オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ

ザーザーと雨に晒され、旋風が巻きあがり、バサッ、バサッ、と旗が靡き、旗の描かれた神子柴が全てを見下すように笑みを浮かべている。

「クソッタレババアめ...こんなくだらねえこと考えた挙句クソみてェな旗を立てやがって...」

眼帯を付けた偉丈夫、鮫島は、つい先ほどの惨劇を引き起こした元凶を忌々し気に睨みつける。
彼には殺さなければならない男がいた。その名は雅。最愛の弟を食い殺した、吸血鬼の王である。
力になってやらなければならない男がいた。その名は宮本明。雅に支配された日本本土において、無双の強さを誇る救世主である。
護ってやらなければならない奴らがいた。両親が死に、この世の地獄を味わいながらも逞しく生きているスーパー小学生の山本勝次、アイドルのユカポン、クズで童貞のネズミ、デブの佐吉。
彼らもまた明と同じく大切な仲間たちである。

「帰しやがれ!とっととこんな茶番から帰しやがれ!!」

神子柴の旗へと叫ぶが、当然ながら返答はない。舌打ちと共に『主催本部』と書かれたネームプレートへと唾を吐き、これからのことを考える。
当然ながら、鮫島は神子柴の言いなりになるつもりはない。
確かにあの映画を信じるなら帆高を止めなければならないし、神子柴が超常的な力を有しているのも事実だろう。
だが、それが神子柴への信頼へと繋がるかはまた別の話。
仮に帆高を止めたところで「充分にこのゲームを堪能したぞ。さらばじゃ!」と一声で参加者の首輪を爆発させる可能性もあるし、この願いを叶える褒美というのも、本当に叶える保証はない。
ただ、森嶋帆高が天野陽菜と出会ってしまえばゲームオーバーになるのだけは確かだ。彼らの合流は防がなければなるまい。
それこそ、最悪、帆高を殺してでもだ。

(あのガキも結構無茶しやがるからな。俺らを見捨ててさっさとゴールインしちまうかもしれねェ)

鮫島のような体質もなく、明のような強さもなく、勝次のような経験を積んだわけでもなく。
惚れた女の為にあそこまで形振り構わず動ける行動力には関心するが状況が状況だ。
陽菜に会いたい一心で帆高が早まる可能性も無きにしも非ずといったところだ。
早く神子柴を殺してケリを着けた方が良いだろう。

「主催の本部の近くからってのはラッキーだったが、あのバケモンの群れを見た後じゃあな」

先の見せしめになった女と神子柴の立ち回りを思い返す。
神子柴のまわりには多くの魑魅魍魎が蠢いている。あの薙刀の女も相当の腕前だったが、しかしそれでも突破は困難だった。
恐らくこのまま突っ込めば彼女の二の舞だ。協力者が欲しい。それも明のような腕の立つ者が。



「やはり主催本部か...いつ出発する?私も同行する」
「ッ!誰だてめェ!?」

突如かけられた声に、鮫島は振り返る。
声の主は緑色の学ランと奇妙な前髪が特徴的な青年だった。
青年は右腕をズボンのポケットに突っ込み、左腕を胸の前に構えながら言葉を続ける。

「我が名は花京淫。天野陽菜及び森嶋帆高の無念の為に、全参加者の心の安らぎの為に。奴には死をもって償わせてやる」
「あ?」
「あの二人をダシに参加者を潰し合わせようとしているのは一目瞭然!だがほとんどの参加者は本部を襲撃する発想には至らない...地図には乗っていないからな。そしてヤツは何故かこの会場から動きたくはないらしい」
「つまりなんだ、オメェもこの本部をぶち壊すってことか?」
「......お前のお陰で目星がついた。ただそれだけさ」

ハァ、ハァ、と鮫島の息が荒くなり眼の色が白くなる。
全くもってツイている。まさか自分と同じ考えの参加者にこんな早い段階で出会えるとは。

「ハ、面白ェ。俺は鮫島ッてんだ。俺たちでさっさとこんなクソゲームブッ壊してやろうぜ」

鮫島が笑顔で差し出した手に、花京淫もまた微笑み返し、ガシリと力強く握手を交わす。

「ところで鮫島さん...チェリーはないか?ガッつくようだがぼくの好物なんだ...くれないか?」
「チェリー?ちょっと待ってな...おっ、あったぜ。俺ァ食わねえからやるよ」
「サンキュー」

言うが早いか、花京淫はパクリとチェリーを咥え込む。

「レロレロレロレロレロレロレロレロ」

そのまま飲み込まず、舌でチェリーを弄ぶ様を見た鮫島は怪訝な顔を浮かべつつ、仲間になる者を集う為動き出すのだった。




【鮫島(兄)@彼岸島】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~3
[行動方針]
基本方針:ゲームから脱出
0:準備が整い次第、花京淫と共に主催本部へと襲撃をかける。
1:戦力になれる者、あるいは襲撃に使える支給武器を探す。

参戦時期は勝次を救出した後です。

【花京淫@もんむすクエスト!ぱらどっくすRPG】
[状態]健康
[装備]チェリー
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~3
[行動方針]
基本方針:ゲームから脱出
0:準備が整い次第、鮫島と共に主催本部へと襲撃をかける。
1:戦力になれる者、あるいは襲撃に使える支給武器を探す。

※ジョジョっぽい台詞で花京院っぽいことをする花京院にソックリなキャラだと思ってくれればいいです。
※スタンドは持っていません。エメラルドスプラッシュ!とか言いながらブーメラン投げたりナイフで切り刻んだりします。
※固有アビリティ
『うけたまり太郎!』『ジジイ!』『ブ男!』『カモ~ン、ポルポルく~ん!』『犬!』は使用できません。
最終更新:2021年01月17日 00:30