【第3話】
澪「暑い・・・」



新学期初日の放課後 私は部活をするため音楽室に向かった

澪「9月になって新学期になったのにまだまだ暑いな…」ガチャ

扉を開けると、部室には誰もいない様子だった

澪「お、誰もいない…私が一番乗りだな」

澪「新学期初めての部活だからな。唯とか律はまだ夏休み気分が抜けずにだらけてそうだ」

そう言うと私は とりあえず椅子に腰を下ろすことにした

一人で時間をもてあまし 次第に私も姿勢がだらけはじめた

澪(唯とかは夏休み中とかもずっとだらけてそうだなぁ…憂ちゃんも大変だっただろうに)

澪(あぁ…ア~イ~ス~とアイスをねだる唯の情けない姿が思い浮かんでくるよ…)

澪「……」

誰もいないし、いいよな…?

澪「…り、りつ……あ、アーイースー………」ボソッ

律「」

澪「な、なんてな!ふふふ…」

言ってみた。 なかなか達成感があった

しかし 達成感に浸っていると想定外の返答が返される

律「ご、ご飯食べてからだぞっ!」

聞き覚えのある声に私は思わず返事をする

澪「わかってるよ。唯じゃあるまいし、まったく律は………」

澪「………え…?りつ…?」

あれ…? 私はおかしなことに気づく

あれ?りつ?なんで…?

律「こ…こんにちは澪しゃん…」

澪「」

私がしてしまったことの恥ずかしさに気づき 思わず私は声を荒げる

澪「うわぁあああああああ!!!り、律ぅ!!!い…いつからそこに……!」

律「いやまぁ…みんなを驚かそうと食器棚の後ろに隠れてたりして…」

ということは… 

澪はおそるおそる質問をぶつける

澪「つまり、私が部室に入ってくる前からいたのか…?」

律「はい…」

律の答えを聞いた後 恥ずかしさのあまり頭に血が上っていくのがわかった

澪「!!!///」カァー

気がついたら 私は拳を振り上げていた

澪「わ、忘れろぉ!」ボカッ

律の頭に会心の一撃が炸裂した

律「!?」バタッ

澪「…ぁ…しまった、つい……」

澪「大丈夫か!?律!?」ユサユサ

律「」

律は気を失ってしまったようだった

ガチャ

私がどうしようか思案していると 扉の開く音がした

澪「!」

唯「お、早いね澪ちゃん!」

紬「うふふ澪ちゃん久しぶり~」

梓「澪先輩こんにちは!…まったく、部長のくせに律先輩はまだ来てないんですか…」

唯と紬と梓が一斉にやってきた

私は絶体絶命のピンチに追い込まれた

澪「あはは…いや、律は…その…」

唯「?」

私はごまかそうと愛想笑いを浮かべた

紬「とりあえずお茶にしましょ?準備するわね…ってりっちゃん!?大丈夫!?」

澪「!」

そんなごまかしが通用するはずもなく あっけなく紬に見つかってしまった

澪(ヤバイ!)ダッ

反射的に私は部室から逃げ出してしまった

梓「え、ムギ先輩どういう…って澪先輩!どこ行くんですか!」

唯「わ!りっちゃんが倒れてるよ!りっちゃん!りっちゃ~ん!!!」ユサユサ

唯が体をゆすると 律の手がかすかに動いた

律「う、うーん」

紬「よかった…意識はあるみたいね」

梓「大丈夫ですか?律先輩?話せますか?」

律「あ…あぁ…」

律は頭を手でさすりながら上体を起こした

・・・・・・

意識を取り戻した私は 冷静に最善の策を考える

律(待てよ、ここで洗いざらい真実を話してしまっていいのか?澪の名誉はどうなる?)

律(ここは澪は悪くない、と澪をかばってやる必要性が…あるな)

私は澪をかばうことにした

澪も悪気があって殴ったわけじゃないし 隠れて驚かそうとしていた私にも非があったのは確かだったからだ

・・・・・・

意識を取り戻した私は 冷静に最善の策を考える

律(待てよ、ここで洗いざらい真実を話してしまっていいのか?澪の名誉はどうなる?)

律(ここは澪は悪くない、と澪をかばってやる必要性が…あるな)

私は澪をかばうことにした

澪も悪気があって殴ったわけじゃないし 隠れて驚かそうとしていた私にも非があったのは確かだったからだ

しかし私が話そうした時 梓たちから予想外の言葉が飛んできた

梓「まったく、今度はいったい何をやらかしたんですか。澪先輩怒って出て行っちゃいましたよ」

紬「りっちゃん…あんまり澪ちゃんを怒らすようなことはやっちゃだめだよ?」

唯「もーりっちゃんたら、新学期早々何をやったのさ!気絶させるほど叩かれるなんて…
りっちゃんも悪ですな~」

律「…」

どうやら私の心配は杞憂だったようだった

律「って私への信頼ゼロかよ!今回ばかりは私悪くないし!」

さすがに 私も反論せずにはいられなかった

梓「本当ですか…?」ジロジロ

梓が訝しそうに私の目をみつめる

唯も律に疑問をぶつける

唯「じゃあ澪ちゃん、理由もなくりっちゃんを叩いたの…?」

律「それは…」

必死になって私は言い訳を考えた

律「いや…まぁ…あ!あれだよ!ちょっと漫才の練習をしてたんだ!」

律「それで私の雄大なボケに対して澪は迫力のツッコミをかましたんだ!」

唯「頭に?それは痛そうだね~」

紬(いいな~)

梓「全然信用できないんですけど…」

正直苦しい言い訳だった

律「以上が事のてんまつなのだよみんな!真実はいつも一つだからな!あははは…
じゃ、じゃあ私帰るな!」バタン

これ以上部室にいてもボロが出るだけだと思ったのか 律は足早に部室を後にする

梓「なんだったんですか…」 

紬「とりあえず私たちだけで練習する?」

唯「いや、みんな…提案があるんだけどさ…」

数分後 部室を後にする三人の姿があった


~澪の家~

澪(あぁなんで律を殴ってしまったんだろう…律、大丈夫かな?)

私は律にしてしまったことをちょっぴり後悔していた

澪(で、でも律も悪いんだぞ!あんなところに隠れて…ちょっとふざけたことを言ってみただけなのに…)

澪(あぁ~思いだしただけでも恥ずかしい!穴があったら入りたい!布団にくるまってはいるけれど!)

ガチャ

布団の中で一人悶えていると ドアが開く音がした

澪(え?)

律「澪~入るぞ~?」

聞き覚えのある声が 部屋に響き渡る

澪(こ、この声は律!…よかった、大丈夫だったのか…?)

律はポンポン、と布団をたたきながら言う

律「まーた布団なんかにくるまっちゃって…暑くないのか?」

律は声を聞く限りは元気そうだった

私はずっと心配していたことを聞いた

澪「律…大丈夫か?」

律「大丈夫?」

律は一瞬思案した後 すぐに歯切れのよい声で答えた

律「あぁ!大丈夫だぞ!みんなには澪の迫力のツッコミで私が気絶したって言っておいたから!」

どうやら律は私の失態がみんなに伝わっていないことが大丈夫なことだと思ったらしい

そんなことじゃないんだよ! 私が心配していることは

澪「そんなんじゃなくて頭のケガのことだよ!私、律がケガしてないか心配だったんだぞ!」

律「!」

律のポンポンと布団をたたく手が止まった

律「だ、大丈夫だぞ!このとおり、りっちゃんは今日も元気いっぱいです!」

律はちょっとふざけながらも 元気よく返事をした

澪「!」

そうか…

そうか…! 律!よかった…

澪「よがっだぁ~」ガバッ

思わず布団から飛び起きてしまった

律「ちょ…急に起き上がるなよ…」

澪「律…ごめんね…?」

私は律の頭をなで 精一杯謝ろうとした

律「いいよ別に…ほら、アイス買ってきたんだ、食べようぜ」

澪「!り、りつ…」

涙が出そうになった

律「はい、アイスがほしかったらあの言葉を、どうぞ!」

澪「え?」

律「りーつーアーイースー、だよ。あの時の澪…かわいかったぞ~」プププ

澪「」

律にからかわれ あの時のことが思い起こされる

澪「!!!///」カァー

頭に血が上り 思わず私は拳を…!

澪「調子にのるな!」ゴンッ

律「いでー!」

でも手加減はしておいたからな、律



梓「なるほど、そういうことだったんですか…今回ばかりは律先輩が正しかったんですね」

紬「澪ちゃんにもかわいい一面があるのね~」

唯「私もアイスほしいよ~りっちゃん~あ~い~すぅ~」

再び部屋に聞き覚えのある声が響きわたる

しかも3つ。

あれ…?

律澪「え」

律澪「えぇぇえええ!?」

私たちは すぐには何が起こっているかを理解することができなかった

澪「み、みんな!?いつからここに…?」 

私は驚きのあまり 声が少し裏返ってしまった

唯「りっちゃんが澪ちゃんの部屋に入った直後からかな~」

唯「もちろん!澪ちゃんのお母さんに許可は貰ってあるよ!」

唯は自信満々に答えた

律「まさか…尾行してたのか…?」

律が怪訝な目つきで唯の方を見る

唯「りっちゃんなら澪ちゃんの家に行くと思ったんだよ~」

梓「まぁ今回は謝るのが目的ではなかったみたいですけどね」

紬「いいもの見せてもらったわ~」

澪「」

ようやく状況を飲み込むことができた

状況を理解すると同時に言葉では言い表せないほどの恥ずかしさがこみ上げてきた

澪「!!!///」カァー

再び頭に血が上り 私は両手を天高く上げていた

澪「のわぁああ!!わ、忘れろぉ!!!」ボカッボカッボカッ

唯紬梓「!?」バタッ

思わず私は手をあげてしまった

律「おい」

澪「あ…」

言ったそばから またやってしまった

私はすぐに三人を介抱しようとした

澪「大丈夫か!?」ユサユサ

どうやら三人は気を失ってしまっているようだった

澪「!」

しかし 二人のやりとりを見守っていた三人の表情はどこか微笑ましそうだった




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