澪「・・・難しい」
唯「澪ちゃん、どしたの?」
澪「新曲の歌詞を考えてるんだけど、良いアイディアが浮かんでこない」
律「だったら私達も考えてみようぜ」
澪「でも歌詞の担当は私だし。歌詞を作らない私なんて、軽音部に必要ないし」
紬「そんな訳ないわよ。ベースを弾いて、歌も歌って、部もまとめて。澪ちゃん無くして軽音部は成り立たないわ」
唯「澪ちゃんこそ、軽音部の大黒柱だよね」
律「済みません。このクラブの部長って、誰でしたっけ」
唯「たはは。澪ちゃんって普段、どうやって歌詞を考えてるの?」
澪「写実というのかな。見た光景を歌詞にする時もあるし、イメージと想像を膨らます時もある」
紬「メルヘンチックな歌詞の時よね。澪ちゃんらしくて、私好きだわ」
澪「そ、そうかな」
唯「想像もだけど、見た物を歌詞にするのも結構大変だよね」
紬「テーブル、オルガン、窓、ギター。ここが軽音部の部室です」
律「・・・ストレートに表現するならそうだろうな」
澪「テーブル、カップのティアラを載せて。窓はカーテン身にまとい。オルガン踊ってギターが跳ねる。今日も部室はティータイム」
唯「わ。なんか、澪ちゃんっぽい」
律「良い意味でも、悪い意味でもな」
梓「済みません、遅れました」
澪「二つのしっぽがゆらゆら揺れる。揺らめききらめき、梓参上」
梓「・・・なんですか、それ」
唯「澪ちゃんが考えた、あずにゃんのテーマ曲だよ」
梓「ああ、ツインテール」
紬「逆さで、下に顔があるなんて斬新よね」
唯「でもエビ風味で、意外と美味しいんだって」
律「誰が古代怪獣の話をしたんだよ」
唯「かしはかしでも、私は甘くて美味しいのが良いなー」
紬「うふふ。今準備するわね」
律「軽音部といえば、ムギの菓子がないと始まらないからな」
澪「そんな訳無いだろ」
唯「じゃあ澪ちゃんは、お菓子いらないの?」
澪「・・・さっきも言ったように、私から菓子を取ったら存在理由が無くなるんだ」
律「素直に、食べたいって言えよ」
唯「お菓子、かむばーっく」
律「意味が分からんわ」 ぽふ
澪「あはは」
梓(本当に意味不明だけど、これこそ軽音部だよな)
紬「今日は塩キャラメル風味のロールケーキでーす」
梓「・・・塩味が良いアクセントになってますね」
唯「甘いだけが人生じゃない。時には辛く苦い思いもあってこそなんだよ」
律「いや。唯が言っても、説得力の欠片もないんだが」
澪「ただ、こう美味しいと食べ過ぎるから困る」
唯「いらないなら、私が食べてあげようか?」
澪「いや。辛く苦しいのも、また人生。唯が言ったように、私も泣く泣くこのロールケーキを食べてみるよ」
唯「しどいよ、澪ちゃん」
律、紬、梓「あはは」
5分後
律「ふー、食った食った」
澪「そろそろ練習するぞ」
律「食べてすぐ動くと、体に悪い」
唯「いっそ、このまま寝ちゃう?」
梓「牛になりますよ、冗談じゃなく」
紬「間を取って、もう一杯だけお茶にしましょうか」
澪「仕方ない。律、一つ貸しだからな」
梓「律先輩って、澪からの貸しを返した事ってあるんですか」
律「記憶にないな、全然。その内、100倍にして返してやるさ」
澪「全く、お前という奴は」
梓(そういう割には嬉しそうだし、やっぱりこの二人は良いコンビだよな)
30分後
唯「・・・うれしいね♪」 じゃーん
律「結構良かったんじゃないか」
梓「はいです」
紬「やっぱり澪ちゃんの歌詞は素敵よね♪」
澪「そ、そうか?ムギの曲が良いからだろ」
唯「うん、うん。仲良きことは美しき哉」
梓(何故、実篤チック)
唯「そう言えば私達って、あまりアドリブ入れないよね」
梓「アドリブ、ですか」
唯「そうそう。・・・サンキュー、あずにゃんっ、パワフルあずにゃんっ。にゃん、あず、あず、にゃにゃっ。さあ、みんなも一緒にっ。みたいな、あれ」
律「いや。元の歌詞が分からんし、何から何までさっぱり分からん」
澪「とはいえ、アドリブ自体は面白そうだな。次の曲用に、少し考えておくか」
律「それだと、アドリブじゃないだろ」
澪「でもアンコール曲も事前に準備をするんだから、間違っては無いんじゃないかしら」
律「ああ、そうか」
唯「アンコール曲って、もしアンコールが起きなかったらどうするのかな」
梓(結構怖い事言う人だな)
夕方 コンビニ前
唯「冬は、肉まんが一層美味しいよね」 ほふほふ
紬「うふふ♪」
律「暖かい部屋で食べるアイスも、結構美味しいぞ」
澪「確かに」
梓「冬は寒くて辛いですけど、楽しみ方は色々あるんですね」
唯「あずにゃんは、どうやって楽しんでる?」
梓「律先輩じゃないですけど、暖かい部屋から窓越しに雪を見るのは風情があると思います」
唯「つまりは、雪見大福だよね」
律「何がつまりかは、全然分からんけどな」
紬「でも雪って、歌詞になりやすいわよね」
澪「見た目が綺麗だし、すぐ消えるから儚いしな」
紬「なんだか、澪ちゃんのイメージと重なるわよね」
澪「儚いかな、私」
律「たまに、おぱんちゅ履かないだろ」
澪「そんな訳あるか」 ぽふ
紬「ぐふふ♪」
梓(ぐふふ?)
夜 平沢家リビング
唯「・・・やっぱり澪ちゃんは、雪のイメージが合ってると思うんだ」
憂「それだと、梓ちゃんは猫かな」
唯「ムギちゃんは、ふわふわぽわぽわな綿雲だよ」
憂「律さんは?」
唯「キレンジャーだね」
憂「もう、お姉ちゃんったら」
唯「たはは」
憂「そういうお姉ちゃんはお日様だよね」
唯「そんなに暑苦しい?」
憂「いつも元気で優しくて、そっと温かく包み込んでくれるからだよ」
唯「もう、憂はそんな事ばかり言って」
憂「私は、思った事を言っただけだよ」
唯「ありがと、憂♪」
憂「お姉ちゃん♪」
翌朝 3年生教室
唯「・・・って憂が言ってました」
和「憂にも困ったものね。一度私が、良く言って聞かせないと」
唯「しどいよ、和ちゃん」
律「うーっす」
和「どちらかと言えば、太陽は律でしょ」
律「私、そんなに輝いてるか?」
唯「おでことかね」
澪「でもこれは輝いてる訳じゃなくて光を反射してるんだから、太陽よりも月だと思うんだ」
和「なるほど、考え方を改めないといけないわね」
律「人のでこで、真面目に議論するのは止めてもらえますか」
紬「みんな、おはよー」
律「確かにムギは、綿雲だな」
紬「私、そんなにふっくらしてる?」
唯「そうじゃなくて、ふわふわぽわぽわしてるって事だよ」
紬「ごめんなさい、ちょっとイメージするのが難しいんだけど」
澪「簡単だ、ムギ。ふわふわは柔らかさと軽やかさ。ぽわぽわは暖かさと浮き立つ感じ。そして同じ音を二度続けてテンポとリズム感を出し、さらに韻を踏む事で音の余韻を醸し出す」
律(本気で言ってるから、突っ込む気にもなれん)
2年生教室
純「イメージ?どうせ私はモップとか、そういう話でしょ」
梓「自分で言わないでよね」
憂「純ちゃんは風だよね」
純「風?」
憂「自由で、どこにでも解け込んで。みんなに笑顔を運んでくれるから」
純「憂だけだよ、そんな事言ってくれるのは」
憂「みんな思ってても、口に出さないだけかも知れないでしょ」
純「本当に憂は優しいよなー。私からすれば、天使みたいだよ」
憂「ふふ♪」
梓(なんかこの二人、甘酸っぱい匂いを醸し出してるな♪) くんかくんか
最終更新:2013年04月07日 02:03