「こんなの絶対おかしいよ」

わたしは思わずつぶやいた。
突如、巻き込まれた殺し合いなんていう異常事態。
それは漫画やドラマのような捜索話じゃなくて、実際に目の前で人が殺されてしまった。

怖いのはもちろん、悔しいし悲しかった。
わたしには力がある。魔法少女という、困った人を助けることが出来る素敵な力が。
この力があればわたしだって今までとは違う自分になれる。
そう思っていたのに、眼前の悲劇を止めることが出来なかった。
それが悔しいし悲しかった。
どうしてこんなことをするの。どうして殺し合いなんてしなければいけないの。

絶対に誰も死なせたくない。
そしてそれは、蘇生させられたとはいえ最初に主催に食って掛かった人も同じ話で。
結局、わたしはだれの犠牲も看過できなかった。

だから、わたしはわたしのできることをやらなくちゃ。

マミさんがいれば、きっとそうすると思うから。

(まずは帆高くんを探さないと)

この殺し合いにおける鍵は間違いなく彼だ。
確かに彼は向こう見ずなところがあるし、陽菜さんが消えることになった責任が無いとは言えない。
でも、だからといってこんな扱いを受ける謂れは無いと思う。
罰というなら、陽菜さんが消えた時の苦悶で充分じゃないか。

「助けないと」

改めて声に出す。
あの苦しそうな表情を思い浮かべるだけでわたしも胸が苦しくなってしまう。

「わたしは諦めない...絶対に」

現実がそんなに甘くないのはわかってる。わたしが夢見がちなことを言ってるのも。
でも、それを恥じるつもりは一切ない。
だって、魔法少女は夢と希望を叶えるんだから。

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1~3
基本方針:犠牲者を出さずにゲームを止める。
0:帆高を保護しつつどうにかして殺し合いを止める。
1:知り合いがいるなら合流したい。

※参戦時期は1週目の時間軸です。



鹿目まどかが決意を抱いていた頃。
彼女の姿を望遠鏡で覗き込む者が一人。

「ムムム...どうやらあっちの世界の私は主人公っぽいこと言ってるみたいだね」

まどかとよく似た風貌の少女が一人ごちる。
違うのはまどかと違い、手足が簡略化され三等身ほどの背丈になっており、声も控え目で穏やかなものではなく特徴的なダミ声になっていることだ。

彼女の名前は"まどか先輩"。鹿目まどかの暮らす世界とは別の、もっと混沌とした世界のまどかである。
まかり間違っても同一個体ではない。

「まったくマギレポの世界の私まで呼び出すなんて神子柴さんてば、とっとと自殺した時よりも力着けたんだねえ」

まどか先輩の住む世界―――いわゆる、マギア☆レポートの世界はゲームアプリ・マギアレコードを紹介する為の世界である。
その為、マギアレコードに関する情報は全て横流しされており、当然、神子柴の情報も開示された部分については知り尽くしているのだ。

「私も帆高くんを助けたいのはヤマヤマなんですけどねェ」

魔法少女姿からアイドルプロデューサーの恰好に変化し量のこめかみに指を当てながらウムム、と唸る。

「まだまだ私もやらなくちゃいけないことはあるんだよね。カミハ☆マギカの新曲プロデュースにマギレポの続きにいろはちゃん弄りにラーメン街道制覇、あとそれからそれから...」

指折りながら、やらなければいけないことを挙げ連ねるまどか先輩。その大半がかなり私欲的なことであることに突っ込んでくれる後輩は今はいない。

「まあそういう訳であっちの世界の私とは別の方針を取ろうと思うよ!」

片足を踵が臀部に着くまで挙げ、Vサインを空に掲げながら告げる先輩。
いつどこで誰が見ているかわからないのでこうしてアピールするのに余念が無いのだ。

「最終的には私が元の世界に帰れればなんでもいいんだけど、もしも別世界のわたしが邪魔をしてきたら...」

スン、とまどか先輩の顔が曇り目が据わる。
先ほどまでのハイテンションは何処ぞへと消え去り、蟹の手―――真っ赤に濡れたまどキャンサーを取り出し呟いた。

「戦争じゃあ...」


【まどか先輩@マギア☆レポート】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1~3
基本方針:とにかく生還する。
0:とりあえずはゲームに従い帆高くんを確保する方針を取るよ。
1:邪魔するならたとえ別世界のわたしでも...戦争じゃあ...

※参戦時期はマギアレコード本編の第2部が始まって以降です。
最終更新:2021年02月14日 22:35