「不幸だわ……」
朝、いつものように目が覚めたら、映画を見せられ、目の前で人が死に、
訳のわからないことを言われ、目の前で人が生き返りーーーー
「ああ、もう。なんなのよ」
目鼻立ちのくっきりした、頭にシニヨンのあるその少女、津島善子はそう言った。
「いくらヨハネが神様に嫉妬された堕天使だからって、これはないでしょ……」
そう口にする。もっともそれはただの虚勢。
心を占めるのは、この訳のわからない状況に対する混乱、そして何よりも恐怖。
だけれども、幸いにも彼女はその感情に抗うだけの自分なりのやり方を持っていた。
「雨に降られるのは慣れてるけど、こう、全然日が差さないというのも憂鬱なものね……」
雨宿りをしつつ、そう呟く。そしてーーー
「怖い……お母さん、みんな……」
自分の首につけられたものを触る。冷たい。その物体には何の感情も介在しない。
「……爆発したら……」
死。昨日まで高校生活を謳歌していた自分には全く関係のないと思っていたその一文字。
それが、首に伝わる冷たさを通じて否応なしに迫ってくる。
最初に考えたのは、これはドッキリか何かではないかということ。
しかしプロのアイドルならまだしも曲がりなりにも一般人である自分を承諾もなく
拉致する組織などあるはずがない。
つまり、この訳のわからない状況は、自分の理解の範疇を超えているのだ。
あのお婆さんはあんなことを言っていた。
説明書に書いてあるお題をこなせばどんな願いでも叶えると。
他の人の説明書にどんなことが書いてあるのか想像もしたくないけど、
例えば「津島善子を殺せ」というお題でもあったらーー考えたくない。
そしてーー
森嶋帆高、といった。
あの男の子と陽菜ちゃんが出会ったら、私たちは死んでしまう。
でもーー
「ヨハネ、何を言ってるの? だからあの男の子の邪魔をする、そんなことがあっていいの?」
自然、語気が強くなったような気がした。
いや、あっていいはずがない。
私は幸運だった。
たくさんの良き理解者に恵まれた。
でも、森嶋くんはーー
もし、世界に理解者がたった一人しかいなかったら、その人を失う恐怖はどれほどのものだろうか。
もし、たった一人の理解者を失うことで世界が崩壊するのだったら、人はどうするのだろうか?
堕天使にはそのどちらもわからない。
でもーー
「神様、とやら。覚えておきなさい。私は人間界に降りてきた堕天使、ヨハネ。
あんたなんかよりも人間のことはよーく知ってるんだから」
そう言って、彼女は空を見た。
変わることのない雨天を睨み付けるかのように。
【津島善子@ラブライブ!サンシャイン!!」
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:対主催。自分は無力だが、こんなことは間違っている。
1:森嶋くんを助けたい。
2:初対面の相手には「ヨハネ」と名乗る(津島善子を殺せ、というお題があった場合に備えて)
最終更新:2021年01月05日 23:53