少年と少女の青春。
天気の子とただの人間。
生贄にされる運命とそれに抗う者。

男にはどうでもいいとしか思えなかった。

神子柴なる謎の老婆。
森嶋帆高の命を巡ったバトルロワイアル。
死者の蘇生すら可能な神子柴の力。

男の心を震わせるものは一つとして無かった。

「ハッ、結局何も変わりはしない」

男は二度目の死を迎えたはずだった。
生まれ故郷を地獄に変えようとして、見事に失敗。
風都の仮面ライダーに敗れ、今度こそ完全に消滅した。

だと言うのに、こうして三度目の生を受けてしまった。

だが何も変わらない。
男がやるべき事は生前と同じ。
風都を、世界を死人だけが行き交う地獄に変えて、人々を絶望に叩き落とす。
それだけが、彼に残されたたった一つの野望。
それだけが、彼が彼である事の証明。

永遠という名の悪魔には、他に何も残っていない。

実の母は既に己の手で殺した。
NEVERの仲間も全員死んだ。
財団Xへの復讐心など、とっくに消え去っている。
かつて救えなかった少女の記憶すら、今となっては曖昧だ。

あのハーモニカの音色はもう、思い出す事も無いだろう。

「今の俺に必要なのは、力だけだ」

風都の仮面ライダーは人々の声援を受けた事で強大な力を得て、男を打ち倒した。
ならばそれ以上の力を手に入れて帰還すればいいだけと考える。
森嶋帆高を見つけたら適当に痛めつけて動けなくする。
神子柴からのお題達成に邪魔な参加者は一人残らず殺す。
力を手に入れたらまずは神子柴を排除し、それから改めて風都を絶望に叩き落とす。
実にシンプルだ。

「それにしても…やはりお前はどこまでも俺と共に或る運命のようだな?」

不敵な笑みを向ける先には、片手に握られた純白のメモリがあった。
『永遠』の記憶を内包したそのメモリは、彼がこの世で唯一信頼を寄せるもの。
家族や仲間を捨て去っても、このメモリだけがあればそれで満足だった。

「さて、最初に地獄を見るのはいったい誰だ?」

皮肉気な笑みを浮かべ、男は雨の中を傘も差さずに歩く。

男の名は大道克己。
かつて風都を恐怖に陥れた死人兵士。


【大道克己@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:ロストドライバー+T2エターナルメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品、細胞維持酵素×5@仮面ライダーW、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針:力を手に入れて風都に帰る
1:森嶋帆高の確保
2:邪魔な参加者を殺す
[備考]
※参戦時期は劇場版で死亡後。

【ロストドライバー@仮面ライダーW】
ガイアメモリを装填し仮面ライダーに変身する為のベルト。
普段はバックルの状態で携帯され、腹部に当てることで自動的にベルトが伸長して装着される。

【T2エターナルメモリ@仮面ライダーW】
『永遠』の記憶を内包したガイアメモリ。
適合した人間と惹かれ合うT2ガイアメモリの特性により、大道克己の手に渡った。

【細胞維持酵素@仮面ライダーW】
NEVERが蘇生した体を維持するために必要な酵素。
これを投与することで不死身の肉体、常人の数倍の身体能力、死への恐怖心の消失といった数々の肉体的恩恵を享受できる。
定期的に投与しないと、NEVERは死体に還る。
最終更新:2021年01月28日 22:22