梓と駅前で待ち合わせをしていた。
私はその辺にあったベンチに腰をかけ、
「待つ」という本を読んでいた。
(省線のその小さい駅に、私は毎日、人をお迎えにまいります。)
最初の一文が目に入った。
梓を待ってる間に「待つ」を読む。
おかしくて少し笑っていたら、
「律先輩!一人で笑ってて怖いですよ?」
「悪いな、いくぞ~!」
今日は梓と遊びにいくつもりだ。
ちょっと生意気な後輩だが、可愛い奴だ。
「今日はどこに行くんですか?」
「あー。」
「決めてませんでしたね?」
…怖い、怖い。
「じゃあさ、そこのカフェにいくぞ!」
「はいです!」
カフェの中は大人っぽい雰囲気だった。
少し暗い…
その暗闇の中、私は昨日のことを思い出していた。
「どうして澪はここにいるんだ。澪な二年前に死んだはずだ。」
澪はすごく落ち着いて冷静に呟いた。
「死んだはずなんだ。」
「…じゃあ、幽霊なのか?」
「…」
「…?」
「…」
「澪?」
「…」
気絶してる…
幽霊なのは自分だろ!?
いや、幽霊って気絶するのか?
「た、たぶん…わ、私は幽霊…なのか?」
「そうかもな。」
澪の死に顔みたし。
葬式でたし。
墓でお参りもしたし。
確か、澪は…水死だったか?
「先輩?律先輩!?」
「…」
「律先輩!?」
「あぁ、ボッーとしてた。」
今は梓と楽しまなきゃな。
「このチーズケーキうまそうだな。」
「私もチーズケーキにしようかな。」
………
…
「ただいま。」
梓と遊びおわって、家のドアを開けた。
いや、澪の家のドアか。
澪の家に行くのが癖になったな。
「ここはお前の家じゃないぞ?」
階段の所から澪が私がいる玄関にやってきた。
「どこに行ってたんだ?」
「遊びに行ってた。」
「ま、まさかデートか?」
「いや、なんでだよ!?」
「梓と遊んでたの!」
「誰だ?」
あぁ、そうか。
澪は知らないよな。
澪が死んでから軽音部が廃部になりかけの時、
梓はやってきたからな。
「軽音部の後輩だよ。」
「会ってみたいな…」
「今度、連れてきてやるから。」
「待ってるからな。」
第2話「待つ」おわり
最終更新:2012年10月16日 19:21