「…ええい、あやつらめっ…!」
雨が降りしきる中…金髪碧眼で、高貴なる雰囲気漂う少女はバッグを探り、そこから機械を…ストライカーユニットを発見し脚部に装着した後、一人呟いた。
彼女の名はハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン大尉。第506戦闘航空団、通称ノーブルウィッチーズのA部隊の戦闘隊長であり、夜間哨戒を得意とするナイトウィッチでもある。
彼女は怒りを抱いていた。
「おのれ…なぜ続きを見せぬのだ!これからというところだっただろう!?だというのに…これでは生殺しではないか!!」
…何故ハインリーケが怒っているのかを説明する為に、彼女の出自について少し触れよう。
彼女はカールスラント(現実でいうところのドイツ)の名門貴族の家系、それも欧州各国に対して影響力を持つ程の名家出身である。幼い頃より貴族として、そしてウィッチとしての使命を厳しく躾けられた上で育てられて来た。それ故に彼女は世間知らずな一面と、年齢に不相応な幼さ、そして激し易さを併せ持っているのだ。
本題に戻るが、ハインリーケは、この殺し合いに巻き込まれる前まで映画というものにあまり興味が無かった。戦友であり部下である黒田那佳中尉が映画好きな事は知っていたし、映画を観たこと自体は何度かあったものの…興味が湧かなかった。
だがいざ「天気の子」を見せられると、彼女はすっかりスクリーンに映る映像に目を奪われ、警戒する事を忘れる程に夢中になってしまっていた。編集が入った物とはいえ、音にも、映像にも…彼女を圧倒し惹きつけた、未知なる物が、「天気の子」には盛り沢山に詰め込まれていた。
最もこれに関しては、彼女達ウィッチが属していて活躍している年代が1944~45年な事も理由としてはあるだろうが。
しかし…これからという所で映画は強制的に主催者達の手で止められてしまい、そして───殺し合いの開始が宣言され、ルールが開示され、目の前で人が死に、目の前で生き返らせられた。
そしてそのまま会場に飛ばされた先で目覚め、今に至る。
「…それに、わらわは…わらわはあの場で、何もっ…!」
…とは言え、ハインリーケの怒りは映画をお預けされた事が主因ではない。彼女は過去の出来事により、弱き者を守ることこそが本当の高貴なる行いであり、貴族が背負うべき宿命…使命なのだと決意を抱いていた。しかし彼女は、何もできぬままむざむざと女性が首輪を爆破される様を見ている事しか出来なかったのだ。
ハインリーケは怒りを覚える、このようなふざけた催しを開いた主催者達に…そして、何も出来なかった自分自身に対しても。
「……いかんな。まったく、あの時といい、つくづく己の不甲斐なさに愛想が尽きるわ。
だがこうしてはおれん、あやつらの言っておったルールが何処まで信用できるかはわからぬが…とりあえずは森嶋帆高を見つけて守る必要があるのう。
…あやつのような弱き者を守る事が、わらわ達貴族の果たすべき使命…ノブレス・オブリッジなのじゃ」
気持ちを落ち着かせとりあえずの方針を定めながらも、ハインリーケはルールに疑問を抱く。彼女は、どうにもルールが開示された物だけだとは思えずにいたのだ。
(もしわらわがあやつらの立場なら…万一の時に備えてルールをいくつか伏せておく。もしくは…争いを誘発する為に敢えて、ルールを伏せる事もするじゃろうな。
…となると、あの悪辣非道な主催者達なら、何かしらいくつかのルールを隠しているとみた方がよいだろう。
…他にも、森嶋帆高を天野陽菜に会わせた後に起こるとされるエリア全体の浸水に備えて、脱出手段を探しておく必要もあるな。会わせた後から探していると、間に合わぬ可能性が出てくるぞ…。それに脱出するのなら、この首につけられた忌々しい首輪もどうにかせねば…。
…考えるべきことも、やらねばならぬことも多いのう)
ハァ…とため息をつきながらも、ハインリーケはバッグの中身を探る作業に戻った。
【ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、映画「天気の子」の続きが気になっている、主催に対する怒り
[装備]:ユングフラウ Ju88C-6(C9+DE号機)@ノーブルウィッチーズ
[道具]:基本支給品、約束された勝利の剣(エクスカリバー)@Fateシリーズ、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:対主催。主催者の打倒。二人を会わせつつ、このようなふざけた催しを終わらせ元の世界へ帰還する。出来れば映画の続きも見たい。
1:バッグの中身を確認した後は、まずは森嶋帆高の捜索を行うべきじゃ。見つけた後は、襲撃してくるであろう他の参加者から守らねばならぬ。
2:脱出手段も探す必要があるのう。
3:黒田達が巻き込まれていなければよいが…巻き込まれているのなら合流せねば。
4:あやつら(主催者達)はわらわ達参加者に全てのルールを開示しているのか?何かしら伏せているルールがあるのではないか?
5:バッグの中にはまだ何かあるかも知れぬ。使い慣れた武器(MG151/20)があるとよいのだが…。
[備考]
※参戦時期は原作及び漫画版の3巻終了後から原作7巻にて階級が少佐になる前のどこかです。
※作中にて舞台になっている年代が1944~1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。
※エクスカリバーはまだ発見されないままバッグの中にあります。
※彼女の固有魔法である「魔導針」が制限されてるか否かは後続の書き手にお任せします。
【約束された勝利の剣(エクスカリバー)@Fateシリーズ】
セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)が使う剣の宝具にして神造兵装。所有者の魔力を光に変換後、収束・加速させて運動量を増大させ、神霊レベルの魔術行使を可能とし、放った斬撃は光を帯びたビームとなり、熱量によって相手にダメージを与える事が可能となる。
しかし今回のロワでは主催側の制限により、巨大な相手以外にはビームを撃てなくなっている模様。等身大相手だと普通に斬撃を飛ばすか直接斬るかするしか無いと思われる。
【ユングフラウ Ju88C-6(C9+DE号機)@ノーブルウィッチーズ】
ハインリーケのストライカーユニット。夜間戦闘が出来るようにカスタマイズされている…と思われる。
最終更新:2021年02月15日 12:44