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 夏休みとはいっても、休止している活動は授業だけだ。
学校自体は開いており、部活動に参加する生徒が外に中にと散在している。
律が部長を務める軽音部も、その一つだった。

「こういうの見てると、また海に行きたくなるよねー。
ほら、折角外も晴れてるんだもん」

 唯が机に広げた雑誌から、窓へと目を転じて言った。
律は雑誌から目を動かさないまま、首肯で同意を伝える。
本来なら、夏の晴れた日に外など出たくはない。
だが、水着の特集が組まれた雑誌は、炎天さえも海に対する誘惑へと変える。

「あー、分かります。水着も新調したかったですし」

 普段は真面目な梓も、夏季休暇中の部活では休憩に対して寛容だった。
現に彼女自身も、先程から熱心に雑誌を眺めて話へと交わっている。

「新しい水着ねー。それも海に行く楽しみの一つよね」

 そう言える紬が、律は心の底から羨ましい。
豊満な身体付きの彼女ならば、艶やかな水着を試す楽しみが味わえるのだ。
律も体型さえ伴っていれば、色気のある水着を纏ってみたかった。

「だよね。皆はどういうのが欲しい?私はこれかな」

 肉付きの良い唯も、怖じる事はないらしい。
皆に問い掛けるとともに、ローライズの水着を指差していた。

「んー、私はこれかな」

 声とともに、澪の指が紙面を滑る。
恋人の選択であるだけに、律はその指が止まった先を凝視した。

 それは、ボトムもトップも厚めに覆われている、露出を抑えた単純なデザインだった。
それだけに、ツーピースながらも活発に泳ぐ事のできる水着である。
体型は紬と比してさえ遜色ない彼女だが、殊更にそれを誇る事はしない。
筋力にも恵まれた澪に似合うだろうと、律は思った。

「私はこれね」

 三角ビキニの写真を指し示しながら、紬が続く。

「おおっ、流石はムギちゃん。際どいですなー」

 唯が降参したと言わんばかりに天を仰いだ。
レース状のパレオが暈しの役を果たしてはいるものの、ローライズのボトムは唯が選んだ物よりも危うい。
唯の選択とて陰毛の処理に気を遣わなければならないものだが、
紬の選択に至っては必須な位置にまでボトムの縁が下がっている。

 トップも負けず劣らず露出が多かった。
ネックストラップで吊るされた布地は、胸の谷を際立たせるようなVネックラインが施されている。
紬の胸囲では確実に乳房が溢れてしまうが、元来からして見せるコンセプトの水着なのだ。
そういった意味では、紬は着用者たる資格と自覚を備えている。

「私、皆さんみたいにスタイル良くないんで。これでいいです」

 追って梓がページを繰り、遠慮の滲む緩慢な手付きで花柄のセパレーツを指し示す。
胸部全体を帯状に覆うトップと、スカート状のボトム。
紬は言うに及ばず、唯や澪に比しても露出の抑えられた水着だった。
それでも律と似た体形の梓が、ツーピースを選んだ事に変わりはない。
律は加勢を得たように感じつつ、唯達の反応を待った。
梓に対する彼女達の評価が、律の判断を別つ試金石となる。

「わー、可愛いー。如何にもあずにゃん、って感じのセレクトだよね」

「とっても、いいと思うわ。
可愛さの中にも、色っぽさがあって。
そういう水着を着こなせるのって、羨ましいな」

「うん、いいんじゃないか?似合うと思うぞ」

 唯が、紬が、澪が、口々に梓の選択を嘉してゆく。
それが律の耳朶には、自分に対する声援のように響いた。
この様子ならば、素直な好みを示しても認められるのではないか。
体型に合わせて好みに合わない水着など、選ばなくてもいいのではないか。
唯や紬に対する羨望の反動も相俟って、律は解放された思いで雑誌のページを繰った。

「私はー、これだなー」

 一見した時から目を惹かれた水着に、指を添えて言う。
陰唇や乳首といった最低限の部分だけ隠す、マイクロ水着だった。
大胆に過ぎると、律自身とて思う。
だが、だからこそ今まで抑え付けていた欲求の発散に足り得る。
加えて、周囲からの承認が期待できる今、極限まで露出を求めてもいいだろう。
海辺の衆目を浴びる自分の姿まで脳裏に浮かべて、律は邪魔される筈のない高揚に酔った。

──邪魔など入らない筈だった。

「ぷっ」

 一瞬、だった。一瞬で、律の高揚は瓦解した。脳裏の映像も砕け散った。
梓の放つ含み笑いだ。
振り向く間にも、音速で放たれる梓の声を律の耳が捉える。

「そのスタイルで」

 振り向いた律の視界に、嘲りを浮かべた梓の顔が映る。
律の見込みが違えていると、神託よりも雄弁に教える顔だ。

「えーっと、こういうのは、りっちゃんには、ちょっと違うんじゃないかな。
可愛らしいりっちゃんだから、可愛らしい水着が似合うんじゃないかと思うの」

 紬が慰めるように言った。
慰撫とても、嘲笑と同じく律の胸に残酷な刺を突き立てる。

「こんなのりっちゃんのキャラじゃないよー。
ワンピースでいいって。これとか、どうかな」

 唯が先の二人に同調しながらページを繰って、可愛らしい動物がプリントされた水着を指差した。
律には立てられた指が、現実を突き付けているように映る。

「冗談、冗談。私に似合う訳ないっての。
本気にすんなよー」

 律は痛みに軋む本心を笑顔で隠すと、手を振りながら返答した。
冗談として流してしまえば、波風を立てずに済む。
何より、多数を相手に反駁しても、傷を広げるだけだと分かっていた。

「あー、こういう時に、ツッコミをするべきだったのね。
私、一度ツッコミってしてみたかったのに」

 紬が残念そうに言った。
演技を見抜かれなかった安堵は一瞬で終わり、直後に暗い側面が律の心に影を落とす。
冗談として即座に納得を得られる程、律の希望と現実の間には大きな乖離があったのだ。
思い違いも甚だしいと、律は内心でも笑った。表情とは異なる、自嘲だった。

「まーまー、次の機会があるよ」

 唯にも演技を疑う素振りは見えない。
早くも律から関心を逸らし、紬の慰撫に回っている。
この調子では梓も騙せただろう。律は安堵と落胆を胸に抱えて、梓を窺った。
途端、不審げな梓の瞳が視界に映る。
律は胸中を悟られたのかと慌てかけたが、瞬時に気付いた。
梓の瞳は、自分に向けられてはいない。
律は視線が梓の目線に合うよう、首を動かした。

「澪先輩、難しい顔してどうしたんですか?」

 梓のその疑問を背に、律の瞳は澪の不機嫌そうな顔を捉えていた。

「あ、いや。体型の話になったからさ。体重の事とか、思い出しちゃって」

 梓にそう返した時には、既に澪の表情は和らいでいた。

「あー、私も気になってたのよね。
海に行くなら、そっちも気にしないとね」

 体重の話では澪に共感する事の多い紬が同調していた。
その口振りから察するに、紬は気付いていないだろう。
澪が慌てて言い繕っていた事に。
反面、律は見抜いていた。
澪が体重の悩みを口にする時は、決まって表情にも出る。
翻せば、表情を和らげた事は、不機嫌の原因は他にあるという証左だ。
恋仲にある澪の所作なら、些細な不自然さえ見逃しはしない。

「そうですか?澪先輩もムギ先輩も、スタイル良くて羨ましいですけど。
無いよりマシですって」

「私はあずにゃんのスタイルも可愛くて好きだけどねー。
でもさ、海よりも重要なイベントが私達にはあるよ」

 初めに海に行きたいと言った唯自身が、話題を切り替えようとしていた。
唯は関心が目まぐるしく変わる。それは短所でもあり、長所でもあった。
今回はどちらに作用するのか、律のみならず部の注目が唯に注がれる。
視線を一身に集めた唯は、勿体ぶるように一拍置いてから口を開いた。

「来週、りっちゃんの誕生日があるのですっ。
21日は、皆でお祝いしないとねー」

「あー、駄目っ。律はその日、既に予定が入ってるから。
皆でお祝いするのは、別の日にしような」

 間髪を容れず、切って捨てる澪の声が響く。
律は未だ予定を組んでいないものの、澪の言わんとしている事は察せられた。
紬や梓、そして当の唯も思い当たったらしく、頬に冷やかしの笑みを浮かべている。

「あー、そっかー。ごめんねー、二人っきり、ですものね。
お邪魔だったみたいー」

 唯が声に科を作って言う。
澪は律の誕生日に二人きりで過ごす旨を堂々と宣したのだ、
唯にとっては茶化す格好の的だろう。

 約束はしていなかったが、律も嬉々と澪の宣言を受け入れている。
約束なんて要らない、澪が唄った歌詞にもある通りだ。
ただ、同時に訝ってもいた。
惚気に近い言葉を、澪が人前で堂々と言い放つ事は珍しい。
他者の耳目がある今、婉曲に律の誕生日を独占すると伝える方が澪らしく思えた。

「うふふ、当日は二人でごゆっくりー」

「じゃあ、その日は練習なしですね。
ただでさえ暑いのに、目の前で見せ付けられたら堪りませんから」

 紬と梓も澪の態度に違和感を抱いていないのか、唯に便乗して茶化すような言葉を放ってきた。

「ほらっ、そんな事より、今は練習、練習っ。
休憩も長引いちゃったからな。取り返すぞ」

 澪は戯れに応じる気がないらしく、手を叩いて練習するよう促している。

「うふふ、澪ちゃんったら、照れっちゃってるのね」

 紬が笑いながら従った事で、唯と梓も倣って持ち場に着いた。
律は足をドラムセットに向けながら、心を澪に向ける。
澪の態度は、紬の言うような羞恥故のものではないだろう。
未だ不機嫌を引き摺っている、律にはそう見えた。

*

 目覚めた時から、快晴だった。
自分の誕生日に相応しい天気だと、律は思う。
自分は部を明るく照らす存在でなければならない。
一週間前、希望の水着が体型に合わないと嘲られて落ち込んだが、その時も笑顔で遣り過ごした。
未だに胸に刺さった棘は抜けないが、それが自分の役割なのだ。
そう言い聞かせた時、刺のある澪の顔が胸裏に過ぎった。
日を同じくしていたせいか、澪の不自然な態度も呼応して蘇ったのだろう。

 あの日から今に至るまで、澪の不機嫌の原因は分からないまま過ぎている。
尤も、気に留める事でもないのかもしれない。
次の部活があった日には、既に澪の態度は自然なものに戻っていたのだから。
恋人と言えど、過ぎた干渉は慎むべきだろう。
そう思って澪の事から頭を切り替えようとした時、来客を知らせるチャイムが鳴った。
意識を一新するには良い機だと、律は対応に出る。

「やっ、律。お誕生日おめでとう」

 来客は、当の澪だった。
今日のうちに来るであろう事は分かっていたが、律が思っていたよりも早い。
時間の約束はしていないながら、例年に倣って夕方過ぎだろうと読んでいた。

「ありがと。でも、どうしたの?
去年とかより、来る時間が早いよね」

 疑問の体を取っているが、先手を打った言い訳が真意だった。
予想よりも早かった為、澪を迎える準備が未だ整っていない。

「ああ、どうしても律に渡したいプレゼントがあって。
去年みたいな時間まで、待てなかったんだ」

 澪はそう言うと、右手に抱えている包装された長方形の袋を掲げた。

「わー、楽しみー。ね、早く私の部屋に来てよ。
早くプレゼント開けてみたいんだー」

 与える澪が気を急く程のプレゼントなのだ。
貰う律の気が逸らないはずもない。
期待を羽に、澪の手を引いて階段を駆け上がる。

 部屋に着くと、澪は焦らす事なくプレゼントを渡してくれた。

「わぁ、嬉しい。ね、開けてもいいんでしょ?」

 澪の顔を覗き込むように見上げて、律は問う。
澪と二人で居ると、声も所作も甘えてしまう事が多い。
プレゼントを貰っては、尚更だった。

「勿論。律が気に入ってくれるといいけど」

「澪がくれるんなら、何だってお気に入りになるよー」

 律は焦れる心を抑えて、包装を丁寧に解いてゆく。
包装紙に至るまで、大切に取り扱いたい。
だが、中身が見えてくるに従って曇っていく顔を、律は抑えられなかった。
何であろうが気に入ると言った手前、顔色だけでも喜色を見せるべきなのだろう。
分かっていても、儘ならない。

「澪ー、これ、私じゃ似合わないよ」

 律は澪のプレゼントを両手で掲げて見せると、声を沈ませて言う。
律とて澪を落胆させたくはない。
だが、一週間前の癒えない傷が痛んで、澪を慮る余裕さえ保てなかった。

 プレゼントは、律の欲したマイクロ水着だった。
以前に指し示した写真とはデザインが異なり、布地の部分には貝殻を模した装飾が施されている。
尤も、梓達はデザインに着目した訳ではなく、露出する部分の多さに主眼を置いて否んできたのだ。
陰唇や性器のみ覆う大胆な露出は、この水着でも変わっていない。

「似合うよ。律に似合うと思って、買ってきたんだ。
本当は、そういうの欲しかったんだろ?」

 澪には見通されていたらしい。
希望を見抜いてくれた事に喜びは感じるものの、梓達の似合わないという指摘を振り切れない。

「でもさ……皆、似合わないって言ってたし。
プレゼントは嬉しいから貰うけど、記念にとっとくって感じで、着れないかな」

「皆じゃないっ、私が見たいんだよ。私の為に、着てみせてくれないか?
私が見たくて、似合いそうなの、買ってきたんだ」

 恋人から見たいと熱心に請われては、頑なだった心も揺れる。
認めてくれなかった者達に合わせるより、認めてくれる者の希望に沿いたい。
心を動かし掛けた律の耳に、低められた澪の声が届いた。

「それと、あの時はごめんな。
皆と対立するのが嫌で、律の事、庇ってやれなかった。
恋人が悲しんでるのに傍観しちゃうなんて、酷いよな。
着れば似合うって、私が一番分かっているのに、あいつ等に教えてやる事さえできなかった」

 噛み締められた唇に、澪の悔恨が透けて見えた。
律の悲痛を澪は感じ取っていたらしい。
同時に、律はあの時の澪の不機嫌な顔付や不自然な言行の理由も悟った。
律を傷つけた彼女達に対する怒りと、不甲斐ない自分に対する憤り。
その二つが態度や言動となって、表面に出ていたのだろう。

 律は改めて、両手に持った水着を見遣る。
澪にとっては、懺悔の象徴でもあるのだ。
澪の思いに応えて、似合う事を証してやりたい。
対して、ここで着用を拒否してしまえば、澪を自責の中に突き放す結果となる。
迷うまでもない選択だった。

「わ、分かったよ。澪が見たいなら、着るよ。
澪のプレゼントって嬉しいし、それに、私も、こういう水着、着てみたかったし」

 この水着を纏うのだと思うと、羞恥に押されて言葉が途切れた。
ただ、安心したような澪の笑みを見ると、決断して良かったとも思える。

「ありがとな。早速、見せてくれ」

 澪の瞳が一方ならぬ関心を以って、律へと注がれる。

「うんっ、着替えるから、ちょっとあっち向いててね」

 着替える最中を見られては、過程を窺う澪の表情が気に掛かる。
澪の顔に表れる感情が満足であれ失望であれ、
着替え終わって覚悟も決めてから臨みたかった。

「何度も見慣れてるのにね」

 尤もな指摘を言い放ちつつも、澪は従ってくれた。
律とて、勿体を付けるつもりはない。
手早く着替えて、澪を呼ぶ。

「終わったよ、どうかな?」

 問い掛ける只中、律の胸の鼓動が早まってゆく。

「ん、思ってた以上にエロ可愛いな。
律って肌が白くて綺麗だから、見せ付ける水着の方が似合うんだよ。
うん、私の見立て通りだ」

「エ、エロ可愛いって何だよー。
もうっ、みぃおったら、そんな事しか考えてない」

 律は頬を膨らませてみせたが、内心は歓喜に湧いている。
澪から認められた嬉しさの薬効で、梓達の指摘で負った傷が癒されていくようだった。
のみならず痛みが反転して、見返してやりたいと挑発的な気分にさえなってくる。
とはいっても、否定から一週間を経た程度では、部員達に見せる気にはなれない。
律は挑発的な気分の行先を、先入観のない場へと求めた。

「ごめんごめん、でも、律が可愛過ぎるのがいけないんだからな。
その辺、自覚できただろ?
あいつ等の言う事なんて気にせず、律は素直になっていいんだよ。
今度からは、私がサポートするからさ」

「じゃあさ、海、行きたいな。
もうすぐ夏も終わっちゃうし、折角の水着を活かしたいよ」

 梓達に見せられないのならば、全くの他人に披露してやればいい。
それは返報の矛先を転嫁させる事だけが目的ではない。
衆目の前に立つ事で、澪によって自信が付いたのだと返礼したかった。

 だが、当の澪は渋るように眉根を寄せている。

「いや、二人の時にだけ着てくれればいいよ。
ただでさえ律は可愛くて、人目を惹くんだ。
そんな大胆な恰好してると、変なのが寄ってくるかもしれないし」

 律は澪の言う事が、二つの意味で杞憂に思えた。
一つは、澪が恋人の容姿を過大評価している事だ。
律は澪が言うほどには、自分に魅力があるとは思っていない。
そして、もう一つが──

「大丈夫、私、澪以外に靡いたりしないよ。分かってるでしょ?」

 律は首を傾けて澪に問うた。
澪の凛とした表情に、朱が走る。傾きかけている証左だろう。

「そりゃ、律の事は信じてるけど。
ただ、律にその気がなくても、強引にナンパしてくる奴とか……」

 澪はそこまで言うと、考え込むように言葉を切った。

「いや、いい。律に素直になっていいって言ったの、私だもんな。
律が好きな事して何が起ころうと、サポートは私の役目だ。
律が海に行きたいなら、連れて行くよ。
誕生日にお願いされたんだし、幸いまだ午前だしな」

 沈黙からの復帰と同時に、澪の意見も一転していた。
一旦は渋っても、最終的には律の望みを聞いてくれる。
律が澪に惚れこんでいる理由の一つだ。

「わぁっ、ありがと、みぃおっ。
じゃあさ、澪の家に寄って、水着も取ってこようね。
お弁当作るのもいいけど、早く海に行きたいから、ご飯は現地で調達でいいかな?」

 律は矢継ぎ早に言った後で、一方的に話を進め過ぎているような気がした。
不安になって澪の様子を窺うが、気分を害した風は見られない。
逆に、燥ぐ律を愛おしむように、目元を緩めている。

「そうだな。じゃ、私にも用意があるから。私の家にも、付いて来てくれるか?」

「うんっ」

 律は威勢よく返事をすると、水着の上から服を着込んでいった。

「せっかちな奴だな」

 そう言う澪の頬には、微笑みが浮かんでいた。


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最終更新:2013年08月21日 23:37