ゆい「ん~……!」ググッ

のどか「……」ハラハラ

ゆい「ひゃあっ!?」ドタッ

のどか「ゆ、ゆいちゃん!だいじょうぶ!?」

ゆい「あいたたた……」

小さい頃の話。唯は鉄棒が苦手で逆上がりが出来なかった。
放課後はよく二人で残って練習したものだ。でも、唯はなかなか出来るようにならなくて……

ゆい「うう……」ジワッ

のどか「ゆ、ゆいちゃん泣かないで。もうちょっとでできるようになるよー」

ゆい「ぐすっ、う、うん……」

のどか「ほら、こんなふうにジャンプするみたい思いっきり……えいっ」クルンッ

ゆい「わあ……やっぱりのどかちゃん上手~!」パチパチ

のどか「えへへ……次はゆいちゃんだよ?」

ゆい「うん!よーし……」

のどか「がんばって、ゆいちゃん!」

そして、その日初めて唯は逆上がりを成功させた。
その時の唯の笑顔は、泥だらけながらもとても嬉しそうに笑いながら抱き着いてくる唯の姿は……今でもはっきりと覚えている。

ゆい「はあ~、ごくらくごくらく!」バシャバシャ

のどか「ゆいちゃん、あばれちゃダメだよ」

ゆい「えへへ、ごめんごめん」

泥だらけになって家に戻ると、悲鳴を上げた母によって二人ともお風呂に連行された。
よくよく思い出すと、二人で一緒にお風呂に入ったのはそれが初めてかもしれない。
その証拠に、初めて唯と一緒に入った私は嬉しくて……

ゆい「あれ?なんだか良いにおいがする~」クンクン

のどか「あ、ラベンダーのにゅーよくざい?をいれてみたんだ。どうかな?」

ゆい「えへへ~、きもちいいよ~♪」パシャパシャ

のどか「よかった♪」

ゆい「でもほんとうに良いにおい…………あ~」

のどか「っ!?の、のんじゃダメー!」ガバッ

ゆい「わあっ!?」

やっぱり唯は唯だった。

……

和「まったく……何でそんなに汚れて帰ってきてるのよ」

唯「えへへ~……その、部活帰りにみんなで鉄棒にはまりまして」ポリポリ

和「はあ……あんた達は相変わらず……ほら、お風呂に入りなさい。準備出来てるから」

唯「はーい」トトッ

和「まったく、いつまでも子供なんだから……」

唯「おおっ!?和ちゃん和ちゃん、何か良い匂いがするね!」ヒョコッ

和「ええ、入浴剤を入れたからね……ラベンダーの」

唯「へ~。ん?ラベンダーの入浴剤……?」

和「いいから早く入りなさい」

唯「ほーい。あ、和ちゃんも一緒に入らない?」

和「……そうね。いいわよ」

唯「おおっ!?和ちゃんが一緒に入るって言ってくれるの久しぶりじゃない?」

和「ふふっ、まあたまには、ね」

唯「えへへ、先に入ってるからすぐ来てね~♪」

和「はいはい」

唯の誘いに乗ったのは、何だか懐かしい気分になったから。
……それに、唯がお湯を飲もうとしないか見張らないといけないし、ね。

終わり

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最終更新:2012年10月13日 18:03