キレイ ダナア …
ナンデ ワレハ アアジャナイ……
ナンデ ワレハ ニゴッテイル……!?
雨の降りしきる町のビルの一角。
その屋上で一匹の獣が、天を仰いでいた。
生まれ落ちたばかりの幼体ながら、三メートル程もある巨躯。
神々しさすら感じる純白の毛並み。邪悪なまでの存在感。
そして何より、その獣の全てを現す下からねめつける様な眼(まなこ)を誇る、一匹の獣。
まだこの世の国々が形の定まらぬ「気」であった時、澄んだ清浄な気は上に昇り人となり。
濁った邪な「気」は下にたまって、獣となった。
生まれ落ちて暫く、獣はまだ影の如き闇の塊だった。
それ故、人に憑りつき同士討ちを行わせる事しかできなかった。
だがそれでは足りぬ。それではつまらぬと、獣はより人の恐怖と血を求めた。
そのため獣は偶然見つけた一人の赤子を住みかとし、赤子から育まれた憎悪と妬みを血肉としてその巨躯を作り上げる事とした。
目論見はまんまと成功し、遂に獣は産声を上げた。
獣を刺す名は多い。
曰く、妲己
曰く、玉藻の前
曰く、白面金毛九尾の狐
曰く――――白面の者
■
白面の者は苛立っていた。
今、この街には忌々しい太陽は見えないと言うのに。
殺し合いという、血と阿鼻叫喚を浴びる絶好の機会だと言うのに。
この街に至るまでに見せられた映像が―――白面の者の心を執拗なまでに掴んで離さなかった。
一人の少年と少女が心を通わせ、ただもう一度出会おうと天に挑む。
その光景は、陰に、闇に生まれついた白面の者にとって何よりも妬ましく、忌まわしく――憎むべき光景だった。
何より腹立たしいのが――あの映像が流れている時、白面の者は行動を制限されていなかった。
つまり、自由に暴れ、映像を台無しにすることも可能だったのである。
しかし主催の老婆はそれをしなかった。
まるで、白面の者が『天気の子』を見届けるのを分かっていたかのように。
白面の者にとって家畜の様に首にはめられた首輪よりも――なお、腹立たしい事実であった。
「―――面白く、無し!」
怒りのままに、憎しみのままに白面の者は行動を開始する。
―――我は憎む、光あるものを。命を、人を、愛を。全ての陽の者を!
この憎しみは、殺し合いに同じく呼ばれた参加者と森嶋帆高の絶望によってしか最早贖うことはできぬと荒れ狂う。
同時に、白面の者はニィィイイィイイと蕩ける様な破顔を浮かべる。
森嶋帆高をどう嬲り殺そうか。
それとも女の姿に化けて誑かし、天気の巫女への想いなど所詮は肉欲だったと証明してから殺すか。
それとも、天気の巫女の目の前で己の無力を思い知らせて殺すか。
純白の悪意は膨れ上がり続け、止まることを知らない。
森嶋帆高と天気の巫女だけではまったくもって足りない。
この殺戮劇に招かれた参加者も、自分に首輪などを嵌めたあの老婆も、天気の神すら。
絶望と恐怖を魂魄に刻みつけ冥府魔道へと送ってやらねばならない。
もう一度、分厚い雲に覆われた空を睨み上げ、地の底まで響く様に重厚で低い声で宣言する。
――――我は白面!その名のもとに、全て滅ぶ可し!!
【白面の者@うしおととら】
[状態]:健康、憎悪
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品
[思考・状況]
基本方針:皆殺し。
1:森嶋帆高と天野陽菜に絶望を味合わせて殺す。
2:他の参加者を殺す、時には人に化けて殺し合わせる。
3:殺し合いを楽しむ
※原作31巻「白面の者誕生」より参戦です
※一部能力が制限されています
最終更新:2021年01月18日 23:01