出会い方が悪かった。
本来温厚で、好戦的とは言えない二人が、6mの空間を挟んで対峙する。
片方は拳を腰だめに、もう片方は剣を正眼に構えて。
高層ビルの廊下の曲がり角でばったり遭遇した二人。
殺し合いの場に置かれ、普段より緊張していたのだろう彼らは、目が合うと同時に獲物を抜いて間合いを取り、互いの力量を推しはかった。
そして両者が『相手がゲームに乗っていたらただでは済まない』という同じ結論に達し、この一色触発の状況ができあがった。
「なあ」
「なんだい」
拳を構えた少年が口を開き、剣を構えた少年が答える。
拳を、剣を収めることはない。目線は相手からそらさない。
臨戦態勢を解くことなく会話する。
「止めにしね? 悪い奴ならぶん殴るけどさ、そうじゃないやつ相手に戦いたくねーし」
「そうしたいのはやまやまだけど、こんな状況じゃあ難しいよ」
拳の少年から出された提案は和解。
剣の少年はやんわりといなす。
「僕が剣を収めたとして、君が襲ってこない保証はあるのかい」
「約束する、って言葉でいうのは簡単だけど、信用するかはそっちの問題だもんな。
それにその質問、逆もまた然りってやつだろ? お前が相当強いのはわかるしな」
「だよね……。 僕もそう思う」
口を開けど打開できぬ状況。
剣の少年は少しずつ後ずさりを始める。
「ちょっとまってくれよ! せっかく会えたのにこのままお別れってのももったいなくね?」
拳の少年が慌てて剣の少年を制止する。
ひょっとしたら協力でいるかもしれない強者にこのまま去られてしまうのは痛手だ。
「僕を信用できないから、そうやって構えも解かずにいるんじゃないのかい?」
「まあそんな感じだけどさ。そこはっきりさせるためにも一個訊かせてくんね?
ほら、構えも解くし、距離もそのままでいいからさ」
そう言うと拳の少年は構えを解き、両手を開いて上に揚げる。
何も持っていないという意思表示だ。
「そうまでされたら剣を抜いてる僕が悪者みたいじゃないか……」
仕方なしといった風体で、しかしどこかほっとしたような表情で少年が剣を収める。
「僕はルカ。君は?」
「おう。俺は虎杖悠仁。よろしくな」
ここで初めて互いに名乗る。
相手がだれで、何を考えているかもわからぬまま殺し合いに発展することは避けられた。
いくつもの修羅場をくぐってきた二人が取り乱す。
殺し合いという今の状況の異常さを物語っていた。
「それで、質問って言うのは?」
ルカが質すと虎杖も真剣な顔で応じる。
「まあ、真面目に答えてほしいんだけどな。
ルカお前、どんな女がタイプ?」
「…………は?」
あまりにも想定外の質問にルカの脳がフリーズする。
さすがに言葉が足りないと思ったのか、虎杖が補足していく。
「いやその、俺の友達がな、女の趣味にはそいつの人となりが反映されるーとか何とか言っててさ。
まあ、ダメもとで? 訊いてみたらお前がどんな奴かもわかるかなーって」
なんだそのわけのわからない理屈は? と思う一方で、虎杖が真剣にルカを知ろうとしているのはわかった。
故にルカは答えた。顔を赤らめながらも、なるべく事細かに。
「え、え~っと、お…胸は、大きくて、腰は、キュッとしまってて、目つきは少しきつめだけど優しくて、包容力があって……」
「ほうほう」
虎杖と同年代か少し年下くらいに見えるこのルカという少年。
なかなかいい趣味をしているように思う。
「それから髪は綺麗な銀色で、」
「うん?」
ずいぶん現実離れした特徴が出てきた。
「下半身の蛇体のほうも触ると気持ちよくて……」
「うん???」
現実どころか人間からも乖離した特徴が出てきた。
「ひょっとしてコイツ二次元の好み喋ってるんじゃ?」と不安になる虎杖を置き去りにルカは続ける。
てかまだあるのか。
「僕の料理を『美味しい、美味しい』っていっぱい食べてくれる人……かな?」
最後はかなりまともな条件が出てきた。
「い、いいんじゃねーかな?
全部満たしてるのは難しいっつーか無理だと思うけど、いつかきっと近い人が見つかるぜ! うん!」
若干引きながらも虎杖は親指を立てる。
しかしルカは更に顔を赤らめながら答えた。
「いや、いつかって言うか、これ、僕の奥さんの特徴を羅列しただけだったりするんだけどね」
そう言って、えへへ、えへへと笑うルカに今度は虎杖がフリーズする。
そして5秒ほど固まったのち叫んだ。
「お前その歳で、結婚してんのーーーーーーーーーーー!!!???」
【虎杖悠仁@呪術廻戦】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:びっくり!
※参戦時期は渋谷事変直前です。
【ルカ@もんむすくえすと!~負ければ妖女に犯される~】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:ひょっとして悠仁、僕とアリスのことを知らない?
※参戦時期は原作終了後です
※ルカとその妻・アリスの冒険は物語としてまとめられ、もんくえ世界でベストセラーになっています。
最終更新:2021年03月04日 18:08