「――あはは」
少女は、余りにも理不尽に死を迎えようとしていた
『――無意味と知りなさい。愚かな児等よ』
少女の脳内に直接響くは、女の声。耳に聞こえる声は何の言語なのかわからぬ異質な男。だがその脳には直接声となって響く
「……無意味、ねぇ。そりゃ、こんな所で命乞いしても、逃してくれるわけ無いでしょうね、化け物」
身体中を『木の根』のような物に貫かれ、今にも命尽きようとしている金髪の少女。少女の今だ命灯る真紅の瞳に映るのは白い甲殻のような物に包まれた、屈強かつ長身な異形。少女の脳内に直接声を響かせている元凶はこの異形であった
『――元よりそのつもりです。最早人の優しさなど手遅れ。既にあなた達人間の時間は尽きた。星は人間のいない時間を望んでいるのです』
「知らない、わよ……そんな、ことッ……!」
異形の淡々とした声に、なんとか気力を振り絞っての言い返し。だが、そんな戯言は異形に―――特級呪霊の一角には無味無臭に過ぎなかった
「……でもね、あの娘が逃げれただけでも、アンタに勝ったも、同然なんだから……!」
『―――』
思い返すは、金髪の少女が最初に出会い、襲ってきた異形からなんとか逃した出来事、その結果として彼女の命は風前の灯火となってしまった
かつてのゲームで「誰も信じられない」と誰も信用しなかった時とは違う。彼女は変わった。ある男と否応なしに行動し、その内に信頼し、そして大切な人となった
ある意味、こんな自分らしくもない無謀な行動も、彼に影響されたのかな、等と心の内で自嘲気味に思っていた
『―――まあ良いでしょう。どちらにしろ、ここで朽ち果てる運命。あなたが逃した彼女も、いずれ殺すことになるでしょう。お別れです、死して星の賢者となりなさい、矢幡麗佳』
そう少女の脳に伝え、異形は去る。残されたのは死の寸前の少女。少女の中に走馬灯が巡る。ゲームに巻き込まれ、誰も信用できないと一人で藻掻こうとして、ある男と手錠で繋がれ一緒に行動し、そして惹かれ――
「……そう、いち」
男の名を呟いた少女は、ただひっそりと力尽きたのだ
【矢幡麗佳@シークレットゲーム -KILLER QUEEN-】
○ ○ ○
『―――』
異形は雨に打たれたまま、沈黙する。所詮は取りぬ足らぬ、呪術師ですら無い小娘。一人程逃してはしまったが、どうせ殺す事には変わりはない
一番不可解なのは自分がなぜここにいるかという事。宿儺の器(となんだかよくわからない呪術師と)との戦闘中、気がつけば映画を見せられあのような老婆に殺し合いを命じられた
だが、特級呪霊・花御としてはやることは変わらない。星を護らんが為、人を殲滅する。それは森嶋帆高も、天野陽奈も、神子柴なる老婆も変わりはない
勿論ただ殺すだけではなく、もし真人や漏瑚が居た場合の狼煙にも成りうる。合流次第で方針を改めて考えなければならないのかもしれないが
呪霊はただ雨の中を進む。全ては星に平穏を齎さんがために
【花御@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3つ
[思考・状況]
基本方針:星のために人間を滅ぼす
1:もしいるなら真人や漏瑚との合流
※参戦時期は、最低でも虎杖&東堂との戦闘中
○ ○ ○
逃げる、逃げる、逃げる
何もわからず。ただ逃げるだけ
何もわからないまま、助けられて
何もわからないまま、逃げ続けて
だけど『記憶を奪われた少女』は
ただ只管に、逃げるだけしか無かった
【アティ・クストス@赫炎のインガノック- what a beautiful people -】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3つ
[思考・状況]
基本方針:何もわからない
1:今はただ、逃げる
※参戦時期はAfter the Inganock 04、ギーのアパルトメントに到着するより前から
最終更新:2021年02月14日 22:54