ども、中野梓こと百合にゃんです。

今日は軽音部の皆で、ムギ先輩の別荘へ合宿に来ています。

もちろん真面目で可愛い後輩の百合にゃんは、率先して練習をしようと呼びかけたりして頑張りました。

まあ内心は、私にはあまり見慣れない私服姿で、汗をかきながら演奏する先輩方の姿を見ながらクンクンしたり、
ご飯の時に『あーん』されるように上手く立ち回って間接キスしたり……

後は、皆でお風呂に入った時にたっぷり目の保養をさせて頂いたりしましたけどね♪



当然、賢い百合にゃんはこんな本心を先輩方に悟られてはいません!

さすが☆

そして皆さん。今は深夜ですよ深夜っ!

某超有名バンドのドラムさんじゃありませんよ?

深 夜 です!!!

そう、皆さん眠っていらっしゃいますっ!

つまり! 先輩方の寝顔を見るチャンスッッッ!!!!!


────────────────────────

梓「はい、という事で皆さんいかがお過ごしですか? 中野梓です。
今晩も熱帯夜で嫌になりますね」

え? このSSが投下された時期は春でそんなに暑くないって?

私そんなメタ的な事は知らないです。

梓「さて。今、私は唯先輩の部屋の前にやって来ています」

今回の合宿では一人一部屋を貸して頂いているので、
この部屋の中では唯先輩が一人で眠っているという事になりますね。

これから先輩方の寝顔をチェック! 百合にゃんチェックッッッ!!
しようと思いますが、一番手は唯先輩です。

梓(理由は簡単、私の部屋の隣だからですっ!)

こうやって、近い順に先輩めぐりをして行こうと思うです。


梓「それでは早速……と、その前に」


ドア『やあ☆』デデデデーーーーン!


鍵のかかったドアが私の前に立ちふさがります。

梓「まあ当然ですね」

でも百合にゃんにとってはこんなもん、どって事ないです。

梓「右手人差し指の、手の甲側・第二関節でドアノブの上部を二回ほど叩いて……」コンコンッ


ガチャッ。


はい、鍵さん開いたですっ!(テッテレー!)

梓「ではいざ突撃するです! やってやるですっ!」


────────────────────────

梓(さすがに唯先輩だけあって、エアコンつけてないですね。
中も暑いです)


ソロリソロリソロ〜リ。


……居たいた。居ましたです。

唯「くー、くー……」

梓(ふふふふ、幸せそうに寝ちゃって! 可愛いなぁ)

唯「ん〜、駄目だよムギちゃん。
それは私のふわふわ時間だよぅ……」ムニャムニャ

梓(どんな夢を見てるんだろ)


ま、そんな事より……

唯「んー……」モゾモゾ

梓(半袖のTシャツにショートパンツっ!)

エアコンつけてないからか、あるいはこれが先輩の元々の寝相の悪さなのか、蹴飛ばされた布団っっ!!

梓(そしてうっすら汗ばんだ身体っっっ!!!)

ひっほうっっっっっ!!!!!


梓「(ゴクリ)よ、よしっ、では早速……」


ケータイ!


梓(写メ撮るです! 撮りまくりですっ!)パシャパシャ

引き続きっ!

梓(動画さんです!)ジー

ああたまらんですね最高ですねっ!!!


唯「……むー……」ゴロン

梓「!!!!!」


腋っ!!!!!!!!


梓(寝返りをうち、それで腕を上げた唯先輩のTシャツの袖口から覗くそれはまぎれもなく──)


唯 先 輩 の 腋 の 下 ッ ! ! !


梓「これはなんて宝物発見! 百合の女神様からのプレゼントですね……っ!」

唯先輩は腋の下を舐めるのがだいすきみたいで、恋人であるムギ先輩のをよくペロペロしているらしいです。

梓(そういえばお風呂の時もやろうとしてムギ先輩から、

『人前だから///』

ってたしなめられてましたね)


しかしっ!

ペロペロする側専門なのはあまりにももったいないほどの神々しいまでの腋っ!

これでは先輩の腋の下さんが可哀想ですよね。

もしかしたらもうムギ先輩からされてるかもですが……

梓(舐めましょう)


ギシッ。


梓(ベッドに乗って!
唯先輩の腋の下を!!
私がッッッッッ!!!)

唯「ぐー……」

梓(わわわ、唯先輩の腋が目の前に……!)


クンクン。


梓(どこかミルクのような先輩の香りと、汗の匂い……)


最 高 傑 作 香 り ですっ!


ペロペロ。


梓(ふむふむ、これが唯先輩の味ですか)

激うまですねっ!


ペロペロペロ。かぷっ。


唯「……ん?」パチッ

梓「!!!」

唯「あれ〜、あずにゃん……?」ボー

百合にゃんお布団にダイブ。


ポフッ。


唯「どうして私の部屋に居るの……???」ボーッ


梓「ぐー。ぐぐーっ……」

唯「……?」

梓「ん……たい焼き……」ムニャムニャ

唯「……まあいっか」

唯先輩お布団にポテッ。

唯「ぐー……」

梓「…………」


むくり。


梓「ふっ、危なかったです」

……………………

…………

梓(こうして身も心もぽかぽかになった私は、唯先輩のお部屋を後にしたのでした)


────────────────────────

梓「いやはや、とても美味しい腋の下を頂きましたっ!」

ニコニコで別荘の廊下を歩く百合にゃん。

梓(もちろん、これで終わりではありませんっ)

次は……

梓「律先輩ッ!」

私の前に、律先輩が眠るお部屋の扉が現れました。

梓「それでは……」


コンコンッ。

ガチャッ。


梓「行くですっ! 律先輩!」


────────────────────────

梓(さてさて……)

律「すやすや……」

──居ましたっ! 律先輩です! 気持ち良さそうに寝てます!

梓「しかし、可愛らしい寝顔だな……」

カチューシャを外しているというのもあるのでしょうが、
起きている時の元気いっぱいな先輩とはまるで別人のようです。


クンクン。


梓(うーむ、なんと健康的な匂いがするのでしょう!)

これはもう辛抱たまりませんねっ!


すっ……


私は、先輩の顔に流れる前髪をそっとかき分けます。


律「ん……」

梓(サラサラしてるです)


クンクン。


梓(律先輩の髪の毛は太陽みたいな匂いがしますです!)

律「う……ん、やめろよ……
そんな事したら、ダメ……」

梓「なんでですか?」

律「だって……恥ずかしいよ……」

おや?


梓「全然おかしくないですよ? ずっと嗅いでいたいくらい良い匂いです」

律「そ……そんなのおかしーし……っ」

なんと、律先輩は寝言で会話出来る人でした!

いやぁ、写メ・動画だけでなく、録音もしといて大正解でしたね。

コレ、着信音にしましょうか?

梓「おかしくなんてありません。
ほら、このおでこだって素敵じゃないですか……」


チュッ。


律「ふぁ……」


しかし、こんな風に恥ずかしがり屋さんな律先輩はほとんど見た事がありません。

案外、こっちの方が素なんでしょうね。


ペロ……


梓「ふふっ、律先輩のおでこ……甘くてとっても美味しいですよ?」

律「……おい、梓?」


チュッ。


梓「ほらほら。くすぐったいのはわかりますが、そんなに動いちゃいけませんよ」

律「いや、梓」


梓「もうっ! 今良い所なんですから律先輩は邪魔しないで下さいっ!」

律「お、おうっ!
……じゃなくて、こら」

梓「……はっ?」

律「何やってんだお前」

梓(先輩起きてるし! いつの間に!?)

こんなの百合にゃん想定外ですよっ! 想定外じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!?

梓「え、えと……」

律「?」

梓「あずにゃん寝ぼけちゃったにゃんっ☆」ニャフ!


……………………

…………

追い出されました。


────────────────────────

梓「ふう、またまたピンチだったなぁ」

胸を撫で下ろしながら、私は次のお部屋へ向か……う前に、お台所で飲み物を頂きました。

梓「ちょっと喉渇いちゃったからね」


ゴクゴクゴク。


さっきのあのボケは、当然狙いがあってやりました。


百合にゃんの可愛さで血路を開けるかもという期待もありましたが、
それよりも普段真面目な私があんな言動をする事で、本当に寝ぼけていただけだと思って頂けると計算したからです。

さすがにすぐ効果があるという訳にはいかなかったですが、
一夜明けたらそこは時間さんが何とかしてくれるでしょう。

さすが百合にゃん。

かしこい♪

梓「──ふう。喉も潤ったし……」

さあ、次ですっ!


────────────────────────


2
最終更新:2013年03月12日 11:47