「解せんな」

その男、いや、その生物はそう吐き捨てる。

それはもちろんこの訳のわからないゲームもそうだがーー

「つまりは、自分や他人の身を危険に晒しても森嶋帆高を守りたい、という者がいるということか?」

その生物、「最強のパラサイト」である「後藤」はそう自問した。

全滅の危険を犯してまで森嶋帆高を守ろうとする者がいる。
そうでなければこのゲームは森嶋側に圧倒的に不利だ。
名簿をざっと確認したところ、自分も含めて数十名もの名前が書かれていた。
森嶋帆高の年齢は見たところ泉新一とさほど変わりはない。
そのような人間が数十名もの人間に追われて二日間も逃げ切れるとは考えにくい。

すなわちーー

「参加者間での仲間割れを狙っているのか? 
森嶋帆高と天野陽菜との間の『愛』を利用することによって」

それは徹底的に合理的な思考を行う寄生生物には全く共感しがたい行動。
もっとも後藤にとっては「共感」と「理解」とは異なるが故、人間がそのような非合理な行動をしばしばとることは理解できる。

森嶋帆高。あの映画を見た限りでは少々攻撃的で危なっかしいただの少年にすぎない。
もっとも、あの映画の通りであれば、森嶋は天野のためならばこのゲームの全ての参加者をも犠牲にする覚悟はあるだろうが。

それならばーー

「……殺す、べきか」

その結論に達するのに全く時間はかからなかった。

森嶋帆高を殺す。
それは合理的すぎるほどに合理的であるパラサイトにとってはあまりにも妥当な結論。

「皆の命を守らねば、か」

くだらない、とでも言うようにそう吐き捨てる。

それはあの男が度々口にしていた言葉であった。


【後藤@寄生獣】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考、状況]
基本方針:森嶋帆高の殺害
1:協力できる者がいれば協力しても良い。

※参戦時期は市庁舎での戦闘後。
最終更新:2021年01月05日 23:54