――夜 外――

梓(夏とはいえ肌寒いなぁ)

梓「……ん?」

梓(あれは律先輩……? 帰ってきたのかな?)

梓「律せんぱーい」

律「え、あ、梓 どうしたんだ、こんな夜に」

梓「コンビニ行ってたんです、律先輩帰ってきたんですか? 夏休みとかですか?」

律「ま、まぁそんなもんだよ」

梓「律先輩もコンビニにでも行くんですか?」

律「いや、私は……散歩」

梓「散歩ですか ……そういえば唯先輩は? 一緒に帰ってくるって言ってませんでしたっけ?」

律「さ、さぁ……。 そんなこと言ったかな……。」

梓「……? なにかあったんですか?」

律「なんでもないさ、」

梓「……嘘つくの下手ですよ」

律「……」グスン

梓「ど、どうしたんですか?」

律「梓ぁ……」ギュゥ

梓「な、なんですか?」

律「今から家行っていい?」

梓「いいですよ、じゃあ帰りましょう」



――中野家――

梓「落ち着きました?」

律「あぁ、なんかごめん」

梓「いえ、いいんですよ いいんですけどどうして私の買ってきたお菓子全部食べちゃうんですか」

律「すまんこってすたい」

梓「なんですかそれ」

律「はぁー……。」

ボフッ

梓「で、なにがあったんですか」

律「あのなー、聞いて驚くなよー」

梓「はい」

律「唯と別れたー」

梓「はい」

律「なんだその反応はー 慰めてくれないのかよー」

梓「律先輩が驚くなって言ったんじゃないですか」

梓「っていうかほんとに別れたんですか……?」

律「嘘でこんなこと言わねーし」

梓「……そうだったんですか……。 大変でしたね」

律「全くだ、唯の奴……、他に好きな奴できたとか……」

梓「……。」

律「って……こんなこと梓に言ってもどうしようもないよな、ごめんな」

梓「こういう時ってどういうことしたらいいか分からないんですけど……」

梓「聞くことくらいできます」ギュッ

律「ありがとな」

梓「あれ、律先輩 髪切りました?」

律「うん、梓はそういうの気づいてくれるんだな」

梓「……すいません」

律「いいよ、ちょっと嬉しいし 下手に気使われるなら適当にガンガン言ってくれるほうがこっちもありがたいかも」

梓「……」

律「な、なんだよ?」

梓「唯先輩はバカです……」

律「そんな言い方……」

梓「……忘れさせてあげましょうか?」

律「……」

梓「ねぇ……律先輩……」

―――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――

―――――――――――

――大学――

律「おはよー」

澪「おはよ、どうだった? 久しぶりの実家は」

律「あぁ、良かったよ」

紬「私も今度授業ない日帰ってみようかしら」

澪「いいな、私もそうしよう」

紬「そういえば梓ちゃんにあった?」

律「え、うん、会ったよ」

澪「どうだった? 元気にしてたか?」

律「あぁ、元気だった」

唯「みんなおはよー」

澪紬「おはよー」

律「……おはよ」

唯「……りっちゃーん、元気ないよー」

律「朝だからだよ」

唯「……あれ、りっちゃん コレなに?」

澪「あぁ、なんか赤くなってるぞ?」

律「……外に居たから虫に刺されたのかもな」

律「あ、授業始まるから私はもう行くよ」

澪紬「いってらっしゃい」

唯「……。」

――夜 外――

梓「また出会いましたね」

律「あぁ、そうだな」

梓「律先輩、私は律先輩のこと……好きですよ?」

律「な、なんだよ……いきなり」

梓「いきなりじゃないです、唯先輩に渡す前からずっとずっと……」

梓「あ、だからといって付き合って欲しいとかそんなんじゃないんです」

梓「気持ちだけ知っててもらえたら」

律「……。」

梓「重い関係にはなりたくないでしょう? 今は」

律「……よくわかってんのな」

梓「痛いほどわかるんですよ……律先輩の気持ちが」

律「振られたこととかあんの?」

梓「はい、一回だけ」

律「へぇー、梓でも振られたりするんだな」

梓「みんな一回はあることですよ、たぶん」

律「……なぁ」

梓「なんですか?」

律「酒でも飲みながらパーッと話そうぜ!」

梓「え、律先輩まだ未成年ry」

律「どうでもいいのそんなこと、買ってきてやるから!」

梓「え、えぇ?」

――中野家――

梓「なんでまた私の家」

律「誰も居ないんだろ? だから」

梓「まぁ両親は海外ですからいいですけど……お酒は部屋でにしましょう、リビングに匂い残ったら怒られそうなんで」

――梓の部屋――

律「はい、梓の分」

梓「あ、ちゃんとジュースにしてくれたんですね」

律「当たり前だろー」

梓「じゃあ失礼して」カコッ・・ゴクッ

梓「んぐっ!? なんですかこれ!?」

律「見てのとおり酒だ」

梓「だまされたということですか」

律「まぁまぁ、はいかんぱーい」

梓「完全にもう酔ってますよね」

――1時間後――

律「でさー、お前はどんな振られ方したんだー?」

梓「好きな人できたからごめーん みたいなー」

梓「あともっといい人みつけてねーってー」

律「それ私も言われたー」ハハハー

梓「そんなの無理ですよねーいきなりー」アハハー

律「そうだよなー」

律「お前はどうやって立ち直ったのー?」

梓「新しい恋をして立ち直りましたー」

律「新しい恋だとー? 誰なんだそれはー」

梓「律先輩ですよー」

律「そっかー……って えぇ!?」

梓「さっきも言ったじゃないですか」

律「そうだっけー?」

梓「お酒のせいで忘れちゃってるんですよ」

律「そっかー、じゃぁもう寝るー」

ボフッ

梓「もう寝ちゃうんですかー?」ギュッ

律「梓―、おやすみのキスー」

梓「仕方ないですねー」

チュッ…

――翌朝――

律「ぁー……頭が……」

梓「飲みすぎですよまったく」

梓「二日酔いのままご出勤ですか?」

律「ご出勤ってお前……どこにだよ」

梓「大学ですよ」

律「夏休みだし、ここにいる」

梓「お泊りですか いいですけど」

律「やったー、梓ありがとー」イテテ

梓「もう……はい、お水です」

律「さんきゅー」ゴクゴク

梓「あとシャワー浴びてきたらいいんじゃないですか?」

律「着替え取りに帰ってシャワー浴びてまたここに来る」

梓「あぁ、じゃあ付いていきましょうか?」

律「うん、頼んだ」

ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー

律「暑かったなー」

梓「そうですね、クーラーつけましょうか」ピッ

律「早く涼しくなれー」

梓「そういえば律先輩」

律「なに?」

梓「いつまで休みなんですか?」

律「8月の27くらいまで」

梓「結構あるんですね」

律「そうだぜー、おかげで唯の顔見なくて済むし こんなに夏休みに感謝したことないぞ」ハハハ

梓「気晴らしにどこか遊びにいくって言うのもひとつの手ですよ、遊びに行きますか?」

律「嫌だよ、暑いし……それに……。」

梓「それに?」

律「いや、なんでもない 暑いからもう家で居ようぜ」

梓「そうですか、 あ、そうそう 今日憂と純が家に来るんですよ」

律「あー、そうなんだ じゃあ押入れにでも篭っとくから気にしないで猥談でもなんでもするがいい」

梓「猥談なんてしませんよ、全く……それに押入れに隠れるくらいなら私の部屋に篭っててください」

律「おう、わかった 卒業アルバム漁っとく」

梓「ベットの上から移動しないでください」

律「ちぇー」

ピーンポーン

梓「あ、来た」

律「じゃあ私行くわ」

梓「はい」

梓(律先輩の靴を隠して……っと)

ガチャッ

梓「やっほー」

憂純「こんにちはー」

純「涼しいね! この家」

梓「あ、今日は私の部屋立ち入り禁止ね」

純「えー、なんで?」

梓「なんでもー」

憂「誰か居るの?」

純「えー、なになに?彼氏?」

梓「そ、そんなわけないでしょ!」

――梓の部屋――

律(……意外と暇だな、ゲームでもしようかな)ガサゴソ

律(携帯かぁ。 メール……)

ドタドタ

律(うわ、誰か来た 隠れなきゃ)モソモソ

ガチャッ

ガタガタ…スラスラ…ガチャンッ

律(なんだったんだ……? あれ、携帯ない)

律(携帯今だけ預かっておきますね? あぁ、よくわかってるな)

律(……ありがとう梓)

――リビング――

純「でさー、もう酷いんだよ? 夏休みだから外行きなさいって」

純「夏休みだからこそ中に居るものだよね?」

憂「子供は外に行かないといけないよ」

純「熱中症になっちゃうよ」

梓「まぁそうだけど」

純「その点梓たちはいいなー、両親海外でしょ?」

憂「結構淋しいよ? 今はお姉ちゃん帰ってきてるから淋しくないけど」

梓「唯先輩帰ってきてるんだ」

憂「うん、新しいお友達をこないだも連れてきてたよー?」

梓「へぇー、そうなんだ 唯先輩ってすぐ友達できるよね」

憂「そういえばお姉ちゃん最近律さんのこと話してないなー……なんでだろ?」

純「大学で毎日会ってるからじゃないの?」

憂「ううん、前はもっと……」

梓「ね、ねぇ ジュース飲む? なにがいい?」

純「お茶―」

梓「憂は?」

憂「私もお茶―」

梓「わかった、じゃあ待っててね」ソソクサ

純「ねぇ憂。 なんか梓変じゃない?」コソコソ

憂「え? そうかな?」コソコソ

純「変だよ、絶対部屋になにか隠してるよ」コソコソ

純「行こうよ、部屋」コソコソ

憂「えぇ……それはダメだと思うんだけど」

純「梓―、部屋行きたい」

梓「だ、ダメだよ!」

――梓の部屋――

律「これ……梓の日記?」

律(見たい……見たいけど見たらダメだ……)

律(……途中のページだけっ)ペラッ

11月29日

今日は付き合ってた人に振られた
「ほかに好きな人ができた」って

ほんと最低

最低って思ってるのになんで忘れられないんだろう

律(……。)ペラペラ

4月27日

律先輩が好き
伝わらなくてもいいよ

律先輩と居るときはあの人のこと忘れられて楽なんだよね

6月18日

律先輩と唯先輩が付き合いだしたらしい
律先輩も唯先輩も嬉しそう

おめでとうございます って

どうして言えなかったんだろう?

律「梓……ごめんな、もうちょっと見させて……」

〔日記3〕

律(これが最近の……)ペラ

7月23日

律先輩に出会った
唯先輩と別れたんだって 律先輩すごい悲しい顔してた

夜は……一緒に過ごしちゃった

律先輩ってば、「唯、唯」って言ってた

別にいいんだけど……

律(私そんなこと……)

7月24日

律先輩とお酒飲んだ
律先輩は今私の部屋のベットの上で熟睡中

ちょっと形が違うけど嬉しい

私は律先輩を傷つけたりしない

律先輩……大好きですよ

律「……。」

ドタドタドタッ

律(な、なんだ? とりあえず日記戻して隠れなきゃっ)

ガチャンッ

純「どーんっ……って誰もいないじゃん」

梓「だから言ったじゃん……。」

憂「もう、純ちゃん いきなり人の家で暴れちゃダメだよ」

純「すいませーん」

ボフッ

律「ぐっ……」

純「えぇえええ!!? 布団の下になんかいるよ!? 踏んじゃったよ!?」

梓「ね、猫だよ」

憂「えー、見たいー」

純「とうっ」バサァッ

律「」

憂「……ず、随分大きな猫だね」

純「か、彼氏?」

律「どう見ても女だろが!」

純「あっ、律先輩」

憂「前髪下ろしてるからわからなかったね」

梓「もういいでしょ、はい 下行くよー」

純「なんで? 別にいいじゃんー」

梓「だめなものはダメ」


2