「……やっぱり駄目かぁ」

とある学校の体育館。
飛電或人はため息を吐きながらゼロワンの変身を解除した。

周りに敵対的な者がいないにも関わらず変身をした理由は一つ。
ゼロワンドライバーを通じて衛星ゼアにアクセスする為だ。
飛電インテリジェンスが誇る通信衛星内部に意識を飛ばせれば、首輪の解除や、外部にいるであろうイズ達に連絡を取る事ができる。
そう考えた或人は、運良く支給されていたドライバーで変身を決行した。

結果、これまで通りゼロワンに変身は出来たものの、ゼア本体の思考回路に意識を飛ばすという目的は果たせなかった。

薄々予想していた事だが、そう簡単に首輪を外させてはくれないということだろう。
落胆しつつ、これからどうするかを考える。

「あの神子柴って婆ちゃん、何考えてんだよ…」

神子柴の説明が真実ならば、自分達は森嶋帆高を殺さなければならないらしい。
映画を見た限り、帆高は決して悪人などではないと言える。
ただ愚直なまでに、神様にすら逆らって自分の愛を貫こうとしている少年だ。

馬鹿な奴だ、とは思わない。
或人は知っている。
愛という原動力は良くも悪くも人間を、そしてヒューマギアへ大きな影響を与える。

一色理人がエスとなり楽園創造を目指したのは、婚約者への変わらぬ愛があったからだ。
天津垓がヒューマギアを嫌悪し、幾度となく自分を陥れようとしたのは、誰よりも飛電を愛していたが故に歪んでしまったから。
滅と迅の間には、仲間としての信頼だけじゃなく親子愛が存在している。
だからこそ迅は我が身を盾にしてまで滅を守り、滅は自分への憎悪でアークスコーピオンへ変身した。

それに或人自身、あれ程までに滅を憎んだのは、ひょっとしたらただの秘書として以上にイズを想い――

「…って、今俺のことはいいんだっての!」

ガシガシと頭を掻いて思考を戻す。
とはいえ、結局の所やるべき事は決まっている。

森嶋帆高を守り、どうにかして首輪を外し、バトルロワイアルを止める。

プログライズキーの大半とゼロツードライバーを奪われ、不破諌を始めとする戦友たちもいない。
これまで以上に厳しい戦いになるのは間違いない。

それでも。

「この殺し合いは、俺が絶対に止める」

『仮面ライダー』として戦う。

その想いを胸に、自分達を見下ろしているだろう者に向けて、堂々と言い放った。


【飛電或人@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:健康
[装備]:飛電ゼロワンドライバー+ライジングホッパープログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2(プログライズキーは無い)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める
1:帆高を探して守る
2:首輪を解除する方法の模索
[備考]
※参戦時期は劇場版終了後。

【飛電ゼロワンドライバー@仮面ライダーゼロワン】
ヒューマギアの暴走に対処する為に飛電インテリジェンスの先代社長、飛電是之助が開発した変身ツール。
プログライズキーを装填し仮面ライダーゼロワンに変身する。
ベルトを装着することで通信衛星ゼアと装着者の脳を無線接続させ、ゼアの思考回路の中に入る事が出来る。
が、今ロワでは変身こそ可能だが、ゼアへの直接アクセスや外部への通信は不可能となっている。
ゼロワンに変身できるのは飛電インテリジェンスの社長である或人のみ。

【ライジングホッパープログライズキー@仮面ライダーゼロワン】
バッタのライダモデルが保管されたデータ・アクティベートキー。
このプログライズキーによって変身する「ライジングホッパー」は、脚力と跳躍力に優れたゼロワンの基本形態である。
最終更新:2021年01月27日 09:28