが、それにしては液晶部分以外にもついているものが多い。
何より不思議なのは、横側に何十枚にもなりそうなカードの束がセットされていることだ。

「これって、もしかして……カードゲーム?」

「の、デッキ……だと、思います。」

「じゃあこれ、デュエルディスクってやつ?
 ああいうのっておもちゃなんだと思ってたよ。」

遊戯王オフィシャルカードゲーム。
有名なので、おそらく誰でも名前は聞いたことがあるだろうカードゲーム。
愛も名前くらいは知っている。遊んだことはないが。
こういったものを付けて勝負するアニメのポスターも見たことがある。

「……実際に売ってるのは、ただのおもちゃ……です。
 でも、これは……重たくて、本物の機械……みたいな感じが、します。」

「……でも、仮に本物だとしてどうやって使えばいいんだろ?
 カードゲームが遊べるだけなんじゃないの?」

二人して頭を捻ってみるが、全く思いつかない。
もっちーはカードゲームでも遊んだことがあるようだけど殺し合いでの使い方はわからなそうだった。
……実際はリアルソリッドビジョンにより、モンスターを実体化させて襲わせることもできる大変危険な兵器である。



―――そんなことをしてると、建物のドアが開く音が聞こえてきた。
誰かが中に入ってきた音だ。
音を聞くまで周りを警戒していなかった自分を恥じた。

「誰ッ!!!」

反射的に入口へ向けて光る銃を突き付けた。
明かりがついていないため、暗くて相手の顔がまだよく見えない。
身長や体つきから片方は成人男性、もう片方は愛とそこまで変わらない少女のように見える。
銃口が見えたのか二人とも手を上にあげていて、男性は何も持っていないが女性は赤い弓矢のようなものを持っていた。
愛の銃のように支給品だろうか。あまり扱いに慣れてはいなさそうだった。

「ちょちょ、ちょっと待って!俺たち殺し合いには乗ってないから!」

「だから三峰言ったじゃん戦兎さん!
 ちゃんと声かけて確認してから中入ろうって!」

「ばっかそれで中にいるのが殺し合い賛成派だったらどうすんの!
 みすみす殺されに行くようなもんでしょうが。」

二人とも銃を突き付けられるなりコントのようなやりとりを繰り広げ始めた。
もっちーも守らなければと警戒していた愛は、そんなやり取りを見て気が抜けてしまった。

『犯罪係数、アンダー100。執行対象ではありません。
 バトルロワイアルの間はトリガーのロックがかからないため、慎重に標準を定めてください。』

頭の中に響いてくる無機質な声もこう言っているので多分あの二人は大丈夫なんだろう。
でもトリガーはロックしてほしいと心から思った。



◇◆◇



三峰結華は、もしかしたら雨とは縁があるのかもしれない。
普段からうっすらと自分でも思っていたことだ。
プロデューサーに283プロへスカウトされた時も雨だった。
……でも、だからってこんな悲しい雨まで降らせなくてもいいのに。




ひとまず4人とも殺し合いに乗ってないことはわかったので、改めて自己紹介と情報交換を済ませる。
戦兎さんと三峰は、会場に投げ出された直後の座標がすぐそこだったのでひとまず共に行動しつつ、雨宿りのために建物に入ったこと。
そして向こうの二人もついさっき偶然一緒になったこと。

望月杏奈ちゃんのことは三峰も知っていた。
アイドル好きな人間が、765プロダクションとその所属アイドルを知らないなどどいうことは、三峰の常識ではありえないことだ。
だがそんな三峰も、スクールアイドルという言葉は聞いたことがなかった。
自分が知らないだけならまだしも、まみみんやきりりんのような高校生組が話しているのすら聞いた覚えがない。

自分をスクールアイドルだと名乗る宮下愛という少女を観察する。
受ける印象としては、活発で明るい太陽のような少女だと思った。
283プロの中なら、放課後クライマックスガールズの小宮果穂が近いだろうか。
アイドルとしてデビューすれば、瞬く間に人気になりそうだと感じた。

「……仮説だけど、もしかしたらよく似た並行世界の人間なんじゃないか?
 スクールアイドルが存在する世界と、そうじゃない世界の。」

戦兎さんがいきなりそんな突拍子もないことを言い始めた。
突然の非現実的な言葉と意見に、アイドル組3人が顔を見合わせる。

「突拍子もないって言うなら、あの神子柴って奴が俺たちをこんなところに集めていることの方がよっぽどだ。
 それに俺の世界では昔、並行世界が絡んだ出来事も実際に起きてる。」

そして戦兎さんは語り始めた。
地球外生命体エボルトとの戦いや、エニグマという並行世界に干渉する機械を用いて2つの並行世界を衝突させ消滅させようとした最上魁星との戦い。
正直なところ俄かには信じ難い話のオンパレードだったが、戦兎さんの表情は真剣そのものだった。

「……かなり端折ったけど、これが俺が仮面ライダービルドとして戦った並行世界関連のお話だ。」

「愛さんにはビックリな話ばっかりだったけど……戦兎さんが嘘ついてない、ってことはわかるよ。」

「……でも戦兎さん、さっき言ってたけど今はその仮面ライダービルドになれないんだよね?」

「痛いところ突くじゃないの。支給品の中にビルドドライバーとハザードトリガーだけでフルボトルが一本もないって、嫌がらせか。」

「振る、ボトル……?
 ……もしかして、それって……コレ?」

そう言って杏奈が、自分のバックから何やら細長い筒のようなものを取り出した。

「いやもっちー、三峰さっきドライバーってやつ見せてもらったけど多分それは入らないんじゃ――」

「――それだっ!フルフルラビットタンクフルボトル!」

――えーこれなの?と思わず内心で突っ込んでしまう。
もっちーからそれを受け取った戦兎さんは左手で頭をかきながら「さいっこうだ!」と笑っていた。
すごい嬉しそう。でも髪の毛跳ねてるよ戦兎さん。




落ち着いた戦兎さん曰く、これからやるべきことはまず2つある。
ひとつは首輪を外すこと。
ふたつはこの会場からの脱出方法を見つけること。

「とにもかくにも、この首輪を外さないことには敵の掌の上だ。
 そして外した後も、この会場が水没する前に脱出しないと溺れてしまう。
 ご丁寧にこんなマップなんてのがあるんだ、多分何かしらの方法でマップ外にはいけないようになってるはずだ。」

「愛さんにも手伝わせて。こんな状況だし、他人事じゃないから。
 もっちーとゆいゆいはどう?」

「杏奈に、なにができるかは……わからないけど……。
 ……お手伝い、させてください。」

「待って、あいちー。もしかしてゆいゆいって三峰のこと?
 …………まあ、やるしかないでしょ。こんなところで三峰も死にたくないから。」

「―――なら、ひとつだけ約束してくれ。
 危険なときは、俺の後ろにすぐ逃げること。
 みんなの命は俺が守る。仮面ライダーは、正義のヒーローだからな。」

3人が頷いて、今後の方針についてまとまった。
みんなを守るといった時の戦兎さんの顔は、たしかに本物のヒーローのものに見えた。
もしかしたら果穂ちゃんなら目を輝かせていたのかもしれない、と思うと同時に283プロのみんなはこんなことに巻き込まれていてほしくないと強く思った。



【宮下愛@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:健康
[装備]:ドミネーター@PSYCHO-PASSシリーズ、黒スーツ@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗らない。みんなでここを脱出する。
1:まずは戦兎さんたちと一緒に4人で行動する。
2:もっちー、どこかりなりーに似ててほっとけないなぁ。

※アニメ次元からの参戦です。参戦時期は1期最終話の後です。
※遊戯王のアニメが存在することは知っていますが、その内容やキャラクターについては
 主催によって記憶にロックがかかっています。
※ドミネーターによって断片的にPSYCHO-PASSシリーズの世界観を把握しました。
※仮面ライダービルドの世界観を一部把握しました。
 少なくともエボルトの存在と平成ジェネレーションズFINALの話は知っています。


【望月杏奈@アイドルマスターミリオンライブ!】
[状態]:健康
[装備]:ユートのデュエルディスク@遊戯王ARC-V
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗らない。みんなでここを脱出する。
1:杏奈にできることがあるかは、わからないけど……がんばり、ます。
2:もっちーって呼び方……流行ってる、の……?

※スクールアイドルの知識を獲得しました。
※遊戯王のアニメが存在することは知っていますが、その内容やキャラクターについては
 主催によって記憶にロックがかかっています。
※仮面ライダービルドの世界観を一部把握しました。
 少なくともエボルトの存在と平成ジェネレーションズFINALの話は知っています。


【桐生戦兎@仮面ライダービルド】
[状態]:健康
[装備]:ビルドドライバー+フルフルラビットタンクフルボトル+ハザードトリガー@仮面ライダービルド
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針:仮面ライダービルドとしてみんなを守る。脱出方法も探す。
1:3人は俺が守る。なんたって、自意識過剰な正義のヒーローだからな。
2:まず調べるべきなのは、首輪の解除方法だな。
3:あと、マップの隅がどうなっているのかは把握しておきたい。

※参戦時期はTV本編終了後の新世界からです。
※スクールアイドルの知識を獲得しました。


【三峰結華@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:ソニックアロー+メロンエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗らない。みんなでここを脱出する。
1:戦兎さん、変な人だと思ってたけど悪い人じゃないのかも。
2:もっちー、なんだかてんちゃんみたい。本当にステージの時とは全然違うんだなぁ。
3:まさか自分が愛称で呼ばれることになるとは……。
4:283プロのみんなは、こんなことに巻き込まれてないよね……?

※参戦時期は後続の書き手にお任せします。
※スクールアイドルの知識を獲得しました。
※仮面ライダービルドの世界観を一部把握しました。
 少なくともエボルトの存在と平成ジェネレーションズFINALの話は知っています。


【ドミネーター@PSYCHO-PASSシリーズ】
同作品シリーズにて公安局刑事課の刑事達が使用するアイテム。
銃口を向けた相手の『犯罪係数』という数値を計測し、規定数値以上の場合はトリガーがアンロックされる。
本来はシュビラシステムと呼ばれる装置と常にリンクしているが、今は主催によりリンクが切られており犯罪係数を測定しているのも主催です。
ユーザー認証は参加者名簿に基づいており、名前が記載されていればだれでも扱うことができます。
初起動のユーザーの場合、ドミネーターについて詳しく教えてくれるようになっています。

このバトロワにおいては99以下でパラライザー、100以上でエリミネーターに変形するように引き下げられています。
また殺し合い促進のために、4時間に一度だけ犯罪係数に関係なくエリミネーターに変形させることができます。
相手が人型より巨大だったり異形の敵だった場合などは、デコンポーザーの使用も解禁されるかもしれません。
エリミネーター4発またはデコンポーザー3発分の電力があります。もしかしたら充電するための設備がマップ内に存在するかもしれません。

【黒スーツ@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
アニメ版虹ヶ咲OP、虹色PassionsのOP映像にてメンバーが着ている黒スーツ。
OPのみで作中には登場していないため、本人はこのスーツのことを知らないし着たこともない。

【ユートのデュエルディスク@遊戯王ARC-V】
エクシーズ次元の決闘者、ユートのデュエルディスク。
モンスターなどをリアルソリッドビジョンで実体化させることができます。(杏奈はまだ気づいていません。)
実体化可能な時間には制限やクールタイムが存在します。具体的な時間は後続の書き手にお任せします。
デッキは当然【幻影騎士団】で、ユートのエースモンスターである《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》も採用されています。

【ビルドドライバー@仮面ライダービルド】
仮面ライダービルドに変身するためのベルト。
ふたつのフルボトルをセットして、横のレバーを回転させることで変身が可能になる。

【フルフルラビットタンクフルボトル@仮面ライダービルド】
仮面ライダービルドがラビットラビットフォーム及びタンクタンクフォームに変身するためのアイテム。
また後述のハザードトリガーの制御装置でもある。

【ハザードトリガー@仮面ライダービルド】
ビルドの強化アイテム。
使用するとハザードレベルを上昇させて圧倒的な戦闘力を得られるが、長時間使用すると理性を失い暴走してしまう諸刃の剣。
上記のフルフルラビットタンクフルボトルはこの暴走を抑えるために開発されたもの。

【ソニックアロー@仮面ライダー鎧武】
エナジーロックシードを用いて変身したアーマードライダーの基本装備である弓。
弓だが、両端に刃がついており近接戦闘も可能。エナジーロックシードを付けていれば弓の弾数は無制限。

【メロンエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武】
新型ロックシードであるエナジーロックシードのひとつ。モチーフはメロン。
旧型ロックシード以上のエネルギーを持つが、ゲネシスドライバーという専用のドライバーがなければ基本的には変身できない。
最終更新:2021年02月14日 21:44