気付いた時には、もう遅かった。手遅れだった。わたしには何もできなかった。
わたしはただ…わたしを庇って受けた銃弾により、致命傷を負っていた師匠が…初めて会った場所で、最期の言葉を遺すところに…泣きながら耳を傾けることしかできなかった。
「死なないで!」と、そう泣きじゃくり、駄々をこねる子供のように首を振り、師の胸に頭を埋めて嗚咽することしか…幼いわたしには、できなかった。


もし、大切な相手と二度と会えなくなった人が居たとして…それでもまだ、取り返せる手段が存在するのなら、第三者である私のなすべきことは───



降りしきる雨の中、黒髪を後ろに纏めて、飾り気が無くどこか口数が少な目に見える…朴訥とした雰囲気がある少女は、一人目を覚ます。

(…ここは、先程まで見せられていた映画の舞台…東京、か…?)
少女の名はジーナ・プレディ。第506戦闘航空団、通称ノーブルウィッチーズのB部隊の隊長で、階級は中佐である。
彼女は出現したネウロイを部隊を指揮しながら撃破、帰投した直後…気付いたらこの殺し合いに巻き込まれていたのだ。

(しかし、あの神子柴と云う老婆の言う事が全て事実なら…殺し合いはもう始まっているというのに、私はあのような懐かしい夢を…)
「…部下たちには見せられない失態だな」

冗談めかしてそう口に発してみるが、言葉とは裏腹に…彼女の心は主催に対しての怒りと、自分に対する怒りの炎が派手に上がっていた。

(あの老婆が何故、森嶋帆高と天野陽菜が会うのをわざわざ私達参加者に止めさせようとするのか…それはわからない。
それに…彼らが会ってしまえば、この街は水に沈み、森嶋と天野以外は皆死ぬ…と、老婆は言っていたな。
…どちらにせよ、私のなすべきことは変わらない。
みすみす目の前で民間人を死なせた責任は…あの老婆達を打倒して、取るよ。
…それに、あの映画はハッピーエンドになるべきだ。元の結末がどうであれ…たとえバッドエンドで終わるとしても、二度と取り返せない筈の大切な相手を、取り戻そうとするであろう男を止めようとは…私は思わない。)
「…ウィッチとしては、と言うより隊長としては恐らく失格だが…2人を会わせつつ、参加者が出来るだけ多く脱出出来る様に動く」

彼女はあの少年には…森嶋帆高には、幼い頃の自分のように、自分のせいで誰かが死んでしまうような思いをさせたくはないと、そう思っていた。
それ以上に…師を失い、異性の友人も失った自分とは違い、まだ大切な相手を助けれるチャンスがある彼を…助けたいと、そう思った。
こうして彼女は、当面の行動方針を定めた。




その後彼女は、バッグの中身を確認し…ルールを改めて確認する事にした。
その中でお題も確認したのだが…彼女はそれを達成するという選択肢を切り捨てた。
(師匠は最期の時、「死ぬのはこの空の下と決めていた」…と、そう言っていた。あの人は生き返る事を良しとはしないだろう。)

支給されていた自分のストライカーユニットを装着し、愛銃では無いものの、威力が高いらしい自分が見た事も無い銃を持った彼女は、ふと思考する。

(…ルールは恐らく、他にも何かあるだろう。
…森嶋帆高の『死滅』という書き方な時点で、恐らく彼を殺す「だけ」ではこの殺し合いは終わらない。
それに…ルールには書いてなかったが、もし森嶋が到達する地点である鳥居が、崩壊してしまえばどうなる?鳥居が崩壊していてもその地点に森嶋が到達出来ればいいのか、それとも鳥居が崩壊したらその時点で森嶋は天野を取り戻せなくなるのか…もし後者の推測が正しければ…鳥居の護衛もする必要があるか。
…いや、最悪の場合は鳥居がある地点自体が攻撃などにより消滅した場合だ。もしそうなれば…物理的にどうしようもなくなってしまうかも知れない。それだけは回避したいところだな。
最も、主催側が壊せないようにしている可能性も十分ある、が…確かめるには不安があり、情報も集まっていない。
…とりあえず、脱出手段を探し、他の506のメンバーが居たら合流、そして森嶋の保護をするべき…か。)

そう思考を纏めた彼女は、自らの固有魔法である「ホークアイ」を使い、周囲の索敵を行う。

「…いつもより見える距離が短いな。この首輪のせいか…?」
周辺に他の参加者が居ないことを確認した上で、彼女はため息を吐く。
彼女の固有魔法「ホークアイ」は、元々視力が高い傾向にある
(ストライクウィッチーズ2の最終話の描写より推定)
ウィッチよりも更に遠距離を見通し、更に自らの動体視力も向上させる、魔眼と呼称される物である。
しかし首輪の制限によるものか、見通せる距離が短くなっている事に、彼女は気付いた。

「…敵対者と遭遇する前に気付けたのは幸運だな。とはいえ…このような幸運はあまり当てにするべきでは無いか。
……森嶋帆高も、天野陽菜も、そして私も───今日が死ぬにはちょうどいい日だとは、思えないな」

かつて師が、明るい満天の星の下にて最期に遺した言葉…「今日は死ぬにはもってこいの日だ」と言う言葉を思い出しながら、降り止む気配が全くない雨の中、彼女は一人呟いた。

【ジーナ・プレディ@ノーブルウィッチーズ】
[状態]:健康、決意
[装備]:ノースリベリオン P-51D(44-14906号機)@ノーブルウィッチーズ、ディバイトランチャー@ウルトラマンネクサス
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:対主催。主催者の打倒。二人を会わせて、参加者の脱出手段も見つけて、ハッピーエンドで終わらせる。
0:信じるものを手放さず、なすべきことを手放さず、自分の進むべき道を手放さない。
1:森嶋と天野を会わせたい。その為には森嶋の保護からだろう。
2:脱出手段を探しておきたい。
3:他の506のメンバーが居たら合流しておきたいところだ。
4:鳥居や、鳥居がある地点が破壊されたらどうなる…?
5:首輪の解除も必要になってくるだろうな。
[備考]
※参戦時期は原作終了後からです。漫画版は全3巻、原作である小説版は全8巻です。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。

【ノースリベリオン P-51D@ノーブルウィッチーズ】
ジーナのストライカーユニット。
ノースリベリオン P-51の決定版であるD型。
それまでのノースリベリオン P-51とは異なり魔力配分を効率的に出来るようになっており、更にマッピングの変更を容易にする改良が施されている為、戦場での使用目的に適時合わせたセットアップを、その場で行う事が可能である。
また形状も変更が行われている。

【ディバイトランチャー@ウルトラマンネクサス】
極秘裏にスペースビースト(わかりやすく言うとネクサスでの怪獣)を殲滅する事が任務である実働攻撃部隊ナイトレイダーの隊員が携行している、対スペースビースト用の大型銃の武装。
通常はビーム砲の形態だが、グリップとトリガーの部分を取り外す事でビームハンドガン形態のディバイトシューターに。
本体を変形させることで、ビームサブマシンガン形態のディバイトガンナーにも出来る…が、今ロワでは主催の手により変形不可能になっている模様。
ただしその代わりに、本来指紋認証によって管理されてる為隊員やナイトレイダーの母体組織であるTLT関係者以外には使用不可能な特性が無くなっている。
ランチャー形態では小型(2~10m程)のスペースビースト程度なら殲滅可能な威力があり、52m程のスペースビーストを怯ませる事も可能。また強化装甲弾やナパーム弾を装填する事も出来る。
ただし威力が高い分反動も大きい。
(威力についても主催により制限がかけられている可能性があります)
最終更新:2021年02月15日 12:42